なにも知らない転生者がカードキャプターさくらの世界で活躍させる物語(仮)   作:極麗霊夢

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仕事が忙しくなってくるので、幕間投下。
8月まで投稿はありません。
更新再開が早くて9月の中頃かと思います。


幕間 青玉と桃

 これは一人の青年と一匹の鬼のお話。

 

 友枝小学校の運動会で大量に降ってきた花の掃除を終えて、木之本桃矢は懐かしさから一人で友枝小学校を回っていた。

 外から教室、体育館、プールなどを見て回り、あんまり変わってないなーと思いながらも、回ってると不意に何かが見えた。

 木之本桃矢は本人も自覚してるが、多少所ではない霊感を見れるほどの力を持ってる。

 その力は霊感、魔力と呼ばれるモノだ。

 今回もそんかこの世に未練がある幽霊かと思ったが、よく目を凝らして見るとソレとしか形容しがたいソレは、幽霊ではなかった。

 少なくとも桃矢が知る限り、どの生物も当てはまらない。

 ソレは青白く―――この時点で生物としておかしい―――、バレーボールのような丸い、そしてお前、それで何を狩って生きてんの?と言わんばかりのチョコンとマスコットみたいな手足を生やして、頭部? たぶん頭部には、手足と同じような大きさの―――たぶん、頭に生やしてるから角がある。

 

「鬼……なわけねーよな?」

 

 怖くないし、と呟いて桃矢はその青玉に声を掛けた。

 

「お前、なんだ?」

 

 と、言ってて人の言葉を解す知能があるには見えないと思い、なにやってんだかなぁと頭を掻いて立ち去ろうとしたら、後ろから声が、というよりも返事が来た。

 

「オレっちに話し掛けて返事を待たずに立ち去るとかどうよ? せめて返事くらいはさせろよ」

 

「な!?」

 

 驚いた。

 それは見た目に反して人の言葉を解いし、返事を、しかも日本語というか人間の言葉を発したからだ。

 見た目以上の知能があることに、今日一番の驚きが上書きされた。

 もちろん、さっきまでの一位は着物姿で爆走する最近新しく出来た友達の母親だ。

 まぁ、それはともかく。

 

「喋っ……人語を理解した? お前の何処にそんな知性があんだ?」

 

「おまっ……初対面(じゃねぇけど、オレっちが知ってるだけだし)に対して、そんなこと言う? 失礼だろ」

 

 説教された。

 ここに来てまさかの説教。

 しかも非常識的存在から常識マナーの指摘。

 何処と無く悔しいが、確かに礼を失したのはこちら側故に大人しく謝罪をした。

 

「すまん、驚きすぎて、つい」

 

「いいよぉ、謝ってくれたし」

 

 素直に謝るとにっこりで良いのか、細いボタンみたいな目を細めて許してもらえた。

 意外に心が広い。

 

「まぁ、言葉を話せるならもう一度聞くけど、なんだ、お前?」

 

「…………ま、知らない生き物との遭遇じゃあ、そうなるか」

 

「?」

 

 青玉の言葉に理解が出来ず、首を傾げる桃矢。

 青玉、、、もう面倒なので善鬼は、他人の名を聞くならまずは自分の名を名乗れと言いかったのだろう。

 それも礼儀として当たり前だが、桃矢が言ってるのはそこじゃないぞ、善鬼。

 

「オレっちは善鬼(ぜんき)。 善き鬼と書いて善鬼だ」

 

「いや、名前を聞いた訳じゃなくって鬼なのか? あ、俺は木之本桃矢(きのもととうや)だ」

 

 もう何が起きても驚かない自信はあった桃矢も驚いた。

 幽霊はまだ良い。

 さくらについてる変なのは、、、よくはないがまぁまだ良い。

 しかし、まさか鬼とは……あれ、鬼って恐くなかったっけ? と、桃矢が首をまた傾げる。

 

「なぁ、鬼って恐いよな?」

 

「まぁ、人間にとっての恐怖の対象ではあるな」

 

「可愛いんだが」

 

