本SSは某メディア展開で存在した、μ'sとAqoursが同じ学年の次元だったら……という世界観のSSです。
アニメ通りの時系列だと2人に年齢差があるためIFとなっています。鞠莉と修也がしっかりと話すにはそのほうが都合が良いためそうしましたが、本来の年齢差でもμ's解散後、どこかで似たようなエピソードがあったと解釈していただいて構いません。またそれらの都合上、SS本編の出来事の前後が狂ってますが、温かい目で見てあげてください。
こちらも劇場版前に書き溜めてたものですが、劇場版と矛盾や予言(ネタバレ)がなかったためそのまま投稿します。
「チャオ〜♪修也、久しぶり! 愛しのマリーがサップライズで会いにきたわよ?今日は私と一緒にあっそびまショ〜!」
「そうか、帰ってくれ」
休日の俺の自宅に、このSSの一行目から突然押しかけて来た一人の女性。彼女の名前は小原 鞠莉。静岡の内浦を拠点とするスクールアイドル『Aqours』のメンバーだ。
愛称はマリー(本人談)で、真姫をはるかに超えるほどの物凄いお金持ちでもある。外国の血筋が入っているらしく、綺麗な金髪と、少し変わったイントネーションが特徴的だ。海外経験も豊富で超がつくほどの美人。
スクールアイドルとしての人気もさることながら……彼女ほどの女性に誘われて断るような罰当たりな男は、俺を除いて居ないだろう。率直な評価として。
そんな才色兼備の彼女の髪は、今日も太陽の光に照らされて輝いているな。うん、いいことだ。それじゃ。
「ちょ、ちょっと修也さん? それは流石に酷いのではなくて?」
「そうだよ、せっかく来たんだからさ? カラオケとか食事とか何か……」
現実逃避しつつアタックをかわしていたが、一緒にきている鞠莉の友人2人……黒澤ダイヤと松浦果南がすかさず、フォローに回ってきた。彼女たち2人もAqoursの一員だ。てか、君たちも来てたのか……むしろ止めろよ鞠莉を。
東京に来てもいいから、せめて俺の家に突然押しかけるのは止めろよ。お願いだから!性別が逆だったら通報もあり得るぞ。
そんな感情を込めて2人を見るが、どこか申し訳なさそうな表情で返された。
……あー、いや。だとすれば、訂正する。止めきれなかったんだろうな。
前回の別れ際も『これからは逢いたい時に逢いに行くからそのつもりでいてね!』って発言してたくらいだし。冗談みたいなお金持ちでかつ、行動力のある鞠莉だ。本気になった彼女を抑える方法なんて、多分誰にも思いつかないし実行できまい。
「も〜! 修也ったら、私に会えて嬉しいのはわかるけど、照れ隠しには相変わらず下手っぴね♪」
「照れ隠しじゃねーよ!今日はゆっくり勉強と運動する予定だったの!アポなしで突然来られても困るの!!わかるか静岡シャイニーガール!?」
こう見えて一応受験(?)生なんだよ。少しでも体力と学力は付けておきたいの!
……つい強い口調でツッコミを入れてしまったが、向こうも伊達にスクールアイドルの修羅場とか社交界とかをくぐってはいない。負けじとすかさず反撃を受けてしまう。
「……それってさ、つまりヒマなんでしょ?」
「そうですね。それなら、鞠莉さんに付き合ってあげても良いと思いますが……?」
「ウフフ、シャイなのも程々にね〜?私じゃなかったら勘違いしちゃってるから〜♪」
ぐぬぬ、一瞬で論破されてしまった。なんで俺の周りの女性はみんな口が上手いんだ。しかも毎度、数で押してくるし。
試験を控えている身として、1日たりとも努力を怠るのはポリシーに反する。せっかく来た三人を無下にするのが心苦しいのも、確かではあるけど。
……ちなみに、俺がこの三人と知り合ったのは、それなりに昔に遡る。俺が静岡に旅行に行った時、道を歩いていた鞠莉に暴走した車が突っ込みそうになり、それを庇ったために大怪我をしてしまった。
その時に鞠莉は病院に通いつめて謝ったり、リハビリでダイヤと果南が手助けしてくれるうちに年齢が同じこともあって仲良くなったんだ。決して長い期間ではなかったけど、そのおかげか幸い、左腕以外大きな後遺症はなく、それもほぼ回復している。
沼津と東京って意外と近いし、今でも一緒にロックを聴いたり、たまにコーヒー豆を贈られたり(缶コーヒーの味の違いくらいしか分からないので宝の持ち腐れだ)。
あと、スクールアイドル関係で情報交換もしたりする仲だが、こうして突然東京の自宅に押し掛けられるとは。……それを強く追い返せない俺も甘いんだけど。
「じゃあまずどこ行く? ……って言っても、私はそんなに希望はないけどね。ダイヤはどう?」
「そうですね……私はスクールアイドルショップも行きたいですし……。後はその、μ'sのリーダー、高坂穂乃果さんのご実家のお店も行ってみたいですわ。以前の雑誌のインタビューで、神田明神の近くにある有名な和菓子屋さんだと伺っています」
「ダイヤはほんっと、東京に来るとμ'sのことばっかりね。でもまぁ、お饅頭も美味しいらしいし味わって帰りましょ♪ 修也は珍しくないかもしれないけど、それでいーい?」
ふむ。よりにもよって、スクールアイドルショップか。
ダイヤも名前通りの硬度10に見えて、スクールアイドルオタクだからな。せっかく東京に来たんだからグッズでも買い込みたいのだろうし、俺もその気持ちはわかる。それに、東京なら今言ったような聖地巡礼ができるし。
よし、ここは道案内を俺が……
……ん? 巡礼?この辺で聖地?
