ラブライブ!〜ヤンデレファンミーティング〜   作:べーた

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久々かつ必死の更新。サブタイにしといてなんですが、割といつも異変が起きてる気がします。

こうしてAqoursの物語を追っていくと、アニメ本編でもしょっちゅう壁にぶち当たってますよね、彼女たち。これでもかってくらい。




第37話 異変

電話の事もそうだけど、生徒会室に呼ばれる事については、いい思い出がない。あと、理事長室も。たいてい、針の筵(むしろ)に座ることになるからだ、主に俺が。

 

 

「……さて。どうして呼ばれたのか、翔から聞いていますわよね」

 

「な、なんとなくは……わかってますけど」

 

「『なんとなく』? ……なら、ハッキリ教えて差しあげましょう。貴女達は、スクールアイドルを愚弄しているのです。もっといえば、こんなPVで学校までもを、です!」

 

「翔くん、どうして黙ってるの……?」コショコショ

 

「……ごめん」

 

 

ただ今回に限っては、少々事情が異なっていた。俺は彼女たちの会話……もとい、説教に口を挟まないで、黙って聞いている。声をかけてきた曜に限らず、みんなからは少し違和感を抱かれているようだ。

 

それでも、黙っておく。……『何も言わないでください』と、電話で最後にダイヤに釘を刺されていたからだ。

 

『スクールアイドルの何たるかを、ステージに立つ彼女達に教えないといけない』『翔さんが喋ってしまうと、彼女達自身のためにならない』とまで言われてしまっては、従うほかになかった。

 

ルビィちゃんの件は、俺が先んじる形になったけど、それは花丸ちゃんや千歌のヒントがあったからで、俺の力ってわけじゃない。一方で花丸ちゃんの件については、ダイヤの方が解決してくれたんだし……彼女なりに見えているものもあるのだろう、とも思っていた。

 

 

俺がそう考えている間にも、話は続いていく。

 

 

「学校の部活の動画が更新されたかと思ったら、これとは……ルビィ!私が貴女にスクールアイドル部の許可を出したのは、このような破廉恥な活動を許すためではないのですよ!?」

 

「ピギィ!?ご、ごめんなさいおねいちゃ……」

 

「こ、怖いずらぁ……」

 

 

ダイヤの眼光が、妹すら容赦なく射抜く。その剣幕には驚いても、その言い方に善子の肩が一瞬震えたことに、俺を含めてみんな気がついていた。彼女を庇うように、みんなを代表してか千歌が反論する。

 

 

「だ、ダイヤさん待ってください! 堕天使だって、立派な個性じゃないですか!そんな言い方ひどいです!」

 

 

Aqoursのみんなが堕天使に付き添う形になって、善子は本当に嬉しそうにしていた。表向きは隠してても、あんなに頬を緩ませてる彼女の顔は、初めて見たくらいだ。

 

……だからこそ、俺が何も言わないで正解だったかもしれない。また、あの練習中のトラブルの時のように、堕天使を認めるかどうかでケンカになってしまってたかもしれないからだ。

 

今回ダイヤが言いたいのは、少なくともそういう事ではないのに……。

 

 

「何か、誤解しているようですわね……私が『破廉恥な活動』だと言っているのは、堕天使の衣装でも、津島善子さんのことでもありません。このような安易な手段で、『本当にスクールアイドルとして人気が出る』『廃校を救える』と思っているその性根が、破廉恥だ……と言っているのです」

 

「す、スクールアイドルとして、ですか……?」

 

 

といっても、彼女の真意に気がついたのは、俺もこの時点での事だ。

 

実際、Aqoursは伸び悩んでいた……新しいメンバー、まだ始まったばかりの部活。理事長に生徒会長との複雑な関係、飛び込んできた廃校問題。PVの撮影……

 

それに対してAqoursのした『堕天使』は……衣装を着ただけ。ポーズを取っただけ、セリフを言っただけ。自分たちで違和感を感じつつも、ハッキリと自覚できてなかった問題点。

 

それをここまで的確に指摘されてしまったんだから。

 

 

「でも!再生数は朝の時点で、初めて1000回を超えて話題に……!」

 

 

梨子の言うそれもまた、事実ではあった。確かに、動画は当初再生数が伸びて、みんな束の間の喜びを得ることになった。もちろん、善子にとっても。

 

