なにも知らない転生者がカードキャプターさくらの世界で活躍させる物語(仮)   作:極麗霊夢

15 / 27
第十三話 親戚来襲

 その日の夜。

 珍しくお客さんがやって来た。

 

 ピンポーン。

 

 という、チャイムが鳴り、誰かかな? と思いながらも玄関のドアを開けて閉めた。

 さらには鍵を掛けてチェーンまでして、これ以上ないってくらい入れないようにしたが、それでも怖かったので陰陽術で結界を張って、一息着いてリビングへ向かった。

 

「おー、主ぃ。 どったの? 結界まで張って……」

 

「ああ、ちょっと見ちゃいかん存在を見てしまっ……」

 

 善鬼の質問に答えながら、リビングの机でお茶を啜る女性を見てずっこける。

 何せオレがさっき玄関で見て、入ってこれないようにした人物だからだ。

 

「見てはいけない存在って、そんなに怖い存在が居るの?」

 

 丸いサングラスを外して、ニッコリと微笑みながら言うその女性は、母さんの知人であり、術師としては二流だが、手にした魔具で一流にもなれる御人。

 

「歌帆姉さん」

 

 安倍分家のまた分家辺りの観月家の次期当主。

 

「あ、それと正式に観月の当主になったわ。 2年前に……」

 

 観月家の当主。

 確か、当主前は巫女として修行の身だったかな。

 あと教師免許も持ってるとか……。

 

「で、何の用ですか? 明日に備えて早く寝たいんですが」

 

「まだ20(はち)時よ」

 

「良い子とご年配には十分寝る時間かと」

 

「屁理屈捏ねる子は良い子とは言えないから大丈夫ね」

 

「チッ……ああ言えばこう言う」

 

「なんでここまで嫌われてるのかしら……はぁ」

 

 わざとらしくため息を吐く。

 勿論、歌帆姉さんが直接オレに何かしたわけじゃない。

 ただ安倍家の次期当主にあたるあのアレに金魚の糞がごとき引っ付いてくる観月の者に散々苛められてたからかな。

 筋違いとは言え、園児のオレからすれば苛めてきた家系の人達全員が敵という認識だ。

 事実老害共とかは、その認識であってるだろう。

 

「別に勝手にオレが敵視してるだけです。 親戚が沢山だと下手に出るけど、一対一なら強気に出る小者なので、そんなにお気になさらず……出来ればこのまま何事もなく、立ち去って、この件について黙秘してくれたらなっと思います」

 

「黙っておくのはいいけど、立ち去ることは出来ないわ」

 

「は? なんで?」

 

「この町で教師することになったの。 あととある方から月峰神社の管理をすることになって、その事を巴さんに言ったら祐介くんの部屋が空いてるからって」

 

「ああ、そう……」

 

 理解した。

 これが、絶望。

 

 

 ○

 

 

 次の日、歌帆姉さんから弁当を持たされて、学校へ行った。

 教室に着いたら、小狼が貴史に向かって何か喚いてる。

 

「―――聞いたことないぞ!」

 

「うーん、中国関係は李くんが居るからだめか―――」

 

 中国関係の嘘を披露したのか? そらバレるわな。

 

「あ、そうそう、一時間目の算数、自習だよ」

 

「え、なんで?」

 

「暫くの間、算数の堤先生がお休みなんだって」

 

 貴史の言葉に椅子を引こうとした手が止まる。

 

 いや、ない、ない……とは言いきれないが、いや、それでもない。

 都合よく先生が長期休暇なんて、、、

 

「だけど、、、」

 

 チラリとさくらと李を見て確信する。

 やはり、教師として働くということはそう言うことなのだろう。

 

 そして時間は飛んでなんの変化もないただの日常を過ごして、オレは早々に家へと帰った。

 

「ただいま」

 

「おかえり~、主ぃ」

 

 ひょっこりと鞄から、キーホルダーサイズの青い玉の善鬼が顔を出して迎えて、家の奥からパタパタと足音がして、リビングに続く戸が開くと歌帆姉さんが顔を出す。

 

「おかえり、祐介くん」

 

「…………ただいま」

 

「今日ね、道端でさくらちゃんに会ったわ」

 

 何か言われる前に部屋へ行こうと脇を抜けた瞬間、歌帆姉さんがそう言ってきた。

 

「………………さくらに手を出すな。 あいつは一般人だ」

 

「あら、クロウカードを集めてる子が一般人なわけないでしょ?」

 

「観月っ!」

 

「フフッ安心して、安倍家からは何も言われてないわ。 だからそんな怖い顔しないで? ね?」

 

「…………信用、しといてやる。 一応な」

 

 そう言ってオレは、部屋に入って閉じ籠るように鍵を閉めた。

 

「祐介くん、晩御飯は?」

 

「要らない。 善鬼とどうぞ」

 

「……そう」

 

「主ぃ~」

 

 歌帆姉さんの残念そうな声と、何かにすがり付くような善鬼の声を聞かないフリをして布団を被って眠りに着いた。

 

 

 ●

 

 

 祐介くんが眠ると、私の側に居る鬼が本来の姿を見せる。

 

「聞かせてもらおうか。 主を挑発めいた事を言いやがって……最近になって漸く主は、昔のオレと出会った優しい主に戻ってたのに、あんたが、陰陽師(おまえ)が元に戻しちまいやがった!! 返答次第ではオレも容赦しねぇぞ」

 

 赤い目が『黄金』の目となって、鬼の言ってる事が本当であると如実に語っている。

 別に祐介くんを挑発した訳じゃないし、祐介くんがああなった理由もわからない。

 私が前に会ったのは鬼と契約する前の祐介くんだ。

 そう、祐介くんは昔はあんなんじゃなかった。

 

「祐介くんをあんなにしたのは貴方と契約したからじゃないの?」

 

「オレが! 主をそんな風にするか!! 主がああなったのは、あんたら陰陽師が追い詰めたからだ!!」

 

「……ねぇ、聞かせて、祐介くんに何があったのか」

 

「あんたが主の敵じゃねぇーってんなら教えてやるが、今はあんたを信用出来ねぇ」

 

「そう、わかったわ。 なら、その時が来るまで待ちます」

 

「一生、ねーかも」

 

 そう言って鬼は背を向けて、元の愛くるしい姿となってリビングの方へ行った。

 私は一度祐介くんの部屋の方を見て、自分の宛がわれた部屋へ行く。

 本当は一緒に食べようと思って料理したのだけど、その機会がないのなら……

 

「あ、片付け……」

 

 そう思いリビングへと向かったら、祐介くんの鬼が料理にラップして冷蔵庫の中へ入れていた。

 

「あん、んだよ」

 

「い、いえ、片付けてくれたのね」

 

「ハンッ! 上手そうだから勿体無いなぁって思ってただけだし! 不味そうなら捨ててたし!」

 

「フ、フフッ……ありがとう」

 

 この鬼は案外、いい子なのかも……祐介くんのように……。




観月歌帆先生。
安倍の家系の分家設定にしましたが、オリジナルです。
祐介が本家とか嫌いになった理由は、歌帆先生は関係ないです。
ただ祐介の子供の八つ当たりみたいなモノです。

次話について祐介の婚約者が襲来する話かさくらカード編にすぐ繋げるか

  • 次話は祐介の婚約者襲来
  • 次話はさくらカード編
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。