活動報告にもかきましたが、なんとこのSSがUA200000突破!!皆様への感謝を込めまして、このGW10日間は1日1話、出張中ですが可能な限り書溜めを完成させて投稿しようと思います。改めまして、本当に日頃のUA、高評価ありがとうございます。
それは、とてもとても幼い頃の記憶。
普通の人間関係だったら忘れちゃうような、すごく曖昧なはずのもの……。
「ルビィ、おっきくなったら……。おっきくなったら、あなたの『およめさん』になれる、かな……?」
人見知りは昔からだったけど……お姉ちゃんと、ずっと一緒にいてくれたあの男の子だけは大丈夫だった。
その日の朝は、先生が好きな人と『けっこん』するんだって話してくれたんだよね。その意味がよくわからないまま、そんなことも言っちゃったんだけど……。
「ピギッ!? ル、ルルルルrrrルルビィ、突然どうしたのです!?『およめさん』だなんて、意味をわかってますの!?」
「? わかってるよおねえちゃん、男の子と女の子が大人になったらする、『けっこん』だよね。人見知りの私だけど、先生が言ってたの……あなただけは平気だから。あなたとなら『けっこん』できそうなんだ♪ ……ところで、けっこんってなんだろう?」
今思うと恥ずかしいよね。小さい頃とはいえ、堂々と結婚したいなんて言ってたんだもん。それもお姉ちゃんの前で。
「じゃ、じゃあルビィは……彼のことが好きなんですの?『男のひと』として」
その時、お姉ちゃんに言われてすぐにはピンとこなかったっけ。
「……? ルビィが?」
「だって結婚とかお嫁さんって、そういうことですわよ!?大好きで大好きで、愛し合う二人が……」
「う、うゆ……!? じゃあルビィ、いまこ、『こくはく』しちゃっ……!!ピ、ピギャアアアアアアア!!!!」
恥ずかしすぎて走り出した私は変なところに迷い込んじゃって、その後大騒ぎになったんだよね。
お姉ちゃんも彼も先生も両親も混ざって、私を探してくれた。最初に貴方に見つけてほしかったのに、お姉ちゃんでちょっとガッカリしちゃったのもよく覚えてる。
……でも、ふっとこぼれちゃった言葉であっても、嘘をついてたわけじゃないよ。
そう。あの時からずっと『貴方とだけ』。
貴方とだけならルビィ、結婚して幸せに生きていけそうな気がするの……♡
そんな騒がしくて楽しい日々は、男の子の引っ越しで唐突に終わった。
彼と一緒に人見知りを治そうと夢見てたけど、それも夢のまま終わるのかと思うと……一時期は凄く落ち込んだ。Aqoursのみんなと出会うまで、ビクビクした私のまま。
————————でも、彼は帰って来てくれた!もちろん、ルビィのことは忘れずに!!
お姉ちゃんも最初はただ素直に、この幸せで運命的な再会を喜んでくれたんだけど、最近私たちを遠ざけようとするんだよね。なんでなんだろう……?
「ねえねえ!この夏休み何処行く?もしよかったら、ルビィも誘ってほしいなぁって……」
今日もこうして彼の背中に抱き着いて、そのぬくもりをかんじながらアプローチする。
今は夏? くっつくと暑い?
そんなの関係ないよ、いつだって彼を感じていたいんだから♪
……うゆ、汗の匂いを嗅ぎたいとかじゃないからね。顔を思いっきり押し付けて息を吸ってるのは違うんだからね。
「ちょ、ちょっと離れなさいルビィ!いきなり抱きつくなんて……皆さんが見ていますわよ!?」
……ほら、また始まっちゃった。私たちがイチャイチャすると、すぐにお姉ちゃんが邪魔しに来る。
私はただ、この人と愛し合っていたいだけなのに。
周りの人達なんて関係ない。私たちの間にはAqoursのみんなだって割り込むことは許せない。
お姉ちゃんだって応援してくれてたのに。あんなに私たちを気にかけてくれてたのに、なんで今になってそこまで……?
……ああ、ひょっとして。
そうだよね、お姉ちゃんもずっと彼と一緒にいたんだから……『そうなっちゃう』よね?
だってお説教の内容もいつも男女のことばっかりで……練習の気が散るとか、スクールアイドルだからとか、そういう言葉ないもんね。わかっちゃったよ。
「なんで止めるの?お姉ちゃん。Aqoursのみんな以外誰もいないし、私たちも幼馴染なのに。もしかして、お姉ちゃんも彼のこと……」
「ッ! ち、違います!いくら幼馴染でもまだ学生の身で、その……不純な交遊は……!」
予想外の反撃を受けて、明らかに焦るお姉ちゃん。……ふふ。顔どころか、耳まで真っ赤だよ?