ただ……『反論の余地がある』、そう判断した今の梨子の言葉も、スクールアイドルに関して妥協を許さない彼女には通じない。そして何より……『現実』や『世間の厳しさ』といったものに、通じなかった。

 

 

「なら今すぐ、手元のスマートフォンで御覧なさい、お昼を過ぎた今の再生数を。……それが現実ですわ」

 

「それは……え?『1012回』って……」

 

「それって、あれから全然再生数が伸びてない、ってことずら……!?」

 

 

彼女に突きつけられた現実。そして、俺達の浅はかさ。

 

ただ衣装を着て、ただセリフを言っただけの……限界。それはたった数時間ですら、明らかになってしまった。

 

 

「こんな手段で廃校を阻止するだとか、スクールアイドルにとって宇宙にも等しいμ'sになろうだとか……片腹痛いですわ。廃校を阻止するなどと言う前に、自分たちに何ができるのかよく考えて、出直していらっしゃい!」

 

 

後ろめたさからか、彼女が時折向けてくる視線は、まるで『こんなレベルのことをするためにあのノートを渡したのではない』『Aqoursの名を受け継ぐなら、もっとちゃんとしろ』と抗議しているようにすら感じてしまう。

 

 

「私からは以上です。……もしもし鞠莉さん?はい、そうです。こちらのお話は終わりました。あとはそちらへ……高海千歌さんと代わりますわね」

 

『ハーイ、ちかっちとスクールアイドル部のみんな。理事長室にきてくれる?あ、ショウは来なくていいから♪』

 

結局、ダイヤから理事長へ連絡が行くまで、俺は無言で拳を握り締めながら、ただ立ち尽くしているだけだった。

 

 

 

 

 

——————それが、5分前。

 

みんな沈んだまま理事長室に向かって行ってしまった。もう何度目ともしれない、ダイヤと俺だけの空間。

 

 

「……翔、悪くは思わないでください。元々鞠莉さんが呼び出そうと言う前に、私なりに言っておかなければならない、と思いまして」

 

「うん、そうだけど……ゴメン。俺、考えが甘かったよ」

 

「まったくです。キャラが立ってないとか、個性がないと人気が出ないとか……自分たちで解決しようという姿勢は良いですが、だからってこんなものは頂けませんわ!ましてや学校の名を背負ったPVだと言う名目だというのに……」

 

 

ぐうの音も出ない。

 

せっかく新メンバーが2人増えて、部活になって、さらにもう1人……だなんて時に、浮き足立っちまってたのかな、俺達。

 

ただでさえダイヤには、この前の借りがある(向こうは返したと言ってたが、そんな気がしない)のに、また荒療治を受けてしまった気がする。彼女の強さやブレなさは、フラフラしてる今の俺にとって、ある種の指針を示してくれる存在に思えてもきた。

 

 

「今回のことでも、この前の花丸ちゃんのことでも、迷惑ばっかで悪い……」

 

「……何度も謝らなくても、もう良いのです。ルビィの分のお返しと言いましたでしょう?……今回のことも、しっかり反省さえしていただければ十分ですわ。ことスクールアイドルとなると、私も熱くなってしまうので……」

 

 

そう返すダイヤには、もう怒っている様子は感じられなかった。ちょっと大人げなかった、とでも言いたそうに、いつもの癖で黒子をきながら視線を逸らす。

 

だが俺は同時に、別のものを感じていた。

 

 

「ところで……また、私達だけですわね? フフ……」

 

「え? ……あ、うん。理事長にハブられてるからな、俺」

 

 

……それは、『違和感』だ。

 

 

(ダイヤ、なんだか……ソワソワしてる? )

 

 

仮にも、今の俺は厳しく怒られたはずの立場。それが、2人だけになった途端に逆転して、彼女には微笑みさえ浮かんでいる。

 

確かに俺は……ダイヤに惹かれている。告白されて以来、失った記憶のことを考えるたび、彼女の事も考えていた。でも、その自惚れとか贔屓目とか、そう言うのを抜きにしても、今のダイヤの変わりようには違和感を感じざるを得なかった。

 

うーん、わからない。まあ、怒ってないならそれはそれでいいんだけど……

 

 

 

