東京喰種〜自由を望んだ者〜   作:雪楓❄️

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何とか連日投稿……。

明日は厳しいかも知れませんが、取り敢えずどうぞ!


34話

(………早くしないと)

 

[月山殲滅戦]と銘打ったこの作戦。

普通に考えて簡単に終わるはずがなかった。

この作戦が僕の今後を左右することになるとは、この時は思ってもいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

数分前

 

月山家本邸に到着した僕らだったが、当主である月山観母は確かにそこに居たがその息子月山習と何人かの使用人はそこにはいなかった。

 

(先に逃げられたか…。)

 

いつもならすぐにでも、追いかけられるのだが今回ばかりは副指揮を命じられているため自由に動けない。

 

「橘、早く行くぞ!既に先行部隊が殲滅を始めている」

 

「了解です!」

 

僕は郡さんと共に、8区にある月山家所有のビル【ルナ・エクリプス】へと向かった。

 

 

 

(……うへぇ。よくやるもんだ、あの人も)

 

到着するなり、早速暴れ回っているキジマ准特等。

あの人に恐怖という文字は存在しないのだろうか…。

 

僕らが到着したのは全部隊中ほぼ最後。

総指揮を執っている郡さんと一緒に居るから仕方ない気もするけど。

 

「佐々木上等、屋上の状況が気になる。君は先行して索敵を」

 

「不知班長……頼んだよ」

 

「…おう」

 

そう言うと琲世くんは窓を割り赫子を使って、屋上へと駆け上がって行った。

 

(いいなぁ、鱗赫。羽赫じゃ絶対できないもん、あれ)

 

と1人見当違いの感想を抱いていたのは秘密である。

 

「橘、先行部隊が心配だ。様子を見てきてもらえるか?」

 

先行部隊。

つまりは、ハイルのことが心配なのだろう。

いくら強くても、ちょっとしたミスで全てが終わってしまう。そんな仕事だからこそ。

 

「りょーかいです。それじゃあ、あとはお願いしますね」

 

僕は、羽赫を広げると先程琲世くんが割った窓から外に出てそのまま羽赫を使って上へと上がって行った。

 

 

 

 

(……ハイルの気配はこの階からか)

 

手探り状態で、外から気配を辿り続け漸くハイルの気配を見つけたのだが、残念なことに反対側の廊下らしい。

 

(……無事でいてくれよ)

 

僕はその階の窓を割り、そのまま廊下へと侵入する。

 

(…あっちか。)

 

僕は血の匂いを頼りに、戦闘が行われているであろう場所へと向かう。

 

 

(……あそこかな?……ハイルから血が…)

 

僕が辿り着いたときは、既にハイルの腹からはかなりの出血が見られた。

 

「早よ死にゃせ、早よ!!!!」

 

ハイルは明らかに周りが見えてなかった。

目の前の強敵を倒すことにだけ集中している。

だからこそ、相手の動きに全く気がつけてない

 

「松前!習さまを頼んだぞ!」

 

そう言って突っ込んでくる月山家の喰種。

それをただハイルが見逃すはずもなく、クインケの攻撃を当てるが…。

 

(………まさか)

 

僕は最悪の事態が目に浮かび、それを阻止すべく全力で駆け抜けた。

 

「……ハイル!!」

 

「……碧?」

 

ガキィン

 

僕は、ハイルに迫る甲赫を死梟で弾いた。

 

「……ハァハァ。良かったよ、ハイルが無事で」

 

柄にもなくそう思ってしまった。

 

「取り敢えず、一旦下がるよ。キジマ准特等、後よろしく」

 

僕はハイルを抱き抱えると、思いっきり跳躍して全員から見えないところまで飛んだ。

 

「………大丈夫か?」

 

「……た、ぶん。ちょっと血出すぎましたけど」

 

そう言うハイルの腹からは今もまだ血が出続けている。

 

「ほら、これ飲んで」

 

僕は腰のところから、治療用の僕の血が入った小瓶をハイルに飲ませた。

 

「……この味。やっぱり碧は記憶無くなってなかったんですね」

 

ハイルにこれを飲ませることがあればバレるのは分かっていた。

記憶がなければ、自分の血に再生能力を活性化させる効果があるなんて分かるはずもないから

 

「……………ごめん、嘘ついてて。ちょっと待ってて、敵はまだ居るみたいだから」

 

あいつは僕がかなり離れたことを勘づいていたのだろう。キジマ准特等の気配が無くなった後、明らかに動きがおかしい人物が1人だけいた。

 

「……まだ安静にしててよ?」

 

僕はハイルをゆっくり寝かせると、先程の場所まで急いで戻った。

 

 

 

 

 

「…………やっぱりね。どういうことかな?旧多一等捜査官」

 

僕が到着して見たのは、先程ハイルと対峙していた喰種にトドメをさそうとしている旧多一等捜査官の姿だった。

 

「あ、橘特等。よ、よく戻ってきてくれました」

 

そう言って僕の方に近寄ってくる旧多一等を僕は、死梟で切りつけた。

 

「………え?」

 

これには流石に驚いたのか、いつもの表情からは想像出来ないような顔をしている。

 

「……僕が何も知らないとでも思ったの?岡平さん殺したのお前だろ?」

 

僕はコイツを許すつもりなんて毛頭ない。

キジマ准特等のように、気に食わなくても捜査官として誇りを持っているわけでもない。

 

