奇跡の連日投稿…、誰か喜んでくれる人いるんですかね?わかりませんが取り敢えずどうぞ!!
キジマ准特等は、僕の忠告など意に介さず盛大にやってくれた。
それも一般人にも、公開する形として。
(………やってくれたな。あれじゃあ、喰種には人権なんて存在しないって言っているようなものだ)
キジマ准特等は、ロゼをおびき出すために捕縛したロゼの構成員の拷問している動画をCCGのWebサイトにアップした。
彼自身を標的とさせ、ロゼをおびき出す策は有効と言われればそうなのだろう。
だが、そんなことしてるうちは喰種と人間の共存なんて有り得ない。
(……助けに来ないはずがない。だけど、それじゃあまた無駄な命が犠牲になるだけだ。)
捜査官でもあり、喰種でもある。
もしかしたら、僕は1番難しい立場に立っているのかもしれない。これが、喰種の立場なら僕はロゼを全力で守る。逆に捜査官ならば徹底的にロゼを潰す。
そう割り切れてしまえばどれだけ楽なのだろうか。
(……取り敢えず、情報収集行こっかな)
ロゼについて、1番知っていそうな人物の元へと僕は向かうことにした。
「それで私のところに来たと。」
「まぁそうですね。あと、久しぶりに会いたかったので」
喰種に関して1番知っていると言ったらエトさんしかいない。最近はアオギリの方に全く顔を出していないらしいが、僕としてはその方が嬉しかったりもする。
最近のアオギリは、やり過ぎている。何にせよ、エトさんが立ち直ってくれたのはとても嬉しいことだ。
「それで、心当たりとかあります?」
「そうだね。ロゼヴァルト家については、知っているよ。そこの本家が月山家であるということもね」
「………月山ですか。」
まさか、月山家が絡んでいるとは思いもしなかった。
最近、【美食屋】の名を全く聞かなかったから忘れていたがあそこはかなり大きい喰種の組織。
「あとは、頑張りたまえ。私が手を貸すのは漣刀夜であって橘碧じゃないからね。」
「わかってますよ。それもあと少しになりそうですけど」
キジマ准特等は勿論だが、あのパートナーの男。
幾らなんでも怪しすぎる。ヘナヘナしている割には、何を考えているかわからない。
「はて、どういうことかな?」
エトさんは僕の言葉に小首を傾げている。
「その時のお楽しみです」
僕はそのまま窓から出て、CCGへと戻った。
そして、翌日…
「ーロゼの件で新たな報告です」
何故か会議に参加を命じられた橘です。
今朝、いきなり郡さんに掴まりアオギリとロゼが手を組んだ可能性があるから来いと言われ連れてこられたのがこの会議。
何故、キジマ准特等がいるのか不思議で仕方がない。
「【ロゼ】と【アオギリの樹】がなんらかの協力関係を結んでいることが明らかになりました。」
これは先日、Qsが襲われたことで判明したこと。
ロゼとアオギリ。喰種組織の中でも二大巨頭といっても過言じゃないこの二つが仮に手を組んでいたとしたら容易く手を出せる相手ではなくなる。
「推測ではありますが、キジマ准特等の動画の件で報復活動に出ている可能性も…」
「おやおや、思わぬ形で動画の【功績】が現れましたな」
「「功績…?」」
思わず発言してしまったが、それが郡さんと被ってしまった。
僕は郡さんにお先にどうぞと頷く。
「これは明らかに【飛び火】ですよ!准特等。【功績】などではなく…」
「そうでしょうか?」
キジマ准特等は郡さんの言葉を遮ると、アオギリとロゼ。両方を殲滅出来るいい機会だと言った。
「………アホですか?」
そこまで黙っていた僕を褒めてもらいたいものだ。
ロゼとアオギリ。もし、この二つが手を組んでいたらCCGの総力をもってして当たらなくてはならない。
