東京喰種〜自由を望んだ者〜   作:雪楓❄️

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おまたせしすぎてほんとに申し訳ないです。

原作が終わってからモチベが上がらなかったのと、受験やらなんやらで忙しかったこともあり、半年以上更新出来ず申し訳ないです。

今回も別段長いという訳では無いですが、読んでいって貰えると嬉しいです。それでは!どうぞ


42話

「…エトさん」

 

思わず呟いた名前。彼女の強さを、彼女の思いを知っているからこそ、僕の心は焦りと不安でいっぱいだった。自分や有馬さんに新しい世界の居場所なんてないと考えている彼女だから。

 

「あれれ~?こんな所で会うなんて運命ですね~。橘と、く、と、う」

 

最下層へと向かう一本道の影から出てきたのは、ひょうきんな面をした旧多二福だった。この状況で旧多のその手にクインケはない。

たいして、僕は展開していない【死神の鎌】のスーツケースと二刀一対の【梟将】と【死梟】を腰に差している状態。

 

(手に何も持っていないところを見るに大方、鱗赫で挑むつもりなんだろうけど、以前あれだけやられた相手の前に同じ状態で挑むか?)

 

剽軽な彼だが、その頭脳と戦闘力に関してはなんだか嫌な感覚をこちらに与えてくる。「決して、負ける戦はしない。」それが僕が彼に抱いている絶対的なイメージ。

そのイメージはよくも悪くも的中した。

 

「無視ですか?まぁいいですけど~、こっちから行かせてもらうんで~」

 

それは刹那のことだった。

一瞬で距離を詰められた僕は焦りからとっさに防御に向かない【死梟】と【梟将】でガードしてしまった。

 

バキッ

 

そんな鈍い音と共に二刀の僕の相棒とも言うべきクインケは折られた。旧多の肩甲骨から伸びる"甲赫"によって。

 

「惜しいッ!でも、特等のクインケ折れちゃいましたね~。もう1つ持ってるみたいですけど、大丈夫ですか~?」

 

「予想外だよ………、君が芳村さんの甲赫を持ってるなんて」

 

【梟】そう呼ばれていた最強の喰種であり、エトさんの実の父。そして、僕らの拠り所であった【あんていく】の店長。彼は殲滅戦で亡くなった。その遺体は何者かによって持ち去られたが、まさかこいつらの手に渡っていたとは。

 

「あら、もうわかっちゃったんですかぁ?少し興醒めですけど、まぁいっか」

 

【死梟】も【梟将】も自分の赫子を使ったクインケ。もちろん、強度も知っている。そこらの甲赫に折られるほど、柔くないことも。だからこそ、彼の持つ赫子が誰のものか分かってしまった。

 

「…………その赫子は返してもらう」

 

「え???特等~何か言いましたか?」

 

折れた【死梟】と【梟将】を捨て、【死神の鎌】を展開させた。人を小馬鹿にしたような面で突っ込んでくる彼を迎え撃つように。

 

「へっ?………危なっ!危ないじゃないですか、特等」

 

【死神の鎌】が甲赫を刈りとる直前で、旧多は鱗赫によって思いっきりバックステップした。いつもの飄々とした表情を焦りに変えて。

 

「まさか2個もSSSレートのクインケを持ってるなんて流石に予想外ですよ~」

 

口調こそいつも通りを装っているが、その顔の引き攣りから旧多が焦っているのが手に取るようにわかる。大方、クインケさえ壊せば戦力が落ちると思っていたのだろう。

 

「何を今更。まさとは思うけど、クインケさえなければ僕に勝てるとでも思ってたの?」

 

僕は旧多を威圧するかのように大きく羽赫を発現させた。通路の後ろが見えないほどに。

 

「えぇ、思ってましたよ?だって、この狭い通路じゃ特等……いや木葉梟の羽赫の攻撃には耐えられませんから。守るべきものがあるあなたにとって、これ程の弱点はないでしょう?」

 

旧多の表情に余裕が戻り、僕の顔は少しばかり強ばった。

旧多の言う通り、この通路で旧多のみを的確に狙うのは難しく、少しでも避けられればそれこそ壁を破壊しかねない。雛実ちゃんとエトさんが何処にいるかわからないこの状況で建物を壊すのは理にかなっていない。

 

「ですが、2つもクインケを持っているとなれば話は別ですよ~。ほんじゃ、僕はこの辺で」

 

僕が旧多に詰め寄るよりも早く、旧多は逃げそれを追うことを阻むようにViの連中が道を塞ぐ。

 

「邪魔だよ」

 

誰だろうと躊躇している余裕はない。

僕は僕が進む道を阻むもの全てを切り捨てて、前へを急いだ。

 

 

 

 

 

 

 






感想など貰えるとモチベが上がるので、宜しければ感想お願いしますm(_ _)m

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