ラブライブ!〜ヤンデレファンミーティング〜   作:べーた

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—————————なんで真姫が同じベッドで寝ている!?


第18話 背後からの抱擁

つけておいた片耳のイヤホンから、アラーム音が鳴る。時刻は朝の5時。日本は夕方だ。

 

……ツバサに電話するには、ちょうどいい時間だろう。

 

穂乃果と真姫の好意は、嬉しい。でも、俺はツバサを裏切るわけにはいかないんだ……。アラームを止めて、イヤホンを外す。

 

携帯も充電器から外して、体を起こした。

 

「ん……」

 

……幸いにも、真姫が起きた様子はない。昨晩夜更かしでもしたのだろうか?

 

流石にここのところこんな日々が続けば、鈍い鈍いといわれている俺だって、真姫がどういう意図でベッドに入ってきたのかは想像がつく。少なくとも、寝ぼけて入ってきたなんて言う漫画みたいなことはありえない。

 

……漫画より現実離れした状況になっている俺が言うのもなんだが。言ってて少し悲しくなってきた。そう考えると、μ'sのみんなの物語は漫画以上によくできたお話だと、改めて思う。

 

 

すやすやと眠る真姫をよそに、俺はそっと部屋の外に出た。

 

 

 

 

「……何もしてくれないわよね。意気地なし」

 

 

「穂乃果とあの女(ひと)は特別なのよね、きっと……」

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

「はい、もしもし」

 

コールしてすぐに通話が始まる。

 

携帯をいじっていたのだろうか?

 

当然、あちらの画面に俺の名前は表示されているだろうが、改めてちゃんと挨拶する。

 

「俺だ。修也だよツバサ。今ニューヨークからかけてるんだ。そっちはこんばんわだよな」

 

「……うれしい。海外に行っても、μ'sの皆さんと一緒でも、やっぱり私のことを一番に考えてくれてるのね。タイミングもばっちり。やっぱり私たちは最高のカップルね」

 

その言葉には、少し胸が痛くなる……。

 

ツバサへの想いが揺らいでいるわけじゃないが、真姫にも告白されたことを彼女が知れば、穏やかではいられないだろう。

 

とは言え、いくらちゃんと電話したとはいえ、やけにツバサは上機嫌だ。

 

「カップルって、なんかちょっと古い言葉だよな」

 

「確かにね。アベックとかよりはましだと思うけど……」

 

「……どこでそんな言葉を覚えたんだよ。若者は普通わからないぞ、それ」

 

「貴方も若者だし、何年一緒に幼馴染やったと思ってるのよ……」

 

 

とりとめのない、会話。

 

μ'sとちゃんと話し合ってくるように、という風に送り出されながら、μ'sについての会話は一切ない。……ツバサも、話題にしづらいのだろう。海外からかけていて通話代が気になるところだから、ほどほどのところでお互い切り上げる。

 

今日はTV局の人の取材を受け始める日だ。通訳の人もいるらしい。

 

これからの練習風景をちょくちょく撮って、最後のライブ会場につなげる、というスクールアイドル紹介番組だ。

 

ちなみに、このライブ会場はニューヨークでも相当デカいところだが、アマチュア系の若者たちが音楽やダンスを大々的にやるイベントのようで、そこのステージの一つとして踊ることになる。

 

 

「よし……。見てろよ世界。絶対に『最高だ』って言わせてやる」

 

 

 

 

「……修也。少しだけ、元気になってるの……?」

 

それが自分の手によるものでないことが。

 

彼が今、自分の手に届かないところにいることが。

 

また彼女たちの光に傷つくのではないかという不安が。

 

ツバサの心を一層、焦らせていた。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

……結論から言うと、この街のエンターテインメントのレベルっていうものの違いを感じた。それはTV局から既に顕著だった。

 

「ハーイ!君たちがμ'sだね!私は今回貴方たちのインタビュアー兼通訳!アビーって呼んでね!」

 

日本語ペラペラの女性、アビーさん。この方が本人の言う通り、通訳兼インタビュアーらしい。なんでも、元軍人で日本の基地に勤務していたこともあるのだとか。……どうりでエネルギッシュなわけだ。

 

正直、俺のテンションでは勝てない。凛あたりならいい勝負だろう。

 