確かに、黒澤家は恋愛関係に厳しいけど。今の反応で十分だよ。誤魔化す時や素直じゃない時の、いつものクセが出てるもん。あの、顔のほくろを掻く仕草が、ね……。
名残惜しいけど仕方なくその場は離れてあげると、お姉ちゃんは少し落ち着いた。みんなは一見、それを見てホッとしたみたいだけど……『違う』よね?
お姉ちゃんだけじゃない……Aqoursのみんなの中にも、彼のことが気になってる娘がいるんだ。
心のどこかで、私が彼から離れたことを喜んでる。
そして、私の言葉でこの日はお姉ちゃんは引き下がって練習を始めたけど、見逃してないよ。練習中もずっと彼の方をチラチラ見ながら顔を赤くしてるし。
貴方の方も。私がお姉ちゃんの『気持ち』を疑った時……満更でもなさそうな表情、してたよね……?
確かに昔一緒にいたのは私だけじゃない。彼は世界で一番魅力的な男性だし、お姉ちゃんも私よりずっとスタイルもいいしなんでもできちゃう。
……このままだと、彼はお姉ちゃんに盗られちゃうかもしれない。それどころか、一度タガが外れちゃうと、Aqoursのみんなの中にも同じことをしたがる人が出てきちゃう可能性もあるよね。
彼のことは信じてるけど、全員にアプローチをかけられたら……。
—————……なら、不本意だけどしょうがないかなぁ。
私だけを見てくれないのはちょっとイラついちゃうけど……今まで通りの私じゃ、ダメってことだもんね。大事なのは結果と、彼の幸せだもん。奥さんは、旦那さんを満足させてあげなくちゃいけないよね。
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「ねえお姉ちゃん、ちょっと話したいことがあるんだけど……♪」
練習が終わって、夜になりかけた頃。私は今日に限ってノックもせずにお姉ちゃんの部屋に入る。それは何をしているか知っているから。そう、お姉ちゃんは昔のアルバムを引っ張り出して、彼との思い出を確かめてたの。
妹の大好きな男の子に横恋慕するなんて、普段のお姉ちゃんならとてもじゃないけどできないもんね。私のことも、彼のことも大切で……本心から幸せを願ってくれてるんだから。
でも……隠れて見ちゃうくらい、もう抑えきれなくなったってこと。
今日の私の言葉でスイッチが入っちゃったんだよね? 今まで隠してた気持ちに気づいちゃった。私を差し置いてでも、彼と付き合いたい気持ちを知っちゃった。
それを抑えようとしてるのはわかるけど……甘いよ。ルビィの大好きなキャンディーよりも甘いよお姉ちゃん。
愛情っていうのはね。一度燃え上がっちゃうと、もう燃え尽きることはないんだよ。危ない情熱はとめられないの。一度知ってしまえば、二度と戻れない。
男の人と一緒に燃え続ける……っていう選択肢しか選べないってこと、教えてあげるね?
それが『彼のため』なんだから……
「ルビィ!? どうして……いえ、違うんです、これは……!!」
ふふ、ベッドいっぱいに彼と自分の写真を並べてるのに、今更言い訳しても遅いよ?枕元に置いてあるお人形だって、彼から小学生の時に私達姉妹に、って貰ったお人形さんだもん。私が入ってこなかったら、この後ナニをシようとしてたのかも、一目瞭然。
……でもいいんだよ? 許してあげる。
これから『そんなこと』気にしなくてよくなるんだから。
「ううん、ルビィは怒ってるんじゃないの。むしろお姉ちゃんに喜んでもらえるお話だよ♪」
動揺するお姉ちゃんの耳元に近づいて、そっと囁く。
……思ったより不安定になってくれてるから、下準備は要らなかったね?
