マスクドライダー・ストラトス   作:ピカリーノ1234

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 どうも、最近暑さで頭がおかしくなって近隣をサイクリングしまっくてるピカリーノです。
 さて、今回は中国篇の第2回です。今回は初代仮面ライダーより「火を吹く毛虫怪人ドクガンダー」をモチーフとしています。
では、どうぞ!


第14話「火を吹く毛虫怪人モスキメラ:前編」

前回のあらすじ

 

 学園寮で1年1組の生徒が織斑一夏のクラス代表就任記念パーティを行なっている中、千冬と竜馬は道に迷った妹分の凰鈴音と再会する。

 竜馬と鈴は半ば強引に千冬を連れて総合受付まで向かった後、鈴が手続きを行う中、竜馬は千冬に衝撃的な発言をする。

 それは、鈴が千冬と束以外の人間で、竜馬が仮面ライダーメーデンだというのを知る数少ない一人だという事実であった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 千冬は竜馬の告白に一瞬だけ放心状態となったが、すぐに持ち直して、竜馬に問い詰めた。

 

「竜馬。何故凰がお前の正体を知る事になった?まさか……」

 

 竜馬は、重苦しい口調でその経緯を話し始めた。

 

「…………あれは、去年の夏の事だった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 四川省山岳部、某所――――――

 

「ここが問題の集落か……」

 

 失踪事件が発生している集落に到着した竜馬は、ヘルメットのバイザーを上げて周囲を見渡した。

 この頃の竜馬は、Mチャリオットが完成するまでは市販のオートバイを移動手段として使用しており、この時期はモトクロッサー型のオフロードバイクに跨っていた。

 竜馬は、束からの情報でこの四川省にある集落まで来ていた。

 この集落を含む山岳地帯で、実に奇怪な事件が相次いでいた。

 それは、人間大の大きさの芋虫が目撃されたというものであった。

 さらにこの近辺では、外から訪れた登山客が次々と失踪するという事件も相次いでおり、竜馬は芋虫の化け物が“オリンポスのキメラボーグ”ではないかと睨み、この集落に来ていたのだ。

 

「まずは情報収集……と行きたいところだけど、この状況では流石に望み薄だね」

 

 竜馬は集落の方に目を向けるが、そこに人の影はなく、まるでゴーストタウンのように静まり返っていた。

 

「兎に角、まずは山に向かった方が良さそうだ」

 

 竜馬はバイザーを下ろすと、エンジンをふかして走り始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 同じ頃、山岳部にて…………

 

「まったく……なんであたしがこんな事に……」

 

 その日、凰鈴音(ファン・リンイン)は父の友人と一緒に、四川省へハイキングに来ていた。

 別に、来たくて来た訳ではないのだが、これには訳があった。

 この昨年、鈴は家庭の事情で帰国していたのだが、4年ぶりに踏んだ故国の土地を、彼女は1年が経過した今でも馴染めずにいたのだ。

 これを心配した鈴の父は、交友関係にあった日本人が今度四川省へハイキングに行く事を知り、彼女を誘ってくれないかと頼んだのだ。

 勿論彼女は乗り気ではなかったのだが、ここ最近の彼女を案じた父の勧めもあり、仕方なく行く事にしたのだ。

 そして、現在に至るのである。

 

「ほらほら、そんな暗い気持ちでいたら幸せが逃げちゃうぞ」

 

 そんな鈴に、青い登山帽を被った男性が話し掛けてきた。

 

「大体なんで四川省で登山なのよ……四川省といえば料理でしょ……」

 

「いやぁ、四川省の山々も中々魅力はあると思うけど」

 

「ヒマラヤに比べたら地味じゃない!日本の山々はそれこそ四季折々の風景でどこでも見所があるけど四川省の山なんてヒマラヤに比べたら地味すぎるでしょ!」

 

「はっはっはっ。鈴ちゃんは怒っている顔もかわいいな」

 

「茶化さないで!」

 

 全くもって調子が狂うが、鈴は男に何故か懐かしさを覚えていた。

 似ていたのだ。あの人に。

 日本に来たばかりの頃、鈴は小学校でイジメを受けていた。その時、とある青年が彼女を助け、手を差し伸べた。その後、彼は鈴の良き相談相手にして良き兄貴分として、彼女の世話をしていくれた。

 そんな彼に、男はよく似ていたのだ。

 

「もうすぐ中間地点だから、そこで休憩しようか」

 

「わ、わかったわよ!……渡さん」

 

 男=渡五郎は鈴の返事を聞くと、少し笑顔になってそのまま道を進んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃――――――

 

「えっ?怪物?」

 

