なにも知らない転生者がカードキャプターさくらの世界で活躍させる物語(仮)   作:極麗霊夢

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今回はアニメオリジナルカードです


第十二話 動物園で綱引き

 今日は友枝小学校で遠足。

 善鬼が昨日の晩から張り切って仕込み、朝早くに作った料理を持たされて学校へ向かう。

 

「おはよ、祐介くん」

 

「おはよー」

 

「ああ、貴史と千春か。 おはよ」

 

 向かう途中に貴史達に会うのはいつも通りだ。

 

「今日は遠足だね。 祐介くんの班はペンギンだっけ?」

 

「ああ、しかし、南極という極寒の地に居るペンギンが、なんで動物園に居るんだろうな? 少なくとも水族館じゃないのか?」

 

「ああ、それはね。 雛の頃から暖かい場所で、飼育されてるから大人になる頃には、日本の暖かさに慣れてるんだよ」

 

「ま、またまた嘘を……祐介くんに効くわけないじゃない。 ねぇ、祐介くん」

 

「ああ、ならペンギンが雛の内に温暖地域で育成させて、大人になったペンギンをそこでも飼育出来るようにする実験は成功してたんだな」

 

 「え?」という千春を余所に、オレと貴史はなんでもないかのようにペンギンの話を続ける。

 確かに千春の言う通り、オレは貴史の嘘は効かない。

 嘘が嫌いと言われる鬼を式として扱ってるせいか、嘘は簡単に見抜いてしまうのだ。

 だからと言って便乗しないことはない。

 

「あ、ペンギンと言えば、ペンギン大王なんだけどさ」

 

「朝ニュースになってた奴か」

 

「あ、あれね、凄いよねー」

 

「僕の予想だと宇宙人だと思うんだけど」

 

「ほう、貴史が予想を口にするとは珍しいな」

 

「これでも推測や検証も好きだよ」

 

「でも、宇宙人は流石にないわよね! 祐介くん!!」

 

「いや、そう断定するのは早いぞ、千春」

 

 パタパタと手を振りながら、オレに同意を求める千春だが、今のオレは遠足という学校行事に浮かれてる。

 貴史の嘘にも付き合うし、ないとわかってる推測にもノリで付き合うぞ! というか実家が鬼とか妖怪とか陰陽道、魔法にどっぷり浸かってる為に否定できない。

 宇宙人、居るかもしれないだろ。

 

 そんなこんなで学校でもペンギン大王の話が盛り上がり、動物園に着くまで宇宙人がやった説、幽霊がやった説、巨人がやった説、イェーガー!と様々な説が飛び交った。 最後のなんだ?

 

 

 ○

 

 

 ペンギンエリア前。

 極寒の地に居るという印象強いペンギンだが、中には南極以外にも生息しているペンギンもいる。

 そこは南極ほど寒くなく、南アフリカの最南端にあたる場所から、朝貴史と話したように雛の内に北へ北へと暖かな環境に慣れさせて、日本にやって来たペンギンだ。

 名前はケープペンギン。

 立て掛けられてる看板に由れば、動物界、脊索動物門、脊椎動物亜門、鳥綱、ペンギン目、ペンギン科、フンボルトペンギン属、ケープペンギン種らしい。

 長い、実に長ったらしい、もう素直にケープペンギンで良いと思われるが、だが、長いこそ、それがいい。

 寺田先生が担当の動物の観察し、感じたことや、どんな動物かをノートに書くようにと言われたから、こう言うレポートの書き方というのは、看板に書かれたことを自分の推察等を交えて書く方がいいのだ。

 

「ああ、オレの中の怠け者が悪魔の囁きをもって、堕落させる……」

 

「ちょ、桐生。 それいいのか!?」

 

「すっげー、丸写しじゃん」

 

「や、違うぞ? 丸写しと思わせて所々違うからな? 本当だぞ?」

 

 看板に張りついているとこを見られ、さらにはノートも覗かれてずるいずるいと言ってくる班の皆に言われた。

 

「でも山崎も桐生もそう言う知識あるよなー」

 

「ああ、そうそう。 どっから仕入れてくるんだ?」

 

「んー、ぶっちゃけオレ、貴史に合わせてるだけだからなぁ。 それに貴史が乗ってるだけだ」

 

「へぇ……」

 

「っ! 離れろ!」

 

「え?」「なに?」「どうし……」

 