「鞠莉さんは鞠莉さんなりに、廃校を阻止しようと動いているようですからね……まだ諦めていないのでしょう、あなたを排除してスクールアイドルで盛り上げようというのも」

 

「あ、そっか。ファーストライブの時にあんな誘い方をしたのは、廃校を予期してて……小原さんもスクールアイドルでなんとかしようとしてたのか。いい案だとは、思うんだけど」

 

「そうですね……ですがμ'sのようには、いかないものです。もちろん、翔たちが上手くやってくれるのでしたら、それに越したことはありませんがね?」

 

 

此方に視線を戻したダイヤは、ますます嬉しそうに見えてしまった。気のせい、じゃない……でも、こんなに変わり身の早い女の子じゃなかったと思う。悪い意味じゃなく、もっと不器用で……まるで、最初からこの状況を待ってた、みたいな。

 

それだけじゃない、何か他にもそう感じる理由が……

 

 

「……ダイヤは廃校のこと、どう思ってる?」

 

「正直に言って、かなり辛く感じています。噂自体は、ずっと前からあって……それこそ、以前は翔も気にしてくれていましたわ」

 

「そんなに前から? ……って、生徒数の減り具合を見れば、みんなわかるか。ルビィちゃん達のクラスも一つしかないんだし。やっぱり、なんとかしたいって?」

 

「はい。ここには大切な思い出がたくさんありますし、生徒会長として私も……私なりに方法を考えてはいるのです。PVも、あんな出来でなければ良い案だとは思っていますから」

 

 

廃校の話になると、大切な話の最中に気を逸らしている自分が急に恥ずかしく思えた。

 

(バカバカしい、俺は何を考えてるんだよ……)

 

今、みんなは小原さんに何かひどいことを言われてるかもしれない。何より、この事で苦しんでいるのは俺以上にAqoursのみんなと、善子のはずだ。なのに俺が……ダイヤには悪いけど、色恋沙汰で目を曇らせてる場合じゃないんだ。それなのに……

 

……そんな弱気な内心が、少しだけ漏れてしまう。

 

 

「小原さんの誘いを……千歌達、受けた方が良いのかな。俺といるよりも……」

 

「…………私と言うものが目の前にありながら、他の女の事ばかり…………」ボソッ

 

「? ごめん、なんて……?」

 

「いいえ、何も?……そうですね、大方、今回のことは翔のせいだと言って……また色々と言っているのでしょうね。ですがせっかく2人なのです、あんな人のことは、今は放っておきましょう」

 

 

————まただ、例えようのない違和感。

 

俺の弱音が、彼女の琴線に触れたのはまだわかる。だけど……だけど、小原さんに対してこんなにキツい言い方をするような、そんな関係だっただろうか?

 

それに、やっぱりまだ何か……

 

 

「翔、いいですか? 自信を無くすのはわかります。私だって、色々とやってきても、廃校なのですから……だからといって、あの鞠莉さんの言う通りしては本末転倒です」

 

「あ、うん……そ、そうだよな。俺は、俺を信じてくれるみんなと頑張るって決めたんだし、花丸ちゃんもルビィちゃんも、もっといえば善子のためにだって……」

 

「…………私も、でしょう?」

 

「も、もちろん!ダイヤには感謝してる、あのノートの事だって、Aqoursって名前だって……停電の時も。本当に……」

 

「そう……その意気ですわ。貴方のことを、いつだって私も信じています。できる限り、私も力を貸します……ですから、鞠莉さんにも果南さんにも流されず、自分のやるべきことを貫いてくださいね?」

 

 

どうしたんだ……やっぱり、今日の彼女は様子が変だ。気のせいでも、俺の思い込みでもない。

 

それが何、とハッキリ言えないもどかしさと、一方でやけに機嫌が良かったり、一瞬怖い表情を見せる異様さとが、俺を困惑させている。それで会話が普通に続いている事も変だ。

 

まるで、知らないうちに誰かの掌の上にいるような感覚……掌って、ダイヤの?そんなの……

 

 

「……もし宜しければ、今後の活動についてひとつ、私にアドバイスをさせていただけませんか?」

 

「い、いいけど。アドバイスって……?」

 

「アドバイスと言うよりは、()に『プレゼント』……と言った方が良いでしょうか。ふふふ……そうですね、驚かせたいので……少し、目を閉じていてくださいます?」

 