実際、二人は早々に意気投合して『中華街や日本人街でラーメン食べるにゃー!』なんて言っている。わざわざアメリカに来てそれか……っていう以前に、そもそもライブが優先だぞ。

 

他のスタッフの方々も、みんな気さくで人生を楽しんでいるのが伝わってくる。これが、世界最大のエンターテインメントの供給元の持つ力なんだ。

 

俺は、μ'sは、この圧倒的な力に『勝たなければならない』……。

 

 

ライブ会場の下準備の機材も見せてもらったが、日本では早々お目にかかれないような、半端じゃないライトや音響設備が運び込まれている。ある程度は向こうがセッティングしてくれてるが、肝心の演出は自分たちで設定しなければならないとのことだ。このイベントは、世界中のプロやスカウトマンも注目している。数多くのプロを目指すアマチュア少年少女の歌と踊りを、虎視眈々と眺めているんだ。

 

勿論、音と光をどのように見せるかも重要になってくる。

 

となると、やはりプロ級をお抱えにしていたA-RISEが参考になるか……?

 

いや、ここはシンプルにμ'sらしさで……?

 

それともニューヨークに合わせて、金髪の絵里をセンターに……?

 

みんなが練習風景の取材や撮影を受けている間。

 

機材に囲まれた別室で色々とアメリカのコーヒー片手に(勿論零さないように注意している)考え込んでいると、ノックとともにドアが開かれた。

 

ここのところの経験からか、ちょっとビクッとしてしまう。

 

 

「ご、ごめんなさい。お邪魔でしたか……?」

 

 

————————誰かと思ったら、花陽だった。

 

隣にしまってあった折り畳みの椅子を開いて、座れるようにする。花陽はお礼を言って、そこに座った。

 

軽く柔軟やストレッチ、ダンスの練習をしていたのだろうか?花陽の普段の香りの中にほんのりと汗の香りが混じって流れてきた。いつもの練習着も、少し汗ばんでいるのがわかる。どことなく息も荒いし、頬も紅潮して……なんだか、えーと。あんまり見ていると、ドキドキしてしまいそうになる。

 

俺も熱中しすぎて少し汗をかいていたが、ニューヨークはもしかして暖房が効きすぎているのか?とりあえず手元にあったタオルを渡して、一言労う。

 

「撮影終わったのか? お疲れ様」

 

「はい。ついさっき私の分は終わって、休憩でちょっと抜け出してきました。私でも、何か力になれればと思って……」

 

……どうやら、俺の方が気を遣わせてしまっていたらしい。本当に、花陽のこういう時の気配りは凄いと思う。希とはまた違った形で、みんなのことを見てくれている。

 

ところで、俺が一人でいろいろと考え込んでいたのは事実だ。

 

「ありがとう。でも、大丈夫だよ。これは俺がやるべき仕事だからさ」

 

確かに今回はみんなはライブに集中してもらっているし、ヒフミもいないから本当に俺一人だ。でも凄いプロである現地スタッフの方々のサポートもあるし、そんなに不自由はしていない。

 

俺の勝負の場所は、ステージの上じゃなく、ここってだけで。

 

 

 

——————……だが、俺がそう答えたことに何か不満だったのだろうか?

 

花陽はかわいらしい頬をぷくっと膨らませて、疑いの目を向けている。……これは、明らかにムッとしているときの彼女だ。

 

「……嘘じゃないですよね? 修也さん、この前もそんな感じだったのに一人で無理して。あんなことになっちゃったんですから」

 

……確かに、それを言われると弱いけど。

 

「だから花陽は今回は信じません。えいっ!」

 

そう言って花陽は椅子ごと体を摺り寄せてくる。思わずバランスを崩しそうになるが、それを堪えて手を添えることで身体を支える。嫌ではないのだが、嫌でも花陽の柔らかい身体の感触を感じてしまった。意識しないようにしてたのに、意識してしまう。

 

「ほらほら、肩が凝ってるじゃないですか♪ 私に任せてください♡」

 

……真姫も『綺麗な声』と褒めるような彼女の声でそう言われると、ことりとは別ベクトルで逆らいづらい。実際この前迷惑をかけたのは事実なので、ここは花陽の厚意を受け取ろう。

 

「あ、ああ。じゃあお願いするよ。ありがとう」

 

「じゃあ、失礼しますね……?」

 

そう答えて花陽は俺の肩に手を回す。

 

……あれ?肩をマッサージするのに、首に腕まで回す必要なんて……?

