ラブライブ!〜ヤンデレファンミーティング〜   作:べーた

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2クール目、いよいよ完結。(なおアニメ換算3話分)やっと……やっとここまで書き上げた……!!



第26話 小さなキセキが

停電……。

 

 

大雨に続いて、なお俺たちに降りかかってきた苦難。おそらく、近くのどこかに雷が落ちたんだろう、体育館の電気で動くものは、先ほどまでの熱だけを残して、全て止まってしまっている。

 

あれほどの盛り上がりがウソのように、今度は静寂が体育館を支配していた。ステージ上の3人も、俺も、集まったみんなも、隣に立っている松浦さんも……誰ひとり動けずにいる。

 

 

この時、全員が思っていたことはきっと同じ……

 

 

———————『ここまできたのに』『どうして』と。

 

 

俺と松浦さんに話しかけてきた、たった一人を除いて。

 

 

「ショウ……やっと来たと思ったら、こんな結果だなんてね。頑張ったのは認めてあげるけど、どうやらここまでのようね?」

 

「ま、鞠莉……!」

 

「……理事長」

 

 

理事長の、小原鞠莉を。

 

 

「鞠莉、流石にそんな言い方は……」

 

「いいんだ松浦さん。理事長、これは———……」

 

「一応言っておくけど、日を改めてのリテイク……っていうのはナシよ? 天気には同情しなくはないけど……ほら、やっぱりアナタがいるとロクなことにならなかったじゃない」

 

 

……『もう一回』は無しだなんて、そんなこと言われなくてもわかっている。条件にそんな甘い話は出されてない。……結果だけが全てだとわかっている。わかっているから……棘のある言い方をされたって、言い返さないでいるんだ。

 

隣で松浦さんがオロオロとして、俺たちの顔を交互に見てくるが、俺の無力感に拍車をかけるだけだった。それを片手で制して、小原さんに向き合う。

 

「……確かに、そうかもしれない。俺なんていなければ、最初から君はAqoursを助けてくれていただろうし」

 

……負け惜しみの1つも言おうとしたけど浮かばなくて、そんな言葉が出てしまうほど、悔しかった。

 

だけどそれは、俺が悪く言われていることや、この学校から消えなければならないからじゃない。偶然とはいえ、松浦さんの言ったとおりに……千歌達の夢が壊れそうになっていること。そして、こんなにみんなが笑顔になれる素晴らしい瞬間が、天気なんかのせいでダメになってしまったこと。

 

その2つが、ただひたすらに……辛くて悔しかったんだ。

 

 

 

……情けない。

 

『Aqours』の名前をもらうと決めた時、俺はああ言ったはずなのに。

 

『その時と同じ失敗はしないと誓ったんだ。その意味でも、かつてのスクールアイドル部から受け継ぐことのできるものがあるのなら、そうしてみたい。前の俺とは違うってことを証明してみたいんだ』

 

あんな事をダイヤに言ったのに……俺は何も変わっちゃいないのか。

 

彼女が最初に言っていたように、『記憶がないからこそ、かつての失敗を繰り返す』だけなのか?

 

いったい2年間何をやっていた? 全部忘れて、思い出せないまま何も変えられず、俺は何を……!!

 

 

「まぁ、私も鬼じゃないわ。貴方が身を引くのなら、あの子達自身さえ納得すればスクールアイドル部は———……」

 

 

だがもう、小原さんの声は聞こえなくなった。いや、気にならなくなった。

 

 

……そうだ、みんな。みんながまだ、ステージにいる!

 

不貞腐れるな、俺。

 

アイドルがまだ立っているのなら、終わりじゃないはずだ。スクールアイドル部の一員のつもりなら、ステージがまだ終わってないのに諦めていいのか?

 

俺にはわかる。3人がまだあそこにいるのは、天気なんかに負けるAqoursじゃないからだ。まだ歌えると、まだ踊れると信じてるから、あそこに立ち続けている。

 

暗くて見えない分、むしろみんなの———……

 

 

こうなったら、本格的に勝負なんてもうどうだっていい……目指しているのがこのライブの成功なら。

 

まだ。まだ何かあるはずだ。諦めなければ、きっと……

 

 

「……電源!」

 

 

そうだ、方法は残されている。電源をつけさえすればいいんだ!用務員としては見習いの俺だけど、前任者のおじいさんからそこは簡単にだけ聞いている。

 

元々あんまり頑丈じゃないから、以前にもたまにこういうことがあったらしい。その時作られた対策マニュアルもある。一時的な復旧のためには、常備してある発動発電機を使いさえすれば……!!

