ラブライブ!〜ヤンデレファンミーティング〜   作:べーた

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書いた私自身が我慢できないので、2話連続投稿します。


第11話 追憶と、引き金【高坂穂乃果】

『穂乃果の手作りおはぎ、絶対食べに来てね!放課後、待ってるから!』

 

今思えば、その時から彼に惹かれていたんだと思う。

 

男の人がちょっと苦手だった海未ちゃんも、同世代の男子に興味津々のことりちゃんも、だんだん彼に惹かれていって、私たちは一緒に過ごすようになった。

 

生真面目な彼も、いつの間にか呼び方は下の名前になって。私たちもしゅー君、修也、しゅーくんって呼ぶようになったのは……廃校の紙が貼られるちょっと前だったっけ。

 

でもそんな日々も、突然変化が訪れたんだよね。私たちが、スクールアイドルを始めたから……。

 

UTXのモニターで、輝くスクールアイドルを。A-RISEを見た瞬間!

 

 

この時、私の中で最高のアイデアが閃いた!

 

これだ、見つけた!!

 

スクールアイドルなら、廃校なんてなくせるんじゃないかって!

 

一刻も早くこのアイデアを聞いてもらいたい気持ちで、私は一番にしゅー君達のところに駆けていった。

 

「みんな~!みてみてみて~!!」

 

「どうしたの穂乃果ちゃん」

 

「アイドルだよアイドル~!」

 

そんな突拍子のない提案にも、彼はしっかりと聞いてくれて。

 

「いいんじゃないか、スクールアイドルっていうのも。俺も最近勉強しなきゃって思っててさ。……え? あ、ああ。『男友達の間でも流行ってるから』さあ……」

 

そう言ってくれたのが、本当に嬉しくて。

 

周りにいろんなことも言われたけど……

 

 

「アイドルはなしです!」

 

「お前らが、アイドル……?」

 

「あと2年間。自分の為に何をするべきか、よく考えるべきよ」

 

 

それでも私は学校の為に何かしたい、諦めきれない!

 

私、やっぱりやる!やるったらやる!!

 

ってときも……

 

「穂乃果がやるなら、俺は応援する。何か手伝わせてくれ!」

 

って言ってくれたよね。覚えてる、忘れるわけないよ。

 

 

初LIVEの時だって……

 

「一生懸命頑張って、私たちがとにかく頑張って、届けたい!」

 

「今、私たちがここにいる、この思いを!」

 

「いつか、いつか私たち、必ず、ここを満員にしてみせます!」

 

絵里ちゃんにそう言った私を、しゅー君は全力で守ってくれた。

 

「それが、穂乃果の夢なんだな」

 

「なら俺は、応援する。穂乃果の本気に応える!」

 

「夢がかなわないなんて、辛すぎるもんな」

 

「穂乃果。俺をマネージャーにしてくれ!」

 

淡い恋の気持ちから、本気で男の人として大好きになっちゃったのは、あの時だったんじゃないかな。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

「修也はね、貴方たちと一緒にスクールアイドルをする中で、『ずっと』つらい想いをしてきたの」

 

「彼の夢は私が一緒にかなえてあげる。貴方たちは彼の目標でいてくれればいいわ」

 

「貴方たちの眩しすぎる輝きで、これ以上、修也の心を傷つけないで」

 

 

 

———————私はあの人との話が終わって、先に家に帰って、晴れ着も脱いで。

 

ただベッドに力なく寝転んでいた。

 

泣き疲れて、もう涙も出ない。

 

彼がどれだけ辛い思いをしながら、私たちを助けてくれてたのか。

 

どんな思いで、私の告白を断ったのか。

 

それがわかってしまって……。

 

私にスクールアイドルを始めるきっかけを作ったあの人に、奪われて。

 

 

「しゅー君、私、どうしたらいいのかわからなくなっちゃったよ……」

 

 

本当につらいだけだったのかな。

 

あの人の言う通り、私はもう、しゅー君に近づかない方がいいのかな……。

 

そう考えていると、家のドアが開いて、階段を上る音が聞こえてくる。

 

毎日聞いている軽い足音は部屋の前で止まると、中に入ってきた。

 

 

「お姉ちゃん……?やっぱり、帰ってたんだね」

 

「雪穂……」

 

 

想像通り、足音の正体は雪穂だった。

 

晴れ着のままだし、亜里沙ちゃんと初詣に行って、ついさっき帰ってきたみたい。

 

「お帰り。おみくじどうだった?」

 

「う、うん。大吉だったんだけど……」

 

「良かった。きっと、音ノ木坂も受かってるよ……」

 

そう力なく語る私を心配そうに見つめる雪穂。

 

ごめんね、今ちょっと、辛くて。こんな風にしか返せないの。

 

でもそんな私に、雪穂は思わぬ言葉を口にした。

 

 

「お姉ちゃん。あのね……。修也さんに、会ったの」

 

 

———————しゅー君に?

 

 

その言葉で、思わず私は起き上がって、雪穂に詰め寄る。

 

「しゅー君は、しゅー君はなにか言ってたの!? どこで、誰と!?」

 

「お、お姉ちゃん、怖いよ……!」

 

そう言われて、思わずいつの間にかつかんでいた雪穂の肩を離す。

 

—————そんなに、怖い顔をしてたのかな。

 

ごめん、と謝って続きを促すと、雪穂は恐る恐るだけど話してくれた。

 

「あのね……修也さん、お姉ちゃん達のこと嫌いになったわけじゃないって。むしろ『大好きだった』って。伝えてくれって、言われたの」

 

「大好きって、私のことを、しゅー君が……?」

 

「お姉ちゃんだけじゃない、μ'sの皆さんだって、って……」

 

私のことを、私たちのことを、大好きだった……?

