東京喰種〜自由を望んだ者〜   作:雪楓❄️

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ついに、お気に入り登録1000人突破しました。ありがとうございます!!!
昨日のお気に入り登録数の上昇具合は驚きながらも、とても嬉しかったです。
そのおかげもあって、ランキング13位もいただけたのでこれからも頑張っていきたいと思います。

ちなみに、更新が早いのはそれが影響していたりしなかったりもします


それではどうぞ!!


45話

上層へと向かう僕は芳村さんのことを切り替えられないまま進んでいた。切り替えようにも、頭の片隅から消えることのない恩人から攻撃されたという事実。

不幸中の幸いというべきか、道中に敵影はなく最短で金木くんたちのもとへとたどり着くことができた。

だが、その場の光景は僕にさらに追い打ちをかけることとなった。

 

「…………なんで…母さんが…………それにあれは父さんの…」

 

ボロボロの金木くんと金木くんに支えられて漸く立っている状態の有馬さん。そして、その二人を守っている零番隊。そして、その零番隊と対峙している喰種。その後ろには、Vの幹部クラスが数人いる。それだけなら、なんら問題はない。問題は零番隊と対峙している喰種。あの特徴的な髪色に加えて、今でも忘れることのないあの容姿は記憶の中の母そのものだった。たった一つ、違う点があるとすれば赫子をもっているという点。だが、その赫子も自分の羽赫と瓜二つの父の羽赫そのものだった。

今すぐにでも抱きしめて欲しいという気持ちを僕が抑えられていたのは、生きていたとしても数年の時が経っているにも関わらず記憶の中の母と全く変わらない姿に若干の不信感を抱いていたからだろう。

それでも、もう二度と会うことが出来ないと思っていた母との再会に、僕は無意識に零番隊と母の間に入り込んでいた。

 

「…………平子さんここは早く退いてください。金木くんも有馬さんも、これ以上は危険です。ここは僕がどうにかします」

 

「…………わかった」

 

素直なのか忠実なのか。平子さんは納得したように零番隊を退かせ、二人と共にその場から直ぐに立ち去っていった。

 

「…………あなたは誰ですか」

 

確証が欲しかった。母ではないという確証が。

だが、僕の願望はきれいに裏切られた。

 

「なにを言っているの?もしかして、忘れちゃったのかしら刀夜」

 

瞳こそ少し虚ろだが、その声は母のものそのものだった。

母である確証が得られた以上、僕はこれ以上どうこうする必要がなくなった。誰よりも母と父と共に過ごしたいと願い続けていた。その願いが叶うのならば、僕はこれ以上何も望みはしない。

 

「でも、なんで……母さんはあの時……それにその赫子は…」

 

「えぇ、私は確かにあの時喰種たちに殺されそうになったわ。でも、私は彼らのおかげで一命をとりとめたのよ。お父さんの赫包を移植することでね」

 

母はそういうと自分から生えている羽赫を撫で始めた。まるで、我が子のように。

父の残した赫子によって、母の命が救われたというのは運命なのだろうか。

 

「……有馬もリゼも逃がすとは…。おい、いくぞ」

 

Vの幹部らしき男は母にそういった。

 

「まさか刀夜が出てくるなんて思っていませんでしたので。あっ、そうだ。刀夜も一緒に行きましょう?」

 

「…ほぅ」

 

母の言っていることの意味が分からなかった。

父を殺した組織であり、エトさんと有馬さんの敵であるV。母はそちら側だと言っているのだ。

Vが父を殺したことは、母も知っているはずなのに…。

 

「母さん…本気で言ってるの?だって、Vは父さんを…芳村さんを…」

 

母の返答は僕に絶望を与えた。

 

「……そうね。でも、私を殺したのは喰種よ?刀夜がよく一緒にいたあの隻眼の子。あの子は初めに駆逐しないとね。ほんとは旧多くんが今日やるはずだったんだけど、刀夜に邪魔されてできなかったのよね。でも、刀夜がこれからは手伝ってくれるんだもん、一緒に喰種を駆逐しましょうね」

 

そう言った母の表情は昔のような優しいものではなかった。

それでも、僕の心は母という存在に占められていた。

 

 




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