 

 

迷う理由は何1つない。即座に行動に移すだけだが、踵を返して駆けだそうとした瞬間、誰かに腕を掴まれた。

 

……また、キミか!

 

「果南……? 何をしてるの?」

 

「待って翔! ()()()どこに行く気!?」

 

()()止めるのか果南! 決まってるだろ……電源を回復させに行くんだよ!」

 

 

————小原さんも眼を見張るほどに、彼女の行動が読めない。俺もその意図が、未だに分からない。

 

俺達のことを心配してくれたかと思えば、そのあまりか俺がライブを見るのを止めようとした。さっき理事長から庇ってくれたかと思うと、今度はまた俺を止める。

 

それがもし、過去の経験から来る『一貫しての行動』なのだとしたら、そもそもの原因であるらしい俺が憤るのは筋違いなのだろうか。

 

……しかし、次の言葉で、その心配も予想もすぐにどうでもよくなった。

 

 

()()()()止めるよ!……もう勝負はついてるんだよ!? 確かにいいライブだった……でも、もうあなた達は—————」

 

 

……その瞬間、俺の怒りが頂点に達したのが自分でわかった。

 

 

曜や千歌は俺のことを『昼行燈』とか『人畜無害』とか言うし、自分でもそうなんじゃないかと思ってたけど……どうもそんなことはないらしい。

 

周りには他のお客さんたちだっているから、静かに小原さんの左肩を右手で掴んで、左手で松浦さんの右肩を掴んで、奥に引っ張っていく。

 

小原さんの力では俺にはかなわないし、松浦さんは女子にしてはかなりパワーのある方だが、突然のことで驚いていたのか大きく抵抗しなかった。2人の肩を体育館の暗がりで壁に押し付けて、感情のままにキレる。キレ散らかしてやる。

 

千歌達の頑張りを無駄にするかのような2人続けての物言いに憤っているんだと思ってるけど、八つ当たりだったりするのかもしれない。そんな僅かな迷いも、怒りに呑まれてどうでもよくなる。

 

仮に俺がスクールアイドル部にとって『害』だとしても、例え勝負に負けてても————

 

 

「関係ないって言ってるだろ……俺はみんなを笑顔にしたいんだ!!なんでそれを目指したのかも覚えてないけど……千歌達『Aqours』のライブで、確かにみんな笑顔になってたじゃないか!!今日だけじゃない、これからだってきっと……もっと多くの人を笑顔にしていく!!」

 

「…………ショ、ショウ?」

 

「小原さんの勝ちなんだから廃部でも解雇でも好きにすればいい……でも、このライブを終えてからだ!! ライブは終わってない。アンタたちには千歌達の声が聞こえないのかよ……!?」

 

 

俺がステージを指さすと、2人も恐る恐ると言った様子でつられてそちらを見る。

 

そこには、ほぼ真っ暗になった体育館の中でも、必死に歌声を響かせようとしているAqours3人の姿があった。見えないからこそ……もっと聞こえてくるものがある。

 

 

「キモチが、繋がりそうなんだ……!」

 

「知らないことばかり……何もかもが……」

 

「……それでも、期待で、足が軽いよ!!」

 

 

だんだんと掠れていって、殆ど涙声になっても……それは彼女たちの諦めない、諦めたくない気持ちが形を為そうと頑張っている証だ。

 

それに対して、『もう結果は見えたんだから諦めろ』なんて言えるのか? そんな発想すら、俺には浮かんだりしない。

 

 

「勝負の結果がどうこうじゃない。今ここに集まってくれたお客さんや、応援してくれたいろんな人の笑顔……自分たちの輝き、目指したい夢のために歌おうとしてるんだ。それがわからない2人じゃないだろ……!?」

 

