ラブライブ!〜ヤンデレファンミーティング〜   作:べーた

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絢瀬絵里さん、お誕生日おめでとうございます。

このμ's解散編は修也自身の成長がメインテーマの1つでヤンデレ薄目ですが、4クールが修羅場バリバリになりそうなので今のうちに平和を楽しんでください。ツバサと穂乃果の決着もさることながら、まだことりと海未の脅威が控えてるんですよねぇ……。


第38.5話 笑顔の魔法【矢澤にこ】

μ'sのみんなと『アイツ』に救ってもらったのは、もう2回になる。

 

1度目は、アイドル研究部で意地になってた私を説得してくれた時。

 

2度目は、妹たちの前でμ'sみんなでライブをできた時……。

 

 

そのどちらでも、助けてくれたのは彼。

 

誰かを笑顔にするにこが、笑顔にしてもらった大切な仲間たち。そして、大好きな相手……。

 

私はアイツ……修也に、返しても返しきれない恩がある。普段はつい強がって素直になれないけど、本当は体に触れて、心を通わせたい。

 

マネージャー兼秘密の彼氏、なんて家では言っちゃったりして、色々後戻りができなくなっちゃったけど……。でも好きなのは本当だし。家族の皆に修也の話をするとき、私は本当に楽しかった。

 

アイドルであるにこはみんなのモノ、っていうアイドルとしての自分とは別に、矢澤にこという一人の女の子は、修也のことを求めているのがわかる。

 

大好きなのに。アイドルとしてのプライドが邪魔して、触れたくても、触れ合えないもどかしさ。どれだけライブでお客さんに喜んでもらえても、修也が見てくれていないときは、何かが足りないと、心がざわめいてた。

 

 

「さぁ今日もアイドルの在り方について徹底的に教え込むわよ!花陽、ボードとプレイヤー用意!」

 

そういうと、ガラガラと奥からボードをもって助手の花陽がやってくる。

 

週に1度の、大好きな時間。本人がどこまで気づいてるかはわからないけど……花陽の気持ちもわかってるつもりだし、ね。

 

「はいっ!わかりました。さて修也さん、今日は徹夜で伝伝伝鑑賞会ですよぉ~!!」

 

「か、勘弁してくれ……。うちのクラスは明日テストなんだ。穂乃果みたいな点数は取りたくない……頼む……」

 

 

毎日会って、一緒に練習して、新しいライブを考えて、アイドルについて教育して、たまにみんなでファミレスに行ったりして……

 

そんな私達と修也の間に、離れていく未来なんて想像してなかった。

 

なのに……。

 

 

「だから、穂乃果。マネージャーは、終わりにしようと思う」

 

 

あの日、頭が真っ白になったのはそのせい。

 

 

「ただの錯覚、だったのね……」

 

 

憧れであり、超えるべき対象だった綺羅ツバサは、その日から私にとって修也を奪った憎むべき相手に変わった。部屋にあったグッズも剥がしたし、部室の方も私がやる前にみんなが片付けていた。

 

……流石に捨てるまではしてなかったみたいだけど、多分あのグッズやポスターが二度と日の目を見ることはないでしょうね。

 

普段の私なら、『こんなことくらいであきらめるの!?』なんて言えたかもしれない。

 

でもできなかった。修也が私たちを助けてくれる中で、あんな風に悩んでいたなんて本当に気づいていなくて……そんな自分の鈍さが赦せなかったから。

 

修也、私ね?あの日までは正直、アンタには私みたいな夢がない男なんだって思ってた。自分がないから、私たちのためにあんなに尽くしてくれてるんだと思ってた。

 

そんなの、全然違った。貴方は誰よりも強く夢を抱いているから、誰かの夢を本気で応援できたのね……。

 

なのに私は、それに気づくどころか甘えっぱなしだった。それが今ぐらい好きなったきっかけなのと同時に、忘れかけていた不安の始まり。

 

そんな私なんかを、修也は愛してくれるのか————————

 

 

 

結局、その後修也は帰ってきて、ニューヨークで私達との絆を思い出してくれたけど、胸の中にはずっと言葉にできない不安が渦巻いていた。

 

まさか、またいつかにこから離れちゃうんじゃないでしょうね……?

