それでは、3話どうぞ
金木くんとの初会合から少し経った。
あの後知ったのだけど、金木くん《あんていく》で働いているらしい。
(…見かけたこと無かったけど、ここ最近行けてなかったし。最近働き始めたのかな?)
董香のあれからというもの、毎日のようにエトさんが家に来るもんだから中々出かけることは出来なかった。
その時話してくれたんだけど、昔はエトさんも人を殺して食べてたらしいんだけど、最近は自殺者の肉を食べているらしい。
(芳村さんも聞いたら喜ぶだろうなぁ。……にしてもエトさんがくれた燻製良かったな……)
エトさんはよくお裾分けといって、調理済みの肉をくれる。あれには感謝してもしきれない。
そーいえば金木くん、あれだけ董香とそりが合って無かったけど、大丈夫なのだろうか……。
(今日はエトさんも出掛けるって言ってたからコーヒー飲みに行こうかな…。それに雛実ちゃんにもエトさんからのプレゼント渡したいし)
僕は雛実ちゃんへのプレゼントと金木くんの様子を見るために《あんていく》へと足を運ぶことにした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
《あんていく》
「いらっしゃいませ。……あっ、この間はすみませんでした」
あんていくに入るなり、久しぶりに「いらっしゃいませ」と言われたと思い感慨に耽っていたらいきなり頭を下げられ謝られた。
「いやいや、あれは君は悪くないからね。……コーヒーお願いね」
他にも客がいる中でこの話を続けるのは不味いと思い、僕は早々に話を引き揚げ、コーヒーを頼みカウンター席に着いた。
コーヒーを2杯ほどおかわりし、金木くんと話をした頃にはもう客は僕以外にはいなかった。
「それじゃあ、僕は休憩室の方で待ってるから終わったら来て」
「あ、はい。」
(それにしても、金木くんも"高槻泉"の作品が好きだったとは……。ほんとに凄いんだなぁ)
僕は、日常生活能力皆無の彼女から想像ができない人気に内心驚いていた。
休憩室のドアを開けると丁度雛実ちゃんが食事中だった。
(……これはマズイ……)
「…ごめん!雛実ちゃん」
喰種だろうが人間だろうが、女性には見られたくない場面というものがある。
特に喰種の食事は、女性からしたら決して見られたくないものだろう………、董香やエトさんはよく一緒に食べるけど……。
「……ううん、お兄ちゃん大丈夫だから顔上げて?」
雛実ちゃんに促され顔を上げると、雛実ちゃんは口周りの血を急いで拭いたのか少し汚れが付いていた。
「…ごめん。あと、ちゃんと拭かないと。せっかくの顔が台無しになっちゃうよ」
ポケットに入れていたハンカチで雛実ちゃんの頬に付いた血を綺麗に拭いた。
「お兄ちゃん、……ありがとう///」
顔を少し赤くしながら、雛実ちゃんはお礼を言った。
ガチャ
「えーっと、失礼します?」
丁度金木くんが入ってきた。
「あ、ごめん。コーヒー入れるから少し待ってて」
金木くんをソファーに座るように促し、僕は備え付けられているコーヒーメーカーでコーヒーを入れにいった。
(…一時はここでバイトしてたし、一応芳村さんにも教えてもらったから大丈夫なはず。)
雛実ちゃんも含め、3人分のコーヒーを入れソファーの方へと運んだ。
ソファーの方へ戻ると、金木くんと雛実ちゃんが仲睦まじく高槻泉の【黒山羊の卵】を読んでいた。
(……ほへぇ。こんなにも早く仲良くなるとは……。それにしても、金木くん漢字よく知ってるなぁ)
「はい、これ」
僕は二人分のコーヒーをテーブルに置き、2人とは逆方向のソファーに座ることにした。
「あ、そういえばお話って……」
「それなら、また今度でいいよ。そんなことより雛実ちゃんに漢字教えてあげて。僕じゃ限界あるし」
一応、出てくる漢字は殆ど覚えてはいるけどせっかく仲良くなりそうなんだから邪魔する意味は無い。
僕は自分の分のコーヒー飲み終え、少し横になることにした。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
目が覚めると、いつの間にか雛実ちゃんと金木くんは居なくなっていた。
「おや、目覚めたかい?」
代わりに、芳村さんがいつものようにコーヒーを入れていた。
「えぇ。お陰様で。それで雛実ちゃんは?」
「雛実ちゃんなら、つい先程リョーコさんが来て帰ったよ。」
だから、雛実ちゃんも金木くんもいなくなっていたのか。
「雛実ちゃんに渡さなきゃいけない物あったんだった!今からで追いつけますかね?」
「あぁ、多分大丈夫だと思うよ。ただ、雨が降るだろうから傘持っていきなさい」
「はい。ありがとうございます」
僕は傘を借り、曇天の中雛実ちゃんとリョーコさんを追うことにした。
短いですが、今回はここまでです。
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それではまた次回