マスクドライダー・ストラトス   作:ピカリーノ1234

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 どうも、原作にある話だと途端に執筆スピードが遅くなるピカリーノです。
 さて、遂に原作一巻の最後を飾るクラス代表対抗戦までやっと漕ぎ着けました。これも皆さんの応援あっての事です。
 では、どうぞ。


第19話「怪人モスキメラ、死の二正面作戦!」

 立花竜馬と織斑千冬が、謎の青年一文字隼人と面談して二週間後……

 IS学園の第二アリーナでは、クラス代表対抗戦の第一試合が今まさに始まろうとしていた。

 対戦カードは、織斑一夏と凰鈴音という、はやくも注目も新入生同士の対戦であった。無論、観客席は満員で、会場入りできなかった生徒や関係者は、リアルタイムモニターで試合の模様を鑑賞するほどであった。

 しかし、その会場に立花竜馬の姿はなかった。

 その理由は、この日の朝にまで遡る……

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の早朝、立花竜馬は日課である朝のジョギングを行なっていた。それ自体は改造される前から行っていた日課であったが、竜馬は以前篠ノ之束からこのように指摘されていた。

 

「元々、りょーくんはスポーツマンとしても人並み外れた運動神経の持ち主だったけど、生体改造を施されたことがそれがさらに輪をかけて強化された。しかもそれは鍛えれば鍛えるほど強化できるよ」

 

 この指摘に基づき、竜馬はたとえ戦いがない時でも、このように自身の肉体に鍛錬を施すことで、その身体を地道に強化していたのだ。

 しかし、その過程で問題点が浮上しつつあった。

 

(確かに、かつての頃に比べて、僕の肉体は大幅に強化されている。しかし、問題は強化服の方だ)

 

 そう、それは強化服の性能限界が近づきつつあることであった。

 元々この強化服は、束がキメラボーグとしての能力を最大限に引き出す為の補助器具であった。しかし、成長する竜馬の肉体に、徐々に強化服は限界を迎えつつあったのだ。

 

(近いうちにケイモーンを束に渡しておく必要があるかもしれないね…その前に何事も無ければいいけど)

 

 竜馬にとって最大の懸念は、ここまで目立った動きを見せないオリンポスの動向だった。竜馬は、オリンポスがもし動くとすれば、このクラス代表対抗戦の前と予測していたが、奴らの動きはなかった。

 竜馬はそんな事を考えながら走っていた、その時だった。

 

「っ!?」

 

 刹那、竜馬に目掛けて猛スピードで何かが飛翔してきた。竜馬はそれを咄嗟の判断で躱すと、それは竜馬の眼前に刺さった。

 何かの正体は、矢文であった。

 竜馬は慎重に矢に結ばれた紙切れを解いて開き、その内容を確認した。

 

「…………っ!?」

 

 矢文には

 

『立花竜馬、いや仮面ライダー。お初にお目にかかる。私の名は死神タナトス。オリンポス日本支部を束ねる最高幹部だ。我々はこれよりこの日本に対し総攻撃を開始する。止めたければ本日10:00までにここより10km先の廃工場まで来るといい』

 

 と、書かれていた。

 

「オリンポス…遂に総攻撃を仕掛けてくるのか……」

 

 竜馬は直様寮長室に足を進めた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 寮長室に戻った竜馬は、直様千冬を起こし、秘匿回線で束を呼び出して作戦会議を行っていた。

 

『まっさかクラス代表対抗戦に総攻撃を仕掛けてくるとは…敵さんも大胆なことするねぇ』

 

「呑気なことを言っている暇があるか。束、この事を事前に察知できなかったのか?」

 

『流石の束さんもそこまでは予測できないよ。今までだってここ最近に発生した都市伝説的な事件をピックアップしてりょーくんに送ってただけだし』

 

「それに、あの時潰した要塞島からは何の情報も得られなかったからね」

 

『う~ん。しかし“タナトス”とはねぇ…』

 

「タナトス」とは、ギリシア神話に登場する『死』を司る神で、凡人の魂を冥界に運ぶ死神である。

 

