ゆっくりと息を吸い込み、吐きながら目を開けた。
視界は不明瞭でどこかぼんやりとしている。瞬きを何度か繰り返してもまだあまり頭が働かず、ようやく自分が眠っていたことに気がついた。
ーなぜ、私はこんなところで眠っていたのかしら。
しかし、理由を思い出そうとしても思い出せない。体を起こし立ち上がって辺りを見回す。自分がいつも寝起きしている部屋出ないことは一目瞭然だったし、その部屋に広がっていた光景は異常だった。
周囲は臙脂色のカーテンに囲まれており、中央には木製の証言台がずらりと円形に並んでいる。そして、なにより異常だったのは、広い部屋の中に横たわる少女達の姿だった。
どの少女もすやすやと寝息を立てていることから、自分と同じように眠っていることがわかる。
「あの、ねぇ、大丈夫?」
ひとまず、1番近くにいた女の子に声をかける。マゼンタ色の髪を頭頂部で両端に結んだ子。そして、首には首輪のような機械がついている。
ーどこか、見覚えがある気がする。
けれど、思い出せない。もしかしたら、気のせいかもしれない。
「ん、んー・・・」
その子はようやく意識を戻したのか目をこすると体を起こして思い切り伸びをした。そして、辺りを見回すと「ええっ!?なにこれっ!」と声を上げ、私に気がつくと目を見開いた。
「あ、あなた、誰っ!?」
「私は雪城ほのか。あなたは?」
その質問に、女の子は姿勢を正して私をまっすぐ見つめると
「私は夢原のぞみ!よろしくね、ほのかちゃん」
ハキハキとした声でそう言った。
「ん・・・もー、のぞみ、うるさいっ・・・」
「えー?もう朝ぁ・・・?私、まだ眠いよぉ・・・」
「え!?朝、ヤバっ、遅刻しちゃう!!」
「ふわぁーよく寝たぁ・・・って、なにこれぇ!?」
夢原さんの声に、数人が目を覚ました。1人が茶色のショートが外側にはねた活発そうな子。夢原さんのことを知っているみたい。まだ眠たそうに目をこすっている。
そして、マゼンタの髪を黄色のリボンで両サイドにまとめた子はまだ半分意識が夢の中なのか、ぼんやりとしている。
長い茶色の髪の女の子は、髪をもう結んでいるのにやっぱりまだ寝ぼけているのか頭に手を伸ばして髪を結ぼうとしている。
やっぱり、他の子にも夢原さんと同じ機械がついているみたいだ。
そして、最後の一人は、
「なぎさ!!」
「って、ほのかっ!?」
私と一緒にプリキュアをしている、美墨なぎさだった。茶色のショートカットの髪は寝癖でところどころはねているけれど、間違いなくなぎさだ。
なぎさの声に残りの子達も続々と目を覚ます。その中には、私たちの仲間、ひかりの姿もあった。
「みなさん、なんで、こんなところに?」
私たちに気がついたひかりが声をかける。どうやら、他の子達もなにかのグループだったみたいで集まり始めている。
夢原さんも、さっきの茶髪の女の子と他の子と合流したようだ。
「わかんない・・・。気がついたらここにいて・・・」
なぎさが首をかしげた。
「はいっ!みんなちょっと聞いてー!!」
その時、一人の女の子が大声をあげて証言台の中央に躍り出た。後ろ髪がカールしたマゼンタ色のハーフアップポニーが特徴的。
「ちょ、マナ!いきなりやめなって・・・」
その子の友達なのか得頭部を一部三つ編みにした紺色の髪のロングヘアの子が止めようとする。しかし、大丈夫、大丈夫というと、マナ、と呼ばれた子はまた大声で叫んだ。
「誰か、私たちがここにいる原因を知ってる人はいるー?」
その言葉に一斉にガヤガヤと騒がしくなる室内。
「はーい!私、知ってますっ!」
その声に悪寒が走った。声をするほうを見つめると、そこはずらりと立ち並ぶ証言台の中央にあった裁判官席のような木製の椅子の上に一人の女の子が座っていた。2つにまとめられた水色の髪に真っ赤に輝く瞳。黒を基調とした制服はどことなく禍々しさを感じさせる。
「おおっ!!じゃあ、早速お願いしますっ!」
マナさんがそう言うとその子はニヤリと笑って
「だって、私が皆さんに殺し合いをさせるためにここに集めましたから」
と言った。
言葉の意味が一瞬理解出来なくなる。
ー殺し合い?どういうことなの・・・?