えーと、μ's?
リーダー?穂乃果?実家?神田明神?和菓子?ほむまん?穂むら?
あ、ああああああ……!!!
わ、忘れてた!!彼女たちスクールアイドルグループAqoursは、μ'sの大ファンなんだった!!
しまった……μ'sを結成してからまだ3人とは東京で会ってなかったから、完全に油断してた。Aqoursのメンバーに俺とμ'sの関係を教えるのは危険すぎる。……特にダイヤのμ'sへのイメージを壊したくない。ただでさえ彼女は初心で、海未のように破廉恥なものに厳しいタイプだ。
『μ'sに男がいた』なんてことになったら、しかも俺は襲われた側だなんて知ったらどんな目に遭うことか。
それにAqours側にだけじゃない、μ's側にも3人の存在は隠さないといけない。俺がμ'sやツバサ以外の女の子と親しそうにしているところを万が一にでも目撃されたら、一体どうなるか想像もつか……いや、つく!
特に希になんて知られたら、その弱みをネタに何を要求されるか……!
鞠莉の愛情表現というかスキンシップというか、そういうのは海外の経験からなのか、かなり大胆だ。その……likeかloveかはわからないが、俺だっていつまでも朴念仁じゃない。彼女が俺に少なからず好意を持ってくれていることくらい、流石に気づいている。別にフリーな状態なら喜んで鞠莉とデートをさせてもらうところだ。
でも俺には、もう10人もの深く、しかし曖昧な関係の女性が周りにいる。待ってもらっている身である以上、それに応えることはできない。
……考えろ、修也。
やはり一緒に行くのはナシ。というか無理だ、リスクが大きすぎる。誰も得しない。
この三人に穏便にお引き取りしていただいて、俺は今日1日、ゆっくり安全に自己研鑽に励む作戦を考えなくては……
「ちなみに今晩、わたしだけホテルないから〜♪」
「……え?」
「あれ?鞠莉、修也の家に泊まる許可もらってたんじゃないの?」
「貰ったわよ!修也のママからね!!」
「……どうやら、初めから仕組んでいたみたいですわね。修也さんすいません。ご迷惑ばかりおかけしてしまって……」
は、ハメられた……!
穂乃果に鍵を渡してた件もそうだが、あの母親は面白そうだと判断するとなんでこう軽率なんだ!?被害を受ける側の気持ちとか色々考えろって!
「じゃあ今晩は修也と二人でシッポリとspark!するとして、みんなで遊びにいっきましょ〜!」
……ツバサ。俺の人生って、いつの間にこんなにも周りの女性に左右されるものになったんだろうな……。
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「こ、これは……μ'sのグッズがいっぱいですわね!A-RISEもこんなに……!」
「さっすが東京ってとこだね! でもダイヤ、そんなに買ってお小遣い大丈夫なの?この前も部費ヤバかったのに」
「修也もμ'sやA-RISEが大好きだったわよね? せっかくだから買っていかない?」
「い、いや。普段見てるし俺はいいよ。みんなで好きなだけ買いな」
まずはダイヤの提案通り、スクールアイドルショップに来たのだが、いきなり躓いた。
改めてファンの人が嬉しそうにμ'sのグッズを買ってるのを見るのはなんだか、俺が恥ずかしい気持ちになる。ダイヤがカゴに入れてるアレとかアレとか、μ'sに頼まれて実際には俺がOK出した奴だし……。
それに、何を喋ってもダイレクトな情報になりそうで迂闊に口を開けない。μ'sについては大人気グループになっちゃってるし、ここには3人以外の目も耳もある。にこや花陽あたりが来店しないかも不安だし、オマケに……
「なぁに、マリーのこと見つめちゃって。やっぱり惚れ直したかしら……?」
鞠莉が俺の腕に抱きついている。柔らかな感触があまりにも心臓に悪い。
ツバサやμ'sのみんなならまだ慣れてきたものだが(これを言うと『じゃあ平気ね?』とエスカレートするので言わない)、鞠莉だとちょっと新鮮で……って俺は何を考えてる!ツバサとμ's9人一筋(?)のはずだろ!?