そうなれば、どれだけの被害が出ることか。
「おや?何かありますかね、橘特等」
キジマ准特等は僕の方を見ると嫌味のように言ってくる。
余程功績とやらが欲しいのだろうか。
「えぇ、何もかも穴だらけって言ってるんですよ。それに僕は忠告しましたよね?もしあの捕縛した喰種に、人権を無視したようなことをすれば……あなたの命はないと。」
僕のこの言葉には、流石に皆凍りつく。
実際、僕はこの瞬間もこの男を殺したくて仕方がない。
喰種捜査官ならば、喰種に何をしてもいい。そう言うならば、僕は今すぐにでもCCGを辞める。
「やめろ、橘特等。とにかく、S1でやるには規模感が不透明すぎる…!不用意に捜査の規模を拡大するなんて…」
「宇井特等。私もキジマさんと同意見です。倒しちゃえば問題ないですよね?というか、それが出来なきゃロゼは捕まえられないでしょう?」
アホの子登場。
ハイルはこういう作戦とか建てるのが得意でないというか、不向きである。
「ハイル、それはお前ぐらいの実力があればの話。アオギリとロゼをいっぺんに相手にとってみなよ。CCGなんて、良くて存在、悪きゃ壊滅だよ。」
「うぇ。碧までそんなこと言うなんて……」
(…失礼な。郡さんが話すより絶対良かった)
郡さんのこういう時のお説教は特に長い。
それこそ、くど過ぎるくらい。
「ー事態が掴めれば」
「相手の戦力が分かればいいんですよね?宇井特等、先日の作戦を再度ご考慮ください」
郡さんが未だに悩んでいると、琲世くんがそう発言した。
(……先日の作戦…?)
僕の全く知らない新事実。
「……佐々木上等、説明を」
「はい!僕が考えたのは"喰種"の習性と我々Qsの特性を活かしたもので………」
排泄くんの説明を簡潔にするとこうだ。
Qsが、マスクを被り喰種と接触する。
単純だが、とても意味のある捜査方法だと思う。
「ーこの場のもので決をとります。佐々木上等の【マスク作戦】。佐々木上等とQs班[一等以上の賛成者]は挙手を」
結果は賛成7、反対4の可決。
「決まりですね」
こうして会議は終わった。
(………さて、彼の最期の願いを叶えに行こうかな。)
僕は1人東京の街に消えた。
僕の対象が現れたのは、張り込みをしてから2日目のこと。
対象は、僕の狙い通りキジマ准特等を狙っていた。
「はい、ストップ」
僕はその人物の肩を押さえると、キジマ准特等が離れるのを待った。
わざわざ張り込みをしていた甲斐が有るというものだ。
キジマ准特等の動画を見たロゼの誰かが襲ってくるという可能性は限りなく0に近かった。
だが、それも捕まった人物がただの使用人であった場合の話。その人物に恋人又は家族がいればそれは別の話である。まるで、捜査官たちの中心にエトさんを助けに行ったあの日の僕のように。
「…君、アリザさんだよね?」
「くっ、捜査官が何の用だ!」
「一つだけ、伝言。あと、君を守りに来ただけだよ」
もう既にこの世にはいない彼の伝言。
あんな風に言われてしまえば、動かざるおえないのが性分というものである。
「…君の恋人の彼はもう亡くなっている。あと、これは伝言。「幸せにすることが出来ず、申し訳ない。だが、私に代わって主を守り抜いて欲しい」ってね。」
「………嘘。なんであなたがそんなことを知っているの!」
「【木葉梟】って知ってるかな?それ僕のことなんだ。」
「……あの伝説の…」
そう言うとその子は泣き崩れた。
アリザさんは数分泣いたあと、涙を拭いて僕の方を見据えた。
「……なぜ、【木葉梟】が捜査官をやっているの」
当然の質問。
喰種である、僕が何故捜査官をやっているかなんて誰でも疑問でしかない。
