なにも知らない転生者がカードキャプターさくらの世界で活躍させる物語(仮)   作:極麗霊夢

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第八話 バレンタインデー

 夜。

 友枝町を駆ける木之本とオレ、さらには小狼と雷の獣。

 当然、雷の獣はクロウカードであり、名は『(サンダー)』。

 神が人々を罰する時に使われる災害の一種。

 そして象るそれは肉食獣の姿であり、性格は狂暴だ。

 この二つが組合わさったモノが簡単なモノな訳がない。

 

「しかし雷かぁ……」

 

 オレの周囲では扱える人間が最低でも二人ほど知ってるが、アレを木之本が扱えるようになると三人か?

 

「主ぃ、羨ましいのか?」

 

「べっつにぃ~、雷なんて所詮は金行の術の敵じゃないしぃ~」

 

「グルァァアアアーーーーーッ!!!」

 

「安倍の小僧! そっち行ったで!!」

 

 ボソリと呟いた言葉が聞こえたのか、『雷』は「じゃあ、やってみろ」と言わんばかりに全身の雷を(ほとばし)らせながら突貫してきた。

 此処はせめて雷撃の一つの方が良かったが、こちらに来るのであれば……。

 

「神の名を持つ厄災を退けるは、白き虎の爪。 散らせ、白虎之爪」

 

 『雷』がオレに触れる寸前、腰に下げてた虎の爪を使った装具の魔力が溢れて白き虎の(かいな)が顕現。

 『雷』に向かって振り下ろして、『雷』をさくらの方へと弾き返す。

 

「今だ!」

 

「封印や!!」

 

「汝のあるべき姿に戻れ!! クロウカード!!」

 

 

 

 ○

 

 

 『雷』を封印した翌日。

 もうすぐバレンタインということもあって、世間ではチョコレートの安売りだったり、美味しいチョコレートのお店が話題になったりしてる。

 そしてバレンタインと言えば女の子の、女子のイベントだ。

 生憎とオレの周りの女性は、この友枝町で知り合った友人が騒いでいて、幼少の頃は無縁のイベントではあったが、引っ越してきてからは違う。

 三原から義理とはいえ貰ったことがあるし、何より善鬼からも貰える。

 まぁ、それはさておきクロウカードなんだが、世間がバレンタインと賑わっていても悪さをする機会があればする。

 なんでも木之本と大道寺がチョコを買いに行った店で、影が動いて商品棚を倒したとか。

 幸いにも近くというかたまたまバイトしてた桃矢さんが、下敷きになりそうになった仕事仲間を体張って助けた為、大きな怪我人はでなかった。

 下手をすれば桃矢さんが大怪我をするかもしれないというのに……。

 だから……

 

 

 

 夜。

 木之本に誘われて件の店にやって来た。

 

「ここか」

 

「うん」

 

「いまのさくらは(つよ)うなっとる。 クロウカードが何処におるかくらい探れるはずや。 まずは気配を」

 

「主ぃ~、主ぃもクロウカードが起こす事件でさらに強くなってるはずだぜぇい。 違和感を」

 

「探るんや!」「探るんだ!」

 

 木之本は目を閉じ、周囲にクロウカードの気配を探り、オレも感覚を研ぎ澄ませながら次の一手を使えるよう符を用意しておく。

 一時、木之本と目を合わせて頷き合い、木之本が一柱の電柱を指差す。

 

「あそこ!」

 

 すると電柱の影に潜んでいたクロウカードは、自身の一部を伸ばして襲い掛かってくる。

 だが、その動きは予想範囲故に相手を拘束しようと、符術で木に干渉して枝を鞭のように伸ばして拘束するが、クロウカードは枝に捕まることなく枝を通過して、その先の木之本に襲う。

 

「何!?」

 

「『(フライ)』!」

 

 クロウカードの攻撃が届く前に、木之本は『翔』のカードを使い大道寺と共に空へと逃げて危機を脱した。

 

「ほ……」

 

 木之本達に怪我がないのを確認して、ほっと安心するも何故拘束が効かなかったのかを考え、ケルベロスと善鬼がクロウカードの正体を教えてくれた。

 

「そいつは『(シャドウ)』や!!」

 

「影故に物理的な拘束や攻撃に効果はないぜ!」

 

「どうすればいいの?」

 