 感じ慣れた気配を察して、班の皆や周りにいるお客さん達に向かって避難を促すが、大声で驚く人も居るが、所詮は子供の言うこと。

 全く聞き入れる様子がないのをもどかしく思うが、感知したのがどうやら遅すぎたのか、そのすぐあとにペンギンの檻が爆発と共に壊れた。

 近くにいた同級生達は、鞄に潜んでた善鬼が飛び出て爆発に巻き込まれる前に離れさせた。

 勿論、軽い当て身で気絶もさせてる。

 

「はぁ……今度はどんなカードだ?」

 

「さぁ、な。 攻撃カードかはたまた補助カードか……特殊カードって線はないかな」

 

 ギャアギャアとペンギンが檻から逃げ出し、クロウカードは善鬼を敵と見たのかドスンドスンと砂柱を立てながら善鬼の方へ向かっていく。

 

「ん、あいつは……」

 

「善鬼!」

 

「主ぃ~、元に戻っていいか? こいつ、今のオレっちじゃ無理だ!!」

 

「ああ! 遠慮なくやれ!」

 

 幸い、人は檻が壊れた事で逃げてる。

 善鬼が本来の姿に戻った所で、問題はない。

 

「了ぉう解!」

 

 瞬間、青いバレーボール大の善鬼が輝き、姿を変えて鍛えに鍛えた黒髪と赤の瞳を持つ成人男性となって、見えない何かと激突した。

 

「久々の力比べと行こうか……『(パワー)』!」

 

「『力』?」

 

「おうさ! よく、目を凝らしてみな、主」

 

 善鬼に言われて目に魔力を宿すと、善鬼が腕でガードしてあるところから徐々に姿が見えた。

 赤い少女。

 この少女が破壊の原因とは思えない程の華奢な少女だった。

 

『――♪』

 

 ニタァと元の姿の善鬼がするような鬼の微笑みで、『力』は善鬼の腕を掴み大きく振りかぶって投げた。

 

「ちょ、マジか!?」

 

「ま、『力』だからな。 そらぁ、鬼並の力くらいある」

 

 投げられた善鬼はなんでもないかのように、宙返りして綺麗に着地するとまた突撃してきた『力』の腕を取って一本背負いをして、『力』の顔面に肘内をぶちかます。

 

「んで、こいつを大人しくさせるには、どうするんだ? 力比べと言ったが」

 

「ああ、こいつは力が自慢だからな。 力比べで負かせたら大人しくなる。 戦ってもいいが、これ以上は動物園が更地になるからなぁ。 主、なんか案とか無い?」

 

「力比べなら相撲とか?」

 

「舞台がねーよ。 いや、簡単なのでも良いんだけどさ」

 

「じゃあ……あ……」

 

「ん?」

 

 何か無いかと辺りを見渡すと、ワイヤーを見つけた。

 どうしてこんなとこにあるのか、檻が壊れた時にコンクリートに埋められてたのが出てきたのかわからないが、これは調度良いと思い、善鬼と『力』に力比べの勝負案を提示する。

 

「ワイヤーで綱引きはどうだ?」

 

「よぉし、乗った! お前もそれでいいな?」

 

『――ー♪』

 

 善鬼も『力』も問題ないと首を縦に振ってワイヤーの端っこを握って、、、

 

「始め!」

 

 鬼と『力』の綱引きが始まった。

 まずは遊びが入ってるのか、小手調べのように当人同士では弱い力でワイヤーを引っ張り合ってる。

 善鬼も『力』も長年探し求めてきた好敵手と出会ったかのように、楽しく、愉しく、互いの顔が凶悪に破顔しながら、ギリギリと力が強まっていく。

 

「「祐介くん!」」

 

「安倍の小僧」

 

「安倍!」

 

「桐生だ!」

 

 綱引きを始めて数分後に、クロウカードの気配を察したさくら達がやって来た。

 そして毎度のことながら、安倍安倍と……。

 

「えっと、これどんな状況なの?」

 

「『力』か……」

 

「ああ、善鬼曰く、この綱引きで勝てば大人しくなるらしいから、決着まで見てるしかない」

 

「んー、でも待てよ。 前、あの二人が比べあった時は、決着つかへんかった気するで?」

 

「あの……」

 

「ん?」「なんや?」

 

「片方はクロウカードの『力』さんというのはわかりましたが、もう片方の……えっと……」

 

「男の方だな。 あいつ只者じゃないぞ」

 

「そうだよ! あの人、祐介くんのお兄さんだよね?」

 

「そっか、あいつんのほんまの姿しとんのわいと安倍の小僧しかおらんな」

 

「さくらは前に会ったが、そう言えば改めて紹介してなかったな」

 

「「「え……」」」

 

 『力』と互角に綱引きをしている男を見て固まってたさくら達は、ケルベロスの言葉でようやく男の正体が善鬼とわかり、さくらと小狼は善鬼の魔力を感じ取ろうとしてるが……。