「う、うん。わかったよ」

 

 

……そんな風に動揺していたから、何もかも彼女のペースで進められてしまうのを、止められない。

 

俺は、彼女の反論を許さないムードに押されて、言われるがまま目を瞑ってしまった。

 

 

(アドバイスとかプレゼントとかって、何の話だろう。また以前のスクールアイドル部のノートみたいなのが、まだあるのかな? さっきダイヤはなんて……)

 

 

だけど、目を瞑った事が幸いして、俺の考えが冴えたのか……違和感について、一つの結論が出た。

 

 

 

 

(ダイヤ、今日はずっと()()()()()()()()()()()()()……!?)

 

 

ピロン

 

 

(どうして……あれ。今のなんの音だ?)

 

 

静かになった部室に、何か携帯の音が鳴った。

 

それで俺は、反射的に少しだけ……目を開いてしまった。

 

 

 

「……約束を破るなんて、イケない人、ですわね?」

 

 

「……?」

 

 

 

そこには、邪魔にならないように自身の髪を手で横にかきあげたダイヤの顔があった。

 

 

顔?そう、俺の目のすぐ前だ。吐息がかかりそうな距離って、きっとこのくらいだ。

 

 

邪魔って何の?そんなの決まってる。女の子がこういうポーズをとるときは、決まって——————

 

 

 

 

———————、え。

 

 

 

それって

 

 

 

 

「ちゅっ……うふ、ふふ♡ んっ!ん……♡」

 

(!? あ、舌を————)

 

 

2度目の、ダイヤとのキス。だがそれはあの時のように、ロマンチックで甘いものじゃなかった。急速に頭が働いて、何かが不味いと全身に警告を出している。ダイヤの様子が変だったのと、この事が無関係には思えなかったからだ。

 

 

「んっ、ふっ……♡ ふぅっ、ちゅっ♡ は、あっ……」

 

(あの、ダイヤがなんでこんなはしたないこと。じゃなくて、離れなきゃ——!!)

 

 

だが、どんな考えも、現実の力には逆らえない。咄嗟に肩をつかんで離そうとするけど、彼女は椅子に座っていた俺の膝の上に乗ってきていて、腕を俺の首の後ろにまで回していた。より強く押し付け、離さないとでもいうように。

 

 

(まず、離れ———られない!? う、ダメだ。気持ち良さと酸欠で、力が抜けて……)

 

 

相手の舌に歯茎を舐められ、味わい尽くされる。そんな未知の快感と、全く予想外のダイヤの行動に、俺はこれ以上の抵抗する術を持っていなかった。あったとしても、実行できるような精神状態ではないんだけれど。

 

そう思いながら、完全に呼吸も抵抗も諦めかけたあたりで、ダイヤは俺の口を離し、膝の上からも立った。突然解放された形になる俺は、腰砕けになって椅子から立ち上がることもできず、彼女を見上げる。

 

 

「……♡」

 

唇についた唾液を舌で舐めとりながら、此方を見下ろすダイヤ。彼女の視線は、明らかに普段の様子とは違った熱を帯びていて、この行動が意図的なものだったということを如実に物語っていた。そして、彼女がそれに大いに満足したのだ、とも。

 

 

「はぁ、はぁ、なんでこんなこと……!?」

 

 

「翔……あなた、ルビィに告白されたのですよね?」

 

 

「!?……えっ……そ、それは」

 

 

 

息も絶え絶えに声をあげたけど、それもまた彼女には通じなかった。

 

恍惚とした表情のまま、冷たい声で追及される。ルビィちゃんとの関係について。

 

 

 

「私への告白を袖にして妹となどと……そんなに私の気を引きたいのですか? まったく……本当、この期に及んで罪な人ですわね?ふふふ……」

 

「なんで……そのこと、知って」

 

「でも良いのですよ? 私は信じていますから。翔は私と絶対的な運命で繋がっているのだと……このくらいのキス、ちょっと恥ずかしいですが、これから何度でもしてあげます。もっと激しいことも、貴方の好みにあわせますから。貴方がそうまでして私をその気にさせるのが好みなのでしたら、こうして今日のように……」

 

 