「な・・・」
私は無意識のうちに声を発していた。
「何言ってるの!?そんなこと、出来るわけ・・・」
「やる前からできないなんて言っちゃダメですよ!ほら、やればなる!とか言うでしょう?」
呆れたような仕草をする少女だが、私の言葉に呼応するかのように、なぎさが一歩、前へ進み出た。
「ほのかの言う通りよ!突然そんなこと言われたって・・・っていうか、あんた、誰!?」
「そんなの、嘘ですよね・・・?」
「そんなことを突然言われても・・・」
「ふざけたこと言わないで!さっさと家に返しなさい!」
「あなたの目的はなんなの!?」
続々と反論が浴びせられる。もちろん、声に出さずとも考えていることは、皆同じだった。
「はい。じゃあ、1つずつ質問に答えていきましょう。まず、最初のキュアブラックこと、美墨なぎささんの質問からですね。」
ーなんで、なぎさがプリキュアってことを知っているの!?
辺りを見回すと他の子も驚いているようだ。なぎさとひかりもやはり驚きを隠せていない。
「私は、ライア。と申す者です。以後、お見知りおきを」
椅子から飛び降りてぺこりとお辞儀をするけれどその態度は私たちをどこかバカにしているような雰囲気だ。
「で、キュアブロッサムこと花咲つぼみさん。残念ながらこれは、嘘ではありません」
ーキュアブロッサム?つまりあの子も
「プリキュア・・・なの?」
なぎさ半ば放心状態で呟いた。
「私たち以外にもプリキュアがいたなんて・・・」
と、ひかりも驚きを隠せない。
「えーっと、キュアピース、こと黄瀬やよいさん。残念ながら予定外のことが突然降り掛かってくるのが社会。諦めて受け入れましょう。」
黄色の髪の女の子がさっきのマゼンタ色の髪の子の服の袖をぎゅっと握っているのが目に入った。
「キュアマジカルこと朝日奈みらいさん。これまた、残念なことにおうちに返すわけにはいかないんですよねぇ・・・」
「そして、最後にキュアホイップこと宇佐美いちかさん。私の目的はあなたたちがお互いに潰し合うように監督することです。」
「だから、誰が潰し合いなんて・・・」
「・・・そんなこと、絶対させないんだから!」
私となぎさが叫ぶ。そして、ひかりとも目を合わせると、変身の構えになる。
「デュアル・オーロラ・ウェーブ!!」
「ルミナス・シャイニング・ストリーム!!」
「デュアル・スピリチュアル・パワー!!」
「プリキュア・メタモルフォーゼ!!」
「スカイローズ・トランスレイト!!」
「チェンインジ・プリキュア・ビートアップ!!」
「プリキュア・オープン・マイハート!!」
「レッツプレイ!プリキュア・モジュレーション!!」
「プリキュア・スマイルチャージ!!」
「プリキュア・ラブリンク!!」
「プリキュア・ドレスアップ!!」
「プリキュア・くるりんミラーチェンジ!!」
「プリキュア・きらりんスターシンフォニー!!」
「プリキュア・プリンセスエンゲージ!!」
「キュアップラパパ!ダイヤ!ミラクル・マジカル・ジュエリーレ!!」
「エメラルド!フェリーチェ・ファンファン・フラワーレ!!」
「キュアアラモード・デコレーション!!」
「みらいクリスタル!ハート、キラッと!」
部屋中が眩い光に包まれたかと思うと、次の瞬間現れたのは・・・
「光の使者、キュアブラック!!」
「光の使者、キュアホワイト!!」
「ふたりはプリキュア!」
「闇の力の僕たちよ!」
「さっさとお家に帰りなさい!!」
「輝く命、シャイニールミナス!!」
「光の心と光の意思、全てをひとつにするために!」
「輝く金の花、キュアブルーム!!」
「きらめく銀の翼、キュアイーグレット!!」
「ふたりはプリキュア!!」
「聖なる泉を汚す者よ!」
「アコギな真似はおやめなさい!!」
「大いなる希望の力!キュアドリーム!」
「情熱の赤い炎!キュアルージュ!」
「弾けるレモンの香り!キュアレモネード !」
