東京喰種〜自由を望んだ者〜   作:雪楓❄️

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お久しぶりの投稿となってしまい、申し訳ございません。

これから更新頻度上げられるように頑張りたいと思いますが
期待は適度にお願いします


55話

「華やかなものだね」

 

「……そうですね」

 

僕らの眼下では、黒山羊のメンバーが楽しそうに飲み食いをしている。

僕ら喰種にとって、楽しい催しなんてものは殆どなく、こんな風にみんなで幸せを分かち合うことはいつぶりだろうか。

地下に隠れている現状もそうだが、人間社会に溶け込まなければ生きていけない立場であった喰種にとって、心から祝える催しは初めての経験であると言ってもいい。

今日の主役である金木君と董香の二人も、みんなに祝われ幸せそな表情を浮かべている。

 

「楽しんでるか?お二人さん」

 

そう言って僕らの元に来たのは酔っぱらっているのか、少し顔を赤らめた西尾さんだった。

 

「……そーいえば、お前らはいつ挙式するんだ?」

 

「「なっ」」

 

唐突な西尾さんからの言葉に僕らは絶句することしか出来ず、ただ下を向くことしか出来なかった。

 

「最強の喰種とはいえ、形無しだな」

 

はははっ。と鼻で笑いながら、西尾さんは立ち去って行った。

 

「「……」」

 

西尾さんが居なくなり、僕らのみが残された空間にはただただ沈黙が流れるだけだった。

お互いどんな顔がしているかもわからないが、それでも自分の顔を相手に見られたくないことは確かだったため俯き続けていた。

 

「「あのさっ……」」

 

二人して声が被ったことに驚き黙り込んでしまう。

しかし、声が被ったことでお互いの顔が向き合い、表情が見えてしまった。

僕らには周りの喧騒などまるで聞こえていなかった。

 

「……刀夜くんでもそんな表情するんだね」

 

「……エトさんこそ」

 

お互い普段見たことがない表情に、大方考えていることがわかってしまう。

エトさんは、再び俯くと顎を軽く動かし僕に催促をした。

 

「僕にとって、エトさんは一番大切な存在です……」

 

そこまで言って僕は言葉を止めてしまった。

このままエトさんに想いを告げ続ければ、一緒になることは出来るだろう。そのようにわかっていても、僕はその言葉を告げる勇気がなかった。

 

「……君はまだ怖いのかい?」

 

僕が言葉に詰まったことで察せらたのか、エトさんに見透かされてしまった。

 

「……そうですね」

 

エトさんとの関係性を言葉あるものにするということに、僕は怯えていた。

なにより彼女を失ってしまうという可能性がないとは言い切れない、今の状況で彼女との関係を明確なものとする勇気がなかった。

なにより、守らなければならない者の中にエトさんを入れるわけにはいけなかった。

 

「旧多にあなたがやられそうになった時、僕はあなたの側を離れたことを後悔しました。なにより、あなたを傷つけた者が生きていることすら許せなかったんです。でも、僕らには金木くんを第一に守らなければいけない。もし、あんたとの関係を言葉にしてしまったら、僕は金木くんよりもあなたを第一優先にしてしまう」

 

もし、金木くんよりもエトさんを優先するようなことがあればそれは僕らの今までを無かったことにするのと同意義だ。

もしも、芳村さんが命を懸けて守ったみんなを見捨てるような選択だったとしても僕はエトさんを優先してしまうだろう。

 

 

「……なるほどね」

 

エトさんは少し残念そうな表情を見せると、首を横に振った。

そして、全て分かっているような笑顔を僕に向けた。

 

「でもね、私だっていつまでも君に守られてばかりじゃないんだよ?」

 

そう言うと、エトさんは僕の方へと飛びついてきた。

 

「え、エトさん!?」

 

「カネキくんたちに触発されちゃったかな。」

 

そう言うとエトさんは僕の口に彼女の唇を重ねた。

 

 

 

 







次回、この2人がどうなるか期待していてください

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