なんか詰め込みまくったサブタイになってしまいました(汗
今更ですが、作中の海開きの時期は、実際の内浦の海開きの時期とは無関係です(いつもこういうコト言ってる気がする)。
今日から6月。いよいよもって、内浦にも夏が近づいてきた。太陽と海の輝きはますます増していて、運動すればじわりと汗がにじむ気温になっている。なんだか、久々に『自分の視点』に帰ってきた気分だ。ここのところは、俺以外のことに気を揉んでたからなあ。
最も、何もかも解決したってわけじゃない……今から数日前。ルビィちゃんと『花丸ちゃん』が、Aqoursに入ってくれることになった、のだけど。
『待ちません♪ ……私、翔さんに恋しちゃったみたいです♡』
ルビィちゃんからの告白と言う、思わぬ結果もついてきたのだけど……。ダイヤを含めて姉妹W告白という全世界の男が泣いて羨ましがる事態に、俺の胃はひっそりと、しかし確実に痛みを覚えていた。嬉しい、嬉しいんだけど……まさか、屋上で善子と話してた通り、本気の恋だったなんて。
『お姉ちゃんが、翔さんを好きになった気持ち……わかる気がします。お姉ちゃんを見てたら、一目瞭然です。それに、今の翔さんの反応もっ♪』
吹っ切れた様子の彼女は、そう言って笑ってくれた。
ルビィちゃんは、スクールアイドルする分にはこれで大丈夫、だと思う。だけど、ダイヤの方はどうだろうか—————
『ダイヤ……?』
『今回の事は、私が間違っていました。ルビィのことはよろしくお願いします。……花丸さんのことで、借りは返しましたよ……また、お会いしましょう』
—————モヤモヤする。
告白の件もそうだけど、この前はなんだか勝ち逃げされた気分だ!前回の事は、こっちから謝ろうと思ってたのに。そして、『キミの妹に告白されてしまっている』という状況も、俺の『罪悪感』に拍車をかけていた。
ただ、そんな中でも……仲間と一緒にランニングでスッキリできる機会を与えられてるのは、素直に有難い気持ちだ。
「よーしもう1周、行くずら~!」
「みなさん、お先に行きますねっ!翔さんもはやく~♪」
浦の星女学院、新生スクールアイドル部『Aqours』は……さっそく次のライブに向けて猛練習に明け暮れている。今も元気に砂浜の横を走ってる最中だ。
特に最初にも話した新メンバーの2人、花丸ちゃんとルビィちゃんのやる気には目を見張るものがある。
「花丸ちゃん、ペース上げすぎだよ~……」
「千歌ちゃん、負けてられないよ!頑張って!」
「私たち2年生がしっかりしていかなきゃダメよ。ほら、翔くんも元気づけてあげてよ」
千歌、曜、梨子もまた、新しく加入した2人に負けないように頑張っている。俺も一緒に走っている中で、日々全員の体力が上がっているのが見て取れて嬉しい。
千歌もへばりかけているけど、この分ならもうしばらく走れるだろう。
そう伝えると、むーっと言ってふくれっ面になられてしまう。
「しょーくん、なんかずるいよ!昔は私と体力変わんなかったくせに~!」
「ずるいって……そう言われても、どうしようもないだろ。恨むならトレーニングを積んで生まれ変わった、記憶喪失中の空白の2年間の俺を恨むんだな(笑)」
「(笑)ってつけたでしょ今?!もーっ!」
「翔くん、それってあんまり自分の努力じゃないんじゃ……」
むう、曜の言うことも一理ある。自分の記憶にない努力でマウントをとっても仕方ないよね。
よーし、そうだな……千歌にやる気を出してもらうためには、ここはアメとムチ作戦で行こうか!