 

「本来の姿は封印状態に近いから、今の状態と魔力の波長違うぞ」

 

「…………っふぅ」

 

「みたい、だな。 恐ろしい程までの魔力だ」

 

 それもそうだ。

 あいつは腐っても安倍晴明が使役していた鬼だ。

 普通の陰陽師でも善属性の鬼とは言え、魔や気、力を感じ取るのは危険を伴う。

 ましてやさくらは元々が一般人だ。

 そろそろ……

 

「そろそろ魔力感知はやめといた方がいいぞ」

 

「本気になる! 小僧もさくらも今すぐ感じるんやめるんや!」

 

「う、うん」

 

「……わかった」

 

「行くぜぇ、主! 『力』!!」

 

『―――♪』

 

 さくら達が探るのを止めた瞬間、善鬼と『力』の周辺に魔力風が吹き荒れ、『力』の瞳が赤く、紅く、(あか)く輝き、善鬼の赤い目は黄金へと変わった。

 全開にして本気。

 たかが綱引きであろうと、鬼として力を司る精霊として負けない、負けられないという意思が宿った魔力が互いの身体に宿る。

 

「くっ……」

 

「きゃぁぁあああっ」

 

「知世ちゃん!」

 

「しもうた!」

 

 魔力を感じられない知世さんが、善鬼と『力』の魔力によって吹き飛ばされそうになるのを……

 

「っ……え……」

 

「オレの後ろに居ればいい」

 

 知世さんを魔力から遮るように前へと出て、後ろの知世さんに被害がないよう魔力の暴風を魔力の防壁を作って防ぐ。

 術じゃないただの魔力の壁だから消耗もそれほどないが、鬼と『力』の全開の魔力故にガツガツと魔力が減っていく。

 どれ程の時が経ったのか、体感ではすでに一時間はこうしてる気がするが、腕時計を見る限り『力』との綱引きを始めて二十分。

 ケルベロスが言ったように、善鬼だけでは決着が着かないのかもしれない。

 そう、思った時、『力』の魔力が急速に小さくなり、綱引き勝負も『力』が善鬼の方へと倒れ込んで、あっけない決着が着いた。

 

「『力』の根負けや……」

 

「流石は鬼、だな」

 

「勝負は着いたのでしょうか?」

 

「善鬼の勝ちで、な。 さくら、封印を」

 

「うん、汝のあるべき姿に戻れ!! クロウカード!!」

 

 勝負にも満足したのか、さくらが軽く杖を振って『力』をカードに戻し、カードは善鬼の主であるオレの下へとやって来た。

 こうして、『力』が起こした傍迷惑な事件は無事解決したんだが……。

 知世さんが『力』と善鬼との白熱した綱引き勝負をカメラに治める事が出来ず、せめてペンギン大王を『力』で元に戻すとこだけでも撮させて欲しいと言われた。

 

「別に構わないが、さくらを撮りたいんじゃないのか?」

 

「さくらちゃんの活躍は勿論、李くんや祐介くんの活躍も撮りたいと思ってますわ」

 

 と、笑顔で言われた。

 

「なら善鬼も撮ってみるか? ケルベロスも映りたがってたし、善鬼も案外……」

 

「あー、疲れたぜ。 つーわけで主ぃ~。 オレっち帰って寝る」

 

 オレが善鬼に話を振ると本来の姿から仮の姿へと戻った善鬼は、そう言うや否やビュンッと逃げ去るように帰った。

 結局、オレは手に入れたばかりの『力』を使って、ペンギン公園にある逆さまになったペンギン大王を元に戻した。




No.6 善鬼
容姿 Fateに出てくる巴御前の二本角が燕青(えんせい)に生えた姿で、本来は赤い瞳だが本気を出す場合は黄金の瞳になる
誕生日 不明
好きな食べ物 酒・肉
嫌いな食べ物 臭うもの
好きなもの 桐生祐介
好きな色 黄金
好きなTV番組 歴史番組
好きな花 サンザジ
今欲しいもの 酒
居場所 祐介の傍




アニメではさくらとゾウで漸く勝てた『力』ですが、自身を所持するに相応しい者を見つける為、ギリギリ勝てるレベルで力比べしたと予想して、今回、鬼という力の大妖と互角の勝負をさせました。
まぁ、昔馴染みの好敵手を目の前にヒャッハーしたのは否めません。

次話について祐介の婚約者が襲来する話かさくらカード編にすぐ繋げるか

  • 次話は祐介の婚約者襲来
  • 次話はさくらカード編
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