ラブライブ!〜ヤンデレファンミーティング〜   作:べーた

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前回の聖良さん回のATPに引き続き、今回は劇場版の理亞ちゃん回で。

よく考えたら昨日聖良さんのお誕生日なのに一昨日聖良さんを更新してしまう重篤な不具合を発生させてしまいました。どうぞお許しを……。


【外伝】消えない絆【鹿角理亞】

—————兄様を想う姉様の気持ち?

 

 

 

それなら、ずっと前から気づいてた。

 

こう見えて私も守られるだけじゃない、同じSaint Snowとして、姉様のことはよく見てるつもりだし……。

 

あのブロッコリーが苦手なこと以外、クールで完璧な姉様が、兄様と連絡を取り合う時だけは、昔から幸せ全開のだらしのない笑顔になる。

 

 

そんな姉様も好きだし……何より、人のこと言えない。

 

私も成長するにつれて、兄様の前だとドキドキしてうまく喋れなくなった。だって優しくて、カッコよくて……やっぱり、姉妹で男性の好みも似てくるものなのかもしれないって思った。従姉妹なのに、っていうところまで。

 

……一応、私自身は兄様は姉様と付き合って欲しいと思ってる。私なんかじゃ兄様には釣り合わない。姉様ならお似合いだし、幸せになってくれるはず。

 

私たちの……ラブライブに優勝して、スクールアイドルの頂点に立ちたいという夢は、兄様の影響もあった。あの頃はまだ函館まではスクールアイドルはそんなに盛り上がってなかったけど、兄様はμ'sとA-RISEのライブ映像やグッズをたくさん送ってくれた。

 

そして、μ'sのニューヨークでのライブをTVで見て……忘れもしないあの雪の日、私たちはラブライブを目指そうと決めた。あの日見つけた雪の結晶を、グループ名にして。

 

学校でも友達が多いタイプではない私にとって、兄様と姉様は私の人生の大半を占めてた。だからこそ、2人には従姉妹っていう関係を乗り越えてまで、付き合って欲しいと思ってたのに……

 

 

「しかし、うちの聖良と理亞をそこまで本気にさせるスクールアイドルグループか。きっとμ'sのみんなにも負けない、凄い娘達なんだろうな……」

 

 

兄様がAqoursやμ'sのことを話してるときは、ちょっとだけ嫌な気分になった。姉様の気持ちを後押ししようと思ってたのに、何故か胸が苦しくて見ていられなくなった。

 

……そのとき、気づいたの。私も、兄様のことを愛しているんだって。

 

それまでは親戚として、尊敬する兄として大好きだったんだと思い込もうとしてた。姉様のために……ううん、ラブライブに集中するためにそう思いたかったんだ……。

 

まぁ、気がついたところで、関係が変わるわけじゃなかったけど。

 

兄様は最近ほど函館には来られなくなって行ってたし、何より私は姉様の幸せを願っていたし……。

 

私は2人に、大切なものをいっぱいもらってたから。その結晶としてのSaint Snowがあれば、十分幸せ。

 

 

 

……なのに。

 

その幸せと姉様の夢は、私が壊してしまった。

 

本当は、前の東京でのイベントで9位だった時から、ずっと恐れてた。この予選の日、姉様にとって最後のラブライブの機会が来ることを……。

 

兄様やAqoursが応援に来てくれていることを聞かされるたびに、むしろそのプレッシャーは大きくなっていく気がした。

 

 

もし私が失敗したら?

 

ライバルであるAqoursにそんな姿を見せたら?

 

兄様への気持ちを、姉様に知られてしまったら……?