「しょうがないな……そうだ千歌。前の2人を抜いてあと1km走れたら、ご褒美あげるよ。中身はできてからのお楽しみね」
「ご、ご褒美!? 千歌、燃えてきたよー!うりゃあああー!!」
「あ、もう行っちまった。やっぱまだ走れるじゃないかアイツ……花丸ちゃ~ん、後ろ気を付けてー!」
ペースを上げていてもまだ走り慣れてない花丸ちゃんだ。少しは一日の長がある千歌が追い抜いてしまった。向こうも驚いてる。「私ももうちょっと頑張ろう!」と言って、曜までペースを上げ始めてしまうし。
向上心は凄いんだけど……今日はまだ練習が続くんだから、みんな焦らなくていいのに。
そんなわけで後に残されたのは、俺と梨子だけになってしまった。
「……そういえば、いつの間にか『花丸ちゃん』のこと名前で呼び始めたのね? ルビィちゃんはダイヤさんとの区別があるから、分かるけど」
ふと、隣を走る梨子にジト目で聞かれる。
(ううっ、この様子だと、多分この前ボコられた『年下趣味疑惑』を引きずってるんだろうなぁ……)
誤解されるのも仕方ないっちゃ仕方ないけど……今の俺は恋愛関係は複雑な状況。なるべくそういう誤解は解いておかなくては……!
「えー、そ、それは本人から頼まれたんだよ。この前図書室に呼び出されて、一大決心!って感じで。断る理由もなかったしさ……」
「図書室に!?呼び出されて、2人きりで!?……そ、そんなに接近してたなんて。やっぱり翔くんは……」
「だ、だけど変なコトはしてないって! だいたい、俺は誰かと2人きりくらい、色んな人と何度もなってるでしょ。梨子とだって……」
「……それは、そ、そそそそ、そんなのダメよ!? 私たちという者がありながら……って、私なに言ってるのよー!?」
(あ、梨子のやつ、よくわかんないけど途中から聞いてないや)
なんか梨子のやつ、勝手に暴走し始めちゃった。そりゃ、スクールアイドルやってるみんなを放り出して、花丸ちゃんと愛の逃避行とかには出るつもりはないっていうのに。乙女だなぁ……。
「ま、名前で呼ぶくらいは仲良くなれた証だよ。まだちょっと恥ずかしいけど、梨子のこと呼ぶのも慣れてきたし。これからもよろしく、ってさ」
「そ、そうね。これからみんな、もっともっと仲良くなっていかないとね。スクールアイドル部は始まったばかりだし私も翔くんと、その…… 」ゴニョゴニョ
「? ……ああ、そういえば梨子はスクールアイドルだけじゃなくて、まだ本来のピアノの曲作りもあるんだよね。普段の作曲もあるのにこうして練習してもらって……悪いけど、これからも頼むよ」
「ああもう、そういうことじゃないのに……ごめんなさい、変なこと言っちゃって……」
あ、正気に戻った。うーん、何が言いたかったのか見抜けなくてなんだか申し訳ない気持ちだ。自分の悩み事でいっぱいいっぱいになっちゃうの、よくないよな。ランニング中とはいえ、しっかり目の前に梨子がいるんだし。思わぬ怪我につながる可能性だってある。
かといって今の自分の状況、どうしてったらいいんだろうな~……。
(肝心のダイヤは、この前の山の上でのケンカからずっと、話しづらいままだし……)
姉妹からの、告白。しかも、それぞれが違う道を歩み始めている2人の……。
俺みたいな男のどこに惚れたんだか、なんて自虐的になるのは、彼女たちにかえって失礼なのだと思う。かといって、まっすぐ向き合おうにもどうしていいかわからなかった。
