東京喰種〜自由を望んだ者〜   作:雪楓❄️

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それでは2話どうぞー!


2話

 

先日、20区で鉄骨の落下事故があったらしい。

被害者は2名。女性の方は即死だったらしく、男性の方は助かったらしい。

 

(鉄骨が落下してくるなんて、運がないとしか…。けど、そんな人気のない所で何をしてたんだろう)

 

僕は最早習慣となりつつあるコーヒータイムを楽しむため、《あんていく》へと向かった。

 

 

 

 

 

〜道中〜

 

(…ん?あれは……)

 

《高槻泉サイン会》

 

(やたら、人が並んでいると思ったらエトさんか…。)

 

それこそ、よくテレビ番組でやってるレストランとかの行列のように。

高槻泉という作家の作品は、かなりの人気を誇っている。特にこの間エトさんから貰った『黒山羊の卵』はあまり小説を読まない僕でも結構面白かった。

 

(…あれは、雛実ちゃん?)

 

列の最後尾の方を先程からウロウロしてるマスク姿の子が目に入り、よく見てみたら雛実ちゃんだった。

 

(……もしかして、サイン貰いたいのかな?)

 

そう思い、雛実ちゃんの元へと向かった。

 

 

 

 

「雛実ちゃん、どうかしたの?」

 

「あ、お兄ちゃん。えっとね、サイン貰いたいんだけど1人じゃ不安で…」

 

雛実ちゃんは本も大事そうに抱きかかえている。

 

「(エトさんも嬉しいだろうなぁ。自分の書いた本がこんなに大切にされてるって知ったら)そっか。じゃあ、一緒に並ぼうか」

 

「ほんと!?ありがとう、お兄ちゃん!」

 

雛実ちゃんは嬉しそうに、僕の手を引きながら列の最後尾へと並んだ。

 

「…でも、なんで雛実ちゃん1人なの?」

 

「えっとね、偶には1人でお出かけしてみたいって言ったら変装してならいいって言われてそれで…。」

 

あの過保護なリョーコさんが許可を出したってことは、相当雛実ちゃんお願いしたんだろうな。

 

「そっか。あとで、お母さんにちゃんと1人でも出かけられたって報告出来るようにしないとね。」

 

僕が一緒に居るのは、どうなのだろうかとは思いつつもここまではしっかり1人で来たのは間違いが無いので一緒に並んであげるぐらいは構わないだろう。

 

 

その後も、雛実ちゃんと雑談しながら並ぶこと30分。漸く、雛実ちゃんの番となった。

 

「ありゃ、これはまた可愛いファンの子だね。名前は?」

 

「ひ、雛実です」

 

「そっかぁ、雛実ちゃんか」

 

エトさん(高槻泉)は雛実ちゃんに笑顔で話ながらも、目は僕の方を向いている。

 

(あとでね。か……。殆ど毎日来てませんかね。)

 

僕の家は一人暮らしをしている同年代と比べたらかなりいい部屋だと思う。

理由としては、エトさんの家の家事をバイトとしてやっており家賃などはエトさんが出してくれているからである。

なぜか、部屋がエトさんの家の隣なのは気にしないことにしているが毎日僕の家に来るのは少しやめて欲しい。

 

「あ、ありがとうございました。」

 

考え事をしている間に雛実ちゃんは、本にサインを貰い終わっていた。

 

「それじゃあ、《あんていく》に戻ろっか」

 

「うん!」

 

 

 

 

 

 

雛実ちゃんを《あんていく》へと送ったついでに、董香に少し勉強を教えて貰った。

 

「刀夜、明日の夜どうせ暇でしょ?少し付き合ってよ」

 

「どうせ暇って言われるのは癪だけど、大した用事もないから別にいいよ」

 

あそこで断っておけば良かった。

そんな後悔をしても、今更遅く僕は今修羅場を目撃しています。

 

「20区の管理は《あんていく》の仕事だろ?」

 

「はぁ?《あんていく》のヒヨッた連中にゴチャゴチャ言われる筋合いはねぇーんだよ」

 

こんな感じである。

【大食い】が居なくなったことで、荒れている【大食い】のテリトリーの見回りをしていたら案の定いざこざを発見。現在に至る。

 

(西尾さんと一緒にいる彼。この間、喰種らしき女性と一緒に居た……。けど、なんで?彼からはあの時血の匂いなんてしなかったし。てっきり捕食されたものかと……)

 

ちなみに、僕は屋上から見てる。理由?そんなの西尾さんがめんどくさいからに決まってるでしょ?

まぁけど、このままだと彼が可哀想だから降りるけど。

 

「まぁまぁ、ここ20区は《あんていく》が管理しているのは事実ですし」

 

僕は、董香と西尾さんの間に割って入る。

 

「あぁ!?なんでお前がここにいんだよ、漣!」

 

「董香に勉強の代わりに頼まれまして…。そんなことよりも西尾さん、そんなに殺りたきゃ僕と殺りますか?」

 

僕は赫眼を出現させ、西尾さんを威嚇しながら言った。

 

「ちっ。お前と殺り合える奴なんている訳がねぇだろうが」

 

西尾さんはそれだけ言って居なくなった。

 

(ふぅ。これで万事丸く収まっ………)

 

ゴンッ

 

「と、董香!?」

 

董香は、死体の腕を思いっきり青年の口の中へとぶち込んだ。

 

「お、おぇぇ」

 

案の定、彼はそれを食べることはせずに吐き出した。

 

「どうしたの?喰えよ」

 

「いや待て、董香。彼には彼なりの……」

 

「ヒトの肉なんて食えるわけないだろ……。僕は人間だ、お前らみたいな化物とは違うんだ!!」

 

(…化物か)

 

彼の言っていることは間違っちゃいない。

話からするに彼は人間だったのだろう…。その彼からしたら、僕ら喰種は化物であり嫌悪の対象なはず。

 

ズガァ

 

「確かにあんたは喰種じゃない。でも人間でもない。………どちらにもなりきれないあんたに居場所なんか無いんだよ」

 

「董香、言い過ぎ。彼と僕らは違う。」

 

「刀夜。でも、あんただって…」

 

「ううん、違うよ。僕は彼のように悩むことをやめたんだ。」

 

董香と彼を同じ空間に置いていては、なんか危ない気がしたから董香が大人しいうちに急いでその場所を離れた。

多分、もうあの辺りには喰種はいないし今の彼なら大丈夫だろう。

 

「董香、落ち着いたか?」

 

「元々、私は大丈夫だから。刀夜の方こそ、その大丈夫なの?」

 

「うん。それに、僕はもう悩む権利なんてないよ」

 

あの頃、芳村さんやエト。董香たちに出会っていなかったら僕はこんな日常は送れなかっただろう。

 

「あんたが無理したら、雛実が悲しむんだからね」

 

董香は「泣かせたら許さないから」と言って、《あんていく》に戻って行った。

 

「…はぁ。母さんは俺を産んだことに後悔してないのかな」

 

俺の呟きは誰にも聞かれること無く、風に消えていった。

 

 

 

 

 

 





締めかたに悩みに悩んだ末、少し訳が分からなくなっていますね。

原作の主人公である金木くんとの初会合でしたが、殆ど会話してません。本格的に関わるのはまだ先になりそうです。

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