なにも知らない転生者がカードキャプターさくらの世界で活躍させる物語(仮)   作:極麗霊夢

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第十二話 最後のカード

 

「観月先生と祐介くんは親戚と聞きましたが、親戚仲良くないんですの?」

 

 知世さんから問いかけられた質問に、一瞬身体が硬直して知世さんの方を振り返る。

 知世さん、大道寺知世。

 魔法を知ってから親しくなった友達。

 歌帆姉さんの出現以来、自分を守ることで友達を避け始めたのは自覚してるし、相手に気取られないようにうまく隠すなんて器用なことは出来ないから、友達想いの彼女達、あるいは完全に何も知らない山崎貴史辺りから聞いてくるとは予想してた。

 まぁ、それでも心の何処かで、他人は人を避けてる人に近づかないと、前の世界を根拠に聞かれるわけないと楽観視していた事はある。

 いや、もしかしたら、聞いてきて欲しかったからだろうか? もはや自分の気持ちがよくわからない。

 

「………漫画とかでよくある話」

 

 優秀な母親の下で生まれた、、、ただ魔法が使いたいからという理由で、神様にその素質のある家系に子供として転生させられた凡人。

 そう凡人だ。

 由緒ある家系には、それ相応の才能を持つという義務がある。

 でないと生きている意味がない。

 幾世の世代交代で力が衰えていく安倍家にとって、オレの母親である桐生巴の血は才は大きく期待された。

 才ある遺伝子を後世に残さないといけないから、だけど産まれてきたその子供は親の才の足下にすら及ばない出来損ない。

 まだ(・・)安倍家に連なる者として末席に添えられてるのは、オレに流れる桐生巴の遺伝子、血だ。

 本家のお姫様と子を成せば、即座に処分されるだけの存在。

 

「……古い、旧いお家はね、複雑な(バカらしい)人間関係があるんだよ。 歌帆姉さんが悪いわけじゃない、オレがただ歌帆姉さんに八つ当たりしてるだけ」

 

「祐介くん…」

 

「さ、もう家に着いた。 オレはこれで」

 

 知世さんの家に着いたのを確認して、オレは(きびす)を返して帰宅する。

 

「主ぃ!」

 

 しかし家も間近で、鞄から善鬼が慌ただしく出てきて、感知が下手なオレでもわかる程、強い力を感じる場所へ………

 

「チッ」

 

 強い力を感じる場所へ行く前に、オレは元来た道を戻る。

 

「主ぃ!? そっちじゃねぇぜ!?」

 

 わかってる。

 善鬼の言わんとしてることは、ただの無駄な時間。

 だけど、封印される度に力が強くなっていく友枝町。

 残り数枚のクロウカード。

 オレの術者としての感が正しいのなら、最後は本当に間近で、カードも一気に来る。

 その残りのカードに、友枝町全体に被害が来そうなカードが現れたら、知世さんはさくら達の元へ行くだろう。

 カードが暴れてる町の中を、だ。

 その事を善鬼に話すと…

 

「でもよぉ、そんな都合のいいカード…」

 

「クロウカードの守護者の第一配下カードは『(ライト)』と『(ダーク)』だ! その次は四大元素の『(ウインディ)』、『(ウォーティ)』、『()』、『()』だ!」

 

「っ!!」

 

「火なら火事、地なら地震か地割れ…そんな中、一般人の知世を走らせれるか!!」

 

 走る走る。

 カードの気配は弱まったのを感じたが、町の中の力が更に大きくなった。

 そして――――

 

 

 「「っ!」」

 

 町は揺れた。

 

「こいつは…」

 

「やはりさっきの『火』のカードだったみたいだな」

 

 地面が割れ、地柱が友枝町全体に現れる。

 その地柱を好都合だと思い、駆け上がり跳躍強化の魔法で地柱をぴょんぴょん跳んでいくと、家から出てくる知世を見つけ、身体を抱き寄せて跳躍する。

 

「きゃっ! ゆ、祐介くん!!」

 

「引き返してきて良かった…さくらの勇姿を納めたいのはわかるが、少しは考えろ」

 

「は、はい、すみません」

 

「主ぃ!!」

 

「っ!」

 

 跳躍中を狙ってか偶然か、オレと知世の間に割って入ってきた地柱。

 思わず知世を離してしまう。

 

「キャァアアーーーー!!」

 

「知世!」

 

「主ぃ~! 土には!」

 

「木だろ! 知ってるよ!!」

 

 木行の札を握りしめ、急いで効果を発揮する。

 樹縛と呼ばれる魔術。

 オレの足場にしてる地柱からものすごい勢いで緑が、枝、葉、蔓が延びて落ちる知世を掴まえて、オレのとのまで持ってきてくれる。

 