 

その気持ちをどうしていいかわからなかった時、一人の芸能事務所のスカウトの人が、私をプロに誘ってくれた。

 

ニューヨークでもライブも秋葉の中継の方でチェックしてくれていたらしく、私がプロのアイドルを目指していることを知って声をかけてくれたのだ。

 

この知らせを家族に伝えた時、みんなもちろん喜んでくれた。そして、μ's以上に、家族以外にももう一人伝えたい人がいた。

 

これを修也に伝えれば、きっと修也はもっと私を見てくれる!綺羅ツバサじゃなく、本物のアイドルになる私を!

 

 

……だけど、それは結局、不安を大きくさせるだけだった。

 

だって、聞いてしまっていたから。練習の合間の休憩時間、綺羅ツバサと電話をする貴方の口から出ていた言葉。『ツバサも事務所の方に……』から始まる一連のそれを。あのA-RISEもまたプロデビューする。それも、同じ事務所から。

 

なのに私は……たった一人。

 

 

『ごめんなさい、私はもう辞めるね……』

 

『もう貴方にはついていけないわ』

 

『1人でスクールアイドルしてなさいよ!』

 

 

私のせいで、スクールアイドル部が一人になってしまった時のことが嫌でも思い出される。

 

μ'sのみんなや修也がいなければ、何もできなかった私なんかが、また一人に戻ってどうすればいいの?

 

他の8人と修也と、ファンのみんなの力を借りてやっとA-RISEの3人を超えられたのに。私だけであの人たちを破って、トップアイドルになれるわけない……。修也に、見てもらえるわけがない……!

 

修也、お願い。私を一人にしないで……。気づいてよ……。 

 

 

 

凄い勢いで、自分の自信とか覚悟とかが崩れていくのがわかる。そんな私のたどり着いた結論が、結局μ'sや修也に頼ることだった。

 

薄々気づいていたμ'sの今後も、解散しないで残っていてほしかった。もしダメでも、μ'sの名前が残ってくれていれば、帰れる場所がある気がしたから。初めてで、最高の仲間……『μ's』が続いていてくれれば、私はみんなに恥じない自分でいようと、頑張れる気がした。

 

ことりから貰ってた修也の写真データをこっそりプリントアウトして、部屋中に貼り付けると、なんだか修也に抱かれてるような気がして、安心した。ママに見つかったことがあったけど、「私も若いころはよくやったわ♪」と焦るどころか、喜んでくれた。あんまり聞かないけど、結構普通のことなのかしら……?

 

 

……だから、みんなには続けてほしかったんだけど。

 

「ハラショー!にこがプロになるのね!おめでとう!!」

 

「でも、なんでそんなに悲しそうなん……?みんなには、話さんの……?」

 

大学の進学は諦めなきゃいけなさそうだから、進路とμ'sの今後について話す中で、絵里と希にだけは隠しきれなかった。

 

最初はただ喜んでくれたけど、事情を知ってからはどんどん悲しそうな表情になる。やめてよ。……誰かの笑顔を曇らせるなんて、アイドル失格なのに。

 

 

「それは……難しそうね。多分みんなは、にこのいないμ'sをμ'sとして続けないんじゃないかしら」

 

「うん。μ'sは誰一人欠けちゃダメ。勿論、修也くんもにこっちもよ」

 

「……そんなこと、わかってるわよ。でも、私は……」

 

私の中でモヤモヤとした気持ちばかりが広がって、せっかくのニューヨークで最高潮だった気分が沈んでいく。

 

だから、修也にも気づかれちゃったみたい。……誤魔化せないわよね、アンタには。私たちの気持ちには気づかず、A-RISEに走ったくせに。

 