というか、惚れ直すも何も俺は鞠莉に惚れてないって!
「いやいやいや、いつのまに俺と鞠莉はそういう関係になったんですかねえ!?」
「フフ……顔、真っ赤よ?そう言いながら名前で呼んでくれてるし♪ マリーで興奮してくれたのね、嬉しいわ♡」
焦る俺とは対照的に鞠莉はますます機嫌をよくして、より強く体を密着させてくる。ぐおお……!! だ、だが俺もやられっぱなしじゃない。こういう時の対処法はある。
「……ダイヤ、果南!鞠莉をなんとかしてくれ」
「まぁ!鞠莉さんなんてはしたないことを!?」
「はいはい、押しかけたのはこっちだからそのくらいお安い御用だよ。ほら行くよ〜」
それは助けを呼ぶことだ!
……そんな情けないものを見る目でこっちを見ないでくれ。下手に引き離そうとすると余計強く抱きつかれるんだ。万が一叫ばれたら誤解されるし、現代社会では同じ女性に力づくで引き剥がしてもらうのがベストなんだよ!
「マリーは必ず貴方のところに帰ってくるわ〜……」
ズルズルと果南のパワーに引きずられ、遠くなりながらも、笑顔で店の外に連れ出されて行く鞠莉。店員の女性も生温かい目で見ている。
なんていうか、彼女は本当に人生楽しんでるよな……。俺もあのくらいの輝く笑顔が欲しいよ。
と、少し落ち着いたところで、アイドルショップを見渡してみる。ガシャポン、キーホルダー、ブレード、Blu-ray……そこまで長い歴史でもないのに、随分とスクールアイドルも広まったものだと思う。(あと、ミナリンスキーの写真はもうおいてないようだ)
僅かな3年間だけ『スクールアイドル』として輝く彼女たちの眩しさと明るさは、多くの人を惹きつけてやまない。μ'sのみんなのグッズも、ついこの間出たばかりだと思ったのに、今やこうして静岡から遠征にくる女子高生もいるくらいなんだ。
「? どうかしましたか、修也さん。私の顔に何か……?」
この黒澤ダイヤも、その1人。ちなみにμ'sの推しは断然、絵里だとか。
生徒会長という共通点もあるみたいだし、色々とシンパシーを感じる部分があるらしい。おカタいクール系なようで、実はポンコツなところとかも似てるし。あ、シスコン気味なのも同じか。
「あ、あの。そんなに見つめられると困るのですが……///」
あまり妹さんの方は知らないが、鞠莉と果南がネタにしてるからなんとなく察してる。聞く限りでは俺の従姉妹と同じ年齢とのこと。
同じスクールアイドル同士なら、もしかしたらどこかで会ってたりもするんだろうか?
「修也さん、言いたいことがあるなら、その……」
ダイヤと絵里……かたや大和撫子、かたやブロンド美人だが、こうしてみると2人が出会った時の反応とか見て見たい気もするな。スクールアイドル同士の化学反応……もし一緒にライブもできれば……
「あーっ!修也がダイヤとイチャイチャしてるよ!?」
……ハッ、いつのまにかダイヤの顔をずっと見つめてしまっていたようだ。少し恥ずかしがらせてしまったらしい。鞠莉に逃げられたのか、戻ってきた果南の声でそれに気づいて、慌てて弁明する。
「い、いや違うんだ!ちょっと絵里のこと考えてて……」
「『エリ』?……もしかしてソレ、修也の彼女?」
「……………………私の顔をじっと見つめながら、まさかその女性のことを考えていたんですの?」
「oh!ダイヤと果南が嫉妬ファイヤーしてるわ! 私は好きな人がモテるのは嬉しいけど、浮気はほどほどにね?あと、本命が私なことが条件よ♪」
……『絢瀬絵里』の事だとはバレなかったが、何故だろう。みんな一気に機嫌が悪くなった。
早速ボロが出そうになってるし、今日1日で俺はいったいどうなってしまうんだ……!?
修也くんの性格がやけに明るいと思われるかもしれませんが、本編が終始シリアスでハードな展開だったのと、精神的に参っていただけで、素の性格は結構こんなもんだったりします。
中後半については、次のギルキス旭川に投稿します。
160000UA & 165000UAありがとうございます〜次の更新は『だいかなまり』ヤンデレになるかも…