「ふぅ、危なかった…」

 

「…………」

 

「? どうした?」

 

 キョトンとした知世を前に首を傾げる。

 もしや怪我でもさせて―――

 

「ふふ、知世ですか。 やっとさんを取ってくれましたね?」

 

「…………………え、あ!? や、ちが! そう! じゃなく!!」

 

「今度から知世と呼んでくださいね? …ね? ……ね?」

 

「あ、はい」

 

 オレは、彼女の圧に負けた。

 

「祐介くん、知世ちゃん!」

 

「おー、安部の小僧に知世」

 

「ん?」「え」

 

 上空から聞き覚えのある声と聞き覚えのない声が聞こえてきた。

 上を見るとそこにはさくらと、、、

 

「お、お前がその姿を取ってるとはな。 随分と久しぶりじゃねーの」

 

「善鬼、知ってるのか?」

 

「ああ、こいつが、こいつこそがクロウカードの封印の獣、太陽のケルベロスさ」

 

「ケルベロス!?」「ケロちゃん!?」

 

「どうや? かっこええやろ?」

 

 オレ達が驚くと、ケルベロスはフフーンとドヤ顔で言ってくる。

 その威厳ある姿の口から出る関西弁に違和感はあるものの、確かにかっこよくて納得できない。

 

「ハッどこが、俺の方が万倍カッコいいっつーの」

 

「おん? やるんか、青玉」

 

「おう、久々にやろうか?」

 

「やめろ、善鬼」「やめて、ケロちゃん!」

 

「「はい…」」

 

 オレとさくらの注意に二人揃って落ち込む姿を無視して、さくらはオレに話し掛けてきた。

 

「ねぇ、祐介くん、ここ、なんでこんなに緑が覆い繁ってるの?」

 

「確かにそうやな。 ここ、道路やろ?」

 

「オレの術で生やした」

 

 オレ達の立つ地の柱に生える木、その隙間から見える元の道を聞かれ、ここで何があったのか軽く説明すると、さくらが何か思いついたかのような輝かしい顔で空に上がった。

 

「やっぱり、木が倒れてないこと、祐介くんが木の魔法を使った事に関係性があったんだ! 『(ウッド)』」

 

 大地の龍がさくらへ襲い掛かろうとするが、それよりも先にさくらが『樹』のカードで力を封じ込める。

 

「今や、さくら!」

 

「汝のあるべき姿に戻れ!! クロウカード!!」

 

 さくらの杖が拘束した大地の龍をカードへ戻し、町は元に戻ってオレ達が立ってる場所も元に戻った。

 

「安部の小僧のお陰とはいえ、五行思想に思い至るとはな。 ま、流石はさくらや」

 

「………ケルベロス、いい加減さくらに魔法の勉強させたらどうだ? せめて相性や属性くらいは」

 

「ん? さくらはあのままでええ。 凝り固まった思想より、自由な発想を尊重したいんや」

 

 自由な発想……ねぇ。

 

 『(アーシー)』を封印したさくらは、オレ達と合流して小狼達が居る所まで案内した。

 途中、知世がさくらに衣装を着せたいからと、近くの大道寺系列のファッション店の試着室を借りて、太陽と月のマークが入った魔法使い風の服を着せ替えられてた。

 気絶してる雪兎さん、歌帆姉さん、小狼達と合流して、月峰神社へ。

 知世は『カード 全部取れておめでとう日』と言ってカメラを回している。

 

「そうですわ! もう最後のカードに名前は書かれました?」

 

「ううん、まだ」

 

「では、是非その場面を!」

 

「…さくら」

 

 知世とさくらが話してるのを、ケルベロスが横から声をかける。

 

「名前、書いたらカードは全部封印終了や」

 

「うん!」

 

 と、笑顔のさくらに対して、ケルベロスは真剣な顔をする。

 

 S A K U R A

 

 さくら、カードに名前を書き終えた瞬間、、、

 

「…準備は、ええか?」

 

「え?」

 

「…最後の『審判』よ」

 

 瞬間、オレの持つ『(イリュージョン)』、『(パワー)』、小狼の持つ『(ファイト)』、そしてさくらの持つすべてのカードが持ち主の周りを飛ぶ。

 

「カードが…!」

 

 驚くさくら、そして気絶してベンチに寝かせてた雪兎さんが浮き、魔法陣を展開し一対の翼に包まれた。

次話について祐介の婚約者が襲来する話かさくらカード編にすぐ繋げるか

  • 次話は祐介の婚約者襲来
  • 次話はさくらカード編
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