「安らぎの緑の大地!キュアミント!」
「知性の青き泉!キュアアクア !」
「希望の力と未来の光!華麗に羽ばたく5つの心!Yes!プリキュア5!」
「青いバラは秘密の印!ミルキィローズ!」
「ピンクのハートは愛あるしるし!もぎたてフレッシュ!キュアピーチ!」
「ブルーのハートは希望のしるし!つみたてフレッシュ!キュアベリー!」
「イエローハートは祈りのしるし!とれたてフレッシュ!キュアパイン!」
「真っ赤なハートは幸せのあかし!うれたてフレッシュ!キュアパッション !」
「フレッシュプリキュア!!」
「大地に咲く一輪の花!キュアブロッサム!!」
「海風に揺れる一輪の花!キュアマリン!!」
「陽の光浴びる一輪の花!キュアサンシャイン!」
「月光に冴える一輪の花!キュアムーンライト!!」
「ハートキャッチ!プリキュア!!」
「爪弾くは荒ぶる調べ!キュアメロディ!」
「爪弾くはたおやかな調べ!キュアリズム!」
「爪弾くは魂の調べ!キュアビート!!」
「爪弾くは女神の調べ!キュアミューズ!!」
「届け!4人の組曲!スイートプリキュア!!」
「キラキラ輝く未来の光!キュアハッピー!!」
「太陽さんさん熱血パワー!キュアサニー!!」
「ピカピカぴかりんじゃんけんぽん!キュアピース!!」
「勇気リンリン直球勝負!キュアマーチ!!」
「しんしんと降り積もる清き心!キュアビューティ!!」
「5つの心が導く未来!輝け!スマイルプリキュア!!」
「みなぎる愛!キュアハート!!」
「英知の光!キュアダイヤモンド!!」
「陽だまりぽかぽか!キュアロゼッタ!!」
「勇気の刃!キュアソード!!」
「愛の切り札!キュアエース!!」
「響け!愛の鼓動!!ドキドキプリキュア!!」
「世界に広がるビッグな愛!キュアラブリー!!」
「天空に舞う蒼き風!キュアプリンセス!!」
「大地に実る命の光!キュアハニー!!」
「夜空に煌めく金色の星!キュアフォーチュン!!」
「ハピネス注入、幸せチャージ!!ハピネスチャージプリキュア!!」
「咲き誇る花のプリンセス!キュアフローラ!!」
「澄み渡る海のプリンセス!キュアマーメイド!!」
「きらめく星のプリンセス!キュアトゥインクル!!」
「真紅の炎のプリンセス!キュアスカーレット!!」
「強く」
「正しく」
「美しく」
「GO!」
「プリンセスプリキュア!!」
「ふたりの奇跡キュアミラクル!」
「ふたりの魔法キュアマジカル!!」
「あまねく命に祝福を!キュアフェリーチェ!!」
「魔法つかいプリキュア!!」
「元気と笑顔を!レッツ・ラ・まぜまぜ!」
「キュアホイップ、できあがり!!」
「知性と勇気を!レッツ・ラ・まぜまぜ!」
「キュアカスタード、できあがり!!」
「自由と情熱を!レッツ・ラ・まぜまぜ!!」
「キュアジェラート、できあがり!!」
「美しさとトキメキを!レッツ・ラ・まぜまぜ!」
「キュアマカロン、できあがり!!」
「強さと愛を!レッツ・ラ・まぜまぜ!!」
「キュアショコラ、できあがり!!」
「夢と希望を!レッツ・ラ・まぜまぜ!!」
「キュアパルフェ、できあがり!!」
「キラキラ☆プリキュアアラモード!!」
「みんなを応援!元気のプリキュア!キュアエール!!」
「みんなを癒す!知恵のプリキュア!キュアアンジュ!!」
「みんな輝け!力のプリキュア!キュアエトワール!!」
ーえ?みんな、プリキュア・・・なの?
そんな疑問を払拭するかのようにライアがニヤニヤと笑いながらまた椅子に座って、指を鳴らした。
その途端、私たちの目の前に真っ黒なカードが飛んできた。そのカードには村人って書いてあるけど・・・
「このカードは、一体・・・」
キュアビューティと叫んでいた子が不安げに声を上げる。
「変身してもらったところ、非常に申し訳ないのですが・・・みなさんには、リアル人狼ゲームをしてもらいます!!」
人狼ゲーム・・・?
