H30.07.21:冒頭の千冬視点の推奨BGMを追記しました。いいよね。劇場版コブラのオープニングテーマ。
H30.08.03:最後っ屁の文章構成を修正いたしました。
第1話「衝撃の再会!」
千冬side.
≪推奨BGM:デイドリーム・ロマンス(「スペースアドベンチャー コブラ」より)≫
(あれから、もう3年も経つのか……)
その日、私は自分が生まれ育った町にある寺院墓地に来ていた。
この日は、私にとって忘れられない日であり、そして、私の心に大きな穴を開けた日であった。
三年前のこの日、一人の青年が命を落とした。
最も、正確には行方不明であり、遺体は発見されていないが……
既に警察による捜索も打ち切られて久しく、当時その人物を引き取っていた家が形だけの葬式を執り行い、墓には遺骨の代わりに彼が御守り代わりに持っていたワッペンが埋められた。
そのワッペンは、彼と私、そして親友である
(本当にお前は死んでしまったのか……?竜馬……)
彼の名前は、
私と束の、共通にして唯一の男友達である。
彼は、生まれてすぐに両親を失い、12の時に育ての親であった科学者が謎の失踪を遂げ、天涯孤独の身であった。
だが、彼はそんな不幸にもめげず、誰とも分け隔てなく接し、人前では笑顔を絶やさず、自分よりも他人を優先し、誰かの不幸を見過ごせないお節介やきだった。
そして、誰よりも“
中学の頃、私と束、そして竜馬は〔未来科学同好会〕なる部活を立ち上げ、来たる宇宙時代に向けての人類のあり方についてよく議論しあった。
その過程で生まれたのが、“
最も、IS自体は束が小学生の頃から一人で開発を進めていたが、この時は解決すべき課題が数多く残っており、まだまだ完成には程遠いものであった。
その問題の多くを解決させたのが、この部活で竜馬が出した数多くのアイデアであった。
もしあの場に竜馬がいなかったら、ISの完成はもう数年遅くなっていただろうし、歴史は変わっていただろう。
そんな彼を、私はいつしか〔ただの幼馴染〕としてではなく、〔一人の異性〕として見るようになっていった。
だが、私の勝ち気な性格が仇となり、その想いを伝えきれず、彼と私は別々の道へ進んでしまい、会う機会が少なくなっていった。
そして、竜馬が姿を消したあの日、私の心にポッカリと穴が開いてしまった。
それは、今でも埋まる事なく私の中に残っている……
ああ、これが後悔というものなのか。
もっと早くこの想いを伝えていれば、もっと素直だったら、こんな想いをしなくて済んだのに……
ああ、私の心はこんなにも弱かったのか。
いまだに、私は竜馬の死を受け入れられないでいる。
一夏も、鈴も、五反田家の人達も御手洗もあいつの死を乗り越えて未来へ生きようとしているのに、私だけ立ち止まっている。
いい加減受け入れようとしても、私の想いがそれを許さない。
「せめて、せめて幻でもいい……もう一度、もう一度だけ私はお前に会いたい。会ってこの想いを伝えたいんだ……竜馬……」
私は竜馬の墓の前で弱々しく内に秘めた心をさらけ出すように呟いた……
side out
*
その頃、墓地から数キロ先にあるビルの屋上で、千冬を監視する怪しい人影があった。
男は全身を黒の紳士服を着込んでおり、目元をティアドロップ型のサングラスで隠し、左手には加熱式たばこを指で挟んでいた。
本来、人間の視力では双眼鏡がない限り数キロ先の人間の様子を視認することは不可能の筈が、その男はハッキリと千冬の様子を目で追えていた。
男は千冬が墓から去るのを確認すると、内ポケットから何かを取り出した。
それは、メモ帳型の小型光無線通信機であった。
「ターゲットはIS学園への帰路についた。到着するまでに捕らえよ。殺してはならん、絶対に生捕りにするのだ」