「まだ、手こずってるのか」

 

 木之本がケルベロス達に知恵を借りようと声をかけると、住宅街の屋根の上に式服に身を包んだ小狼が立っていた。

 

「小僧! 『影』はな攻撃カードでこそないけど、クロウも扱いには困っとったくせ者なんや!」

 

「ふん、やりようならいくらでも出来る」

 

「おぉう! ならやってみせぇや!!」

 

 ケルベロスの煽りに、小狼は背負っていた剣を抜く。

 

「雷帝招来、急々如律令。 雷撃!!」

 

「そうか! 影は光が当たったら消えてしまう! 流石、クロウの一族! クロウカードのこと、ちょっとは知っとるようやな!」

 

 二節の呪文を唱え、迫り来る影に向けて雷を放って影を散らし、ケルベロスも見直したようだが、、、

 

「でも、あの方法では」

 

「夜間中の影に対処できない!! もっと強い光が必要だ」

 

「くそ!」

 

「ケロちゃん!」

 

「『影』本体を停止させることが出来ればええんやけど、『影』はクロウカードの中でも、一、二位を争う素早いやつなんや!」

 

「『影』のカード以外の影は『影』に操られてるだけで、光を当てたら消える! 主ぃ!!」

 

「ああ……」

 

 オレの友達を傷付けた事は許さんぞ! 『影』!!

 

 今、持てる魔力。

 その全てを符に込めて放つ。

 

「五行十二支……火午(かご)招来」

 

 ボゥッ!とポニー型の火が現れて、オレの命令を待つ。

 『影』も新たな敵に影を操って襲おうとするが、火午の火の灯りに当てられて効果はない。

 

「駆けて抜けろ!」

 

『⬛️⬛️⬛️■■■⬛️⬛️■■⬛️⬛️⬛️!!』

 

 馬とは想像もつかない声で鳴き、火午は動いてる影の中心点を囲うように走り、火の軌跡を残すことで影を消していき『影』の本体を炙り出すが、すぐに逃げようと自分の体を薄めていく。

 

「あかん! 逃げるで!!」

 

「さくら!」

 

「『(ソード)』!」

 

 しかし逃げる『影』が動いた先はさくらがおり、さくらは咄嗟の判断で『剣』を使い『影』の体の一部を地面に縫い付け止めた。

 

「おお! 『剣』のカードが切るもんは使てる者の心しだい! 『剣』やったら『影』にも触れる!」

 

「いまだ!」

 

「汝のあるべき姿に戻れ! クロウカード!」

 

 『影』をカードに戻し、さく……木之本がオレの所へやって来る。

 

「大丈夫?」

 

「ああ、魔力を使いすぎた……だけ、だ」

 

 今ある魔力の全てを使って火午を出したオレは、魔力欠乏から来る強い眠気に耐えながらも膝をついていた。

 

「ふん、情けない」

 

「そんなこと言わなくても」

 

「だが、その年で十二支の姿を模した術、四聖獣の力を一部だけとはいえ使えるのは素直に凄いと思う」

 

「……………………ふが、え、何?」

 

「っ!! ひ、人が折角!!」

 

 オレが眠気に負けようとしてすんでんで耐えたフリをして、聞き返すと小狼は顔を真っ赤にして怒鳴ってきた。

 いや、別に聞こえなかったわけじゃなく、単に誉めなれてないせいで恥ずかしいやら何やらで、あ、ダメだ、本格的に眠い。

 

「まぁまぁ、許してやれよ。 主ぃも今日は頑張ったからな。 そろそろ寝かせてぇのさ」

 

 善鬼の言葉を最後にオレの意識は深い眠りについた。

 しかし、深い眠りにつく前に、、、

 

『この程度で消耗したのですか? 相変わらず才能がありませんね、ゆうくんは』

 

 オレを見下し、自分が選ばれた人間であるかのように誇示する本家の次期当主(クソ女)の言葉を夢で見た。

 




前の話でも一回ありましたが、主人公がさくら達の名前を呼ぶ時は無意識です。
あと危ないときに口の滑りがいい下の名前をいってしまうという理由ですかね。

次話について祐介の婚約者が襲来する話かさくらカード編にすぐ繋げるか

  • 次話は祐介の婚約者襲来
  • 次話はさくらカード編
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