……やっぱり昼行灯だったかもしれない。怒りは1分くらいしか続かず、言い終わる頃にはほとんど懇願になっていた。

 

冷静になってくると、急に自分のしていることが分かってくる。男から女の子にこんなことするなんて、ハタから見たらただの暴力ともとられかねない状況だ。

 

そう思ってから、手を離して謝るまで3秒かかった。やっぱり、俺がこんな行動にまで出たことがまずかったか。小原さんは明らかに納得していない様子で、何か言いたげにしている。

 

 

「ショウ、貴方は…………」

 

「———……鞠莉、昔のことはもうやめようよ」

 

だが、意外にもその間に割って入って助け舟を出してくれたのは、さっきまで俺を止めようとしていたはずの松浦さんだった。

 

 

「いいよショウ、引き留め続けてごめんね……行って」

 

「松浦さん……?」

 

「か、果南。アナタ……!?」

 

何故、と聞きたくなるけど、彼女の表情を見て言葉が浮かばなくなる。

 

色んな事に悩んでいたような松浦さんはが、どこか安堵したというか、肩の荷が下りたというか……。さっきキレられたはずなのに、不思議なくらい落ち着いた雰囲気を感じる。

 

松浦さんだけじゃなく、小原さんのことも気になっていた。何故そこまで俺たち2人を相手に驚いているんだろうか。この2人は、何を知っていて……何を感じているんだろうか。

 

今は、その理由も内容も、考えないようにすべきなんだろう。優先するのはただ電源のことだけ。でも、その突然の彼女達の態度の変化は、僅かに俺に二の足を踏ませる。

 

こんな状況になっても記憶が戻らない俺は……いったい、昔に何があったんだろう。この2人にも、ダイヤにも……どう、思われていたっていうんだ?

 

 

その答えを意を決して聞こうとした瞬間、もう1度背後から大きな音が鳴って、光が差す。体育館の人間は思わず全員が振り向いていた。

 

だが、それはもう忌まわしい停電の音じゃなく……むしろその逆。停電から復旧したのか、すべての電気器具に再び火が入り始める。

 

 

更に、さっき俺たちが開け閉めした体育館のドアから、光と人影が写った。その影は、大きくサムズアップをしている。背後の光は、車のライトだったようだ。

 

 

「バカ千歌、アンタ時間間違えたでしょーっ!」

 

 

美渡、姉さん……!?

 

そして、その背後には多分同じ会社の人と思われるスーツ姿の老若男女。さらにその背後には志満姉さんと、地域の皆さんと思われる方々が来ていた。それは大きなうねりとなって、どんどん体育館を埋め尽くしていく。

 

これって、もしかしてライブに来てくれた『お客さん』……?

 

「ギリギリセーフ……ってとこかしら。まったく、世話の焼ける妹と弟だって美渡もボヤいてたわよ?」

 

「志満姉さん! もしかして、この人たちみんな……!」

 

「そういうこと♪ それにしても、もう始めてるなんて驚いたわ。だってまだ時間があるのに……時計でも壊れてたの?」

 

そう言われて、ハッとしてしばらく見ていなかった腕時計を見る。

 

……確かに、本来なら今始まる時間だ。さっきあった20分の猶予も、よくよく考えれば松浦さんとの会話でそんなにかかってるはずがない。

 

じゃあ何故? 千歌達はこんなに早くライブを始めて……

 

 

……時計?

 

もしかして、体育館の時計を、部品が足りなくて俺がまだ直せてなかったから? みんなは緊張のせいか、そっちの時計ばかりを見て動いていて……?

 

 

「本当に私… ……バカ千歌だ……っ!」

 

今度はその言葉で振り返ると、ステージの上で涙を拭う千歌の姿があった。……曜も梨子も、準備万端って感じで千歌を見ている。お客さんにも、俺たちにも、笑顔が戻っていくのがわかる。

 

300人余り……集まってきてくれた人たちが体育館の客席エリアを埋め尽くした時、もう一度歌声が響き始めた。そこからの事は、もう説明する必要はないだろう……。

 

 

 

……小さな奇跡が、起きたんだ。

 

 

 

♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢

 

 

 

ライブを見届けて、すぐの喧騒と歓声。

 

産まれたばかりの未熟なスクールアイドル達だけど、新しい、確かな何かがあったように思う。お客さん達もそれを感じたからこその、この余韻なのかもしれない。

 

そんな事を考えていると、後ろからこっそりと、少し疲れた様子のダイヤがやって来ていた。そういえばダイヤがいなかったけど、どこに行ってたんだろう?