男は無線機越しにそう言うと、無線機を内ポケットにしまい、煙草を一服した。
その顔は、邪悪な微笑みをしていた。
「おめでとう織斑千冬。貴方は選ばれた。栄光ある“オリンポス”の一員にね」
*
墓参りを終え、IS学園への帰路についていた千冬は、突如として謎の集団に囲まれていた。
集団は全身タイツに四肢にグローブをまき、ベルトのには蛇が巻きついたオリンピア宮殿を象ったバックルが付き、顔をフルフェイスタイプのフェイスマスクとフリッツヘルメットを身につけていた。
いや、一人だけ黒いコートにソフト帽を深々と被り、黒縁のサングラスをかけた男がいた。どうやらこの男がこの集団のリーダーらしい。
さらに、集団は全員右手に両刃の剣を持っていた。千冬はこの男達の姿に見覚えがあった。
3年前、第二回モンド・グロッソ大会の決勝直前、一夏を誘拐したあの集団によく似ていたのだ。
「貴様ら一体何者だ?この私を織斑千冬と知っての犯行か?」
千冬はリーダーらしき男に問いかけた。男の顔はガーゼマスクのせいで見えないが、その様子は余裕に溢れて居るように見えた。
「おめでとう織斑千冬。あなたは選ばれました」
「選ばれた?何に?」
「オリンポスの栄誉ある一員にです」
「オリンポス?」
「そう、“オリンポス”です!世界のあらゆるところに網を張り、その国の選ばれたもののみが我ら“オリンポス”に加わる。やがて世界中に無能な人間共は“オリンポス”によって家畜のように支配されるのです!」
「何だと……」
「さて?返事をお聞きしましょうか?」
人類を家畜のように支配するだと?正気の沙汰とは思えん。確かに今の世界はISの影響で女尊男卑に染まっている。しかし、そんな世界でも人のぬくもりは確かに存在する。人のぬくもりのない世界など、あってはならない!千冬の答えは自ずから決まっていた。
「断る!そのような得体の知れない組織に加わることなど、こちらから願い下げだ!」
千冬は強い意志を以て断った。しかし、男は余裕の態度を変えなかった。
「そうですか、それならば仕方ありません。“スパルタ兵”!彼女を捕らえなさい!」
「ゲェーッ!ゲェーッ!」
男が号令をかけると、“スパルタ兵”と呼ばれた集団が千冬に襲いかかった。
「ふん!」
「ゲッ!?」
スパルタ兵の一人が剣を振りかざしながら向かってくると、千冬は慣れた手つきで受け流し、剣を持っている右手に強烈な手刀を叩き込んだ。
「ハァッ!」
「ゲェッー!??!」
スパルタ兵はその衝撃に耐えきれず剣を落とすと、千冬は即座に地に落ちた剣を拾い、その男を斬り伏せた。斬られた男はそのまま倒れると、泡になって溶解してしまった。
「ぬかったな!ISが無くともこの織斑千冬、ただでやられんぞ!」
千冬は集団に対し剣を突き立てて威圧した。手下達は私の覇気に怯むが、リーダー格の男は未だに平静さを保っていた。
いや、寧ろこの状況を楽しんでいるように見えた。
「確かに。並大抵の人間では、貴方に敵う者などおりますまい。ですが、もし相手が“人知を遥かに超える存在”でしたら、どうでしょうかな?」
「何だと?」
千冬は男が何を言っているのか理解できなかった。千冬の困惑を見て、男はさらに嘲笑った。
「ふっふっふっ……つまりはこういう事ですよ」
男は笑いながら顔を帽子で隠した、その時だった。
男は、一瞬にしてカメレオンのような怪物へと姿を変えてしまったのだ。
千冬は目を疑った。目の前の人物が突然化け物に変わってしまうという常識外の現象が今まさに起こったのだから。
「貴様は!?」
「オリンポスのキメラボーグが一人カメレオンキメラだ!織斑千冬、是が非でも貴様を連れていく!ハァーッ!」
怪物―――カメレオンキメラはそういうと、口から長い舌を伸ばしてきた!
