ラブライブ!〜ヤンデレファンミーティング〜   作:べーた

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昨日のギルキスも良かったですね……(語彙消滅)

テーマはスピカテリブルから。



第42.5話 心の扉を開いて【南ことり】

 

———————夢のような時間が、終わっちゃった。

 

 

初めてだったから、上手くいかなかったかもしれないけど……しゅーくん、これでちょっとは身体からあの人の毒は抜けたかな? これからは毎日ちょっとずつでも、こうしてあげたいな……。

 

疲れも痛みも、今はどうでもいいや。目の前にしゅーくんがいてくれるんだし、それだけで満足。ゆっくりと、でもしっかりと味わうように彼の身体に舌を這わせる。

 

花陽ちゃんが『修也さんの肌、とっても美味しいですよ……♡ 修也さんと身体の中で一つになれる気がして、とっても気持ちいいんでオススメですっ♪』って言ってたけど、本当だったみたいだね。

 

うん、歯ブラシやお箸とは全然違うよ。こんなに直接おやつにできちゃうなんて、夢みたい。いや、夢じゃないからこんなにうれしいんだね……♡ 凄いよ、永遠に味わっていられちゃいそう。クるね、コレ。

 

 

一通り『デザート』を味わった後、ちゃんとごちそうさまを言ってから、改めて気絶寸前のしゅーくんの顔を見つめた。

 

……少し、息が荒いかな?でも、熱はないみたい。部屋も暑いとか寒いってことはなさそうだし……、きっかけがどうあれ、ことりで気持ちよくなってくれたってことかな。だったら嬉しいな……♪

 

見ているだけじゃ我慢できなくなって、愛用のカメラで一枚、写真を撮る。お母さんが昔使っていた年代物のカメラだけど、まだまだ現役だし、なによりまだ高校生なんだからわがままは言えないよね。

 

 

今日まで写真でいっぱい撮ったなあ。みんな……特に、にこちゃんにはたくさんおすそ分けしてたけど。やっぱり写真より生で見るのが一番だね♪ ……あれ?こういう言葉って、男の子じゃなくてスクールアイドルの方によく使われる言葉な気もするけど。まあいいよね?大好きなしゅーくんなんだし。

 

 

この部屋は、南家の地下室。うちは見た目は新しいんだけど、それは一回リフォームしたからで、実は築年数は結構古いの。なんでも、お母さんも昔この部屋を使ってたらしいんだけど……何に使ってたのかは教えてくれなかった。子供の頃に聞いてみた時に、『もう必要ないからね♪』と上機嫌で答えてくれたのを覚えている。

 

……もしかしたら、お母さんもお父さんを愛するのに使ってたのかもしれないね。だとしたら、ことりのしゅーくんに対するこの愛情の深さも、遺伝だったのかな? しゅーくんのお母さん経由で、色々と好みのモノとか聞いてきてくれるし、少なくとも母さんが応援してくれてるのは間違いないと思う。

 

この地下室の鍵も、ずっと場所は移されてなかったもん。好奇心で子供が入ったりしたら、危ないはずなのに……。

 

 

海未ちゃん、上手くやってるかなぁ?

 

しゅーくんのこととなると海未ちゃん、μ'sの中で誰よりも凄い状態になるよね。爆発力とか野生の勘?みたいなものなのかな。武道の成果なのかも。『修也の匂いがします』って言ったかと思ったら、しゅーくんのいる方向を当てたりしちゃうし。自覚してないかもしれないし、他の人に聞こえないように私たちも気は遣ってたけど、一番そういうとこは凄いから、心配はしてない。

 

……むしろ、私が失敗するのが怖いよ。

 

もしさっきのを誰かに見られていたらとか、勘違いしてただけでお母さんも今の状態を見たら卒倒しちゃうかもしれない。監禁、しちゃってるんだもんね……。

 

また視線をしゅーくんに戻す。許してくれるかな?ことり達がこんなことしちゃったこと。許してくれなかったら許してくれるまで、身体に気持ち良いことを教え込んであげちゃうなんて思ってたけど。

 

 

……きっと、そんなことしなくても許しちゃうんだよね。盗撮してることも、ストーカーしちゃってることも含めて。

 

優しすぎるもん、しゅーくんは。

 

そんなしゅーくんを私が好きになった時って、いつだったっけ。

 

時間はこれからいくらでもあるんだし、ちょっと思い出してみようかな……? 

 

 

 

————————秋葉のメイドカフェでライブをした時だったかもしれない。

 

「チョコレートパフェ……おいしい!生地がぱりぱりのクレープ……食べたい!はちわれの猫、かわいいー……。五本指ソックス、気持ちいいー………思いつかないよー!!」

 

歌詞が浮かばないでいる私にも、そっと背中を押してくれた。

 

「ことりはミナリンスキーとしてバイトしてて、本当に穂乃果や海未に追いつきたいってだけだったのか?」

 

「……ううん、楽しかったよ。この衣装を着ていると……この街にいるとね!変わろうとする自分を受け入れてくれてる気がするんだ。だから、楽しかったんだ!」

 

「だよな。メイドしてることり、『夢に向かって進んでる』って感じだったし。……大丈夫、俺と違って、ことりなら誰が言うまでもなく、誰かが望んだ姿じゃなく……自分が望んだものに向かって変わっていけるよ。だから、その気持ちをそのまま歌詞にしてみないか?」

 

……今思えば、あの時の言葉って『そういう意味』だったんだよね。

 

 

 

—————その後の、『秋葉のライブで頑張ったご褒美に』って誘ってもらった、池袋デートの時かな?

