私生活が忙しくなかなか、執筆が進まずお待たせしてしまいました。
これからも、遅くても更新するつもりなのでよろしくお願いします。
「……ごめん」
僕は何を迷っていたのだろう。
突然現れた死んだと思っていた母と今まで僕のことを支え続けてくれたみんなを天秤にかけ、一瞬でもみんなを裏切ろうとさえした。
僕は金木くんよりも、ずっと弱い。自分の中では一区切りつけたと思っていたことにも関わらず、僕は過去のものにとらわれ続けていたのだから。
「エトさん、僕はもう大丈夫。もう休んで」
「ははは……っ………………そうさせてもらおうかな」
そう言うとエトさんは僕の羽赫の中でゆっくりと身体の力を抜いて瞳を閉じた。
「刀夜…………?なにをしているの?」
背後から聞こえる母の声。
改めて聞くと、なつかしさこそ感じるがあの頃ののような優しさは感じられなかった。
「ごめん、母さん。僕には何に変えても守らなきゃいけない人たちがいるんだ。幾ら、母さんの言うことでも譲れない」
ここで拒絶すれば、もう母と共に生活することは叶わない。
そのことを理解した上で僕は母を拒絶した。
「…………そう。残念ね」
一瞬だけ俯いた母さんに、僕は羽赫を広げ身構えた。
だが、母は赫子をだすこともなくVの幹部が消えた方へと振り返った。
「刀夜、あなたは後悔してはダメよ…………」
母は僕が返事をする前に瓦礫の中へと消えていく。
(…………後悔……?)
母の発言に僕は唖然とすることしかできなかった。
母の言う”後悔”という言葉の意味。そして、「あなた”は”…」ということは、母は。
どちらにせよ、母はあちら側。次に会うときは相応の覚悟をする必要があるだろう。
「あっ、碧!」
慌てた様子で現れたハイル。その後ろにはリョーコさんの姿も見えた。
「…………ハイル、それにリョーコさん。二人とも、エトさん連れて先に行ってもらえるかな?僕も後から行くから…………」
僕の言葉にハイルは何か言おうとしていたが、リョーコさんはただ頷いてハイルと倒れているエトさんを連れて行ってくれた。
(…………もう迷っちゃいけない。母さんと父さんを殺されたときに覚悟したはずだったのにな…………)
改めて自分の甘さを痛感させられた。
”何かを為すためには、何かを犠牲にしなければいけない”。僕はこのことを分かっているようで、そのことから目を背け続けていた。
だが、これから先目を背け続けることはできない。そんな甘い考えでは何も守ることはできないから。
(芳村さんだろうが母であろうが、誰であろうとも。エトさんやハイル、僕を慕ってくれる人たちに仇名すのならば叩き潰す)
僕は立ち上がり誰もいなくなった空間を一人眺めて、その場を後にした。
母への思いと一緒に自分の甘さをその場に置いていくように。
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それではまた