「グッ!こ、これは……!」
あまりの咄嗟の攻撃で千冬も対応が遅れ、舌は私の首を絞めあげた。あまりの苦しさに、手に持った剣を落としてしまった。
「ふっふっふっ。俺の舌は人間では解けん。だが安心しろ、殺しはせん。貴様を気絶させた後基地へ運び、俺と同じキメラボーグへと改造する」
「くっ……死んでも、貴様等の操り人形にはならんぞ……!」
「誰しも始めはそうだろうが、それも今の内だ。改造手術が済めば、貴様もオリンポスの一員である事に感謝するようになるのだ」
これで奴らの目的がわかった。千冬を誘拐し、“キメラボーグ”と呼ばれる怪物へ改造し奴らの尖兵にしようというのだ。そんなものは真平御免だ。しかし、今の状況では満足には戦えない。舌を噛み切って自殺しようにも、息をするだけで精一杯だ。
このままでは酸欠で気を失ってしまう。それこそ奴らの思う壺だ。
(万策尽きたか……)
千冬は心の中で“自分”の最後を悟った。“肉体としての織斑千冬”は生きるだろう。だが、“一人の人間としての織斑千冬”はここで死ぬのだ。意志のない世界など、死の世界と同義だ。
千冬の頭に、様々な記憶が過ぎってきた。愛する弟一夏との思い出、親友である束との思い出、そしてなにより、竜馬と一緒に築いてきた数多くの思い出が、私の頭を過ぎていった。
(竜馬、やっとお前の許に行けるのだな……)
意識が薄れゆく中、千冬は唯一愛した男の事を思い、意識を手放そうとした、その時だった。
「む!なんだ!?」
突如、爆音が轟いたのだ。
スパルタ兵達が爆音が聞こえた方向を向くと、その方向から、オートバイが猛スピードで接近していた。
オートバイには黒いフルフェイスヘルメットに紺色のライダースジャケットを着た男が乗っていた。
スパルタ兵達はカメレオンキメラの盾になるように接近してくるオートバイの前に立ち塞がるが、オートバイはそれを意に反さず接近してきた。
ある程度の距離まで近づいたその時、突如男はバイクを走行させたまま飛び降りた。
高速走行したままジャンプした為、男はスパルタ兵の頭上を軽々と越えて、カメレオンキメラと千冬の間に着地し、カメレオンキメラの舌を手刀で引き裂いた。
「グワァッ!お、俺の舌がぁ~!」
カメレオンキメラは口を押えて悶えた。一方の千冬は、力が抜けた舌を解くと、咳き込みながら体勢を持ち直した。
男はその千冬を守るようにカメレオンキメラの前に立ち塞がった。
「ゲホッゲホッ!……すまない、助かった。しかしこの場は危険だ。早く……」
千冬は男に警告するが、男は去ろうとしなかった。男は振り向くと、優しく問い掛けた。
「大丈夫かい?千冬」
「えっ……」
その声には、聞き覚えがあった。男は何も言わないまま、ヘルメットを外した。
その時、千冬は我が目を疑った。
(嘘だ。これは夢か?もしこれが夢なら覚めないでくれ……)
男の正体は、3年前に行方を眩ました立花竜馬だった。
竜馬は一瞬だけ微笑んだが、直様険しい表情に変えてカメレオンキメラの方向を振り向いた。
カメレオンキメラは痛みが和らいだらしく、その周りをスパルタ兵達が取り囲んでいた。
「貴様、一体何者だ!?」
竜馬は一旦深呼吸して気持ちを落ち着かせると、ライダースジャケットを脱ぎ捨て、ジャケットで隠れていた変身ベルト≪ケイモーン≫を晒した。
そのベルトを見た怪物たちは一歩後ずさりした。
「そのベルトは!まさか、貴様は!?」
怪物の驚く声に竜馬は表情を変えず、まるで相手を威嚇するかのように両腕を大きく動かしながら、まるでスイッチを押すように叫んだ。
「変っ……身!」
すると、ケイモーンのバックル中央部が展開して赤い風車ダイナモがその姿を現すと、風車が高速で回転しながら風を取り込みながら、竜馬の姿が一瞬で“変身”した。
立花竜馬は、変身ベルト「ケイモーン」の風車ダイナモが風圧を受ける事で、仮面ライダーメーデンに変身するのだ!
その光景に、千冬は我が目を疑った。
それは、竜馬が変身した姿が、かつてドイツで誘拐された弟を助けた、あの仮面の戦士に酷似していたからだ。
変身した竜馬は、怪物たちの前でポーズを取りながら名乗りを上げた。
「俺の名は、仮面ライダーだ!」
今ここに、新たな仮面伝説の幕が上がった!
その名は、仮面ライダーメーデン!
人間の自由を守るため、世界征服を企む悪の組織、オリンポスと戦うのだ!
我らの仮面ライダーメーデンを倒すべく、オリンポス本部が送り込んだ刺客は「怪奇カメレオンキメラ」
変幻自在の攻撃を繰り出すカメレオンキメラに、仮面ライダーメーデンはどう立ち向かうのか!?
次回マスクドライダー・ストラトス「怪奇カメレオンキメラ」にご期待下さい!