「人狼ゲームって、何かしら・・・?」
キュアパッションと名乗っていた子が首を傾げる。
「先にこいつを倒した方が早いんちゃうん!?」
「いやいやいや、話ぐらい聞いてあげようよ。サニー」
キュアサニーとキュアマーチのやりとりに今にも飛び出さんとしていた子達も静止する。
すると、ライアがやれやれとでも言うように首を振ると、手から炎を出してそれをプロジェクターの画面のように長方形の形にした。すると、そこに狼の駒と人間の駒が数個映し出される。
「人狼ゲーム、とはまず、今配ったカードに人狼か貧相な服を着た人の絵、またはそれ以外のイラストが書かれていますよね?」
ライアが言う貧相な服の人〜は村人のことだろう。
「あ、自分のカードに何が書いてあったかは言わない方がいいですよ。」
少し話が長かったので要約すると
・ゲームマスターであるライアの指示には絶対に従うこと
・村人側と人狼側にわかれる
・人狼は夜になったら村人をひとり襲わなければならない
・朝になったら襲撃された人以外が起床し、被害者が誰かの報告を受ける
・起床後は生存者同士で、誰が人狼かこの裁判場で話し合わなければならない
・話し合いの場は真実を言うも嘘をつくも自由
・話し合いのあとは自分が人狼だと思う人に投票し、人狼を処刑
・人狼が全員処刑されれば村人側の勝利
・人狼側と村人側の人数が同じになったら人狼側の勝利
「で、あとさっき言った人狼と村人以外の役職についてなんですけど・・・」
これもわかりやすくまとめると
・村人側と人狼側、それぞれに味方をする役職がある。
・村人側の味方の役職
村人
なんの能力も持たない一般市民
女神
1度だけ、死んだ人間の蘇生が可能。
騎士
夜の間に、一人だけ護りたい人間を決めてその人を守る ことができる。なお、騎士が守った人間は人狼に襲われない。しかし、騎士は自分を守ることは出来ない。
霊能者
昼の裁判で処刑された人間が人狼側だったのか村人側だったのかわかる。
占い師
夜の間に1人を選んでその人を占うことでその人が人狼側か村人側かわかる。なお、狂人は村人側として占ってしまう。
恋人
二人一組の役職であり、お互いに自分が恋人であることを互いに知っている。
ハンター
村人の人数が5分の3になった時に人狼と思わしき人物を襲える
猫叉
人狼に襲撃されたらランダムに人狼を道連れに出来る。また、処刑対象になってしまった場合、指定で誰かを道連れで共に処刑させることも出来る。
吟遊詩人
1度だけ、自分への投票を無効化し、自分が指名した人を処刑させられる
人狼側
人狼
夜の間に人狼以外のプレイヤーを1人襲撃し、殺すことができる。また、人狼が複数いる場合、他の人狼と狂人を全て把握できる。
狂人
勝利条件が異なる他は村人として扱われ、予言者や霊媒師にも村人と判断される。嘘をつくことなどによって村人側を混乱させ、人狼に有利になるように動く役割を持つ。特殊な能力は持たない。
第三陣営
妖狐
人狼に襲撃されても死なないが、予言者の能力の対象になると死んでしまう。占い師や霊媒師には村人と判断される。村人か人狼、どちらかが勝利条件を満たしたとき、自分が生存していればそのチームの代わりに勝者となる。ただし、妖狐は妖狐同士を把握していない
道化師
人狼に襲撃されても死なないが、処刑対象になると死んでしまう。占い師や霊媒師には村人と判断される。なお、人狼を二人は必ず把握しているが、村人が勝利すると死亡する。
下僕
村人の半数が死亡した時に人狼側か村人側か、どちらに入るか決めるとこができる。なお、一度下した決定は変えられない。
「以上ですが、なにか質問はありますか?」
呑気なライアの声。
「ちょ、ちょっと待って!!人狼に襲われた人はどうなるの!?」
キュアホイップの問いかけにライアはくすりと笑った。
「そりゃあ、死にますよ。あ、あと処刑されても死にますね」
「し、処刑されたら、し、し、し、死んじゃうんですか!?」
