日常回続きで申し訳ないです。
次回から、大きく物語が進む予定です。
僕とエトさんの関係は、当分は二人だけの秘密にしておくこととなった。
もちろん、金木君と董香のようにみんなに祝ってもらいたいと思うが立場がそれを許さないことは分かっている。
あくまで、僕らは王である金木君の矛であり盾である。本来ならば、彼よりも優先すべき存在すらいてはいけないと僕は思っていた。
「…どうかしたの?考え込んで」
「いや、なんでもないよ。今回の作戦で僕はかなりの期間金木君から離れることになってしまうけど、その間彼のことよろしくね。女王様」
僕がからかうように董香のことをそう呼ぶと彼女は恥ずかしそうに顔を赤くし、息を大きく吸い、僕の肩をつかんだ。
「刀夜…どうやって死にたい?」
「…すいません」
「よろしい。それに、金木のことは任せて。もちろん、刀夜ほど強くもないけどあいつを支えてやるのは私の役目だし、エトさんたちもいるしね」
「そうだね。ここには仲間もたくさんいる」
僕一人がここから離れたところで、ここにいる戦力は十分過ぎる。有馬さんたち、零番隊含め、守りは完璧だ。
「それじゃあ、僕はそろそろ出発するから。またね」
「早く戻ってきなよ。エトさんのためにも」
「…っ知ってるの?」
僕の疑問に董香は静かに頷いた。
~・~・~
どうやらエトさんと僕の関係は、みんなの中で暗黙の了解だったらしい。
正式に関係をもったことは広まってはいないが、いつ僕らがそういう関係になるかという段階の噂はあったとのことだった。
「…刀夜くんの留守は彼が守ってくれるさ」
出発の前にエトさんに会いに来た僕に、彼女はいつもと同じように対応した。
ただ、周りにいる零番隊の面々に悟られないようにしているのか、いつも以上に目を合わせてくれなかった。
「えぇ、有馬さんたちの腕に疑いはありませんよ。ただ、Vの動きが読めない以上、警戒だけはしておいてください」
コクリアで遭遇して以来、Vの動きは全く追えなくなった。旧多がCCGの局長に就任したことが影響しているのかわからないが、それでも気味が悪かった。
(あの母さんがなにもしてこないわけがない。Vの目的が金木君だとしたら、金木君本人よりも彼の弱点を突くはず…)
「エトさんにお願いがあるんですけど、いいですか?」
「もちろんだけど、なんだい?」
僕はエトさんの耳元により、要件を伝えた。
隠すようなことでもなかったが、予測の域を出ないことをあまり広めるのは得策ではないような気がした。
「…わかった。君が留守の間、任されるとするよ」
「ありがとうございます。ただ無理はしないでくださいね」
「あぁ。それよりも、ハイルたちがずっとこっちを見てるぞ」
エトさんの視線の先を見ると、有馬さんにしごかれているハイルたちの姿があった。なぜか彼女らの視線は、僕のことを睨んでいるように感じる。
「……軽くですからね」
「やったぁ」
先程までの辛そうな表所をどこかに、ハイルは大きく飛び跳ねていた。