「な、何するんですか!?特等」

 

「何って、殺すんだよ。」

 

僕がそう言うと、旧多一等は焦ったように逃げキジマ准特等のクインケで生き残っていた捜査官を切りつけた。

 

「…………お前、覚悟出来てんの?」

 

「特等こそ、僕に勝てるとお思いですか?」

 

いつものチャラチャラした雰囲気ではない。明らかに、なにかある。

 

「……馬鹿なの?」

 

ザシュッ

 

一瞬で距離をつめ、梟将で旧多を斜めに切り裂く。

 

「うわっ。……なーんてね」

 

スッ

 

「なんで今の避けられちゃうんですか!?特等は、やっぱり一味違いますねぇ」

 

「いや、今の避けられない方が難しいよ?あれだけ分かりやすんだし」

 

煽り耐性がないのか、旧多は物凄く顔付きが険しい。

 

「………さて、もういいよ。安らかに死ね」

 

死梟を思いっきり振り翳すと、斬撃が旧多を飲み込んだ。

 

(………弱い。それにしても、どうするかなぁ)

 

普通に考えて僕の言うことを信じる人の方が多い気もしなくもないが、これ以上CCGにいた所でもうやることも無い。

それにそろそろ一波乱有りそうな気もしなくもない。

 

(………辞めるか。)

 

その考えに至るのに時間は必要なかった。

今はただ自分が正しいと思う道を進むのが正解なような気がしたから。

 

「……あの、目大丈夫ですか?」

 

僕は取り敢えず、唯一の生存者である人のところへ行くことにした。

 

「……貴様は誰だ」

 

「そうですね、元捜査官ですかね。」

 

嘘じゃない。

ついさっき自分で、捜査官を辞める決心をしたから。

 

「よろしければ、これどうぞ。それと、ここに居ては危険なので僕について来てもらえると嬉しいんですけど…」

 

僕が小瓶を渡すとその人は、恐る恐るそれを確認し少し舐めるとそのまま一気に飲み干した。

 

「…………もう目が見える…。」

 

自分の目が、すぐに治ったことに驚いているのか信じられないといった表情をしている。

 

「…治ったなら何よりです。」

 

「…あなたの名前は?」

 

「僕は橘……じゃないや、漣刀夜です」

 

「…そう。本当にありがとう。助かったよ」

 

「いえ、少し此処で待ってて貰えますか?少し用があるので」

 

僕はそう言って、ハイルを寝かせた場所まで戻った。

 

「あ、碧。お陰様で穴ぽこ塞がったよ」

 

先程まで辛そうにしてたハイルだが、既に傷も治りもう動けるようになったようだ。

 

「そっか、良かった。郡さんたちにさ、「今までお世話になりました」って伝えて貰えるかな?」

 

「…ん?なんでです?」

 

ハイルは小首を傾げている。

 

「…僕は今日限りでCCGを辞めて、喰種に戻る。だからかな」

 

僕のその一言でハイルは泣き出してしまった。

 

「……うぐっ。断る………私も着いていく」

 

「……えっ」

 

これは流石に予想外。

ハイルのことだから、遠慮なく切れますとか言うかと思ってた。

 

「……もう、置いていかんでよ」

 

ハイルは今にも消えそうな声で、そう言った。庭出身のハイルは有馬さん曰く人の温かさに飢えている。

だから、面倒見のいい郡さんとパートナーを組ませたのだろう。

 

「……はぁ。わかったよ、後悔するなよ。ほら」

 

僕はハイルの前にかがみ、おんぶの格好をした。

 

「……しにゃせんよっ」

 

ハイルは背中に思いっきりダイブしてきたが、今回はしっかり準備していたので大丈夫だった。

 

(………郡さん、ごめんなさい。暁さんも琲世くんもQsのみんなもごめん)

 

僕は一応置き手紙のようなものを書き、壁に貼ったあと先程の月山家の使用人の方の元へ戻った。

 

 

 

「お話は終わりましたか………って、まだ生きてたんですか?」

 

「そっちこそ…」

 

完全に忘れていたがこの2人、いがみ合ってたんだった。

 

「取り敢えず、ここから逃げるんで着いてきて貰えますか?」

 

「だが、習さまが……」

 

使用人の方は使用人らしく、主である月山の安否を第1に考えていた。

 

「大丈夫ですよ。月山家本邸に居た使用人も、月山習もアリザさんも全員保護したみたいですから」

 

僕の記憶があることを知っているからか、先程エトさんから『月山家全員無事だよ〜』っていうメールが来てた。

多分、僕に対する嫌がらせのつもりなのだろうけど今回ばかりは助かった。

 

「そう…ですか」

 

「えぇ、それじゃあ手貸してください」

 

僕はそう言って、その人の手を握るとハイルをお姫様抱っこに変えて羽赫を出現させる。

 

(………人間、2人にクインケ3つはかなりキツイかも)

 

思いの外、重量があり戸惑ったがどうにかなると思い僕は窓の外へと身を投げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『郡さんへ

ハイルは無事です。それと今までありがとうございました。

橘碧』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆さんの予想した展開とどうだったでしょうかね。

一応頑張ってみたんですけど、お気に召すか……。


次回投稿も早くしたいとは思うので、よろしければ次回もお願いします。
それでは!
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