キュアレモネードが悲鳴をあげる。
「・・・これ以上、この茶番に付き合う必要はなさそうね」
キュアムーンライトがすっと構えをとると周りにいたハートキャッチプリキュアも構えをとる。
私も飛び出そうとしたけれど、誰も動かない。代わりに響いたのは
「いたいっっっ!!!」
「な、なんですか!?これっ!!」
「うあっ・・・あつっ!!首がァ・・・」
首に焼けるような痛みが・・・
「私に逆らおうとたり少しでも逃げ出そうとしたら、即殺します。今回は軽く火傷をつけただけですけど、次は首の骨も溶かしますからね」
その言葉と共に暑さが消える。
「では、みなさん。もう1回、カードを確認してくださいね。そのカードにもう一度触れたら、個室まで自動的にワープします。ああ、あとそのカードは自動的に消えてしまうので役職を忘れてしまわないようご注意ください」
「あ、人狼側の人は別の部屋にワープされるので注意してください。では」
そう言うと、ライアは消えた。
「こんなの・・・」
キュアプリンセスが肩を震わせる
「こんなの、絶対おかしいよ!!」
「・・・その通りだよ。」
キュアサンシャインが賛成する。
ー メップルやミップルはどうしてるのかしら
ふとそう思い、目の前を浮かぶカードに触れないように気をつけながら、変身を解いてミップルに声をかける。
けれど
「ミップル?ねぇ、どうしたの?」
「メップルー?」
「ポルン・・・?」
反応が、ない。
「どうしたんですかー?」
夢原さんの声とともに私たちに注目が集まってしまう。
「い、いえ、実は・・・」
「あたしたちの妖精、まぁミップルとメップルとポルンって言うんだけど、さっきから反応がないの!!」
その言葉にマナさんこと、キュアハートの顔が少し青ざめた。
「ね、ねぇもしかしたら・・・」
「ダビィたちも・・・?」
次々と自分たちの妖精の確認をし始めるけれどどの子もやはり反応がないよう。
「・・・どーなってんのよこれ・・・」
キュアトゥインクルが途方に暮れたように呟いた。
「私たち・・・殺しあわなきゃいけないんですか・・・?」
キュアカスタードが不安げな声を上げる。
「・・・そ、そんなわけ・・・」
ルミナスが励ますように応えるけれどこの場ではその言葉はあまりにも空虚だった。
「・・・ねぇ、みんな」
沈痛な雰囲気の場と化した裁判場で夢原さんが声を上げた。
「自己紹介、しない?ほら、私たち自分たちのグループ内のプリキュアのことしか知らないでしょ?」
その言葉についていたはにかんだ笑顔になぜか心が和んだ。
「そうね・・・私は、雪城ほのか」
私が応えたことで呆然としていたなぎさも少しは気を持ち直したのか
「あたしは、美墨なぎさ。」
そして、みんな続々と続いていく。
「私は、九条ひかりです。」
「私は日向咲!」
「私は、美翔舞です」
「私は夢原のぞみ!!みんな、よろしくね!」
「あたしは夏木りん、よろしく」
「私は・・・春日野うららです・・・」
「私は、秋元こまちです。よろしくね」
「私は、水無月かれん。よろしく」
「私は、美々野くるみよ。よろしくしてあげないこともないわよ?」
「私は桃園ラブ!!みんな、よろしくね!」
「私は蒼乃美希。よろしく」
「私は・・・山吹祈里」
「私は、東せつなよ」
「わ、私は、花咲つぼみ・・・です。よ、よ、よろしくお願いします!」
「もーつぼみったら、なにどもっちゃってんの!!あたしは、来海れいか!ひとまず、よろしくっす!」
「あははは。私は明堂院いつき。みんな、よろしくね」
「私は月影ゆり。よろしく」
「私は北条響!んでこっちが・・・」
「はじめまして、南野奏です」
「私は、黒川エレンよ!」
「どうも、調辺アコです」
「え、え、っと・・・わ、私は、星空みゆき、です!」
「ウチは日野あかね!みんな、よろしくな!!」
「わ、わたしは、黄瀬やよい・・・」
「アタシは緑川なお!なお、って呼んでね!!」
「私は青木れいかです。よろしくお願いします」
「私は、相田マナだよ!」