 

「やんやんっ~~!電車が遅れちゃいましたぁ~~!!」

 

前日不安と期待が混じって全然眠れなかった私。私の寝坊と電車の遅延のコンボで、盛大に遅刻しちゃった。

 

でもしゅーくんは、待ち合わせ場所からちょっと離れたところで。私の方をちらちらみながら、「今来たところ」っていうタイミング、伺ってたよね。バレバレだったけど、なんだかどうしようもなくかわいくて、でもカッコよくて。

 

幸せなデートでした……心の底から。

 

 

一緒に食べたチョコレートやマカロンが最高に美味しかったのも、最高の思い出。短い間だったけど、他にもいろんなところに一緒に行ったし、いろんなものを一緒に食べて……。

 

 

 

—————それとも、留学でバラバラになりそうだった頃?

 

私が彼に相談したとき、親身になって受けてくれた。そして、穂乃果ちゃんと一緒に、私を引き留めに来てくれた。

 

「ことりちゃん、私、スクールアイドルやりたいの!ことりちゃんと一緒にやりたいの!いつか、別の夢に向かう時が来るとしても!行かないで!!」

 

「頼むことり、行かないでくれ!俺のためでなくていい!穂乃果やみんなのためでいい!でもみんなだけじゃない。俺にも……ことりの力が必要なんだ!」

 

あの時、私の手を握って、空港のど真ん中で情熱的に……ぜ、絶対周りの人たちに告白だって思われたよね。恋愛ドラマとかでヒロインを引き留める主人公みたいな。ううん、9割くらい告白だったよ間違いなく。

 

「だから帰ってきてくれ。ことりがいないと……俺、音ノ木坂でお弁当を分けてくれる相手が減っちまうんだ。俺のおかず、減らさないでほしい。変なこと言ってるってわかってるけど、お願いなんだ」

 

「ううん、私の方こそごめん。自分の気持ち……分かってたのに……!!」

 

しばらく恥ずかしくて、しゅーくんの顔、見れなかったし……///

 

「………しゅーくん、私達を導いてくださいね♪」

 

 

 

いろんな衣装を見てもらったよね。

 

暇を見つけて、何度も遊びに連れて行ってもらったよね。

 

私が踏み出せそうで踏み出せないとき、いつも助けてもらったよね……。

 

 

……しゅーくんとの思い出、数えきれないよ。

 

いつ好きになったかなんてわからないし、きっと意味もないよね。

 

大切なのは、今もこれからも、私がしゅーくんを大好きで大好きで大好きでたまらないっていうことと。

 

もうしゅーくんはこの部屋で、私たちのことを好きになるしかないということなんだから。

 

 

「海未ちゃん、何時頃戻ってくるのかなぁ……」

 

 

海未ちゃんは私がしゅーくんを閉じ込めようと提案するまで、しゅーくんに嫌われることを恐れて、ずっと踏み出せないでいた。でも、私が海未ちゃんを誘ったのは同情や気を遣ったからじゃないの。

 

……私の方が、もっと怖かったから。仲間が欲しかっただけ。

 

私にとって、何よりも、誰よりも一番大切なしゅーくん。ずっと告白したいと思ってて、練習や妄想ばっかりしてた。突然告白したら嫌われないかなとか、あくまで『友達』であって、『恋人』なら私なんて嫌なんじゃないかなとか。踏み出さなきゃと思ってたけど、拒絶されるのが怖くて、何もできなかった。

 

穂乃果ちゃんに最初の告白を譲ったのだって、怖かっただけ。例え穂乃果ちゃんでも、私が告白したかった。あんなにバイトをしたり、スクールアイドルをして穂乃果ちゃんや海未ちゃんみたいになりたかったのに、まだ足りてないのかな……。

 

さっきも海未ちゃんは告白できたのに、これでとうとう私だけが想いを伝えられていない。だって今、目の前でフラフラの彼にすら言うことができないくらいなんだもん……。

 

そっと、彼の紫がかった蒼い髪を手で梳く。身体は筋肉質で雰囲気も男の子だけど、鋭いツリ目と長めのまつげはちょっと女の子っぽいかな。

 

負けず嫌いで意地っ張りで恥ずかしがり屋で、サバサバしてるようで情熱的で仲間想いで……本当は誰よりも高い高い目標をもっているしゅーくん。

 

貴方の左手を、傷ついた心を私が癒してあげられたら……。

 

そう思いながら温かい手を握るけど、そんな奇跡は起きてくれない。でも、そんな私でも貴方をあの雌猫から守ってあげることはできる。少しでも心の負担を背負ってあげることはできるよ。

 

今疲れていても、私たちの愛情を伝え続ければ。あの人から距離を置いていれば、いつかは『わかって』くれるよね?

 

 

……うん。本当に『救い』が必要なのは、私の方だって自覚してる。私が弱いから、こんな手段を使うしかないの。自分の弱さが嫌になっちゃう。このままじゃ、恋に嘆くだけの私のまま。変わりたいという想いは、ミナリンスキーをしてた時から変わってない。

 

 

でもね?それはしゅーくんにしかできないこと。

 

私の今も未来も、しゅーくんがいなきゃ……救われないの。変われない。きっとしゅーくんに心の扉を叩いてもらわないと、そんな勇気も出ない。

 

 

 

「しゅーくん、待っててね。少し何か買ってきてあげるから。今晩は貴方の好きなモノを作るからね……?」

 

 

————————……結局私は、こんな時になっても告白できないまま。

 

 

 




2年生組の運命やいかに。


135000UA、ありがとうございます。
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