 

 

「えへへ、修也さぁん……♡」

 

 

———————————違和感に気づくのが、遅すぎた。

 

花陽が俺を抱きしめるような体勢になっている。

 

それになんだか様子がおかしい。

 

そう、この首筋に当たる吐息は——————

 

 

「……ふふっ」

 

 

……ッ!?

 

今の……

 

首筋を……舐められた!?

 

 

「は……花陽?」

 

何かの間違いか、いたずらで飲み物でも当てられただけだろうと自分で自分をごまかそうとするが、聞こえてくる花陽の声が、息遣いが。生暖かい感触が現実だと知らしめてくる。

 

「んっ……ちゅ、はぁっ……美味しい……!!もっと。もっと……!!れろっ……♡」

 

抵抗できなかった。舐められるどころか、味わい尽くされている。

 

穂乃果に迫られた時とはまた違う恐怖が、俺の身体を縛りつけていた。体験したことのない奇妙な快感が首筋を這い、身体に力が入らない。

 

2人の腕力の差は歴然なのに、何もできないまま、花陽に首を舐められ、隅から隅まで味わわれていた。

 

「んっ……ふふっ……気持ち、いいんですね……?じゃあ次はぁ、こっちで……♡」

 

唾液まみれの首筋から、耳の甘噛みに攻めが移った時の刺激で、俺は一瞬だけ正気に戻った。どれくらいの時間、呆けていた?思わず振り向いて、両肩を持って花陽を引き剥がす。

 

その際の花陽の「あっ」という名残惜しそうな声は聞かないふりをした。

 

「な、何するんだよ、花陽……!?」

 

ようやく多少の正気を取り戻し、真っ赤な顔で聞くが、すぐに俺は口を噤んでしまった。

 

「あ……そんなに気持ち良くなかったですか?そうですよね……花陽ばっかり気持ち良くなっちゃって、ごめんなさい。でも修也さんが美味しすぎるから仕方ないですよね?もっともっと……味わわせてください……♡」

 

花陽の目は光を宿さないまま、俺だけを映していたから。

 

『3度目』となると慣れてくるかもしれないと、一瞬でも思った甘い自分を殴りたくなるが、その間も無く今度は唇に吸い付かれた。

 

「ちゅ……えへへ、やっぱり、私を受け入れてくれるんですね……?じゃあ遠慮しないですよ……?」

 

何か壮絶に勘違いをしている……!

 

それとも、それで押し通す気なのだろうか?

 

一旦は離れてくれたが、また吸い付かれて、今度は舌を入れられる。

 

ここのところの日々はずっと現実離れしていたが、あの花陽に突然こんなことをされたことが、理解が及ばず俺の抵抗を弱めていた。

 

その隙を逃さずに、花陽の舌は俺の口内で縦横無尽に暴れまわる。蹂躙し、支配し尽くし、屈服させるかのように。歯茎を、舌を撫でて。唾液が行き交うたびに。花陽の瞳の闇と、笑みはますます深くなっていくのがわかってしまう。

 

呼吸が苦しくなっていき、そろそろ意識を失うかと思ったが、その直前に花陽は俺を解放してくれた。

 

「はぁ……!はぁ……。あっ……大丈夫ですか?修也さん。ごめんなさい、ちょっとやりすぎましたね」

 

俺の息も荒いが、花陽の息も荒い。

 

俺は霞がかったままの頭と、未だ余韻の残る口で必死に言葉を紡ぐ。

 

「花陽、どうして、こんなこと……!?」

 

それに対して花陽は、今の一連の行為が、心底最高だった、といいたげな表情で返事をする。

 

 

「そんなの決まってるじゃないですか。私も、修也さんのことが大好きで大好きで、たまらないからですよ♪」

 

 

そう答える花陽は、己の頬に両手を当て、恍惚とした表情で舌で唇の周りの唾液を舐めながら、行為の余韻に浸っていた。

 

 




僕も花陽ちゃんにprprされたいですね。

通訳の方の名前はアメリカ人に最近多い名前的なサイトから決めました。
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