「菱川六花です。」
「私は、四葉ありすですわ。これからよろしくお願いします」
「・・・剣崎・・・真琴です・・・」
「円亜久里ですわ。よろしくお願いします」
「私は愛乃めぐみ!よろしくね!!」
「わ、私はし、白雪姫ですぅ・・・」
「私は、大森ゆうこ。ここにハニーキャンディーがあったらみんなに分けてあげるんだけどな・・・」
「ゆうこは相変わらずお節介ね。私は氷川いおなよ。よろしく」
「御機嫌よう。私は春野はるか。よろしくね」
「御機嫌よう。私は海藤みなみです」
「御機嫌よー。アタシは天ノ川きららって言うんだ。よろしくね」
「御機嫌よう。私は紅城トワですわ。以後、お見知りおきを」
「私は朝日奈みらい!よろしくね」
「もう!ちょっと、タイミング合わせましょうよ、みらい!あ、そうだった、私は十六夜リコ。んでこの子が」
「はー!花海ことはだよ!よろしくねっ!」
「わたしは宇佐美いちか!!スイーツ作りが大好きです!よろしくね!!」
「私は・・・有栖川ひまりです・・・」
「あたしは、立神あおい!ロックバンドをやってまーっす!よろしく!!」
「私は琴爪ゆかり。よろしく」
「私は、剣城あきら。よろしく」
「あ、えーっと。私は、野乃はな!よ、よろしくね!!」
「私は、薬師寺さあや。よろしくね」
「私は輝木ほまれ。よろしく」
「えーっと・・・これで、全員かな!!」
夢原さんがそう言うと、他のメンバーはほっと息を吐いた。
.・━━━━ † ━━━━・.
「さて、これからどうするつもり?」
美希の言葉に考え込むのぞみ。
「どうしよう・・・って言われても・・・」
「下手に動いたらライアに殺されかねないし・・・」
考え込む舞とせつな。
「うーん。」
祈里がうなる。
「それなら、私たちの魔法でこの首輪を・・・」
リコがそう言うと、みゆきの目が輝いた。
「え!?リコちゃん、魔法使いさんなの!?」
「そ、そうなんだけど・・・杖がないから魔法が使えない・・・」
「でも、すっごいね!!」
「ぬぉい!話がそれとる!!」
話がそれかけたリコとみゆきにあかねが突っ込む。その様子に皆、思わず笑いがこぼれた。
「ひとまず、みんな、部屋に戻っても何もしないとかは・・・」
ラブがそういった直後
「あのさ・・・もし、もしもなんだけどさ・・・この中に既に、誰か殺そうとか、考えてる人いないよね・・・?」
突然の爆弾発言に一瞬で空気が凍りついた。
「ちょ、ひめっ!」
めぐみが止めようとするものの、ひめは喋り続ける。
「あ、あんな痛い思いしたくないもん・・・みんなも、そうでしょ・・・?」
「た、確かに、あんな痛いのは嫌です・・・でも、だからって人を殺そうなんて・・・考えませんよね!?」
ー幸いなことに私は村人だった・・・だけど、誰が人狼側かわからない今、迂闊に人が信じられない状況になってしまったのは事実・・・
「・・・あのさ、それ、今言っていい話?」
りんが口を開いた。
「ネガティブなこと言ったってどうにもならないじゃん?理由はよくわかんないけどこんなことに巻き込まれちゃったんだし。」
「な、なら人狼が誰も殺さなきゃ・・・」
やよいがおどおどとした口調で述べた。しかし、
「あら?それは少し軽はずみじゃないかしら?」
ゆかりがその台詞を遮る。
「それって、人狼になった人に死ねって言っているのと一緒ってことでしょう?」
「ちょ、そんな言い方!!」
なおが少し語気を荒げる。
「と、とりあえず、みんな落ち着こうよ、ね?」
マナが仲介しようとするが喧嘩は白熱する一方だ。
「だいたい、最初にあなたが【なんでここにいるかわかるか】なんて質問をしなければ、ライアも出てこなかったのよ!」
と、美希が口調を強める。
「それは、マナのせいじゃないでしょ!?マナはみんなをまとめようとしてくれてたのよ!」
立花が美希に噛み付く。
「っていうか、あなたがあんなこと言わなきゃこんなことにならなかったのよ!」
響がひめを睨みつけた。
