ラブライブ!〜ヤンデレファンミーティング〜   作:べーた

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己を信じる勇気……それが力になる。これが本当の俺だ!


第22話 胸の奥の、小さな勇気

 

 

——————何度目かのニューヨークの朝を迎えた。

 

毎晩女の子と寝ているからではなく、みんなとの絆を思い出して。迷いながら自分を見つめ直して、その度に決意を新たにして、今日も俺は頑張れている。

 

今朝も凛の猛アタックを振り払えたのも、ツバサやみんなのことを大切に思うからだ。……逆らえない状態が続いたとはいえ、いくらなんでも、これ以上誰かと関係を持つわけにはいかない。

 

にしても、毎朝ベッドがハネムーン使用になってるのはアメリカンジョークなのだろうか?理事長がホテルのその辺をミスるとは思えないし、清掃のあのおばさんが絶対何か勘違いしてる気がする。いや、男女2人っきりで毎晩寝てるし、もしかして俺のせいか……。

 

 

ところで、今日は主に全体を通した練習をする。演出データは提出し終わった。

 

早速、各グループの中でも朝イチでステージの仮設営のモニターと擦り合わせて、一通りのテストを終えた。みんなにも見てもらって、本番のイメージを作ってもらえた。スタッフや通訳のアビーさんにも「これならいけるかも」とお墨付きを得た。

 

当然、みんなの反応も好感触だ。

 

「すごいよしゅー君!これならお客さんも大喜び間違いなしだね!」

 

穂乃果が大喜びでダイブしてきて、よろけながらもなんとか受け止める。

 

いつまでも抱えているわけにはいかないので下ろそうとすると、穂乃果は少し不機嫌になった。一瞬とはいえ、『あの目』をされると逆らえない。俺が抵抗をやめたのをいいことに、そのままバカップルのようにくるくると回り始める。

 

「えへへ……こうやってると、しゅー君を感じられて、幸せだね♡」

 

……あの3人に告白されたことは、恐らく穂乃果は承知していることだろう。それでも自分を彼女だと信じて、いや。初めから二重人格のようなものだったのかもしれない。

 

自分を彼女だと信じることと、ツバサが彼女であると言うことが許さないということは、矛盾していないのだろう。と同時に、μ'sのみんなと恋愛関係になることすら、穂乃果の掌の上なのかも知れない。

 

そうすると、漫画でもなかなか見ないようなハーレムと言うことになるが、正直あまり嬉しくない。みんなの好意は本当にありがたいが、俺は恋愛について理解はしてないし、それほど器用な男じゃない。

 

スクールアイドルの運動能力の無駄遣いで、そんなことを考えながら抱き合って回っていると、海未が見兼ねて止めに入ったことで解放された。そのままお説教モードに突入し、穂乃果もある程度満足していたのか、横目でチラリと此方を見ながら素直にそれを受け入れている。

 

 

が、それは勘違いだったようだ。単に『順番』を譲っただけだったらしい。

 

直後に3人に肩を掴まれた。……皆さんのご想像の通り、光のない目をした1年生3人組である。

 

「修也くん、凛にも後でアレやって欲しいにゃ〜……今朝断ったんだし、いいよね♪」

 

「嫉妬しちゃった、ってほどじゃないけど。羨ましいかな〜…って思うんです。昨日の私たちのダンスのお返し、じゃないけどまだもらってませんから……」

 

「……当然、私にもやってくれるわよね? とびっきり、熱いヤツを……」

 

……理解よりも器用さよりも、体力の方が必要らしい。

 

みんなの愛が、重い……。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

午前中の練習を終えて、午後は休みとなる。

 

イベントは土曜日に開かれるため、途中で多少なりと息抜きを挟んでおかないと保たない……というのは半分、建前だ。単純な観光ではなく、「TV番組にする上でμ'sのオフショットを多少撮りたい」というTV局側の意向があった。