 

関係ないはずのことでも、考え始めると負のループは止まらなくなって……そして、私は自分をコントロールしきれずに、初歩的なミスを犯してステージを台無しにしてしまった。

 

兄様の期待も裏切って、姉様まで泣かせてしまった。

 

もう、姉様は夢を叶えられないんだ。あの姉様が、泣くほどの悔しさ。

 

 

それが全部、私のせいで……

 

そう思った瞬間、姉様も兄様も会場に残して私は独りで逃げ出した。

 

夢からも、スクールアイドルそのものからも……。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

そんな私を助けようとしてくれたのは、ルビィ達Aqoursと……また、兄様と姉様だった。私と一緒に函館でやってくれたライブは……Saint Aqours Snowの輝きは、希望と自信を失っていた私にとっての光になってくれた。

 

きっとこの輝きがあれば、まだまだ私は頑張れる……! だから私は誓った。Aqoursに負けないくらい頑張って、新しいメンバーを集めて、グループを作って……練習して練習して、またラブライブを目指すって。

 

それが、姉様への罪滅ぼしにもなるんじゃないかって。

 

信じればきっと叶うって……強い想いがあるからもう大丈夫なんだって、思ってたのに。一度は思えたのに。

 

 

 

……それも、今はうまくいってない。

 

よく考えれば、それは当たり前だったのかもしれない。歌を主に作ってたのは、あの姉様。新しい仲間たちは練習についていけないって辞めたがってるし、姉様のような気配り上手じゃなくて無愛想な私じゃ、それを引き止められない。

 

みんなと仲が悪くなったわけじゃない、むしろ応援してくれてるけど……思い知らされることは一つだけ。

 

 

……結局、もう私はひとりなんだってこと。

 

兄様や姉様、ルビィ達の力を借りないとどうにもならない、弱い存在……それが鹿角理亞。ひとりぼっちじゃ、ラブライブには出られない。姉様やμ'sやA-RISEの背中を、追いかけることすらできない。

 

姉様の夢を壊したばかりか、Saint Snowを遺し続けることだってできなくなる。せっかく仲良くなれた新しい仲間も離れていく。……それが、私の限界。

 

 

これが『本当の私』。

 

『鹿角理亞』だけの実力……。

 

そう思うと、申し訳なさと情けなさでどんな時も涙が溢れてくる。そんなことだから姉様の夢も壊してしまったのに。

 

トドメになったのは、Aqoursが海外で最高のライブが出来たことと、仲間達がスクールアイドルを辞めることを決意してしまったこと。この2つが重なって、私は目の前が真っ暗になった気がした。

 

……『嫉妬』だなんて、そんな気力すらなかった。

 

情けなくて、また何もかもから逃げ出したい。どうしたらいいんだろうって、いくら悩んでも、練習することしかできなくて。心配して3月末の休暇も、兄様はこっちの家に帰ってきてくれたけど……合わせる顔なんて私にはない。

 

こんな気持ちを、2人に聞かせるわけにはいかないと思ってた。でも、ランニング中に急に雪が降ってきたから練習から早めに戻ったら……姉様が、Aqoursの3年生に連絡しているのが聞こえた。

 

 

『貴女は本当に……それでいいと思ってるんですの? 理亞さんが、それを望んでると?』

 

『そうしたくはありません。でも、そうするしかないんじゃないかと……。今からなら転校も間に合います。理亞をAqoursに入れてあげることは、やはり無理ですか?』

 

『そう……ですのね。とりあえず私も、千歌さん達に早めに相談だけしてみますわ。今後のAqoursは、彼女達に引き継いだわけですし』

 

 

……違うの、姉様。そんなの、私は望んでない!

 

Aqoursが嫌いなんじゃない。むしろ、また一緒にライブができるならしてみたい。ルビィ達にだって逢いたい。海外の話も聞きたい……。これからも、何度もライブが見てみたい。

 

でも違うの!私は……私はSaint Snowとして!ライバルとしてルビィ達に向き合いたい!!

 

それはAqoursに入るとか、沼津に転校するとかってことじゃないのに……!!

 

「……これでとりあえず、一通りの連絡は終わりか。後はそれぞれの返答待ちと、理亞の気持ちだけど」

 

「そうですね。ですが……環境を変えることも、考えてみていいのかもと思ってしまうんです。もちろん、新しいAqoursの皆さんが良ければ、ですけど」

 

姉様と兄様にそんな気遣いをさせてしまった自分が情けなくて、辛くて、悔しくて、悲しくて……

 

その晩は眠れなかった。それでますます心配ばかりかけて……そこから数日間は、またさらに悩んで悩んで、どうしようもなくなった。

 

 

いつだって思い出してしまう。

 

今日だって、練習のために日も昇る前の早朝にまた走り出したけど、意識するとまた涙が出てきてしまう。あの時のステージでの失敗のこと、姉様の涙のこと。

 

帰りたくなかった。ひとりでいるのが嫌なのに、ひとりにしてほしいなんて……ワガママもいいところ。

 

自分で失敗して、周りに迷惑かけて……そのループに陥って、出口なんて見つからない。必死に練習しても、仲間もいない。姉様も兄様も、ステージにはいない……私一人でやらなくちゃいけないのに!