 

「ここが停電しやすいのは聞いていたのでしょう? それなのに無策だとはまったく……世話が焼けますこと」

 

制服には、薄っすらと汚れが見て取れる。発動発電機があったのは、それなりに汚れた倉庫の中で、女の子では運ぶのにしっかり持たないといけなかったはずだから、体にも自然と……

 

「ダイヤ? もしかして、キミが……」

 

電気を回復させてくれたのか……? 俺たちのために。

 

「万が一を考えて準備しておいて正解でしたわね。……私のした事は、だいたいご想像の通りだと思いますが。私の考えまでは勘違いしないように!」

 

「え? 考えって……どういう」

 

「これは今までのスクールアイドルの努力と、ご家族や街の人たちの善意があっての成功ですわ! あの娘達はまだまだ、あれほどのお客さんに来てもらえるレベルではないのですから」

 

…………。

 

……勘違いって、「貴方達のためではありませんわ!」みたいなツンデレ的なのじゃなくて、そっちの話かよ? ……兎にも角にも、まだまだ彼女のお眼鏡に叶うライブではなかったらしい。

 

まぁ初めてだし。志満姉さん美渡姉さんのおかげだし、それは確かかもしれないけど……停電した時よりずっと余裕のあった俺は、ちょっとダイヤをからかいたくなってしまった。

 

「そうそう、後はダイヤのくれたノートと名前も最高の一因だな! ていうか、誰も聞いてないのにAqoursの実力の話になるなんて……やっぱりまだまだ、スクールアイドルが大好きじゃないか?」

 

「〜〜〜〜〜〜〜!!」

 

と言うと、ダイヤの顔は漫画みたいに下から上へと赤くなり始める。こういうところか!ルビィちゃんとで、姉妹そっくりなの。

 

なんにしたって、この『奇跡』の半分は彼女のおかげなのは事実だ。グループ名だけじゃなく、こういうアフターケアもバッチリなあたりは、見習わなきゃいけないな……。

 

 

「……とにかく、ありがとう。ダイヤのおかげで大成功だよ」

 

俺が握手の手を伸ばして、微笑みながらダイヤも応えてくれようとする。

 

「もう、いつもそうやって不意打ちをするのですから。約束、守ってくれましたわね。確かに貴方は、Aqoursの名前で———……」

 

だいぶいいムードになってる、気がする。なら、今こそ告白を一度断る話をして……!

 

と思ってたら、握手の直前に松浦さんと小原さんが再び現れて、またしても中断された。3年生が3人と、1人(年齢的には)……。きっと昔は、仲が良かった4人。それが何の因果か、こうして再び集っている。

 

未だに歓声に包まれている体育館とは逆に、俺たちの場所だけ再び空気が張り詰めたの分かった。そんな中で最初に口を開いたのは、小原さんだった。

 

「……これで勝ったと思わないことね。果南とダイヤがどう思ってるか知らないけど……私はまだ、アナタのしたことを忘れたりはしないわ」

 

彼女のいう通り……『俺がいるとロクなことにならない』らしい。少なくとも、小原さんにとっては。こんな素晴らしいライブを見届けられたのに、しかめっ面なんて勿体なさすぎる。

 

俺がライブを楽しむ邪魔になってるのなら、それはそれで申し訳ない気がしてきてしまうけど……あ。こういうとこが、お人好しって笑われる原因なのかも。

 

しかし、さっきはあれだけ挑発されたのに何も言い返さないのは良くないな。俺が良くても、今後千歌達に彼女の嫌がらせが向いたら怖いし……

 

「鞠莉さん、もうおやめなさい! ……勝負の結果は明らかですわ。スクールアイドル部は発足しても良いのでしょう?」

 

「……中立かと思ったら、ダイヤはショウの味方するんだ? あんなに部は認めないーってイジワルしてたのに?」

 