やっぱり、以前にダイヤに対して、自分の中で出した結論……『記憶を取り戻すまで断る』のが正解なのだと思う。でも、ついさっき走り終わって輝く笑顔を見せている彼女を見ていると、それをなかなか告げられない自分がいるのも事実だ。
同時に、ルビィちゃんからもあの日から一切、告白に対する言及がない。告白って言っても、あの言い方ですぐに花丸ちゃんのところに行っちゃったし、決意表明みたいなもので、彼女としてもまだ返事を急いでいるものじゃないんだろうけど。
『逃げ』……って、言うのかな。こういうの。
記憶喪失で理由さえ見失った、2年前の引っ越しと同じで。
「あっ、しょーさーん!えへへ、ルビィが一番でしたよ~♪」
「お、追い越せなかったよ~……ご褒美が~」
「オラは抜かれちゃったずらぁ~……3番ずら~」
そんなことを考えてたら、いつの間にか走り終わってしまっていた。千歌のやつはご褒美ナシ。正真正銘、ルビィちゃんが一番だ。憧れのスクールアイドルができて、その練習で頑張れて、心の底から喜ぶ笑顔……暑くなり始めた気候に汗を流しながら、彼女は俺の名を呼んでくる。
その笑顔の理由の一つに、俺という人間がいるであろうことは想像に難くない。それにつられて、俺は今日も、彼女の好意をただ流されるままに受け入れてしまう。
「ああ、まだ数日なのにかなり凄いよ。もっとも、これは競争じゃなくて、決められた時間と距離の間、自分のペースを維持することが大事なんだ。次からはこの後の練習も考えてやれれば、満点だな」
「うゆ、確かにちょっと疲れちゃいました……でもでも、翔さんにそんなにしっかり見ててもらえててルビィ、とっても嬉しいですっ♡」
「う、うん。あはは……いやー、し、仕事みたいなものだし。みんなを親御さんからお預かりしてる責任(?)もあるし!?」
「ピギッ!? ご、ご両親に挨拶は早すぎます~!?」
「ルビィちゃん、それは流石に気が早すぎる勘違いずら……」
一見、なんでもない会話。
だけど、俺だけじゃなく千歌達も気がついてるだろう。体験入部の時から、ルビィちゃんがずっと積極的になっている様子に。あの時も俺から視線を離さなかったし、普段の人見知りを乗り越えてかなり近づけていたけど、今はそれ以上だ。
「ねえ梨子ちゃん……なんだか正式入部前のあの時よりアタックが激しくなってない!?」
「曜ちゃん、私もそう思うわ。あの時はまだ2mは離れてたのに、今は1m半の距離まで縮まってる!これはあと一息で壁ドンできる距離ね……」
「このままじゃ、押しに弱いしょーくん陥落は時間の問題だよぅ……ところで梨子ちゃん、壁ドンってなーに?」
後ろからもそんなコソコソ話が聞こえてくる。確かにこれじゃ誤解を解く解かない以前に、ルビィちゃんに攻略されてしまいそうだ。そうなっても、手をつなぐのすら随分遠そうだけど……
TRRRRRRR……
「あれ、電話だ」
突然のコール音にみんなの注目が集まる。画面を見ると、電話をかけてきたのは意外にも、千歌のお母さんだった。そういえば近々、海開きにあわせてまた帰ってくるって言ってたっけ……。
「はい、もしもしどうかしましたか?」
『あっ、翔くん? もう知ってるかもしれないけど、急いで確認したいことがあってね……』
はて、挨拶もそこそこにどうしたんだろうか。確かに帰りの日付とかならお父さんや姉さん達に伝えるはずだし、欲しいものとかならメッセージを使えば十分だ。
わざわざ俺を指定して確認っていうのは……
『実はさっき、ママ友のSNSで見たんだけど……浦の星女学院が、廃校になるって本当?』
———はい、こう?
浦の星女学院が、廃校~……!?
