なにも知らない転生者がカードキャプターさくらの世界で活躍させる物語(仮) 作:極麗霊夢
最後の審判は無事終わり、『クロウカード』の新たな主は木之本さくらとなった日の夜。
オレの家に泊まっていた安倍家の親戚である観月歌帆さんが、友枝町で過ごす最後の夜にオレの部屋へとやって来た。
来た理由は予想がつく。
オレの安倍家全体への怒り、歌帆姉さんに理不尽な八つ当たりというか、子供が拗ねた態度を取り続けてることに関してだろう。
「単刀直入に言うけど、私が留学したあと何があったの?」
歌帆姉さんの言葉に、ため息を一つ。
いずれは聞いてくる、聞いてこないのは歌帆姉さんの優しさ、その優しさに甘えて精神的にはもう二十歳越えてるのに、子供のように八つ当たり、
魔術の家系は早熟にしても、オレのこれは転生したことで精神が成長しているだけだ。
まぁ、それはそれとして……
オレは善鬼を指差す。
「歌帆姉さん、こいつなんて名前かわかります?」
「?
首を傾げて、歌帆姉さんが答えたのは陰陽道にある『式紙』或いは『式鬼』と呼ばれる術で造り出される鬼の自動人形の術。
最後の審判の時に、善鬼の本来の姿を見てるとはいえ、善鬼があの安倍晴明が使役した『鬼』とは思ってないようだ。
「違うよ、彼は陰陽師が安倍晴明の『式神』を模して造られた『式鬼』じゃない。 かつて安倍晴明が使役した正真正銘の本物の鬼。 善き鬼と書いて
「よろしくなぁ~」
「…う、そ………」
此処で『式紙』、『式鬼』と『式神』について説明しよう。
まず陰陽道、陰陽術は現代では大陰陽師と謡われた安倍晴明が使ってた劣化式。
晴明が生きていた頃に多くの陰陽師も居たけど、今ではどれもこれも廃れ、安倍晴明が残したほんの少しの術式しか残っていない。
それを現代も生きる陰陽師の家系が自分流にアレンジして生き長らえていた。
そして『式紙』も例に漏れず、『式神』という術を原典に現代陰陽師が使えるようにしたモノで、原典の『式神』は鬼や魔性達を
そして歌帆姉さんが驚いてる理由は、現在安倍本家が認識してる『式神』二体の内、その一体が善鬼だからである。
「善鬼の契約方法は一つ。 陰陽師界で伝説とされてる瞳を一度は発現する事。 それが例えどんな間違いであっても、ね」
「だから、間違いじゃねぇ~よ。 オレっちは祐介を選んだんだ」
「伝説の瞳……」
式神・善鬼の契約方法、これは安倍本家が保管してる文献にも記載されているのだが、式神・善鬼に認められるには、かつての安倍晴明と同じ『黄金』に輝く瞳に一度でも一瞬でもいいから発現すること。
そしてオレの母さんである桐生巴の瞳は、昔は黒い瞳だったのだが今では黄金の瞳を常に発現してるのだが、善鬼曰く、、、
『アレは黄金じゃねぇ…くすんだ『黄金』つって欲にまみれた
と、現最強、安倍晴明の再来をそう酷評した。
「オレは自覚はないんだけどね。 本家のお嬢様と川で修行していたらトラブルが起きて、解決した頃には善鬼が…」
『よ! オレっちの名前は善鬼! これからあんたん所に世話になるぜ、よろしくな主!』
「と、言ってな」
「いやぁ、懐かしいなぁ~」
「それでお嬢様もそれを見たもんだから、本家ではてんやわんや。 オレはお嬢様の許嫁になるし、本家の陰陽師からはオレが母さんのような才能を持ってない無能だなんだと言ってくるし、善鬼の事を信じないわ、本当は覚醒なんてしてないだろだの言われて、ほんとムカつくよね」
オレが口にした事はほんの軽い妬み。
実態はもっとえぐい。
まず再度覚醒させようと、何度も命の危険が伴うことを何度も何度も何度も何度も何度も何度も何度もされてきた。
母さんに善鬼の相手をさせた隙に何度も…。
他人の危機に対して助けたいと言う気持ちで覚醒したのなら、自分自身の命が危険に晒された時、最初に覚醒した時以上に強く『黄金』が発現する。