「どっちにしろこういうことにはなってたでしょう?ひめだけのせいにしないでよ。黄瀬さんや有栖川さんも乗っかってたじゃない。」
「でも、元はと言えば、白雪さんがそんな話し出したのが悪いんだろ!?」
衝突するいおなとなお。
「っていうかー。こんなことしても時間の無駄じゃない?」
「確かにそうだけど、そういう言葉は少しトゲがあると思うわよ?」
かれんがきららを睨みつけた。
「ちょ、ちょ、みんな、落ち着こーよ?ね?」
「そ、そうですよ〜。ひ、ひとまず冷静になって・・・」
のぞみとつぼみがどうにかして止めようとするがマナの時と同じで効果はない。
「っていうか、さっさと人狼と狂人が名乗り出ればいい話じゃん。多分、人狼の方が少ないんだしさ」
ほまれがボソリとつぶやく。
「それはちょっとないんじゃない?」
なぎさがそれを諌めるがほまれはどこ吹く風といった様子だ。
「あーもう、みんな静かにするっしゅ!!」
「あなたが1番うるさいわよ!?」
イライラしていたエレンが騒ぎ始めたえりがを睨みつけた。
「・・・うるさい」
「確かにうるさいけど、口に出していうことないんじゃないの?」
アコが呟いた言葉を聞いていたのかまことがアコに苛立つ。
「ちょ、ね、もうやめようよ・・・」
「・・・そう思うならもう少し大声で仰ったらどうかしら?」
嫌味のつもりはないのであろうが元から人見知りの激しいみゆきはトワの台詞に縮こまった。
「もう、いいかしら?」
突如、響いた凛とした声にあたりは静まり返った。声の主は月影ゆりだった。
「こんな話をしていても、それこそ時間の無駄よ。」
「こうなってしまったのは仕方ありません。なら、最悪の事態にならないように早く帰って最善策を練るべきではありませんか?」
そして亜久里も同じく仁王立ちでゆりの横に居た。
「・・・それも、そうだねー。じゃあ、アタシ、先帰るわー。」
そう言うと、きららはカードに手を触れてワープしてしまった。それと共に、パラパラと減り始める人。
結局残ったのは、ほのか、ひかり、咲、舞、のぞみ、こまち、ラブ、つぼみ、いつき、奏、れいか、マナ、ありす、ゆうこ、はるか、みなみ、ことは、いちか、あおい、はな、さあやだけであった。
「あんな雰囲気のままで大丈夫かしら・・・」
こまちが不安げに目線を落としため息を吐いた。
「絶不調なり・・・」
咲もため息を吐いている。どうにか他のメンバーも残そうと話しかけたものの聞く耳を持た無いものや、早く休みたいと言う者が多く、これ以上の人数は残せなかったのだ。
「はー・・・。」
ことはの元気がないのは、リコとみらいがきららが帰った後にそれに続くかのようにさっさとワープをしてしまったからだろう。
「なぁ。嘘でもいいからさ、ここにいるメンバーは自分の役職を言っていかないか?」
突然、あおいがそんな声を上げた。
「それもそうね・・・せめてこのメンバーだけでも団結しておかないと・・・」
奏がそれに賛同すると、やはり、ほのかが口火を切った。
「私の役職は、村人。」
すると、それに続いてひかりも
「私も村人です。」
と、言った。
「私と舞は恋人だったよ」
と、咲が言うと賛同するように舞もこくりと頷いた。
「わたしは、えーっと・・・漢字が読めない・・・」
のぞみががくりとうなだれた。
「私は、霊媒師、でした」
こまちがにこやかに言うとそれに続いて元気よくラブが
「はーいっ!私は村人でーす!」
と言った。
「私も、村人でした」
「僕も、村人」
つぼみといつきも村人だったようだ。
「私は、響と恋人。」
奏が少し悲しげに言った。パートナーがこの場にいないのはやはり心細いのだろう。
「私は、騎士、でした」
れいかがそう言うとマナとありすは同時に「村人です!!」と言った。
「私は・・・女神、かな」
ゆうこがにっこりと微笑みながら言った。
「私は、村人かなー」
「私も村人だったわ」
はるかとみなみも村人だったようだ。
「はー!えーっと、これ、なんて読むのかなぁ・・・?」