 

 

ちょうど学校に差し掛かったあたりで、一台の車が近くに止まった。見覚えのある車……兄様の運転する車。

 

その助手席から降りてきたのは姉様だった。それも、ラブライブ決勝で着るはずだった衣装を持って。

 

「理亞……さっきはごめんなさい。……聞いていたんでしょう?兄さんとの話を」

 

「あー……その。俺も昔、今の理亞と同じような気持ちになったことがあってさ。だからよくわからんだ。焦りとか無力感とか……でもやらなくちゃいけない!って気持ちもさ」

 

 

あの兄様が、私と同じ悩みを……?

 

そんな事、聞いた事なかったけど。

 

「俺が夢をかなえられたのは、俺一人の力じゃなかった。いろんな人が心配してくれたり、助けてくれようとしたのに意地を張って……泣いてた時もあったよ。だからさ、理亞は無理して悩みすぎなんだよ、きっと」

 

「ええ。兄さんにも、Aqoursの方々にも怒られてしまいました。『理亞はそんなことを望んでないんじゃないか』って。貴方の気持ちも考えないで……本当にごめんなさい」

 

そんな……姉様にそんなことを言ってもらえる資格なんて、私にはない……。

 

だって私のせいで、姉様は……!!

 

 

「……理亞。今から2人だけの、ラブライブ決勝を始めます」

 

 

『理亞ちゃん、甘えてちゃダメだよ! ラブライブは、遊びじゃない!』

 

 

ルビィ……。

 

姉様の携帯から聞こえてきたのは、大切な友達の声。

 

「貴方の一番かなえたかった夢……それは、きっと私と同じだったんですよね。『誰のためのラブライブか』」……。兄さんに言われた言葉でしたよね。私の一番かなえたかったことは、理亞。ただ、貴方と—————……」

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

「あなたの私やAqoursの皆さんとの思い出も絆も……消えたりなんてしない。ずっと残っていく。だから、もう追いかけなくていいの。理亞、貴方は貴方の道を進んで、貴方の輝きを手に入れて……」

 

———今までのどんなライブよりも、最高に楽しいライブだった。

 

姉様と一緒に、もう二度と踊ることができなかったと思っていたステージを踊れた。

 

Aqoursにも、兄様にも……そして、あの渡辺月って人のアップロードした動画でも、どんどん世界に広がっていくはず。

 

……私は、こんなにもたくさんの人に想われて、助けられていたんだ……!!

 

 

それは、姉様とスクールアイドルをする中で得た、絶対に消えない絆……。

 

みんなには感謝してもしきれない。

 

ほろりと涙が浮かんできたけど、それはきっと今までとは違う意味の涙。

 

 

これから先、どんな大変なことがあるかわからない。生半可なことじゃ、ラブライブを一緒に目指すメンバーも見つからないはず。それにメンバーを集めたところで、ラブライブに出られるかはわからない。

 

でも姉様、兄様……ルビィ。私はやって見せるよ。ゼロからのスタートでも、Aqoursみたいにそれをイチにしてみせる。そしていつかは————

 

「2人とも、日も昇ってきたしそろそろ帰ろう。叔母さん帰ってきてるから朝飯あるってさ」

 

————兄様に、告白する。

 

……このライブを終えて今日ハッキリわかった。感謝だけじゃない……私の本当の気持ちを。

 

 

「姉様、私……姉様にも負けないから!」

 

私の決意を込めた瞳。『負けない』というのが、『これまでの』Saint Snowに向けられた意味ではなく、恋敵という意味なのは明らか。だから姉様も、ステージに立つときみたいなちょっとだけ挑発的な笑みを浮かべた。

 