 

「……本当に?」

 

「うん。メッセージに返信してないのも、どう向き合ったらいいのかわからないからだって、言ってたの。μ'sのみんなのことは大好きだって。でも迷惑になりたくないから、お姉ちゃん達の『大切な人って立場』に甘えたくないからだって」

 

じゃあ、あの人が言ってたことは……

 

 

『ウソだよ。真っ赤なウソ……初めから穂乃果をだまそうとしてたんだ』

 

 

—————また、声が聞こえてきた。

 

「でも、あの人はしゅー君が『ずっと』つらかったって……」

 

『それがウソなんだよ。しゅー君が辛かったのは本当かもしれない。でも辛くても、告白の時の言葉を思い出して』

 

「おねえ、ちゃん……?」

 

思い出したくないけど、その声に従って思い出してしまう。

 

泣いていたしゅー君の、あの慟哭。

 

『……穂乃果の告白、嬉しかった。本当に。心の底から。断りたくなんてない。みんなと、穂乃果と一緒にいたい……!μ’sのみんなが大好きなんだから』

 

 

「しゅー君が辛かったのは、つい最近だけ……?」

 

「ど、どうかしたの? 誰と喋ってるの……?」

 

雪穂が怪訝な顔をして見つめている。

 

まるで私が独り言を続けているみたいに。

 

『そうだよ。よく思い出してみて。しゅー君の笑顔を。ずっと一緒に頑張ってきた日々を。その笑顔が、本当に私たちを嫌がっている笑顔だった?』

 

「そんなことはない、と思うけど————————」

 

『この前のラブライブの予選の時からでしょ?それまでは、本当に私たちのことを大好きでいてくれたんだよ』

 

「—————————それなら」

 

『しゅー君が自分の夢を思い出してから、私たちに追いつこうとしたのは本当だと思う。海外ライブが決まったなら、なおさらそうだって……』

 

『でもマネージャーを辞めるとか、あんな風に告白を断られたりとかは、きっとあの人が何か言ったからだよ。あの人が。あの人がウソを吹き込んだに決まってる……!』

 

「……………あの人って、誰?」

 

『もうわかってるんでしょ? 最終予選の夜、私たちが見てない隙にしゅー君を奪った女……』

 

 

 

「『綺羅、ツバサ………!!!』」

 

 

 

——————やっと、気づいた。

 

告白を断られたあの日から、ずっと私の中で響いていた声。

 

聞き覚えがあったけど、誰だか分らなかったその声の正体。

 

『やっときづいたんだね、自分の本当の気持ちに』

 

……それは、私自身の声。

 

ずっと押し込めていた、私の本心からの、声。

 

それがわかると、なんだか悩んでた自分が可笑しくて、スッキリして、思わず笑いだしてしまった。

 

最初から答えは出てたんだね。

 

 

「あはははははははははははははははっ!!」

 

 

でも、その笑い声は歪なものではなく、むしろひどく綺麗な声だった。

 

突然大声で笑いだした私を見て、雪穂が怖がっている。

 

大丈夫、心配ないよ雪穂。

 

急に元気になったのは、『全部わかったから』なんだから。

 

むしろこれまでよりずっと、頭がクリアになったような気分……。

 

 

そうだったんだ。

 

しゅー君は私のことが大好きだったんだ。

 

じゃあ、両想いだったんだね。

 

 

でもあの人が……。

 

あの人が、しゅー君に何か吹き込んだんだね……!!

 

私たちは結ばれるはずだったのに。

 

私たちの絆なら、しゅー君の悩みだって、いつか受け止められたのに。

 

きっと話してくれたのに。

 

一緒に夢をかなえられたのに。

 

あの人が都合のいいことを言って、しゅー君を騙したんだ。

 

私から、私達から、彼を奪ったんだ!!!

 

何が『私たちだけでも』なの!?

 

そんなの知らないよ!

 

『今ここにいる私たち』は、しゅー君と一緒に、ここまできたのに!!

 

しゅー君にもきっとそんな事を吹き込んで、自信を奪ったんだ。

 

しゅー君を、自分だけのものするために……!

 

 

 

なら……

 

やることは、決まったよね?

 

 

「お、お姉ちゃん……どこ行くの?」

 

 

突然着替えて部屋を出ていこうとする私に、雪穂が恐る恐る声をかけてくる。

 

心配してくれてありがとう。でも大丈夫だよ。

 

これから私がやることは、本当に「当たり前」のこと。

 

愛し合う2人がすることは、一つだよね……♡

 

 

「決まってるじゃん、しゅー君のところだよ♡」

 

 

そう語る私は、人生でも最高級の笑顔をしていたと思う。

 

大きな壁を壊して、進んでいけるんだから。

 

だって、『可能性』を感じたんだから……♡

 

 

忙しいしゅー君の『お義母さん』から、いざというときに一人暮らし同然のしゅー君のお世話をしてほしいって預かっていた、お家の鍵。

 

お義母さんからは、『これを伝えるとプライバシー侵害だって怒り出すから』って理由で、秘密で貸してもらったもの。

 

それを宝物箱から取り出して、私は夕焼けに照らされながら走り出していた。

 

 

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