とか言ってたら95000UA超えそう…読んでくれる皆さんに感謝です。
今回は以前の改訂前を知ってる方には少し懐かしいかも。
「このハンバーグ、美味しいな。中学の時は料理の腕、壊滅的だったのに。覚えてるぜ調理実習の時。塩と胡椒を間違えて作って、こっそり俺が食べさせられたやつ」
「フフフ……これも愛と修行のなせる業よ『旦那サマ』?さぁ!せいぜいとくと!!有難く!!大事に!!召し上がりなさい!!」
お互い冗談を言いながら、楽しく食事の時間が過ぎていく。
正直、普通に美味しい。
昔は結構ポンコツだったツバサも、見ないうちに凄く成長したみたいだ。
まだ時間はお昼すぎだが、夜の仕事帰りのサラリーマンと妻のような状況。
……稼げる当ては今のところ全くの逆なのは、ちょっと悔しいんだけど。
「……ニューヨークのライブ。本当に凄かったわ。今はまだ秋葉原やスクールアイドルの中でだけ話題だけど、TV放送されたら、全国のお茶の間の人気は決定的なものになるわよ」
しばらくたって、ツバサは箸をおいて語り掛ける。ちょうどテレビ番組がスクールアイドルのニュースをやっていた。
少し、真剣な話がしたいらしい。
「それはさすがに言いすぎじゃないか?こういっちゃなんだけど、あくまでもスクールアイドルだろ?」
「貴方自身がさっき言ってたじゃない。従姉妹の子も憧れてるとか、未来のスクールアイドルだとかって。私も含めて、多くのファンの中にも女性はたくさんいる。アイドルのファンが男性とか、一部のオタクとか、そんな時代はもう古いの」
「……一般人の女の子たちが、これから当たり前に、たくさんスクールアイドルを目指す時代が来る?」
「そんなところね。μ'sはきっとその先駆けになるわ。たくさんの人の記憶に残る、最高のスクールアイドルに……。だから私は、プロのアイドルの方では勝ってみせるわよ」
ツバサとしては負けは認めつつも、絶対にあきらめる気はないみたいだ。彼女の強さはやっぱり本物だと思う。むしろかつての敗北が、今の彼女をこれほどに輝かせているのかもしれない。
1か月も経っていないのに、この立ち直りぶりなのだから舌を巻く。
「だから、後はあなたのこと。『後悔のないように』『最後に私のもとに来てくれればいい』とは言ったけど。……μ'sとは、どうなの?」
いつまでも、黙っているわけにはいかないよな……。
「ごめん、マネージャーは……辞めない。俺が決めたんだ」
話さなければならない。
ツバサは射抜くような視線で見つめてくる。
嘘はつけないし、つくつもりもない。
「でも、車の中でもちょっと話したけど。μ'sがいつまで続くかはわからないけど、どっちにしろ俺のテスト生は終わると思う。だからマネージャーは、多分……」
「……そう、μ'sの今後のことは決まってなかったのね。だから車の中でもあんな反応だった……」
「ツバサ達が3人でA-RISEであるように、μ'sも9人だって言うのが、普通だとは思うけど……みんながみんな同じ意見かは、聞いてみないとわからない。何より俺は厳密にはμ'sじゃないから、決めるのはみんなだ」
「理論上はそうでしょうけど、彼女たちからすれば貴方も立派なメンバーの一人よ。貴方が欠けても、μ'sは成り立たないんじゃなくて?」
私はその方が貴方が解放されてくれて嬉しいのだけど、なんて物騒なことも付け加えるツバサ。
確かに俺は、ツバサの気持ちを無下にしてしまっている部分はある。彼女だからって、何も主従関係だとか、命令を聞かなければならないとかいうわけじゃないけど。それでも、穂乃果とあんなことがあって、みんなにあんな風に告白されて。
その目論見通りか、後ろめたさを感じて。未練とかにズルズル引きずられて……話しづらくなっているのは事実だ。
……信じてはいない。いくら好きあっているとはいえ、ツバサが薬を盛ってまであんなことをしたなんて。
各人の言葉を聞く限りでは、ツバサがμ'sのことを『修也を傷つける存在』だと思っているのと同時に、μ'sはツバサのことを『修也に嘘を吹き込んで私たちから奪った存在』と思っている節がある。
だからお互いにお互いを引き離そうとしているのは……なんとなくわかっていた。
俺は、ツバサのことを裏切れない。
でも、みんなの想いも、簡単に捨てることはできない。
それこそ、俺だけのことなら告白を断ればいいだけの話だ。本来ならそっちの方が真摯な態度だろう。
……だけど、穂乃果の前例が俺を躊躇わせている。もし、目の前にいるツバサが、彼女たちから危害を加わえられるようなことがあったら……。いや、そんなことを考えるのはみんなに失礼すぎる。
常識で考えろ。みんながそんなことをするはずがない。しかし……。
「……また、μ'sの人たちはあなたを傷つけているようね」
俺の悩みは顔に出てしまっていた。
それがますます、ツバサの疑念を深めてしまう。
「それは違うって!みんなは俺のことを想って……」
「違う?どう違うのよ!?今もこうしてあなたを悩ませてることの大半は、彼女たちのせいじゃなくて!?」
「それでも、俺はみんなに凄く助けてもらえたんだ。だから————————」
ピンポーン
俺たちがだんだんヒートアップして、口げんかになりそうになった時。
玄関のチャイムが鳴って、否応にでもその空気を換えさせた。
ツバサの方も『熱くなりすぎた』という顔をしているけど、意地っ張りの俺たちは謝罪の言葉もなかなか出てこない。