 

いわば、以前にみんなでドタバタしながら撮ったPVの様なものだ。あの頃がもう、遠い昔の様に感じる。

 

だから今回は、スタッフの方がついてきて、ニューヨークの観光地を案内しながら、色々と撮られている状態だ。靴がたくさんぶら下がっている状態とか、最初こそホラーに感じたが、由来や理由を聞いてからは俺もやって見たくなった。(にこの靴でいいかなって聞いたら蹴られたけど)

 

みんなも思い思いに記念写真を撮ったりはしゃいでいる。

 

「アビーさん、あんな風にみんなが遊んでる姿でいいんですか?」

 

……みんなの姿は確かに楽しそうではあるものの、本当に観光を楽しんでいるだけで、スクールアイドルとは関係がない様に感じる。

 

さっきなんて服屋さんで着せ替えファッションショーみたいになってたし。昼飯の時もそれなりに高級なお店で大興奮だった。

 

「いいんだヨ!『アイドルの素顔』ってヤツ?日本でも放送するからってわワケじゃないけど、スクールアイドルの紹介も兼ねてるし。絵はタクサン撮っといた方がいいからネ!」

 

ちゃんとμ'sだけ撮ってるから、心配しなくていいと付け加えてくれた。それなら心配はなさそうだ。

 

変な噂が立つのは避けたいし、その気遣いは素直にありがたい。彼らは撮影やインタビューのプロであって、編集スタッフではないから、初めから誤解されかねない映像は撮らないのも仕事だ。

 

 

俺もだが、だいぶニューヨークに慣れてきたみたいで。真姫はトマトジュースらしきものを買って飲んでるし、希も花陽と一緒に記念撮影している。

 

穂乃果たちは『LOVE』のよくわからないオブジェの前で人文字を作って遊んだりと、なかなかチャレンジな光景だ。

 

 

……コレ、全米や日本全国に流されないよな?ちょっと不安になってきた。みんなのお父さんお母さんにシメられるのは多分、俺だからな……。気を取り直して、海未も最初の頃の怯え様はどこへやら。ことりに記念撮影されてニッコリ笑顔だ。

 

……一方で、ことりはくしゃみをしたり、目の下の隈など、少し疲れているようだ。

 

少しだけ気になって、声をかけに行く。

 

「大丈夫かことり?寝不足か?」

 

「エヘヘ……。ごめんねしゅーくん。なかなか海未ちゃんが寝かせてくれなくて……。トラn……」

 

海未が……!?って、『そういう意味』じゃ、さすがにないよな。俺の最近の状況がぶっ飛んでるだけで、そういう想像をするのはよくない。とはいえ、その内容を詳しく聞く前に海未に遮られてしまった。

 

「こ、ことり!修也には言わないでください!///」

 

「あぁそっかぁ。修也くんは修学旅行に来てくれてなかったから、海未ちゃんの『アレ』知らないんだ。……コレで海未ちゃんの弱みゲットだね♪」

 

「よ、弱み……?」

 

ますますよくわからないが、もし旅の疲れが出ているのならケアしないと。

 

「こんな状況だし、体調管理はしっかり頼むぜ。衣装の仕上げも、今回はゲストの一角ってことでスタッフの人が手伝ってくれてるけど、監督はことりなんだから。衣装に関してはことりだけが頼りなんだ」

 

「!? ことり『だけ』……………………ふふっ、ありがとうしゅーくん。私頑張るね!」

 

なんだか一瞬、感じ慣れてきた怖いものを感じたが、ことりは元気になってくれたようでなによりだ。

 

満面の笑みでカメラの方に向かっていく。

 

『無理しないでくれ』って意味だったんだが……まぁ、あの笑顔なら理事長に見せても問題なし。

 

 

「修也……。また女の子の心を弄んでるのかしら?」

 

 

ちょっと日本に気を回していると、絵里に声をかけられた。なんだか声に棘がある気がするけど……。

 

