なにも知らない転生者がカードキャプターさくらの世界で活躍させる物語(仮)   作:極麗霊夢

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第五話 夏祭りと『幻』のカード

 夏休み。

 7月下旬から8月いっぱいまである夏の長いお休み期間。

 クラブがある人は練習とかあるみたいだけど、生憎と無所属なオレにとって夏休みは宿題がいっぱい出る休みって認識だ。

 

「そういえば、夏祭り今日だっけ?」

 

「主、主ぃ~」

 

 今日夏祭りと知った善鬼は目を輝かせて、オレの足にすがり付いた。

 恐らくは夏祭りで出る屋台飯が目当てなのだろう。

 しかし、しかしだ。

 夏祭りに魅力を一切感じない。

 屋台飯は高いし、浴衣だけど着物系は本家で嫌と見てるから新鮮味ないし、当たりクジを引いてもどうでもいいような玩具が当たるだけだし、射的とか中らないし、もういいとこなんてこれっぽっちもない。

 

「いいか、善鬼。 夏祭りなんてのはな高額商品で一般庶民の金をこれでもかと毟り取るためにあるんだぞ」

 

「や、それ主に運がないだけだし、オレっちが欲しいの焼きそばとか焼きもろこしだから、じゃがバターもいいかなぁ!!」

 

「…………ああ、木之本の気持ちがわかった。 つか、長い付き合いのオレがなんで今さらにこいつの食い意地に気付くのおっせぇーの?」

 

 いや、あれはただ遠慮がないだけで、善鬼は元々遠慮してたのかな。

 

 

『おお~主ぃ~新作ゲームだぜ! 買って買って!』

 

『主ぃ~これ美味そうだな! 食えば幸せだろうなぁ』

 

『主ぃ~本殿より出店でなんか食べようぜぇ~』

 

 

 等々……考えるのやめた。

 

「とりあえず今回は断る」

 

「っ!!」

 

 絵にすれば、まさにΣ(゚д゚lll)こんな感じの顔をした善鬼。

 まったく、行く気がないと最初っから言ってるのに、、、

 

「はぁ……」

 

 最近多くなった大きなため息を一つ吐いて、財布の中を確認する。

 中身は五千円ぐらいで、出費は嵩むが必要経費と割りきって外出用の服に着替える。

 流石に夏祭りをジャージ一つで行きたくない。

 

「?」

 

 部屋のドアに手を掛け、いまだショックを受けてる善鬼へ目をやると、善鬼は首を傾げていた。

 

「………………………………はぁ、今回だけだからな!! 来年は行かないし、予算は五千円未満だ!!」

 

「主ぃ~~~!!」

 

 

 ○

 

 

 善鬼にせがまれて夏祭りに来た。

 焼そば500円、フランクフルト500円、たこ焼400円、はし巻き400円、焼き鳥全種1800円、ベビーカステラ300円、チョコバナナ500円、かき氷400円、計4800円。

 

「…………本当に五千円未満だが、ギリギリ……だと」

 

 とんでもない額に一瞬意識を飛ばしたが、気絶してもどうしようもないと美味しそうに食べる善鬼を眺めて明日の事を見ない振りをした。

 

「あ、主ぃ~」

 

「んだよ、もう買ってやれんぞ」

 

「じゃなくて」

 

 なんか煮え切らない善鬼にどうしたんだという意味を込めて、振り返ると後ろから、、、

 

「「「「きゃーーーーっ」」」」

 

「クロウカードの気配だ」

 

 甲高い悲鳴と一緒に善鬼が教えてくれた。

 

 

 

 夏祭りも終わり、件の池へとやって来た。

 

「うん、間違いないぜ主ぃ」

 

「そうか」

 

 池へ善鬼が気配を探るとクロウカードがあることがわかり、オレは池の近くまで歩いていく。

 だがある程度近付くと、ポゥと池が光り、中から着物を着た女性が三人も居た。

 

「………………ああ、これはクロウカードだ」

 

『『『………………』』』

 

 喋らないのか喋れないのか、三人はただ頬笑むだけだ。

 

「なにをどうやってるか知らないが、オレの前でその三人の姿を(かたど)るってことは、倒してくださいお願いしますと言ってるもんだぞ……鏡像」

 

「あ、たぶん無理だぜぃ」

 

「あん? なんでよ」

 

「ありゃ、特殊カードだ」

 

「特殊カード?」

 

「そそ、ある一定のクリアー条件を満たしてねぇと封印出来ないんだぜ。 ま、その条件ってのも詳しくはわかんねぇんだけどもな」

 

 善鬼の言葉に、ならば木之本を待つかとその場で待機した。

 別に何も襲ってこないただ惑わせるだけの鏡像を前に、居座っても何ともないしな。

 

「お母さん!?」

 

「あら、桐生くんも居ます」

 

「って、さくら今なんて言った?」

 

「お母さんだよ! ほら!」

 

 と、木之本が指を差してるのは、オレからは着物を着た女性が三人。

 それでオレは成る程っと納得して駆けて通り抜けていく木之本の服をグイッと引っ張って放り投げた。

 

「あ、痛っ」

 

「うおーい! 何すんや小僧!!」

 

「飛び込んだら沈められるぞ。 というか鏡像に向かっていくな」

 

「鏡像? んー? 確かに漂っとるだけやな……こりゃ特」

 

「特殊カードだろ。 特徴は全員見たものがバラバラ。 見たくないモノか見せたいモノだけのクロウカードとかあるか?」

 

「ああ、あるで『(イリュージョン)』や!」

 

 ケルベロスがそう言った途端、万華鏡のような模様になった。

 

「ビンゴや! さくら!!」

 

「カードは!?」

 

「恐らくは池の中だろうな」

 

「だったら、、、水よ、我が眼前を揺蕩う水面を開け、『(ウォーティ)』!」

 

 木之本が四大元素の一、水のクロウカードを使ってモーゼのように水面を割ると、池の中からカードが一枚あった。

 それを木之本は杖を振りかざして……

 

「汝のあるべき姿へ戻れ、クロウカード!!」

 

 『幻』をカードへと戻した。

 そのまま木之本の方へ行くのかと思ったら、『幻』はオレの方へやって来てオレの手に収まった。

 

「ほえ? なんで?」

 

「あーん、やっぱりか。 クロウカードはな。 力を抑え込んだ者のとこへ行くんや」

 

「え、でも封印したのは私だよ?」

 

「その前やな。 小僧が『幻』の奴を実体化させ続けたせいで、あいつの力も弱まっとったんや。 まぁ、ゲームで言うなら貢献度っちゅーもんや」

 

「それでは桐生くんもカードキャプターですわね」

 

 まずい、このままだと嫌な予感しかしない。

 

「せやな。 まぁ、さくら以外がなるんのは癪やけど、今回ばかりはしゃーない」

 

「でしたら早速寸法を! カードキャプターとなるのでしたら相応のコスあら?」

 

 大道寺の言葉を最後まで聞かず、オレは逃げるように家に帰った。

次話について祐介の婚約者が襲来する話かさくらカード編にすぐ繋げるか

  • 次話は祐介の婚約者襲来
  • 次話はさくらカード編
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