ことはものぞみと同じように首をかしげた。
「えーっと・・・あたしは吟遊詩人だね!」
「私は普通に村人だー」
あおいといちかはお互いにニコリと微笑みを交わした。
「えっとー、私は・・・ごめんなさい。私も感じが読めません」
「私も・・・女神、だね」
のぞみ、ことはに並んではなもまた漢字が読めなかったようだ。
「さあやちゃんも女神だったってことはやっぱり重複する役職は幾つかあるみたいね・・・」
ゆうこが言うと、みなみも少し考え込んでから口を開いた。
「ひとまず、薬師寺さんと、大森さん、こまちさん、立神さんはほかの人には役職を村人と偽った方がいいかもしれないわ。」
その言葉にのぞみが首を傾げる。
「のぞみさん。人狼は、村人が減ったら勝ちだから、村人が蘇るのはまずいし、道化師や妖狐にしてみてもあまりどの役職の人が死んだかはバレて欲しくないのよ」
とこまちが説明をすると、なるほど、というようにぽんと手を打った。
「今のところ、騎士とわかっているのは青木さんだけだから、ひとまず今晩は、青木さんに大森さんを守ってもらいましょう。」
「それがいいと思います」
さあやの賛同にうなずくはなたち。
「なんか、こういうのって同盟?みたいな感じでカッコよくない?!」
「同盟・・・ね。すっごくかっこいいね!!」
のぞみの言葉にいちかが賛同した。
「なら、一層の事、同盟ってことにする?」
いつきが笑いながら提案するとのぞみ、ラブ、いちか、はるか、はな、ことはがこくこくと頷いた。
「うーん。なら、なんて名前にしましょうか」
みなみが考え込む。すると、こまちが
「なら、希望同盟、なんてどうかしら?」
と、提案した。
「なんで、希望なんですか?」
はるかが不思議そうに尋ねるとこまちはニッコリと微笑んで
「どんな時でも希望を捨てて欲しくないから、この名前がいいんじゃないかな、って思ったの」
と言った。
「うん!それ、いいと思う!!」
「よーし!!じゃあ希望同盟で、けってーい!!!」
咲ものぞみもノリノリである。
「じゃあ、これからは夜時間になる前にみんなで会合みたいなのを開きましょうよ」
舞の提案に、
「それ、いいですね!」
とつぼみが賛同した。
「なら、これから会長?的なのも決めたいよね!」
奏の言葉にラブが「ぽくなってきたね!!」と微笑んだ。
「会長は、やっぱりみなみさんだよね!」
と、のぞみが言うとみなみは首を振った。
「私は、あなたがいいと思うわ。のぞみさん。」
「えっ!?私?!」
「えぇ。あなたが1番空気を和やかにさせてくれたんだもの。」
「うん!わたしものぞみちゃんでいいと思う」
「私もさんせーい!」
「うふふ。のぞみさんでけってーい、ね」
ゆうこ、ことは、こまち、他のみんなも賛成し、会長はのぞみ、ということになった。
「は、初の大役だけど、頑張ります」
「そうそう!その意気だよ!」
汗をダラダラとながすのぞみの方を咲がぽんと叩く。
「うんっ!よーし、これから希望同盟のみんなで頑張っていくぞっ!けーって「マイクテスト、マイクテスト」え!?」
のぞみの決意の言葉に乱入してきたのはライアの声だった。姿は見えないので大方放送でもかけているのだろう。
「えー、まだ裁判上に残っている人がいるようですね。人狼の収集の邪魔になるので、さっさと帰ってください」
ピンポンパンポーン
とデパートの放送のような音までつけてライアは放送を終えた。
しばらくしんと静まり返る希望同盟メンバー。
「じ、じゃあ、そろそろ帰ろっか」
「そうだね・・・じゃあ、また明日。」
「うん!また明日ね!」
ひとり、また一人と別れの言葉を告げて帰っていく希望同盟メンバー。
彼女達の心には死ぬかもしれないという絶望だけではなく自分のグループのプリキュア以外にも仲間が出来たという安心感と希望があった。
「みなさん。おはようございます。人狼ゲーム、初日。死亡したのはなんと二人。さっさと確認しに行ってくださーい。繰り返します・・・