「なんか人聞きが悪いな、それ。俺はみんなとこのライブを最高に楽しく、最高に成功させたいだけだって」

 

「普段の調子に戻ってきても、鈍いのは治らないようね。……1年生の3人には、告白されたんでしょ?そろそろ女心ってものもわかったらどうなの?」

 

みんなとしては、俺がみんなの連携に気付いているのも『既定路線』か……。まあ、今さら話しづらいのはわかる。みんなで1日ごとに、なんて口に出すのは恥ずかしいだろうし。

 

ところで、実際そう言われると弱い。

 

結局、皆の告白に明確に返事をしたわけじゃないし、穂乃果には半分襲われたようなものだし。俺の彼女はツバサである事実には変わりはないが、1週間も一緒に過ごしていない。

 

ずっと前から鈍い鈍いといわれ続けていたが、恋愛経験として参考になる部分は正直、あんまりなかったかも……。

 

「悪い絵里。やっぱり……俺は俺のままみたいだ。みんなと違って、ちょっとづつしか変われないな」

 

「気にしなくていいのよ。貴方が『元に戻ってくれれば』それで……。貴方は貴方のままでいいのよ」

 

……みんな、その言葉を使うよな。多分、俺がみんなに元気づけられてることを表してるんだと思う。実際俺は、あのラブライブ最終予選の前後以前の俺に戻ってきたと思う。でも、みんなと話して、新しい目標が見えてきてる自分にも、気づいている。

 

みんなからもらった勇気が、そうさせ始めている。

 

 

 

——————————『元に戻る』んじゃない。

 

 

 

俺は、『先に進み』たい——————————

 

 

 

「……あの人と別れてもらって、その後じっくりと『教えて』あげればいいんだし」ボソッ

 

「? 絵里、ごめん。聞いてなかった」

 

「いいの、独り言よ。さぁ修也、せっかくの観光の機会なんだし、楽しみましょうか?」

 

そう言って、俺の腕に自分の腕を絡ませて歩き始める絵里。

 

みんなが向こうを向いている間になかなかやり手だな……!

 

もしかして今日は「絵里の番」なのだろうか?

 

「それはいいけど、撮影は……!」

 

「あら?もうほとんど9人でいるところは撮ったし、大丈夫でしょ。私、この近くに行きたいところがあったの。みんなには言ってあるし、二人でデートと行きましょ♪」

 

すっごく上機嫌な眩しい笑顔に絆されてしまうのが情けない。

 

……でも今回のニューヨークの曲で大役のセンターを頼んでしまったからには、このくらいの「埋め合わせ」にはつきあわないとな。

 

その考えがすでに感覚がマヒしているというか、女心を理解できていないのだが、この時の俺はそのことに気を回せず、ただ何処に連れていかれるのだろう、と思考を巡らせていた。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

「あれ?シューヤくんとエリーは?」

 

「あの二人はちょっと話したいことがあるって言ってました。1時間くらいで戻ってきます。」

 

「いいのヨ!ほとんど撮影は終わってるし、気にしないで!……ねえ、シューヤっていうあの男の子、日本ではとくに有名な高校生とかじゃないんでショ?」

 

「……? はい。私たちが知る限りは、特にそんなことはないと思いますけど……?」

 

「ウーン、そっか。日本にいた時、ドッカで見た気がするんだよネ……。」

 

「アビーさん……そういうのは最近流行らないですよ?」

 

「な、なんか怖いネ、ホノカさん……。私は既婚者だし、怒らないで……?」

 

 




絵里編は女性シンガーと絡んで、ちょっと長くなるかもしれません。絵里のヤンデレまでもう少しだけお待ちください。


黒乃白亜様、りゅーさん様、高評価本当にありがとうございます。UAも65000、お気に入りも950件を超え、感謝でいっぱいです。これからもよろしくお願いします。
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