なにも知らない転生者がカードキャプターさくらの世界で活躍させる物語(仮)   作:極麗霊夢

27 / 27
第三話 祐介

 結界を切り裂いたさくらを見て、改めて『クロウカード』ってヤバイなぁと考えてると、ふらりと目の前のさくらの身体が揺れて倒れそうになる。

 

「さくら!」

 

「ふにゃ…」

 

 慌てて小狼がさくらを支えて倒れることはなかったが、さくらは意識がなく、というよりもすやすやと眠りについていた。

 

「寝てる?」

 

「これは……」

 

 『クロウカード』を集め、日に日に増していたさくらの力が、最初に出会った頃並みに感じられにくくなってる。

 ちらりと星の杖と、ピンク色に変わった『クロウカード』を見ると、さくらの力の大部分は『クロウカード』の方に宿ったらしいが、これは力を使いすぎた現象なのだろう。

 そう判断して、オレはポケットから御守りを取り出してから、さくらに握らせる。

 

「それは?」

 

「周囲にある力を集めて、力が回復するのを早める御守りだ。 なんでか知らないけど、今度から『クロウカード』を使うときはかなりの力が必要みたいだからな」

 

 審判の日から町に集まった力が徐々に霧散してるのを善鬼が感知して、霧散するならと力をかき集め使えるようにしようと保険としてつくっておいたのだ。

 備えあれば憂いなし。

 作っておいて良かった良かった。

 

「!」

 

「? どうした?」

 

 この悪寒は間違いない。

 

 オレの背筋に走る悪寒。 昨日の今日で感じたからわかる。

 居る、間違いなく奴がいる。 此処は逃げる!!

 

「小狼、オレはさくらを保健室に連れてくから、先に先生や山崎、知世に言っといて! じゃ!」

 

「あっ! まったく…」

 

 オレは逃げるように走り、さくらを保健室に連れてって桃矢さんにさくらに起こるこれからの事と雪兎さんの事を報告する。

 これはオレの推論でしか無いが、今の雪兎さんは新しい主であるさくらの魔力とクロウ・リードが残した魔力で存在を維持してる。

 オレも善鬼という強力な鬼を晴明さんから引き継いでるからわかる。

 今のさくらの力では『クロウカード』を使う力、新しい『クロウカード』に変換する力、従者である『(ユエ)』の維持するための力が足りない。

 

「ケルベロスはその属性故に単身で存在維持出来るとは、善鬼が言っていたから問題ないとして、せめて雪兎さんにもさくらにやった御守りを渡さないとな」

 

 問題は町に集まった力が、もう無いことだ。

 

「こんなことなら御守りを二つに分けておくべきだったか、いや、それだと消耗が激しくなるだけ………仕方ないか、さくら達を巻き込んだ御詫びとしてコツコツ貯めてたのを雪兎さんに渡そう」

 

 ………桃矢さん、どうするんかな。

 

 

 ☆

 

 

「そうか……その力ってのを使いすぎて命の危険はないんだな?」

 

「ええ、ありませんよ。 すごく眠くなるだけです。 何回かやれば力の総量が増えていつも通りになります。 厄介事がさくらの周りに起こらなければ、ですが…」

 

「その辺については諦めてる。 だけど頼んだ」

 

「はい、それではオレはこれで」

 

「ああ………お前も怪我しない程度に気を付けろよ」

 

 笑って立ち去る祐介に俺はそう言って見送る。

 帰りが明らかに校舎でなく校門に向かってる所から、サボって帰るんだろうなとため息をつく。

 チラリと友枝小の校舎を見て、嫌な感じがあのガキのもんしか感じられないところを見ると、祐介の方に行ったのだろう。

 

「…………さくらを巻添えにしたこと、かなり気にしてやがったな」

 

 祐介とあの鬼と出会ったのが運動会。 さくらが隠れて何かしていたのはわかってたし、元々そういうのを感じ取れるナニかを持ってたから、あいつと会った瞬間にさくらと何かしらの関係があるんだろうなと察せた。

 だから俺は祐介と鬼にさくらが何をしてるのか、問い詰めて今後そういう事に巻き込まれた報告をしてもらってる。

 たぶん、そのせいで自分の家関連で巻き込んだ事に責任を感じてるんだろうが、俺からしたらさくらが怪我もなく無事ならそれでいい。

 そして……

 

「…………」

 

 星條高校の校舎を見る。

 あそこに居る俺の友達、そして親友である雪兎(ユキ)

 祐介は言った。

 ユキは普通の人間じゃねぇ。 それは俺も知ってる。

 そしてユキに宿る力は、いまのさくらの状態では維持できない。

 維持できないのなら、消えるか、余所から維持に必要な力を持ってくること。

 その一つにあいつから貰った御守り。 これをユキに渡すことでユキに宿る力の消耗が抑えられる。

 

「何やってんだか…」

 

 そうじゃない、そうじゃねぇだろ。

 さくらは大事だ。 雪兎も大事だ。 歌帆だって…。

 

『あの子をよろしくね、安倍家(わたし)じゃ、ダメだったから』

 

 さくらを助けてくれるからじゃねぇ。

 歌帆が頼んだからじゃねぇ。

 友達(ダチ)だから、助けになりたい。

 

 俺は一度職員室へ行って早退する旨を伝えて、星條高校を出る。

 

「つっても何処行けばいいんだ?」

 

「やれやれ、主ぃも鬼遣い荒いぜっぉわ!!?」

 

 ふわふわと視界の端に、もう一匹の友達(ダチ)を発見して善の頭を掴む。

 

「よぉ、善」

 

「あ、桃の兄ちゃん」

 

「俺を友達んとこ連れてってくれ」

 

「………良いよぉ、桃矢」

 

 善鬼は丸い目を細め、口角を上げた。

 なんでかな今さらだがこいつに名前で呼ばれて、友達になれたと思った。




桃矢さんの中で家族、親友、元カノ、クラスメート、そして少し離れたとこに祐介と善鬼が居ましたが、祐介&善鬼が友達という部類にランクアップしました。


ちなみにこの長い期間…これを延々と書いてたのでストックありません!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。