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「たいへんっ!たいへんだよ~!!やっぱり本当だったみたい」
「……これが、そのお知らせね。ちょうど昨日の放課後の会議で決まったみたいね。転校したばかりなのに廃校だなんて」
曜が慌て、梨子が惑う。
「用務員の翔さんもまだ知らなかったんですよね?」
「俺? うん、正式発表はまだだし、生徒会長のダイヤとはまだケンカしたままだし……」
「まだ仲直りできないずら? どっちにしても、ルビィちゃんが聞いてないなら翔さんも聞いてないと思うけど……」
ルビィちゃんが焦り、花丸ちゃんが憂う。俺は唸ってるだけ。
Aqoursは部室の中で5人と1人、まさに混乱の極みにあった。どうやら、生徒数の減少は相当な問題だと受け止められているらしい。1年生に至っては1クラスしかないのだから、それも当然か。多くの部活は、練習時間を犠牲にしながら兼部で成り立たせてるんだし。
俺みたいな素性の怪しい未成年ですらすぐに雇ったんだから、生徒だけでなく先生たちの側も人手不足なんだろうし……廃校もある意味必然なのかもしれない。
だからって、納得するしないは別だ。みんなの生活だってあるし、俺の数少ない、貴重な近場で安定した働き先でもあったのに。
「俺、ここに就職したばかりなのに……また給料が減るなぁ。やっぱり就職先は十千万なのかな」
「用務員のバイトを就職って言っていいの? 十千万だってバイト扱いでしょ」
「そうそう、十千万に永久就職とか絶対反対だよ! だいたい志満さんや千歌ちゃんがいるからいいでしょ!?」
「り、梨子さん曜さん? な、何を怒ってらっしゃるんでしょうか……?」
うう、また怒られた。相変わらず俺にはみんなが不機嫌になるタイミングがわからない。どこまでいっても俺の立場が弱いぜ。これ以上バイト先を失ったら、余計にみんなに勝てなくなる……。
……じゃなくて問題はスクールアイドルだ、スクールアイドル。
「お姉ちゃんは今年で卒業だから、同じ学校に通うっていうのは大丈夫だけど。せっかくのスクールアイドル部なのに、今年限りなのかな……」
「オラ達が新しい学校に行っても、きっとそこでもスクールアイドルできるずらよ。……でも、どこの学校に行くことになるずら?」
「やっぱり、沼津の学校じゃない? 近場で共学か女子高って言ったら、多分あそこしかないよ。私の親戚も通ってるし」
へえ、曜に同世代の親戚がいたとは初耳だ。苗字は同じ渡辺なのかな?男の子か、女の子か……
(……あれ?なんだろう、この違和感……)
『彼女』のことを考えると、何か強烈な感覚を覚えた気がした。ひょっとして、俺はその『娘』のことを知っている?
確か、千歌が昔色々諦めてた気がするって話をした時にも感じた感覚だ。これって、ひょっとして記憶が何か戻りかけ—————……
「廃校、キタよーーーー!」
……————てたのが、思いっきり吹っ飛んだ。隣で大声で叫んだバカチカのせいで。
「千歌ちゃん!? そう言えば一人だけ黙り込んでたけど、突然どうしたの!?」
「もしかして、この前の体験入部みたいに、また何か勘違いしてるんじゃ? 廃校よ?意味わかってr……」
「むむ!梨子ちゃん、それは千歌をバカにし過ぎだよ!? 廃校でしょ?わかってるわかってる!」
まったく、今度は何を思いついたのやら……って、あれ。俺、何を考えてたんだっけ……?