「んだ」

 

 竜馬は、奇跡的に外に出ていた村民を見つけ、情報を聞いていた。

 

「先々週ぐらいだったかな……近くの家が飼ってた鶏が一匹残らず消えちまっただ」

 

「鶏が?」

 

「最初は狼か狐の仕業かと思ったんだけどな、食い散らかした後は無いし、何より猛獣対策用の罠が“何か”に溶かされた後があっただ」

 

「溶かされた……」

 

「そっから数日経って、今度は山に出た村の者の悉くが神隠しに遭っちまっただ」

 

「神隠し?」

 

「実を言うと、この辺には昔っから怪物伝説があってな、夜な夜な山に登ると怪物が現れて、其奴を食っちまうっていう言い伝えがあるんだや」

 

「怪物伝説……」

 

「あんた、もしかしなくても今から山に登ろうなんて思ってねぇだろな?やめといた方がいいべよ。おめぇさんはまだ若ぇんだから、そんな歳で死んだら故郷のおっかさん悲しむべよ」

 

「ご忠告どうも。それじゃ」

 

 竜馬は村民の忠告を程々に聞くと、そのまま山へと走り出してしまった。

 

「あっ!おい!?喰われても知らねぇべよー!」

 

 村民の忠告を聞き流して、竜馬は山へ向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃鈴と五郎は、小休憩を終えて再び山を登り始めたのだが……

 

「何よこれ……一体どうなってるの……?」

 

「鈴ちゃん。決して僕の側を離れないように……」

 

 突如、霧が立ち込めてきたのだ。山の天気は変わりやすいとはいうが、先ほどまで雲一つない晴れ渡った青空だったのが、あっという間に一変したのである。

 鈴はこの霧に嫌悪感を覚えると同時に、背中に悪寒を感じた。それは、鈴の第六感がこの霧を“ただの霧ではない”と感じ取っていたからに他ならなかった。

 

「兎に角足下に気をつけよう。こうも視界が利かないと、うっかり踏み外してしまうからね」

 

「う、うん!」

 

 鈴は五郎の忠告に頷くと、渡の右手を左手で掴んだ。

 

「よし、行こう」

 

 二人はゆっくりと、足下を注意して進もうとした、その時だった。

 

「残念だが、お前達の道はここで終わりだ」

 

「っ!?」

 

 突如、聞き覚えのない声が二人の耳に入った。

 二人は周りを見渡すが、霧のせいで何も見つけられなかった。

 

「誰!?誰なのよ!?姿を現しなさい!」

 

「鈴ちゃん!少し落ち着くんだ!」

 

 五郎の制止を遮り、鈴が少しヒステリックに叫んだ。

 すると、突如として霧が徐々に晴れ始めたのだ。

 霧が完全に晴れると、謎の声の主がその姿を現した。

 

「!!?」

 

「!!?!?」

 

「エケケケケケケ!」

 

 声の主の正体は、水色の体毛を携えた芋虫の怪物であった!

 

「お前達はここで死んでもらう!エケケケケケケ!」

 

 芋虫の怪物は構えをとってジリジリと詰め寄り始めた。

 五郎は足下に落ちていた枝を持つと、鈴を守るように立ちふさがった。

 

「鈴ちゃん!早く逃げるんだ!ここは私が囮になる!その間に逃げるんだ!」

 

「逃げるったってどこに逃げるのよ!」

 

「いいから早く!」

 

 鈴は五郎に促されるように来た道を逆に辿るように逃げた。怪物は鈴を追おうとするが、五郎に妨害されてしまった。

 

「愚かな奴め!お前から先に死ね!」

 

 怪物はそう言うと、口から火炎放射を吐いて五郎に襲いかかった!

 

「くっ!うう!」

 

 五郎は何とか炎を掻い潜ろうとしたが、その時足を踏み外してしまい、山から転落してしまった。

 

「う、うわあぁぁぁぁぁぁっ!」

 

 山から転落した五郎を見届けた怪物は、鈴が走り去った方向に目をやった。

 

「エケケケケケケ!逃げても無駄だ。このモスキメラが目を付けた獲物は必ず仕留められる運命にあるのだ!精々束の間の命を楽しむがいい!エケケケケケケ!」

 

 怪物……モスキメラは高らかに宣言すると、そのまま姿を消した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴は必死に怪物から逃げていた。来た道を逆に辿りながら、険しい山道を力一杯走り抜けていた。

 

(冗談じゃないわよ!なんで私がこんな目に遭わなきゃなんないのよ!)

