少し遅くなりました
今回は閑話休題ということで、特に進展はありません。;
ヒロインについてなのですか、エトさん一人としたので報告しておきます
あれから数日
何もない日々というのは、そうそう続くことはない。
もちろん、身を置く世界によって左右されるだろうが僕が身を置いている世界はどうも周りよりも忙しいような気がしてならない。
自分には何もなくとも、自分を取り囲む周りの環境というのは目まぐるしく変わるものらしい。
(金木くんの死、旧多のCCG局長就任…………漣日南の特等捜査官への復帰そして局長補佐の就任。)
一つ目は旧多の流したデマであり、当の本人は今頃董香といちゃいちゃしているころだろう。
後半の二つに関しては悲しいことに事実である。CCGの実権を握った旧多は喰種の徹底的な殲滅を名目にやりたい放題といった様子である。母さんの存在がまさにその象徴である。いくら元特等捜査官とはいえ、異例中の異例なことだ。
それだけ旧多の権力が大きいことを示しているし、なにより僕には母さんの目的が全く読めなかった。
(母さんはなにを望んでるの…………?)
「なに難し顔をしているのかな?」
昔のお姉さんのような話し方をするエトさんは、言葉とは違い考えていることなど見透かしたような表情でこちらを覗き込んでいる。
「いえ、ただ平穏ってなんだろうって思ってただけですよ。このまま金木くんの望むような世界になったらどうなるんだろうって」
嘘をついたわけではないが、僕は少しだけはぐらかした。
「平穏か…」
エトさんは眼前の広場で有馬さんに稽古をつけられている元零番隊を見ながらそう呟き、少し考える素振りを見せた後微笑みながらエトさんは続けた。
「…………もし平穏になったら、刀夜くんはどうしたい?」
「どうしたいですか…………」
改めて言われて、僕の頭には何も思いつかなかった。
良くも悪くも人生の大半を戦いに費やした。
エトさんや有馬さんの考えに共感し、金木くんの目指す世界を作る手伝いをしている。僕自身の目的がないとは言わないが、平穏となった世界にいる自分を想像することは出来なかった。
「まぁ、私も想像なんて出来てないんだけどね。まぁでも、元々私と有馬は礎となって死ぬはずだったんだ。それを刀夜くんが生かしてくれたんだ、君が先にいなくなるなんて許さないからね、私も。そしてあなたのお母さんも」
「いなくなんてなりませんよ、いなくなる時は一緒です」
エトさんは少しだけ嬉しそうに頷き、広場へと降りて行った。
「碧~、稽古つけて欲しい~」
有馬さんが零番隊の相手をしているため、あぶれているハイルがフクロウを振り回しながら呼んでいた。
「はいはーい」
僕は手元に置いてあるデスサイズをもち、ハイルたちのいる広場へと降りた。
今回もありがとうございました
感想してくれた方々ありがとうございます、とても嬉しかったです。
それではまた次回