どうも、最近感想にとても助けられている作者です!
ただ、あまり早くない更新で申し訳ないです…。
そろそろ物語としては終盤に差し掛かってきましたね…。100話行くか分からないですが、最後まで見ていってもらえると嬉しいです!
それではどうぞ!
「あ、あら?……は、早かったですね~特等」
私の首を切断するはずだった甲赫を止められた旧多は平静を装っているが、明らかに動揺を隠せていなかった。
先程こいつは言った、「自分もまだ死にたくない」と。つまり、こいつは刀夜には勝てる算段がないということなのだろう。
だからこその動揺。そして、焦り。
今の旧多は人生で初めて心から命の危険を感じているように私には思えた。
◇◇◇◇
僕がエトさんの元にたどり着いた時にはエトさんの両腕は切断されていた。
また守ることが出来ずに失ってもおかしくなかった。
僕が旧多を2度も逃がしたから……僕の甘さが彼女を危険に晒した。
(……覚悟は出来てる)
もう甘さなんて要らない。
大切な人達すら守ることが出来ない優しさならば、僕には必要ない。
僕はエトさんに血液を飲ませ、その場に寝てもらった。
「……そこで待っていてくださいね、エトさん。直ぐにおわらせるんで、一緒に帰りましょうね」
ボロボロになりながらも他の喰種を逃がしてくれた彼女。
エトさんは、自分の身を危険に晒してまで他の喰種を守った。まるで、20区を守り抜いた父親のように。
だからこそ、もう彼女が身を危険に晒さなくていいように自分が守る。
「うわっ!殺る気満々じゃないですか!特等そーいうタイプでしたっけ?もっと、こう甘ちゃんだったじゃないですか~」
旧多の必死の煽り。
その言葉一つ一つに余裕なんてものはなかった。
「………うるせぇよ」
もう手加減はしない。
そう決めた僕の行動は1つだった。
ドゴォーン
まるで落雷のような轟音を残し、旧多の後ろの壁には大穴が空いた。旧多の肩から生える甲赫を消し飛ばして。
「……へっ?」
素っ頓狂な声と共に旧多の顔が焦りに包まれていく。
僕の背中から生える2本の羽赫にその瞳を固定したまま。
「………君にその赫子を使わせやしない」
甲赫を失った旧多は冷静さを取り戻した瞬間に、一目散にその場から逃げようとした。
そんな簡単に逃がすはずもなく、僕は旧多の両足を切り落とした。
「最後に言いたいことでもある?」
旧多の首に死神の鎌をかけ、声を掛ける。
初めて自分自身の命の危険というものを感じた旧多に最早僕の声は届いていなかった。
「………そっか。それじゃあ死んで」
僕のクインケによって旧多の首は刈り取られるはずだった。だが、それは予想外の来訪者の手によって阻まれた。
ドォーン
そんな音ともに、上の階層から落ちてきたのは紛れもなく"梟"だった。
匂い、そして雰囲気。どれをとっても芳村さんのそれだった。
「……なんで…」
突然現れた梟は旧多を僕から守るようにして立っている。
僕が呆気に取られている間に、旧多は共に現れたVによって回収。既に撤収した。
「芳村さんが生きてる……?でも、、、なんで旧多の…Vの味方に…」
僕の頭は突然のことに混乱しただけだった。
さらに、僕は絶望することになる。
「………碧!!」
その声はエトさんのものではなかった。だが、その声が聞こえたとほぼ同じタイミングで僕の身体には衝撃が走った。
「………えっ、なんでここに…ハイルが」
僕のことを突き飛ばした張本人。
そして、僕を芳村さんの攻撃から救ってくれたのはここに居ないはずのハイルだった。
「エトさん、エトさんは!?」
僕の後ろにいたはずの彼女。
まだあの攻撃を避けれるほど回復はしていないはずだ。
「エトさんなら、ほら。リョーコさんが守ってくれてるよぉ」
そう言ってハイルが指さす方向には繭のようにエトさんを包み込んでいる、リョーコさんの赫子があった。
「………そっか。良かった…」
エトさんの安否が確認出来た僕の意識は、既に立ち去ってしまった芳村さんのことでいっぱいだった。
芳村さんから攻撃されたという事実は消しきれることはない。既に死んだと思っていた慕っていた人が生きていたことですら、受け入れ難い。加えて、殺す気で攻撃されたとなれば……。
「…………ハイル、エトさんのことは頼んだ。僕はまだやらなきゃいけないことがあるから…」
「……わかりました~。でも、碧もはよ帰って来てくれないとエトさんに怒りゃますよ」
「………うん」
僕はハイルにリョーコさんとエトさんを任せると、もう1人の大事な人を助けるべく上の層へと戻った。
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