ラブライブ!〜ヤンデレファンミーティング〜   作:べーた

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恋人とか夫婦がよくケンカするのって、喧嘩しても結局は別れないくらいには仲が良いってことなんでしょうね。円満ではなく、本当に離婚まで言っちゃうこともあるんでしょうけど。

少しの間主人公絡みのドラマをやってます。あとのんたん。その後にこの予定。


第28話 ふたりだけの時間

 

「それで、μ'sの次のライブはいつ?」

 

「これだけ大人気になったんだ。私たちみたいに、全員と言わずとも、プロを目指すんだろう?UTXみたいなコネクションがなくとも、芸能事務所は放っておかないと思うぞ?」

 

「μ'sやスクールアイドルへの注目度も上がってきているわ。……いくらスクールアイドルが恋愛に寛容とは言え、男の貴方がずっとそばにいる。それは、ちょっと考えなきゃいけないかもね……。音ノ木坂には、いつまでいるの?」

 

 

 

それは、ラブライブ本選が終わるまでみんな考えないようにしよう、と決めていたこと。

 

μ'sの『今後』について……。

 

 

「……貴方はあくまでも生徒数減少で廃校になる対策の、共学のテストのための男子。廃校がなくなった今、いつまでもいる理由はないでしょう?」

 

「理事長からまだ、話は来ていないけど……多分、転校は間違いないと思う。俺は2年生だし、共学になるわけでもなく、男一人置いておく世間体もあるだろうし……」

 

「そうでしょうね……。修也さえよければ、UTXに来られるように手を回してもいいのよ?そのくらいのわがままを聞いてくれる人達はいるわ」

 

ツバサは俺のことを心配して言ってくれている。それはわかる。

 

だけど……。

 

 

 

「いいんだツバサ。俺の『夢』はUTXみたいな芸能関係じゃない。それはわかってるだろ?」

 

「そうだけど。医療方面でも今よりずっと良くなるはずよ?その左腕だってきっと……」

 

 

……あの時、凛に言った言葉。俺は恐れてるのかもしれない。左手を言い訳にしてるだけで、夢に挑戦して負けることにビビってる。それなら今すぐ、真姫やツバサの誘いを受けるべきだろう。

 

でも、『何か』が俺を躊躇わせている気がした。

 

 

……本当に俺は恐れてる『だけ』なんだろうか?

 

以前、静岡で突っ込んできた車からあの娘をかばって。何か忘れている気がする。

 

確か、その後病院で交わした言葉は———————

 

 

 

「? 彼に『夢』があるとだけは聞いてたが、芸能関係じゃないのか?」

 

「あんなに凄いステージ演出ができるのに~?なんか勿体ないわね~……」

 

 

——————————少し、思考がそれていたみたいだ。

 

そうだ、俺の夢はにこや花陽、ツバサとは違う。本当の夢は……。

 

話したくないけど、話すしかないのかと思っていると、ツバサが気を遣って遮ってくれた。

 

「そこまでいうなら仕方ないわね。でも、希望があれば早く言ってよね?もう1月なんだから。貴方の腕を治せる病院も探してるし」

 

「本当にありがとう。親が帰ってきたら話してみるよ。でもツバサは、契約の方に集中してくれていい。今はそっちが最優先だろ」

 

 

恋人らしい会話ね~、とか似た者同士だな、とか二人が冷やかすのもほどほどに、俺の家が近づいてきていた。

 

リムジンが止まって変に目立つのもアレなので、近くの目立たないところに降ろしてもらう。御礼を言って、大荷物を持ったまま歩いて帰ろうとしたのだが、荷物を一つ奪い取られた。

 

見上げると、そこにはまた変装したツバサが。

 

まさかとは思うが……。

 

 

「何変な顔してるのよ?彼女なんだから、荷物くらい持たせなさいよ」

 

 

なん……ですと……!?

 

 

「あ、部屋にも上がらせてもらうわよ?どうせしばらく一人暮らしなんでしょ?晩御飯くらい作ってあげるから待ってなさい。ハンバーグでいいわよね?」

 

 

そういって同じくトランクから取り出したのは、材料の入ったスーパーの袋。

 

ご丁寧に、副菜や汁物の材料も見える。ニューヨークから帰ってきた俺に気を遣って、和風ハンバーグなのだろうか?

 

 

じゃ、なくて。

 

……マジで?

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

「あら?意外と整理されてるじゃない。しばらく家を空けてる自覚はあるようね?」

 

「当たり前だ。戸締りもしてある。泥棒に入られたなんて恥ずかしすぎるし。」

 

 

まるで自分の部屋かのようにリラックスするツバサ。……緊張されるよりはいいけど、なんだか納得いかない。

 

ツバサは彼女であり、幼馴染であると同時に、ある意味でライバルでもある。だからこそ、こういう時に変な対抗心が湧いてしまうのだろう。そんな俺の子供っぽい様子がおかしいのか、ツバサはからかうような表情で責めてきた。

 

「でも、私たちやμ'sのグッズはないのね?告白の時は、『保存版まで買ってる』って言ってたのに。あれは嘘だったのかしら?」

 

いつの間にか戸棚までちゃっかり開けてるし。

 

男子高校生にありがちな見られてはまずい本とかは置いていないが、隠し忘れがあるかもしれない。

 

浮気を疑われる夫の気分って、こんな感じなんだろうか……。

 

ほっておくと、いつまでも物色してそうなので、切り上げさせるためにグッズの所在を話してやる。

 

「従姉妹の家に送ってるんだよ。知ってるだろ、向こうに叔父さん一家が住んでるの。その従姉妹がスクールアイドル好きでさ、みんなのBlu-rayを見たいって言ってたから」

 

「あっ!中学の時に一度だけ、こっちにも来てた時にちらっと見たわね。髪の毛とか色とか貴方によく似てたの覚えてる。……確か、女の子よね?」

 

「こ、怖い目で見るな!!Blu-rayもグッズも、俺より未来のスクールアイドルが持ってる方が有意義だってだけだ!」

 

 

くっ、油断も隙も無いぜツバサ……!