これならあっという間だよ。
「お姉ちゃん、もう我慢しなくていいんだよ? 彼のこと……好きなんだよね?」
「ルビィよりも……彼のことが大切だって思っちゃった自分が許せないんでしょ。そんな気持ち、許されないって思ってるんでしょ? でもね、それは自然なことなんだよ。男の人を愛するって、そういうことなの」
「ほら、彼のこと考えてみて?」
「笑顔が素敵だよね。もう高校生なのに無理して俺なんて言って、私たちの前だけ『僕』っていうところも最高に可愛いよ。それだけじゃない、性格だって優しくていざという時はかっこよくて。そこのお人形もらった時も、私たちが泣いてる時だった。一生懸命作ってくれて、恥ずかしそうに渡してくれたね。あの時はルビィ、嬉しすぎて涙も引っ込んじゃったよ。お姉ちゃんもそうでしょ?」
「それに。私よりも歳上なんだから……彼でイケナイことも考えちゃってたんでしょ。本当は恋人になりたい。自分だけを見て欲しい。本音ではAqoursのみんなも、私だって近づいて欲しくない……彼の笑顔を見るだけで、一日中気持ちいいよねぇ……」
私はただ、伝えるだけ……教えてあげるだけ。
愛情の味を。その甘美で逆らえない気持ち良さを、自覚させてあげればいいだけ。
「あ、ああ……ルビィ、私は……!?」
これで、仕上げだね……。
私は自分ですら見ないふりをして閉じ込めていた気持ちを曝け出されて混乱するお姉ちゃんの頭を、そっと胸に抱いた。、
「だいじょうぶ、ルビィね。いいこと思いついちゃったの……♡」
♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢
「ごめんね? こんな時間に。どうしても大切なお話があって」
「そんな……今更気にする仲じゃないでしょ、僕たち。オレンジジュースでよかったよね?」
彼の部屋に入って、最高の空気を思いっきり吸い込む。
ああ、貴方の匂いがするよ……♡
本当は毎日嗅ぎたいし、真っ先にかぐわしい香りのするベッドに突っ込んじゃいたいけど。うゆゆ、今日だけは我慢だよ……!!
……なにせ、今日はとっても大事な日なんだから。
そう考えてたら、私の合図を待たずにお姉ちゃんがすぐに入ってきた。それも、下着姿で。
うふふ、目が据わっちゃってるよお姉ちゃん?とっても息が荒いし、準備万端って感じだよね。
唖然として声も出せないでいた彼だけど、私も脱ぎ始めると流石に正気に戻っちゃった。もうちょっと呆けててほしかったんだけど、仕方ないかな。
「ル、ルビィ? それにダイヤさんも、一体どうしたの!? ふ、服を着てよ!」
……そんなにじっと見つめられながら言われても、説得力ないよ?
よかった、ちょっと自信なかったけど。お姉ちゃんだけじゃなく、私の身体でも興奮してくれたみたい。
もっと……もっと見てくれていいんだよぉ。ルビィのカラダ……♪
「ああ……もう我慢できませんわ……! 私は……私はあなたが欲しいのです♡ 」
「さぁお姉ちゃん、もう隠さなくてもイイよ? 3人で結ばれちゃおう?」
「ちょ、ちょっと待ってよ!どういうこt……んんっ!?」
あ、お姉ちゃんが彼をベッドに押し倒してキスしちゃった。それもかなり深いの。こうなると酸欠になるまで止まりそうもないね。
それじゃあ……私も負けてられないよね。彼にいっぱい私を味わってもらわなくちゃ。
『必要』なら、この調子でAqoursのみんなからいくらでも『揃えて』あげるよ?
興味があったら理亞ちゃんでも、ほかの娘でもいい。
貴方の幸せが私の幸せだもん。
そのくらい女の子がいた方が気持ちよくなれるよね?満たされた気持ちになるんだよね?私ひとりだけじゃできないことも……貴方にしてあげられる。
「そうしたらわかるはずだよ、貴方に一番必要なのは『私』なんだって、ね……♡」
そうだよ、私が一番貴方を幸せにしてあげられるの。ルビィで足りない分は、他のところから持ってきてあげる。どんな手段でも、貴方を満たしてあげる。でも、それが出来るのは私だけ……
あぁ、これからの毎日が楽しみだなぁ……♡
「ねえ花丸ちゃん……もしかして、恋愛のことで悩んでる?」
「ルビィと彼って、幼馴染でしょ? だから何か、力になれるかもと思って……」
「ううん、目を見たらわかるよ、彼のことだって」
「どうかな。相談、してくれる……?」
珍しくキャラソンのオマージュを使いませんでした。書いてたらダイヤちゃん回の裏verみたいになりましたね…。
彼を幸せにすることが私の幸せ⇨自分(だけ)では満たされないのなら他の娘も『揃えて』あげる♡⇨ヤンデレハーレムへ一歩一歩……という流れでした。その中でも「私が一番だと教えてあげる」という変則ヤンデレでした。
各キャラの短編も用意してますが、明日は果南ちゃんかなぁ……長編の加筆修正と短編も進めたいですね。