東京喰種〜自由を望んだ者〜   作:雪楓❄️

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今回もあまり進んでないです、ほんとに申し訳ないです……。






43話

(……それにしても、捜査官もそうだけど喰種の数が尋常じゃない…)

 

排世改め、金木くんの仕業によって解放された喰種たちが闊歩するコクリアはさしずめ混沌と言ったところだ。もちろん、金木くんが狙いもなくこんなことするはずも無く、大方解放した喰種たちに暴れ回ってもらってその間に雛実ちゃんを逃がす算段なのだろうが、そう上手くはいかないと僕は踏んでいる。

理由は、たった1つ。それは旧多とVの存在。以前の旧多なら、軽く捻ることが出来た。だが、今の旧多を相手では分が悪い。

 

「……早くエトさんを見つけなきゃ…」

 

いち早く、エトさんを見つけて金木くんたちと共に逃がす。

それが最強の喰種【木葉梟】の最後の役目。"前"時代「喰種と人間が敵対した時代」の"2人の王"が座る席は彼等の作る"これからの時代"にはないのだから。

 

(……でも、あなたは生き残らなきゃダメですよ。ハイルが悲しみますからね)

 

金木くんを王にするため、これから討たれようとしている死神。金木くんがトドメをささなくとも、彼はきっと死を選ぶ。だが、彼は死ねない…僕が死なせない。そのために彼にあれを渡したのだから。

 

「……取り敢えず、エトさんを探し出さなきゃ……か」

 

僕は周りに転がるVの死体の間を悠然と歩きながら、下の階層へと降りた。

 

 

◇◇◇◇

 

「…………一足遅かった」

 

最下層にある唯一の収監部屋。その部屋の主は部屋に空いた大穴と共にその姿を消していた。

 

(……やっぱりあの人は…)

 

嫌な予感はしていた。元々、僕ら3人は"前時代の者"。それを言い出したのは他でもない、エトさんだ。そのエトさんが彼らを逃がすために命を投げ出すことぐらい容易に想像出来たはずだった。

 

ゴォォン

 

「うわぁぁぁぁ」

 

何かが動き出す機械音と共に鳴り響く悲鳴。それもそう遠くない場所から聞こえたその音。

僕は守るべき人と今回の敵がいるであろうその場へと急いで向かった。

 

 

 

◇◇◇◇

 

数分前

 

(私はこのままここに居ればきっと助かるだろう)

 

たった一人、差し入れとして持ってこられた人肉パテを頬張りながら彼のことを考えていた。たった一人で全てを守ろうとし、大切なもののためなら自分が犠牲になることすら厭わない馬鹿。それによって、どれだけの人が悲しむかを知っているくせに。

最強と呼ばれる喰種捜査官のあいつですら、寄せ付けない強さを持ちながら大切なものなんてものを作るせいでそれにつけこまれる始末。そして今回も。

 

「すまないね、刀夜くん。約束、守れそうにないよ」

 

私は最後のパテを口に含み、扉を破り外へと出た。その結果、死ぬことになるとわかっていながら。

 

 

◇◇

 

私の予想通り、金木研が考えていた逃走ルートは旧多に読まれていた。ゴミのように潰されていく喰種達を見てこれだけ心が苛立つのはきっと彼の影響だ。

以前までの私なら、何も思うことも無く笑っていただろう。

 

(……助けに来てくれて嬉しかったよ、刀夜くん。すまないね、ちゃんと助けて貰えなくて…)

 

私は決意を固め、プレス機へと飛び込んだ。名も知らない喰種たちを助けるために。

 

「やぁ、旧多~。パテ美味しかったから、お代り欲しいなぁ」

 

プレス機を破壊し、喰種が逃げれることを確認した私は高みの見物を決め込んでいた旧多とVを捻り潰しにかかる。

 

「わぉ、これは驚きですね~。パテ、気に入って貰えたなら良かったです~って殺意全開!」

 

こんな状況でも焦りすら見せず、旧多は飄々と私の攻撃を躱す。時に、周りにいるVを盾にしながら。

 

「鬼ごっこは終わりかな?旧多くん」

 

数メートルも追いかけたところで旧多の背後には壁しかなかった。奴の手にはクインケはなく、幾らこいつでも打つ手なしかと私は油断した。

 

「ここは穏便に行きましょう……ね?………なーんてね」

 

一瞬のことで何が起きたかは分からなかった。理解出来たのは私の赫者化が一瞬にして解かれたという事。そして、奴の腰と肩から赫子が生えたということだけ。

 

「…あなたの生首をここに置いといたら彼【木葉梟】はなんて思うんでしょうね~。絶望?復讐?それとも……まぁこの目で見れないのは残念ですけど~、ぼくもまだ死にたくはないんですからね~。あなたの首置いとくのであなたが見といてくださいって、死んだら見れないかぁ」

 

私をいつでも殺せるくせに長々と話し出すこの男はかなり性格が悪い。

 

(彼に迷惑をかけないために捕まり、彼の手助けをするために出てきたはずなのに結局彼を傷つける羽目になるとはね……ほんとにごめんなさい…漣刀夜、いや……私の最愛の人)

 

全てを諦め私は目を閉じた。

心のどこかで彼が来るなんて妄想を抱きながら、そして彼に謝罪しながら。

 

「おや?あの残虐非道の【梟】が涙ですか??折角パパ赫子で、殺してあげようと思ってたのになぁ~、なんか興がそれたなぁ、まぁいいや死んでください」

 

私の人生はここで終わる。そのはずだった…。

だが、私の命を刈りとるそれは一向に降りてこなかった。

 

「………あなたが死ぬのはここじゃない」

 

もう会うことの無いと思っていた聞き覚えのある声に目を開けた私の目の前には大きな鎌で旧多の甲殻を止めている真っ黒な背中があった。

 

 

 

 

 




エトさん少し人間味あり過ぎ!っていうコメント来そうですが、それがこの作品のエトさんなので異論認めません!!w
エトさんにもこんな1面あってもいいかなって僕は思うのでお許しください。

感想&お気に入り登録お願いしますm(_ _)m
感想貰えるととてもモチベ上がるので、エトさんが好きな方は特に……。

あと活動報告にて自分の活動のことで、少し相談があるのでよろしければ見て言ってコメント書いていってくださいお願いしますm(_ _)m



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