「名前に関しては置いておいて、問題はこの文章の内容だね」

 

「ああ、しかも時刻を指定してくるとはな」

 

 文章に記載された時刻は、丁度クラス代表対抗戦の第一試合が開始される時間帯だった。竜馬はこの時点で、この矢文が罠であることが見抜いていた。しかし……

 

『だけど、ここまで露骨に罠ですよ~なんてわかるような内容を書いちゃうと、本当に日本(この国)を潰すつもりなんだろうね』

 

「あり得なくはないね」

 

「で、お前はどうするんだ?無視するのか?」

 

「…………」

 

『……りょーくん?』

 

 竜馬は目を瞑って考えていた。この矢文の内容そのものが、罠であることは明らか。しかし、もし本当に奴らが日本を総攻撃するなら、なんの罪もない大勢の人たちが、オリンポスの毒牙にかかってしまう。見捨てることはできなかった。

 

「……例え罠だとしても、オリンポスの非道を見過ごすわけにはいかない!」

 

「…ふ、お前らしいな」

 

『うんうん。それでこそりょーくんだね』

 

「千冬、対抗戦の事は任せる」

 

「わかった。万が一の時は特殊無線で連絡する」

 

『私も何か手伝うことはある?』

 

「現時点ではないけど、もしもの時には頼む」

 

『ほいほ~い』

 

 そう言うと、束は手を振って通信を切った。

 

「竜馬……」

 

 竜馬が立ち上がろうとしたその時、千冬が竜馬の腕を掴んだ。

 

「千冬……」

 

 千冬の行動に竜馬は少し戸惑ったが、掴んでいる千冬の身体が震えているのを察すると、その場に立ち止まった。

 

「……必ず帰ってこい。いいな」

 

 千冬は紅潮した顔を竜馬の耳元に近づけると、小声で囁いた。

 

「……ああ、必ず帰ってくる」

 

「竜馬……」

 

 竜馬はその囁きを確かに聞くと、震える千冬の身体を抱き締めた……

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、現在……

 管制室に佇む千冬は、アリーナの時計を見ながら試合開始の時を待っていた。

 

(にしても、この時期に攻めてくるとは…)

 

 一応、千冬は万一に備えて現場でオリンポスが|IS学園に攻めてきた際は、鈴に対応してもらう手筈となっているが、大事な生徒にそのようなことはできない。いざという時は、自分が竜馬が来るまでの間、時間稼ぎを行う覚悟を決めていた。

 

(杞憂であってほしいものだ……)

 

 千冬はそう言い聞かせると、この場にいない竜馬のことを想い、空を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の空は、暗雲が立ち込めていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃立花竜馬は、単身指定された廃工場に来ていた。

 

「奴らが指定してきた廃工場はこのあたりの筈だ……」

 

 竜馬はMチャリオットから降りると、廃工場へ向かった。

 錆びついた扉を開けると、機材も何も置かれていない、まるで倉庫のような屋内が広がっていた。

 その光景は、竜馬の辛い過去を思い出させた。

 あの日、恩師を守れなかった、不甲斐ない自分を。

 竜馬は扉を開けたまま屋内に入り、中を見渡したが、人影を見つけることはできなかった。

 竜馬はさらに奥へ進もうとしたその時、突然工場の扉が勝手に閉まった。

 

「っ!?しまった!謀られたか!」

 

「ガガガガガガガガガ!待っていたぞ立花竜馬!いや仮面ライダー!」

 

 竜馬が再び扉を開けようとしたその時、背後から声が聞こえた。

 竜馬は声がした方向を向くと、そこにはSNSで見かけた蛾の怪物が黒ずくめの集団を引き連れて現れた!

