「不知くん、もう諦めよう…」
「………俺だけ違和感ねぇか…?」
あれから始まった女装大会からのバーへの潜入。もちろん、手がけたのは才子ちゃんなわけで僕、六月くん、不知くんの3人は不知くんを除いてまぁまぁな出来と言える。
琲世くんはと言うと自分自身でやっちゃったらしく、才子ちゃんが残念がっていたがその完成度の高さには驚きしかない。
そして、問題の不知くんなのだが………正直、オカマにすら見えない。
「こら、シーちゃん言葉遣い気をつけて」
完全になりきろうとしている琲世くん。
仕草一つとっても男性のそれとは思えず、正直少し疑う。
「だってよぉ、こんなデカイ女周りにいねぇだろ……」
「まぁ、長身ギャル(笑)かな」
「よっ、デルモ」
僕の言葉にのってくる才子ちゃんだが、あれをやったのは紛れもなく才子ちゃんで見ているこっちが可哀想になってくる。
「つか、才子テメェ…トオルとオレの差がオカシイだろ!!」
「まぁ確かに…」
六月くんは琲世くんとは違い素の女性らしさというものがある。
(僕の予想があってれば、それも違和感ないんだけどね)
そんな風に不知くんの鬱憤ばらしを見ていると
「んで!!なんで、殆どメイクしてないタッさんが異常な位綺麗なんだよ!!」
「確かに、碧は綺麗ね」
不知くんの不意打ちにもう完全に成りきっている琲世くんがのっかる。
(……僕の名前はそのまんまなのね)
若干あだ名に期待していただけあって、少し残念ではあった。
「いやぁ、それは私にも分からないよ。アオさんは元々女顔だからかね〜」
さらっと人が気にしていることを言ってくる才子ちゃん。
「そんなことより、囮捜査なんでしょ?ほら、居たよ」
話を変えるべく、先ほど見つけた【ナッツクラッカー】の方を指差す。
「…わかったよ」
不知くんが納得してくれたことで、皆様々な方へとバラけていく。
琲世くんたちから距離をとり、ナッツクラッカーの方へと行こうとするが中々進むことが出来ずにいた。
「ねぇ、お姉さん暇?」
「1人なら俺らと踊ろうぜ」
………見る目なさすぎないですかね?
周りを見れば綺麗な女性は沢山いるし、琲世くんだってかなり綺麗なのに……なんで僕なんだろうか。
「あ、ちょっと私友達のところに行かないと行けないから…」
「ちょっとぐらいいいだろ?」
………面倒くさい。
雅さんの苦労というものが少しだけわかったような気がしたが、これ以上は面倒に思え琲世くんの横にいる不知くんに助けを求めることにした。
「……シーちゃん!」
そう呼ぶと、不知くんは嫌な顔をしながらもこっちに来てくれる。
「……なに?」
若干嫌な顔をしているため、怖さに磨きがかかった不知くんが怖かったのか男たちはそそくさといなくなった。
「いやぁ、ありがとね。」
「ほんとにナンパされるとは…」
「あはは……ほんとね」
僕がナンパに苦戦している間に、六月くんがナッツクラッカーに接触しており僕は大人しく琲世くんの元へと戻ることにした。
「お疲れ様、碧」
「いや、本当にナンパされるなんて思わなかったよ…」
その後も琲世くんとぐだぐだ話をしながらみんなのことを見ていると、酔っ払った六月が潜入捜査のルートを確保してきたと報告してきた。
「本当に成功するとはね……」
六月くんたちはかなり酔っ払っており、六月くんも柄にもなくかなり騒いでいる。
「ほんとね。……まったく。もし記憶が戻って僕が佐々木琲世でなくなってしまったとしても……憶えていたいな、君たちのこと…。」
彼らを見ながら、そう言う琲世くんの表情はとても暗かった。
うーん、この女装回はやっぱり絡ませるのも難しいですね…。
あまりポンポン進みすぎてしまうと原作の終了にまっしぐらなのでオリジナル要素も含んでいきたいとは思うのですが、あまりこの辺りでオリジナル要素を入れるところがないんですよね……
感想お待ちしておりますので、宜しければしていってください!!
モチベーション上がるので!