恍惚として、どこか虚ろなままのダイヤは、先ほどの勢いそのままにまた俺にしなだれかかろうとする。思わず俺は立ち上がり、肩を掴んだが、その行動すらも彼女を喜ばせてしまったらしい。喜色の混じった声を漏らし、微笑みながらじっと俺を見つめている。

 

普段の俺だったらこっちも、恥ずかしかったかもしれないけど……そんな状況じゃなかった。

 

 

「だ、ダイヤ……? 変だよ、どうしちゃったんだよ!?こんな、これのどこが……」

 

「愛しているからに決まっています。翔のことを……ああ、ごめんなさい。気を引くなどとそんな意地悪を言ったのを咎めているのですね。貴方がそんなこと、するわけないのに」

 

「そういうことじゃ……」

 

「私からの愛情のこもったキス……それなら、頑張る理由としては十分な『プレゼント』でしょう? 『アドバイス』という意味では、『Aqoursの皆さんだけでなく、また私に頼ってください』……というところですわね♡」

 

 

だ、ダメだ。完全に話が通じない。

 

何か悪いものでも食べた……なんて漫画や小説なら言ってるところだけど。彼女は完全に理性で判断して、正気でこの行動に出ている。それが他人の目には狂気に映っていようと、彼女自身にとっては本気で、真剣で……

 

 

「と、とにかく『ボク』はもう行くから!」

 

 

「あっ……」

 

 

ダイヤの名残惜しそうな声を必死に無視して、俺は生徒会室を逃げ出した。

 

彼女がスクールアイドル部の部室にまで追ってこないことと、身体に残る熱の感触が夢であることを願いながら。

 

 

(ダイヤ、一体どうしちまったんだよ……!?)

 

 

俺がどれだけそう願っても、きっとこれは現実なんだろう。それでも、そう願わずにはいられなかった。

 

それだけが唯一、今の俺の心を落ち着かせる虚しい抵抗だと、きっと心で分かっていたから。

 

 

 

 

 

 

 

————部室に着くと、みんなも小原さんとの話が終わったのか、既に戻ってきていた。

 

 

「みんな、遅れてごめん。何があったんだ!?」

 

 

だがその雰囲気は、非常に暗い。俺を見つけて声をかけてくる千歌の声色にも、どこか元気が感じられなかった。

 

 

「あっ、翔くん!大丈夫、ダイヤさんに何かされなかった!?」

 

「! あ……う、うん。大丈夫、なんとも、ないよ。それより、小原さんに呼ばれた理由は?」

 

 

う、千歌のやつ、相変わらず……こう言うところは鋭いんだから。

 

多分今、ちょっとは表情に出た。こんなこと、とてもこの場にいる誰にだって話せるわけない。そうでなくたって、ルビィちゃんだっているのに。もしかしたら、後で色々聞かれるかもしれない。

 

だけど今、大事なのは……

 

 

「それが、あのPVを凄く悪く言われちゃって、翔くんのせいだって……」

 

「また、自分のところに来れば色々支援するとか言われたの。スクールアイドル部で、廃校をなんとかするって言って」

 

「当然断ったよ!だけど……」

 

 

 

……部屋の中央で項垂れてる、善子のこと。

 

 

「あの、善子ちゃん……お姉ちゃんに続けて理事長さんにまでああ言われて、落ち込んでるんです」

 

「オラたち、善子ちゃんのせいじゃない、って言ったんですけど。やっぱり気にしちゃってて……」

 

 

彼女は俺を見るなり、また視線を落として静かに呟いた。

 

 

「ごめんね、翔……。私、やっぱりスクールアイドル……やめておくわ」

 

 

この日、二度目の衝撃。

 

それはすぐに訪れて、また俺達にとっての大きな苦難になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピッ……

 

 

 

「携帯はこの位置で正解でしたわね。よく撮れていますわ、ふふふふ……」

 

 

 

 

 

 

 

 




ヤンデレを書くと元気になるなあ、ローラ!とか言ってたらまた8000字ちかくなっちゃったよぅ……(燃え尽き)
ダイヤさんマジヤンデレ……になった契機は、果南ちゃんと一緒に次の第4章で(尺がない)。


玉置飛佐志さん、高評価いただきありがとうございます!感想等、皆さんいつも本当に力をいただいてます。

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