 蛾の怪物の声に、竜馬は聞き覚えがあった。そう、あの時中国で倒したはずのモスキメラの声であった。

 

「その声はモスキメラ!やはり生きていたのか!」

 

「ガガガガガガガガガ!いかにもその通り!このモスキメラはチャドクガのキメラボーグ、貴様が戦ったのは俺の幼体に過ぎない!この姿こそモスキメラの真の姿なのだ!完全体へと進化した俺の前ではお前など敵ではない!」

 

「黙れ!何度蘇ろうと、お前達オリンポスの野望は僕が打ち砕く!」

 

「ふん!やれるものならやってみろ!“ケルベロス”!立花竜馬を殺せ!」

 

「!!」

 

 モスキメラの号令と共に、背後に引き連れていた黒ずくめ=ケルベロスは一斉に襲いかかった。

 

「フン!トォ!」

 

 竜馬は襲いかかるケルベロス達を難なく躱すと、一人に横蹴りを喰らわせた。

 

「……?」

 

「っ!?何!」

 

 しかし、ケルベロスは怯まず、ただ首を傾げた。竜馬はそれを見て、一旦距離をとった。

 

「コイツら、今までのスパルタ兵とは違う…」

 

「ガガガガガガガ!やっと気付いたか。其奴らは只のスパルタ兵ではない。スパルタ兵の中から厳選して更なる強化ゲノム手術を施した個体に強化服を纏わせ、特殊な訓練を施したスパルタ兵の中のスパルタ兵、その名も“ケルベロス”だ!」

 

「ケルベロス…猟犬か」

 

虫けら(ワーム)の貴様にはもってこいの相手だと思わんかね?」

 

 余裕綽々の態度を取るモスキメラに、竜馬は苛立ちを隠せなかったが、同時に疑念を感じ取った。

 

(妙だ。以前のモスキメラは己が筆頭になって相手と戦っていた。それが今回は手下に全てを任せている。なんだ?何か裏があるのか?)

 

「!」

 

「トォッ!」

 

 思案する竜馬だが、次々と襲いかかるケルベロスが、竜馬の思考を遮っていた。

 

「くそ!まず此奴らをどうにかしないとな!」

 

 竜馬はまず、眼前の敵に集中する事にし、ケルベロスに立ち向かった。

 その様子を見て、モスキメラはほくそ笑んでいた。

 

(ふふふ……そうだ、戦え仮面ライダー。それこそが我々の狙いなのだからな)

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方その頃、IS学園近くの森林に怪しい影が潜んでいた。

 影の正体は、オリンポスの輸送トレーラーであった。

 コンテナの中には、新兵器である3機のタロスが今か今かと出撃の時を待っていた。

 トレーラーの外側では、スパルタ兵達が周囲を警戒していたが、スパルタ兵の一人がトラック部分に向かった。

 トラック部分には、野戦帽を深々と被った男がどっしりとした態度で助手席に座っていた。

 

「ゲェーッ!報告します。立花竜馬が“陽動”に引っかかりました」

 

「……よし、これで準備は整った。時刻はどうだ」

 

「まもなく10時10分を回るところです」

 

「そうか……」

 

 野戦帽の男がトラックから降りると、その姿が一瞬にして怪物に変化した。

 その姿は、()()()()()()()()()()()()()()であった。

 

「これより、作戦を第二段階に移行する!」

 

「ゲェーッ!」

 

 怪物の号令と同時にコンテナが展開し、格納されていたタロスが順次に起動していった。

 

「ガガガガガガガガ…これでIS学園も終わりだ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 怪物=モスキメラは邪悪な笑みを浮かべ、作戦の成功を確信した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 立花竜馬とIS学園を襲うオリンポスの卑劣な作戦。

 果たして立花竜馬は、オリンポスの策略を切り抜くことができるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

つづく

 




次回予告
 我らの仮面ライダーメーデンを狙う、オリンポス本部が送った次なる使者は「毒蛾怪人モスキメラ」
 オリンポスの陽動作戦に引っ掛かった立花竜馬の運命は?
 そして、クラス代表対抗戦に突如乱入したオリンポスの新兵器「タロス」に立ち向かう織斑一夏と凰鈴音のコンビの活躍は?
 次週マスクドライダー・ストラトス「対決!クラス対抗戦(リーグマッチ)」にご期待ください!
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