それの思想を全員が正しいと判断し、誰も咎めなかったし、咎めようともしなかった。
本当に危ない時は、善鬼が助けてくれたけども、母さんですら……
『期待、してますよ』
漫画にしたらハートが付きそうな甘い言葉を聞かされた時、オレは『困ってる人が居たら助けるヒーロー』とかそんな甘い夢のような考えを捨てた。
「……………」
チラリと歌帆姉さんを見ると、顔を青ざめて絶句していた。
当然の反応と言えば当然の反応だろう。
全陰陽師が待ち望んだ『黄金』を再覚醒させる為に、そこまでするか?という行為を憎しみ込みで語られれば、まともな人間なら正気を疑う。
「…………ハッなぁんて、じょーだんだよ。 ただ本家の奴らが嫌いで、歌帆姉さんが本家の奴らと繋がってたら嫌だなぁって警戒してただけです、、、、よ?」
「じょ、冗談?」
「うん、冗談だよ。 安心してよ、歌帆姉さんが本家じゃなくてクロウ・リードの協力者だって今日初めて知ったから、もう警戒してないよ。 歌帆姉さんも初めっから教えてくれれば、知世やみんなに雰囲気変わったとか心配される事なかったのになぁ」
「そ、そう…ごめんなさいね」
オレの言葉の半分は信じてないだろう歌帆姉さんは、戸惑うようにオレに謝ってきた。
そう、半分……『まさか、本当に?』と『そうよね、巴さんがそんなことするはずないわよね』と半分疑い半分安心した表情で、だ。
「話も長くなったし、そろそろ寝ないと飛行機、寝坊して遅れたら目も当てられないよ」
「え!? あ! もうこんな時間!?」
時計を見て歌帆姉さんは慌ててオレの部屋を出ようとして、ドアノブに手をかけて止まった。
「私は祐介くんの味方だからね? もちろんさくらちゃんや李くんの味方でもあるけど」
そう言って歌帆姉さんは部屋を出ていった。
★
祐介くんと話して、今も震えが止まらない。
本家が行った非道な行為自体には確かにあり得る事だが、まさかあの巴さんが黙認していた事に、そして祐介くんのあの恐ろしいまでの力。
祐介くんには才能がない? とんでもない。
祐介くんの才能は飛び抜けてるのだ。
母親である巴さんと比較してるのが、その証拠よ。
巴さんはロンドンの時計塔ですら認める術師なの。
まだ小学生の祐介くんと大人の巴さんを比べる方がおかしいし、比べるにしても前提が違う。
巴さんが術師としての才は、16の時に安倍家より廃れた分家から現れたと母から聞いてる。
確かにあの才であれば16よりも前から、その力を振るっていてもおかしくないけど、本家の人間がそこまで調べるなんてことはないわ。
だから巴さんと祐介くんを比べるなら、それは祐介くんが16歳になってからが妥当よ。
と、本家の方に主張することが出来れば良いのだけど、私もイギリス留学の時に本家からは疎まれているし、巴さんに話を聞こうにも、話してはくれないだろう。
巴さんは祐介くんの事になると、口を閉ざす事があるから……。
だから私は祐介くんに手紙を書く事で、祐介くんは一人じゃない、ちゃんと味方が居ることを記す。
「エリオル…思ってた以上に貴方の旧友は拗れてるわよ」
☆
翌朝。
オレが起きた頃にはテーブルに一枚のメモを残して、歌帆姉さんはイギリスへ飛び立った。
『私は貴方が覚醒した事、信じるわ。 そして貴方にもさくらちゃんと同様に頼れる人達もいる。 観月歌帆』
次話について祐介の婚約者が襲来する話かさくらカード編にすぐ繋げるか
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次話は祐介の婚約者襲来
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次話はさくらカード編