「それをいうなら、私はもう兄さんに告白しましたよ? 私に遠慮することなんて何もないんですから、理亞は理亞のアタックの仕方を考えなさい?」

 

『まあ、どうせ従姉妹で倫理から外れかけてるのでもういっそ二人でって言うのも……』って姉様がつぶやいてたのは、色々と台無しになるから無視しておくことにしたけど……。

 

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

 

【Side 小原鞠莉】

 

 

「……と、言うわけです。鞠莉さん、残念でしたね?兄さんは私たちが貰っていきますので♪」

 

私は今、廃校が確定した日以来の強烈な危機感に襲われていたわ……。

 

最高のライブが終わったのに、やっぱりスクールアイドル楽しいなって思ってたのに、こんな形で水を差されるなんて〜……!!

 

「じゃあ、私は愛しの兄さんの運転する車の助手席に乗ってきm……ちょ、ちょっと理亞!待ちなさい、そこは私だけの席ですよ!?」

 

それっきり、聖良は通話の声が遠くなった。多分通話ボタンを切り忘れたまま、携帯をポケットに入れて修也のところへ向かったのだろう。

 

……もしかしてもしかするんじゃ、とは思ってたけど。こんなことならもっと早く調べさせておくべきだったわ……!

 

まさかシューヤの昔の名字が本当に『鹿角』だったなんて!!

 

偶然の一致なんかじゃない……。あの2人の従兄でしかも好きな人だなんて、この私をその気にさせておいてどこのギャルゲーの主人公なのよ!?むきいいいー!!!

 

 

「……ねぇ、ダイヤ。今の映像に映ってたのさ、もしかして鞠莉の『あの時』の……」

 

「ええ。『あの人』ですわね。言われてみれば確かに似ていますが、気が付きませんでしたね……それよりも、問題なのは」

 

「あれ、この人この前沼津に来てたよ!敬礼教えてもらった!」

 

「函館でお世話になった、理亞ちゃんの従兄弟のお兄さんずら〜!」

 

「リトルデーモン、なんていうか色々罪深い男ね……」

 

「り、梨子ちゃん!誰なのあの人!?」

 

「私も知らないけど……もしかして知らないの、私と千歌ちゃんだけ〜!?」

 

 

みんなはやいのやいの言ってるけど関係ない。私の気持ちはどうなるのシューヤ!?あの事故から、何年想い続けてると思ってるの!?

 

それにしてたって、問題なのは……!

 

「やっぱり……そういうことだったのね聖良〜!?」

 

私が悔しがることをわかっててこんなビデオ通話をするなんてなかなかの策士のようね……!

 

でも負けないわ!マリーのTARGETは貴方だけ。彼女になるはずの一人は私なんだってことをわからせて……!

 

 

「待てって2人とも!俺は本当は彼女が……!!」

 

「…………………………は? 兄さん、それってどういうことですか?もしかして、この前言ってた『10人』っていうのは……」

 

「姉様……これはもう一度問いただした方がいいと思う。大丈夫、まだ休暇でこっちにいるんだよね兄様……?」

 

 

そんな遠くなった会話が携帯のスピーカーから流れた時、私の中で何かがプッツンした。

 

「はぁ、やっと鞠莉さんの結婚騒動がひと段落ついたというのに。また同じことで騒がしくなりそうですわね……」

 

「え? それじゃあ鞠莉ちゃんがずっとお見合いとか結婚断ってたのって、もしかして……?」

 

「そんなところ、かな。あの様子見ればわかるでしょ?」

 

 

 

「キーーっ!!シューヤ!!あの日から燃え続けている乙女のバーニングラブ、絶対思い知らせてやるんだからね~!」

 

 

 

 

—————『ハッピーエバーアフター(めでたしめでたし)』までは、まだ遠い?

 

 




昨日は更新できず申し訳ございません……これにて、μ's長編×Aqoursはひと段落ですね。理亞ちゃんの未来に幸多からんことを(あと鞠莉と聖良も)と願って書きました。劇場版ラストの理亞ちゃん、いいですよね……。

明日は鞠莉ちゃんの複数用意してるパターンのうちのひとつかな……。

ところで、5/13でこのSSは1周年を迎えます。特に何かあるわけではございませんが、今後も頑張ってまいります。
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