ラブライブ!〜ヤンデレファンミーティング〜   作:べーた

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つま恋、両日当たりました(*´∀`)ノゞ
渡辺曜さん、お誕生日おめでとうございます(今回出番ないけど)。

そういうわけで後編です。後編は鞠莉ちゃんとの会話になってます。繰り返しですが、この辺は今の章よりも前の時間で、ほぼ34.5話の直前です。




第43話 ユルサナイ・後編【松浦果南】

『————「あの時」のこと。今度、話を聞かせてもらうから』

 

 

 

ダイヤときたら……今だって、私達の中で上手く立ち回ってるのか。1人だけ翔の近くにいるよね? あんなことがあって、私は勿論、鞠莉だって未だにああなのに……それっておかしいよね?

 

翔がどういう理由でウソをついてたのかわからないけど……ダイヤがウソをついてた理由は少なくとも、わかってきたよ。だって、自分は事情を知ってたんでしょ?

 

翔が戻ってきたときの居場所に、自分だけなろうとしていたんだよね……!?

 

 

(こうなったら後は、タイミングを待ってダイヤを問い詰めればいいだけ。でも……)

 

 

ただ『それだけ』って……言うのは簡単だけど、私は二の足を踏んでた。

 

問い詰めること自体はできるかもしれないし、本当の事を聞き出せるかもしれない。でも、それが私の望む答えだとは限らないと思うと、躊躇ってる自分がいた。なにより、私は『なんで』それをしようとしてるのかな……ってことが、気になってた。

 

単にモヤモヤしてるから?それとも、スクールアイドルをまたやりたいから?

 

ううん、スクールアイドルはまだ好きだし、あの頃の事は未だに、私の中で輝いてるけど……それだけで冷めきってしまった私の心を、熱くはしてくれるほどじゃない。

 

……私がいったい、何をどうしたいのか。

 

その先がしっかりしないと、昔の真実を知っても意味がないと思った。

 

 

だけど、迷ってる間にも時間は経っていく。どれだけ悩んでたって……お父さんの骨折も治ってきて、復学の日も近づいてくる。

 

 

「気持ちよかったね〜!」

 

「ありがとうございました、また綺麗な魚を見に来ま〜す」

 

「こちらこそありがとうございました、またよろしくお願いします!…………んっ!?」

 

 

そんな時に、突然訪れてきたのは、ダイヤでも翔でもなくて鞠莉だった。わざわざ後ろから近づいて、思いっきり胸まで揉んで……帰るお客さんに見られてて、変なことネットのレビューに書かれたらどうするの。

 

 

「う~ん……やっぱりここはダイヤより果南の方が安心できるな~?」

 

 

まったく、何が安心なんだか……昔はお嬢様だったのに、ずいぶんはっちゃけた性格になったもんだよね。私たちと付き合ううちにこういう破天荒な性格になったんだから、ちょっとは責任を感じなくはないけど。鞠莉のお父さんとお母さんにもずいぶん、睨まれてたし。

 

ただ、それとこれとは別。立派なセクハラだよこれじゃあ。

 

最近は女性同士でもセクハラだってあるだろうし、訴えたら勝てるよね?多分。

 

あれ、じゃあ好きでもない男の子に触られたらセクハラどころか、犯罪?

 

 

好きな男の子なら?

 

男の子って、今の私には翔しか思い浮かばないけど……

 

 

……それじゃ、翔が来てくれたのなら。私の身体を触るのが、翔だったら……?

 

 

 

や、やだ。何考えてんだろ私……///

 

頭の中に浮かんだはしたない妄想を誤魔化すように、鞠莉を引き離す。それが間違っても照れ隠しと取られないように、一応表情を暗くしてから。

 

 

「何しに来たのいきなり……相変わらず神出鬼没なんだから。そういうところは本当に変わってないね」

 

「果南、シャイニー♪ せっかく来たんだからもっと喜んでよ〜?」

 

 

私の顔と空は曇りっぽくなってきたのに、鞠莉の笑顔は曇ってない。

 

だけど、これでも長い付き合いだったわけだし……単に顔を見に来たってわけじゃないのは、なんとなくわかった。実際、向こうもすぐに目だけは真剣になる。口元は余裕な感じだけど。

 

 

「……っていう挨拶は程ほどにしておいて、ね? 実は貴方をスカウトに来たのっ」

 

「スカウト……それってまさか、また学校を救うために?」

 

「そう!休学が終わったらまたスクールアイドルを始めるのよ、もちろん浦の星で! 今度こそみんなで協力して、μ'sみたいに廃校の危機を乗り越えるのよー♪」

 

 

何の話が始まるかとおもったら……まさかのスクールアイドル。廃校の話は少しは予想してたけど、まだそんなに未練があったんだね。

 

でも、隠し玉と言わんばかりにウキウキしている様子の鞠莉に対して、私の心は冷え切っていった。

 

スクールアイドルが嫌いなわけじゃない。廃校を救おうって言う気持ちも、なくはない。だけど……

 

 

(それもどうせ……翔を抜きで、って話なんでしょ?)