 

「にこ、練習終わったら時間あるか?」

 

 

でも惚れた弱みってヤツでしょうね、優しくされたら諦められないもの。本当にズルいわ。

 

 

「アンタ、穂乃果やあの女や希からも手料理食べさせてもらったらしいじゃない。私のも食べなさいよ。……日頃の感謝だから。その後でゆっくり話しましょ」

 

 

それは些細な嫉妬心。

 

私だって料理上手なところを見てほしかったってだけ。

 

でも私の料理を……表情豊かってほどじゃないのに、本当に美味しそうに食べてるアイツの顔を見てると、辛い気持ちも少しは吹き飛ぶ。

 

やっぱり、私べた惚れしてるわよね。アイドルになるはずの女の子が、たった一人の男の子に恋をしてるなんて……恋愛小説やドラマだけだと思ってたのに。

 

……! ダメよ、『矢澤にこ』。それだけはダメ。

 

アイドルになるのは私の夢。家族も応援してくれてるし、修也も背中を押してくれる。

 

みんなに笑顔を届けるアイドルが、誰か一人のためになんて、誰も許してくれるわけないわ……。

 

 

ねえ修也。私を勧誘してくれてた時、言ってたわよね。

 

『出会いには理由がある』『だから一緒に、新しいスタートを切ろう』って。

 

私とあなたの出会いの理由って、なんだったんだと思う?

 

 

一枚一枚、写真を見返しながら考える。

 

この一枚一枚すべてが、修也とのつながりに思える。

 

私は恩は必ず返すタイプよ。だから。あなたへのお礼もちゃんと忘れてないからね。

 

でもそれって……どうするのが正解なのかな。

 

私って、少し臆病になったのかしら。いくら考えても、いい案が浮かばない。どうしたらいいのか、答えが出ない。どうして、ラブライブに出るんだっけ……。

 

プロのアイドルになるべきなのか、どうやったらやっていけるのか。修也は私を見てくれるのか、この気持ちをどうしたらいいのか。μ'sに、どうしてほしいのか……。

 

きっと修也も、こんなドロドロした気持ちで何もわからなくなって、どうしようもなくなって、綺羅ツバサに騙されたのね。……今なら、その痛みを分かってあげられるけど。

 

そして今、こうしてわかっていたはずの答えを聞かされて、耐えられなくなって、何も考えられなくて……逃げ出して来た。

 

期待してたわけじゃないけど、追いついてくれたのはやっぱり修也。

 

 

「……にこ、俺の話、聞いてくれるか?ダメって言っても話すけど」

 

「なら聞かないでよ。……何?」

 

ぶっきらぼうに答えても、本音ではドキドキしてる。

 

 

「誰のためのラブライブかって、考えたことあるか?」

 

 

そこからはもう、やられっぱなし。

 

……ホント、ずるいわよ。そうやって優しくして、いつでも、私の望んでた答えを出してくれる。私の進みたかった道を示してくれる。私を救ってくれる……。

 

いつでも、傍にいてくれる……。私は、1人じゃないのね。

 

 

 

 

今夜はお返しに、少しでも修也の助けになりたい。

 

修也の望むものなら、一生懸命お金を稼いで、なんでも用意してあげる。悩んでるなら、私のできる限りでいくらでも相談にのってあげるわ。

 

私も綺羅ツバサに負けないアイドルになって、貴方もパイロットになって……。昔、そういうアニメを見た気がするけど、そんな夫婦も素敵だと思わない?

 

ママにも激励されてしまった。今こそ自分だけ優しくして、彼の心を奪うチャンスだって。だから今夜は、にこの魅力をたーっぷり、身体に教え込んであげるから、覚悟しておいてね……♡




にこと修也はお互い、強い夢をかなえようとするツバサとは別ベクトルで似てる関係にあるんですね。

今晩中に39話も投稿します。
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