 

 思えば、鈴は故郷である中国に帰りたくなかった。彼女にとって本当の意味での“故郷”は、海を隔てた隣の島国だった。

 楽しかった日本での思い出。鈴にとって日本は、一生住んでいても良いとさえ思えたのだ。

 家庭の事情で帰国したとはいえ、鈴は祖国の土を踏んだ時、違和感を覚えたのは言うまでもない。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…流石にここまでは追ってはこないようね……」

 

 鈴は汗を手で払いながら後ろを振り向くが、追ってきている様子はなかった。

 緊張感の糸がほぐれた鈴は、その場に座り込んでしまった。

 

「渡さん……大丈夫かな…」

 

 鈴は自分の身代わりになって逃がしてくれた王の身を案じながら、リュックから水筒を取ろうとした。その時だった。

 

「……鈴ちゃん?」

 

 ふと、自分の名を呼ぶ声が聞こえた。

 しかもその声は、聞き覚えのある声だった。

 鈴は声がした方向を向くと、そこには信じられない人が立っていた。

 

「…………りょ、竜馬さん?」

 

「やっぱり、鈴ちゃんだったか……」

 

 そこにいたのは、かつて日本にいた頃、自分の面倒をよく見てくれた兄貴分で、二年前に行方知れずになっていたはずの、立花竜馬であった。

 

「うそ……どうして生きているの……葬式だって済んだのに…」

 

 鈴は目の前にいる男が本物か信じられなかった。なぜなら、既に死んだと思っていた人間が、目の前に立っていたのだから。

 

「大丈夫、足はちゃんと二本あるよ」

 

 竜馬は太腿を軽く叩きながら死人ではないことをアピールした。

 その一つ一つの仕草が、鈴に目の前の青年が立花竜馬である事を認識させていった。そして……

 

「…………んでよ

 

「えっ?」

 

「なんで突然いなくなったのよ!」

 

「!?」

 

 突然の大声に思わず目を見開いた竜馬だったが、鈴はそんなの御構い無しで続けた。

 

「生きてるならちゃんとこっちに連絡の一つや二つ寄越しなさいよ!弾の家なんてあんたが死んだと思って葬式やって墓標まで立ててるのよ!」

 

「そ、それは…」

 

「大体あんたがいなくなってどれだけの人に迷惑かけたと思ってるのよ!ちょっとは反省してるの!千冬さんなんて貴方がいなくなってからいっつも目が死んでるのよ!」

 

「え、えっと……」

 

 鈴の怒涛のマシンガントークの前では、流石の竜馬も何も言い返せず、目をそらすしかできなかった。

 しかし、迫り来る脅威の影を、竜馬の第六感は確実に捉えていた。

 

「っ!?危ない!」

 

「えっ?きゃっ!?」

 

 竜馬は鈴の手首を持って自分の方に寄せると、先程まで鈴がいたところに投げナイフが刺さった。さらにナイフの柄の部分は、秒間で点滅していた。

 

「な、なによこれ!」

 

「伏せるんだ!」

 

 竜馬は鈴の頭を抑えて地面に伏せると、投げナイフは突如爆発した。

 

「大丈夫かい!?」

 

「う、うん!なんとか……」

 

 竜馬は身体を起こして鈴の無事を確認すると、鈴を立ち上がらせた。

 

「エケケケケケケケ!とうとう追い詰めたぞ」

 

 その時、二人の目の前にモスキメラが地面を割って現れた!

 竜馬はモスキメラから鈴を守るため、鈴を自身の背後に立たせた。

 

「出たなオリンポスのキメラボーグ!」

 

「エケケケケケケケ。この俺をオリンポスのキメラボーグと知っているとは、貴様只者ではないな。何者だ!」

 

(オリンポス?キメラボーグ?一体なんのこと?竜馬さんは何を知っているの?)

 

 鈴は状況が飲み込めなかった。何故竜馬が自分と王を襲った怪物のことを知っているのか?オリンポスとはなんなのか?この時の凰鈴音は知る由もなかった……

 

 

 

 

 

 

 

 

 鈴との再会も束の間、二人に襲いかかるモスキメラの魔の手!

 果たして立花竜馬は、鈴を守ることが出来るのか?そして転落した渡五郎の運命や如何に!

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 




次回予告
 我らの仮面ライダーメーデンを狙うオリンポス本部が送り出した次なる刺客は、前回に引き続き「火を吹く毛虫怪人モスキメラ」!
 鈴と竜馬に襲いかかるモスキメラの魔の手!
 果たして竜馬は勝てるのだろうか!?
 そして山の底へ落ちた渡五郎の運命は!?
 次週マスクドライダー・ストラトス「火を吹く毛虫怪人モスキメラ:中編」にご期待ください!
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