 そう、可愛いのだ。

 女の子が居れば、キャー!と黄色い悲鳴を上げて抱き締めるくらいには可愛い生き物が鬼。

 いくら、善い鬼だからと言ってそう変わるモノか? いや、そもそも善い鬼って名前だけで、、、

 

「鬼に向かって可愛いとはなんだよぉ~、全然嬉しいぜ!」

 

「嬉しいのかよ!? あと名前通り、善い奴みたいだな」

 

「ああ、その辺は保障するぜぇ~。 人に害成したらオレっち死ぬからな」

 

 桃矢の長年培ってきた幽霊を見る目は、鬼にも通用したらしく目の前の鬼に悪い感じがしない桃矢は、善鬼に気を許した。

 もし、出会いが入れ替わっていたら好きになるほどだろうと、自分が人外のそれも男を好きになりやすいとか、昔付き合ってたあいつが知ったらどう反応するか……いや、知りたくないなと頭を振って、善鬼に問い掛ける。

 

「なぁ、鬼って祭りごと好きって聞くけど、今回の花もしかしてお前じゃないよな?」

 

「あ、それはちげぇよ。 確かに好きだけどよ。 あれだけ降れば中止になるくらいは知ってる。 好きな祭りを中止にさせるなんざ本末転倒だろ?」

 

「そうだな。 いや、悪いな疑って」

 

「…………」

 

「? どうした?」

 

「いや、人間にしちゃ素直だなって感心してる。 普通ならもっと疑うだろ? それにお前、、、うん、主みたいに良い匂いだ」

 

「? 臭うか?」

 

 くんくんと自分の袖を嗅いだりするが、善鬼は違う違うと小さな手を動かして、そういう意味じゃないと答える。

 

「ふぅ~ん。 まぁ、でもなんで今回なんだ?」

 

「なにが?」

 

「ほら、運動会は年に一回だろ? もしかして今まで来てた?」

 

 桃矢の言葉にやっと理解した善鬼は、来てたぜぇと答える。

 実際、去年も一昨年の運動会も善鬼は来てた。

 それは弁当を作って主と一緒に食べるために……。

 

「うちの主は料理出来ねぇからな。 オレっちが作ってやらねぇとダメなんだ。 だから弁当を持って主の応援してる」

 

「その主ってのは? ああ、秘密なら構わないが」

 

「それは内しy」「あ、いたいた。 おーい、善鬼……」

 

 内緒と言おうとした善鬼の後ろから、祐介の声が聞こえて桃矢と祐介の目がガッチリ、バッチリ合った。

 

「「「…………………………」」」

 

 無言。

 祐介に至っては全身冷や汗を今まさに流してる。

 桃矢の察しの良さに、黙認してくれてるとこはあったが、これはダメだろう。

 アウトだ。

 何がアウトかと言うと、まず善鬼と会話してる、ワンアウト。

 祐介が善鬼を探してる事から、善鬼と祐介に線が結んで関係者だとわかる、ツーアウト。

 言い逃れ、思い付かない、スリーアウトである。

 

「はぁ……お前のか。 ………………なんか今日は驚きの連続で疲れた。 で、俺はこのことさくらに黙ってればいいか?」

 

「桃矢さんっ!! ありがとうございます!!」

 

「おう」

 

 そう言って桃矢は、善鬼にまたなと声を掛けて立ち去った。

 後日、桃矢から家に呼ばれると、善鬼の分を合わせたおやつを作ってもてなされることになる。

 そして善鬼も味を占めたのか、さくらが居ない時には堂々と桃矢の側で餌付けされいた。




木之本桃矢さん、空気が読めるスーパーお兄ちゃん。
さくらがケロちゃんを隠すならどうもしないし、ケロちゃん自身隠れたり、ぬいぐるみの振りで誤魔化すならなにも言わない(ジーッと見るけど)。
しかし、交友を持てば友達になって雪兎みたいに接してくれます。
そんなイメージですね。

次話について祐介の婚約者が襲来する話かさくらカード編にすぐ繋げるか

  • 次話は祐介の婚約者襲来
  • 次話はさくらカード編
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