「俺、出てくるよ。……ちょっと待ってて」
「うん。……すぐ戻ってきてね」
少ししゅんとして、俺は玄関の方に向かって、ドアを開ける。
この時、玄関は俺の方にあるのに対して、ツバサの向こうにモニターはあったので、見に行くのが億劫だったんだ。
ちゃんとモニターを確認しておけば、この事態は避けられたのかもしれないのに。
「しゅー君?ごめんね、お邪魔しにきちゃった……♡」
そこには、買い物袋に食材を詰め込んだ穂乃果が立っていたのだから。
「ほ、穂乃果……!?どうしてここに?」
「『どうして』って……。『彼女』が手料理作ってあげようとしてるのに、その対応はひどくない!?穂乃果怒っちゃうよ!?」
ぷりぷりとすでに怒っている穂乃果だが、まだ以前のような恐ろしい状態にはなっていない。
ならなんとか、中にいるツバサに見られる前に帰ってもらわないと……
この二人を今、接触させるわけにはいかない。
お互いがお互いに憎しみすら抱いているんじゃないかと思えてくるくらいなのに、よりによって直接だなんて—————————
「……あら、穂乃果さんじゃない。何か用かしら?」
……奥から聞こえた足音に反応したのも束の間。
俺の努力は一瞬で砕け散った。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「……それで、どうして貴方がしゅー君のお家にいるんです?ツバサさん」
「見ての通り。彼にお昼ごはんを作ってあげてたの。ある意味、私の家でもあるわけだし、『お客さん』を迎えに玄関に行くのも妻の役目っていうか……?貴方の方こそどうしてきたのかしら……?」
そう言って穂乃果の買い物袋を一瞥し、勝ち誇った笑みを浮かべるツバサ。
心なしか穂乃果も悔しそうな表情になるが、すぐに気を取り直して反撃を始める。
「『彼女』の私の手料理で十分だと思いますよ?何より、貴方の料理にはどんなものが混ぜてあるのかわからないですし?……なんて。あはっ♪」
「あらあら、なかなか言ってくれるじゃない。ウフフ……♪」
……さすがに玄関でバトルさせるわけにはいかなかったから、こうして中に引き込んだんだけど。
それはそれで悪手だったのかもしれない。二人の応酬は止まる気配を見せない。
「私はしゅー君のお義母さんから直々にお世話を頼まれて、鍵まで頂いてるんです。貴方の出る幕はないと思いますよ?」
「こっちもおばさんとは随分前からの知り合いなの。『ツバサちゃんみたいな娘に嫁に来て欲しい。婿入りでもいい』ってね」
聞き逃せない言葉が出て来た。鍵を持ってたのはそう言う理由だったのか……。
母親も母親で無責任なことを言いやがって。おかげで今俺は人生最大級の危機だ。
「……つくづく呆れるわね。自分が彼女だなんて妄想もそうだけど、どうせニューヨークに彼を連れて行ったのも脅しか何かでしょう?」
「そういう貴方は、しゅー君とのつながりは身体だけなんですか?過去にしがみつく貴方と違って、私たちは今、深い絆で繋がってるんです。私たちはファンやしゅー君のために。しゅー君は私たちやファンのために……!」
「思いあがるのもいい加減にしなさい。彼は私や夢のために進み続けているの。μ'sは通過点。まだ彼の『本当の夢』も知らないくせに……」
———————————————『誰のための、ラブライブなのか』
突然、あのお姉さんの言葉がよみがえってくる。
穂乃果の言うことも、ツバサの言うことも。どちらにも一理ある。
みんなと夢もかなえたい。俺相手じゃないけど、ファンの人たちが喜ぶ姿は見たい。
ツバサは彼女だけど、穂乃果はずっと憧れの存在だったし、μ'sのみんなも大切な仲間だ。
夢だって叶えたいし、ずっとμ'sにも、音ノ木坂にいるわけでもない。
なら、俺は何のためにラブライブの優勝を目指している?
誰のために……?
「……なら、しゅー君に決めてもらいましょう」
「いいわよ?修也。この子に現実を教えてあげて。貴方の彼女は私だってこと」
お姉さん、俺の答えは、まだ出てないけど……
「……二人とも、今日は帰ってくれ」
もう少し、考えさせてくれ。
自分でも驚くくらい、低い声で二人を跳ね除けていた。
二人とも、俺からそんなことを言われたのが信じられないという表情をしている。
「修也!?これは穂乃果さんが……!」
「違うよしゅー君!この人がそもそも……!」
「いいから!……ツバサ、ハンバーグ美味しかった。ありがとう。穂乃果もサプライズまで考えてくれて、ホントにありがとう。学校始まったら、また会おうな」
それっきり俺は、放心状態の二人を有無も言わさず家の外に押し出して、鍵を閉めた。
ニューヨークに行く前の俺だったら、オロオロして何も言えなかったんじゃないかと思う。
それが、ここまでハッキリと……。
これが、変わったってことなんだろうか?
みんなからたくさん勇気をもらった。
俺の本当の望みはなんだ?誰のための、ラブライブなんだ?
「……あ、晩飯買ってないや」
結局またどこかで晩飯を買いこまきゃいけないことに気づいて、急に鍵まで閉めたことが恥ずかしくなった。
最近ラブライブのヤンデレSSをハーメルンで書いてくださる方が多くて、インスピレーションがビリビリ来ています。
負けないくらい面白くしないと…
宇宙一○○なラブライバーさん、新たに高評価ありがとうございます。皆さんのご期待に添えるよう、頑張ります。