 

まさかそんなことまで盗み見て覚えてるとは。……絶対当時から俺に気があったろ。

 

……これ言ってからかうと、絶対今以上に拗ねるから言わないけど。

 

 

「どうかしら?5年や6年も経てばあれは美人になってると思うわよ。貴方の周りには、私一人で十分じゃないの?」

 

「いや最近は随分成長もして、口癖とかも似てきて、やっぱ血は争えないなぁって思うこともあるけど。従姉妹婚なんてしたら、余計、家族は……」

 

 

俺がつい暗くなると、ツバサも地雷を踏みかけたとわかったようで、小さくごめん、と謝ってくれた。

 

……いや、そもそも家庭がこんなことになっているのは親父のせいだ。

 

そもそもこれは俺の失言だ。彼女が謝ることじゃない。そのツバサは、家族の話になったためか、気まずそうにしていたが、ふと見つけた窓際の写真立てを手に取っていた。

 

俺の家族写真だ。

 

 

「お義母さんとお義父さんの写真……まだ飾ってたのね?」

 

 

これはずっと前の写真。

 

まだ親父が優しかった時。

 

俺が親父のことを嫌いじゃなかった頃の写真だ。

 

家族みんなが笑いあっている。ほんの一時期だけど、温かい光景……。

 

以前ツバサにも見せたことがある。まだツバサに、誇らしげに『親父の後を継ぐ』なんて言ってた頃の……。

 

 

「ああ。この頃、転勤とか学校とか確かにつらかったけど……それでも家族もツバサもいてくれたから、きっと楽しかったんだろうな。だからこの写真も捨てられないでいる」

 

「……それでも、まだ夢は変わってないのね?あの頃と」

 

「一度本気で目指したら……絶対にあきらめられない。多分、10年経ってもそうだと思う。少なくとも俺は、本気で目指すことをせず、なんとなくで夢を語って……10年後に、子供たちに『夢はかなわない』なんていう大人にはなりたくない」

 

 

時々、そういう人の夢にケチをつけてくる大人がいる。

 

俺とツバサをいじめてきた奴らもそうだった。教師も。

 

……俺たちは、あの人たちとは違う。なすべき努力をして、ホントの本気でかなえて見せる。

 

 

みんなとは違うかもしれないけど、それが俺にとっての夢だ。諦めるなんて選択肢はないんだ。

 

諦めて、それで生きていけるような幸福な他の道がないんだ。目をそらすことはできない。義務感とは違う。むしろ強迫観念に近いかもしれない。そうしなきゃ満たされないから、夢なんだ。

 

だけど……その夢がかなわなかったとき、どうすればいいんだろうか。ツバサには強気でああ言ったけど、それを考えなきゃいけない時期に来ているとは感じている。

 

みんなの助けを借りて本気で挑戦するのか、別の道を模索するのかを。

 

 

「それが聞けてちょっと安心したわ。私は貴方の側にいてあげるから……。じゃあ、ハンバーグ作るわね?」

 

 

荷ほどきは後で手伝うから休んでてね、と付け加えて、ツバサはキッチンに向かう。

 

そのお言葉に甘えて少し椅子に座っていたが、やはり落ち着かない。

 

しばらくして、結局キッチンに向かった。

 

 

—————————エプロンをつける、ツバサの後姿。

 

手元には、小気味良い包丁の音。そして、ひき肉や野菜が並んでいる。

 

……否が応にでも思い出される。あの日、俺の家に侵入していた穂乃果のこと。

 

さっきは泥棒の話をしたが、結局穂乃果の侵入方法はわからないままだ。

 

最後は『あんなこと』になってしまったし、いつまた同じことが起きるかわからない。

 

そう言えば、あの時もハンバーグだった。同じメニューなのは偶然だろうか?美味しかったけど、しばらくは思い出しそうだな……。

 

こう言うとき、じっとしていられない性分で、近づいて、ツバサの調理を手伝うことにする。

 

 

「俺も手伝うよ。なにをすればいい?」

 

「本当にいいのに……でも、嬉しいわ」

 

 

沢山悩みは尽きないけど、ツバサとこうしている間は、ニューヨークの旅の疲れが癒される気がした。

 

なんだか、穂乃果に言われた新婚みたいに思えてきて、一人で悶えながらだけど。

 

 

 

 




完結まで突っ走らねば……!

話数的には折り返し地点くらいのはず。

よく考えたら、スクールアイドルの女帝のような存在であるツバサにハンバーグを作ってもらえているこの男は一体……

ヤマシロ=サンさん、新たに高評価ありがとうございます。本当にお一人お一人が完結のためのモチベにつながります。
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