「ふっふっふ……千歌だって考えることは考えてるんだよ! 廃校になる理由は生徒数の減少なんでしょ?あの『μ's』と同じ状況なんだよ、私たち!」
ここまで言われれば、こちらもピンと来始める。
まさか千歌のやつ……
「だからだよ! 私達Aqoursが、スクールアイドルで廃校を阻止すればいいんだよ~!」
勢いよく机の上に乗ってポーズを決める千歌。みんな呆気に取られてしまったが、それは単にこいつの勢いに押されてしまったから、だけではない。意外と鋭いところもあったからだ……難易度を無視すれば。
あの言わずと知れた伝説のスクールアイドルグループ、μ'sは自分たちの学校の廃校を阻止するために発足した。梨子の母校でもある、東京の音ノ木坂学院だ。
当時は、非常に先進的で豪華なUTX学園が近くにできたことで、そちらに生徒が流れ続けて、いよいよ廃校が検討されていたらしい。それを覆したのが、μ'sの圧倒的な成功と勝利だった。ま……全部、本で読んだことだけどな。
理論上は、物理的には……Aqoursが同じくらい輝けばそれもできるかもしれない。
だが問題は、さっきも言ったようにそれができないこと。Aqoursのみんなの力は信じてるけど、いくらなんでもあのμ'sに並び立つのは難しすぎるだろう。
「そんなに簡単にいうけどね……輝くって言っても、具体的には何をするわけ?」
「うっ。そ、それはライブをしたり、部員を集めたりですねー? いずれ、必ず、いつか……か、可能性は無限大!?」
「……つまり、これまで通りじゃん。私たちだって廃校を阻止できるならしたいけど、何か違ったアイデアとかないかな?」
そうそう、梨子と曜のツッコミも最もだ。
俺たちはμ'sを追いかけていても、決してμ'sじゃない。音ノ木坂が存続しても、浦の星が廃校になるのを止められるとは限らないんだ。特に東京とこの沼津、内浦では立地の面で何もかもが違っている。
(憧れて、追い続けることは間違いじゃなくても……きっと違う形でのアプローチが必要になるはずだ)
しかし、スクールアイドル活動初心者の俺たちには、とてもライブと勧誘しか思いつきそうにな……
「あ、あのぅ……それなら、PVを作ってみませんか?」
……あっ、いてくれた!スクールアイドルに詳しい人が一人だけ、ルビィちゃん!そして今の言葉を聞いて、一瞬で目を輝かせたのが千歌だ。
「ルビィちゃん、それだよそれ!私たちで、この内浦と学校のPVを撮って宣伝するんだよー!」
「ピギッ!? す、スクールアイドルグループがPVを撮るのはよくある活動ですけど、だいたいは練習風景や学校生活なので……千歌ちゃんが今言ったのも新鮮だとは思います。あのμ'sも、最初はそこから始めたって……」
「でも、本当にナイスアイデアずら〜!これならライブ以外にも、学校や内浦の魅力を伝えられるよね?」
そうなのか!?あのμ'sも……これはやってみる価値があるかもしれない。バカチカはさておき、ルビィちゃんの意見はやはり貴重だ。
といっても、具体的に検討していくと、問題点も浮かび上がってくる。
「でも動画編集できる人なんていないよ~……機材らしい機材もないし」
「最低限のパソコンでいいんだけど、女子高生にはちょっと酷だよな」
「翔くん買って!居候だけど一応社会人でしょ。かって~!?」
「やめいー!ってか、居候とか一応は余計だ!事実だけど」
「そもそも、買えたところで技術が間に合わないでしょ!? 編集って大変だって聞くし……」
そう、結局そこなのだ。
μ'sが当時、それを誰がやってたのかは知らないけど……少なくとも今の俺達の中で、そんなことができる機材も技術も持ってる人間はいない。ライブ映像も、ただ撮って出してるだけだし。
(PVに限らず、今後のことも考えたら、絶対に必要ではあるんだけど……)
スクールアイドルはネットで登録する。当然、遠方のお客さんたちにはネットの動画で見てもらうしかない。その辺が強力なところは、録画だけでなくきっと配信もしているだろう。くう、手強い……。
待てよ、配信……?
一人、そんな知り合いがいたような……
「……いや、待ってくれ。動画編集できそうな人間に、一人だけ心当たりがあるかもしれない」
「また女の子?」
「うっ、その通りだけど……花丸ちゃんはよく知ってるだろ、この学校の1年生で不登校で、堕天使の……」
梨子からまたしてもジト目を向けられながらも、俺は一人の女の子に連絡を取った。他のメンバーも一体誰だと興味の視線を向けてきている。
その『彼女』は幸い、今日もコッソリ学校に来ていた。部室に入ってきて、少しの会話の後、事情を知って—————
「—————それで、私ぃ!?」
そう、色々と助けたり助けられたり。
あの不登校系堕天使こと、津島善子……ヨハネだ。
久々に主人公視点。なんとか週一で長編更新したいですね……!!いよいよ善子加入編。
軽く7000字を突破してしまうあたり、アニメと同じところはもっと簡略化しなければ。