「まぁそれには色々事情があるんだよね。取り敢えず、今は君があいつに捕まるのを止めに来たとだけ思ってくれればいいかな」
「……それは感謝してる。だけど、いいの?捜査官なんでしょ?」
あのまま襲いかかっていれば確実に捕まっていただろうし、僕としてはそれを食い止められれば別に他に考えることも無い。
「うんまぁね。余計な犠牲者を増やしたくないだけだし。もう情報は出揃ってるからね。あとは、攻めるだけだよ」
今回の殲滅対象に対して何を言っているのか。という話だが、正直僕としてはこの子を無事に帰すことが出来ればそれで満足。
あとのことはまた考えればいい。
「そ、そう。変な人なのね、あなたって。名前いいかしら?」
「僕の名前は、橘………じゃなくて漣刀夜。それよりも、早く戻るといいよ。あの人、ここら辺で襲撃待ってるからまた戻ってくるし」
「……漣刀夜……ありがとね。それじゃあ」
「うん、次会うときは容赦しないからそのつもりで」
そう言って僕はアリザさんが無事に抜け出すのを見送った。
(……これで任務完了かな。ユウマさん、どうか安らかに)
僕は心の中で、彼の冥福を願った。
「おや、橘特等。こんな所で奇遇ですね」
僕は大通りに出て、すぐにキジマ准特等に出会った。
「僕は単独行動ですからね。基本的に色んな区にいますよ」
嘘はついてない。
実際、僕がどこにいるかなんて誰も知らないから。
「そうですか…。それにしても、私の目論見だとそろそろ襲撃に来てくれてもいいんですがねぇ。中々来ないものです」
やはり襲撃待ちか。
あそこで、アリザさんを止めていなければきっとコイツの餌食になってただろう。
「あんな安い挑発に乗るぐらいなら、こんなに苦労しないですよ。」
「それもそうですね。私はもう少し待ってみますので、それでは。」
キジマ准特等は僕から逃げるようにして、歩いてきた方へと戻って行った。
(……もうあなたの獲物はいませんよ)
僕は心の中でそう呟き、CCG本部へと戻った。
「S1班・班長宇井郡特等捜査官、橘碧特等捜査官……貴君らに【月山家駆逐作戦】の決行を命ずる」
「「は!!」」
(……何故僕まで…)
遡ること数時間前……
郡さんに月山家の情報を報告したところ、丁度Qs班からの報告も上がっていたらしく僕の情報とか諸々示し合わせて結果が上がったのがつい先程。
それまで、僕はハイルに捕まっており結果局長室へ連行されて行ったというわけである。
(あー、怖かった)
局長室から出て、漸く緊張感から解き放たれたのだが残念なことに出た先にもう1人。
「………和修特等、なにか?」
僕よりも先に気がついていたらしい、郡さんが声をかけた。
「………S2がサポートに入る。その挨拶だ」
そうこの人、特等になるにあたってS2班を任されたのだ。しかも、あの什造くんですらS3班を任されている。それに比べ、僕は………。
「そうですか。総指揮は私が、その他戦場での指揮は橘が執りますので、どうぞよろしく(……手柄が欲しいかハイエナ野郎)」
今回何が面倒って、僕まで指揮しなきゃいけないことだ。今まで、班を持つこともなかったから指揮はしなくて良かったのだけど時々班の指揮を任されていたらいつの間にか作戦の指揮を任されることになってしまったのだ。
「君らの活躍を期待している。(有馬信者と戦闘バカのガキ共が)」
この2人で大丈夫なのだろうかと心配になる僕であった。
えー、彼女には生きてもらいました!
理由は僕があのシーン大嫌いなので。
酷すぎると思いません?恋人殺された上に、あの最期は。
なので、碧に頑張ってもらいました。
ちなみに、次回からは月山掃討です!
多分、明日投稿出来ると思いますのでどうぞご期待下さい