「私はただ、貴方たちのやり取りの結果を見て、当然のことを申し上げたまでです。これに懲りたら、神聖なスクールアイドルのステージを、勝負の条件に使うようなことはしないように。……翔さんも、良いですわね?」

 

「あ、ああ……分かったよ」

 

と、思ってたらダイヤに牽制されてしまった。完全な正論で、俺も小原さんもぐうの音も出ない。

 

「ダイヤ、果南。……またね」

 

そう言って、この場を離れようとする小原さん。

 

そして、ここまで何も言っていない松浦さんも、俺たちが話すところを見届けてから、ダイヤの後ろを通って会場を後にする。

 

 

「————『あの時』のこと。今度、話を聞かせてもらうから」

 

そう、意味深にダイヤの耳元で囁いて……。

 

 

「ダイヤ、今のは……?」

 

「……いつまでも、隠し通せる訳ではないと言うことでしょう。ましてや、翔さんが彼女たちスクールアイドル部に……Aqoursに関わり続ける限り。いつか過去のことと向き合わなければならなくなると」

 

「……なら、望むところだ。千歌達とラブライブを目指す事からも、記憶を取り戻す事からも逃げるつもりはないよ」

 

松浦さんのさっきの言葉には、強い決意が感じられた。今回のことで彼女が何を理解したのか、何を決意したのかは分からない。小原さんも、きっと今回の負けで引き下がるような性格はしてないはずだ。これで終わりと、油断しないほうがいいだろう。

 

この2人は、大きな不安材料になる。でも、俺がやろうとしていることを成し遂げる為には、そこを避けて通ったりはしない。

 

そして、ダイヤの伝えてくれた気持ちにも……。

 

 

「そうですね。それが………………

 

い、いえ!とにかく今日のところは祝勝会なのでしょう!? 早く彼女たちのところに行ってあげるべきですわよ!」

 

なんだか、やけに間が長かった。咄嗟に言い直す彼女が、何を言いかけたのかはわからないけど、それを誤魔化すようにグイグイと俺の背中を押してくる。わざわざ深く追求することはないだろうけど、もしかしたら『昔』のことだったのだろうか?

 

だとしたら、もうちょっとで聞けそうだったのなぁ。まったく、いい加減何があったか教えてくれてもいいのに。

 

……ただ、まぁ。今日のところは彼女の言葉に甘えよう。ちょっとだけ後ろ髪を引かれる気持ちを振り払って、お客さんもまばらに帰り始めた体育館の後ろに走る。

 

到着した途端、喜ぶ3人の笑顔が一斉にこっちに向いた。

 

 

お客さんたちの笑顔も大事だけど、一番は3人のこの顔を、俺は見たかったのかもしれない。そう思えるほどに、1つの山を登り終えたような達成感と、満足感がこの胸に押し寄せていた。

 

さぁ、汗を拭いてみんなで帰ろう。外で志満姉さんと美渡姉さんが待ってくれている。

 

 

「しょーくんっ! 私たち、やったよーっ!」

 

 

今晩の十千万の夕食は、きっとご馳走なんだろう……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「翔、()()()()よ。やっぱり何も変わってなんかいなかったんだ」

 

「だとしたら、あの時のダイヤは……ウソをついてたってことでしょ、私達に。今度はそっちを確かめないとね、()()()()()()を……」

 

 

「今だって、私達の中で上手く1人だけ翔の近くにいてさぁ……まさかとは思うけど()()()()()()()()()()……なんかじゃないよね……!?」

 

 

 

—————まだこの夢の物語は、始まったばかり。

 

 

 

 

ラブライブ!

   ~ヤンデレファンミーティング~

 

Aqours長編

   「10人目の名前を呼んで」

 

 

          ②「ファースト・ライブ」 了

 

 




7600字結構頑張りました。べーたの書き溜めが、吸われてゆきます……!

まだちょっとヤンデレに本格突入できてなくてすいません。多くの展開は未定ですが、1年生加入終わりかけから間違いなく濃厚なの入れますんで。何はともあれ、次回から3クール目です。

ギンガさん、ご評価ありがとうございました!皆さんも、感想等お待ちしてます〜。



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