 

 

ただ単に……鞠莉のやろうとしていることが、『間違っている』と思えたからってだけ。翔がいないのに、うわべだけ仲直りして、また同じことをやるなんて……私は納得できない。私たちは4人じゃなきゃ。

 

それに、あの時の事……本当の事を確かめてからじゃないと、『同じ過ちをする』のは翔じゃなくて私たちの方になっちゃうんじゃないか、ってそう思えた。さすがに、口には出せないけど。

 

 

「もう3年生にもなってるのに……本気なの?」

 

「ふふっ……でなければ、わざわざイタリアから戻ってこないって♪」

 

「…………」

 

 

イタリア……か。

 

そう、鞠莉は2年前のあの出来事で、先生や周りから勧められても断っていた留学に行くことを決意した。顔も見たくなくなったはずの翔が内浦から引っ越しても、留学の道を選んだのは……相当あの出来事がショックで、一度は離れたかったのもあったんだと思う。

 

その意味では、留学は逃避みたいな部分もあったんだろうから、イタリアにあんまり思い入れもなかったのかもしれないけど……だからって、本当に浦の星女学院のためだけに理事長として帰ってきたなんて。

 

それも、もう1度スクールアイドルをしようとして。……翔の方の経緯を聞く限りでは、2人の帰ってくるタイミングがあったのは、本当に偶然だったんだろうけど。

 

 

「そう……廃校だもんね。あの時と同じで。鞠莉があの学校を大切に思ってるのもわかる」

 

「さっすが果南、話が分かるわね♪ じゃあ、早速だけど私と————」

 

「————でも、私はやるつもりはないよ」

 

 

明るくなった鞠莉の顔が、私の言葉で一瞬で曇った。……悪いとは、思わなくはないよ。だけど、こんな状態でやろうという方が失礼だと思う。やれるわけなんてない……できないよ、このままじゃ。

 

……翔のことでモヤモヤしている限り、前に進めない。進むべきじゃないよ。ましてや、また同じスクールアイドルでだなんて。

 

私の反応が予想以上に冷たかったのか、鞠莉は困惑を隠せないでいる。

 

 

「そ……そう。ふふ、果南ったら、相変わらず頑固おやじだね?」

 

「……」

 

「で、でもね? 千歌っち達だって頑張ってくれてるじゃない。私たち3年生だって負けてられないし、何より翔に任せてたらまた——……」

 

 

———『また、失敗するかもしれない』?

 

……色々と理由をつけて、私を誘おうとするんだ。

 

多分、ダイヤが翔に接近してるのを理解してる上に、私までも翔を憎んでる態度が見えなくて、それで焦ってるんだろうね。廃校になるのも、今年度中って話だし。時間も選べる手段もないんだと思う。

 

まあ、鞠莉があの日の翔のことを未だに恨んでる気持ちは……わかるよ。確かに、やられた側からしたらそう思うのも無理はない。私だって、同じ立場なら囚われてたかもしれないし、こうしてる今もモヤモヤしてる。

 

 

でも、私は今の……そして、昔の翔については確かめることができた。そしてその瞬間は、鞠莉も一緒に見てたはず。

 

 

なのに、まだ……?

 

 

「鞠莉、何も気づいてないの?本当に」

 

「な、何によ……? 急にシリアスな顔になって、似合わないわよ?」

 

「翔は、さ。停電になってもライブを続けたよね。あんなに必死になって、千歌達のためにさ。……それとも、後に引けなくて認めたくないだけなの?本当は翔は……」

 

「……やめて!そんなの全部憶測じゃない!! あの時は果南だって……アイツ、本当は覚えてて演技かもしれないのよ!?」

 

 

……ああ、そっか。本当は鞠莉も、何かがおかしいことに気がつき始めてるんだ。そうだよね。

 

まるで、掛け違えていたボタンにやっと気づいたみたいに……何か大きな間違いがあるんじゃないかと思い始めてる。それは、私もそう。だけど、認めるわけにはいかないんだろうね。

 

だって、それを認めるってことは……あんなに大好きで、ずっと一緒にいたかった翔のことを、わかってあげられなかったってことにもなっちゃうんだから。

 

 

(大好きな相手を憎んで、恨んで、そう考え続けてきたのが間違いだったなんて……そんなの、耐えられるわけない)

 

 

だからあまり、鞠莉を傷つけたくはない……けど、翔を今さらどうこう言うこともできない。

 

そんな風にくすぶってるだけの私に、これ以上かけられる言葉はなかった。

 

 

そして沈黙に耐えられずに、片付けをしようと背を向けて歩き出す。

 

 

 

 

ううん、歩き出そうと、した。

 

 

 

 

「ねえ……果南も翔のこと、好きなんじゃないの?」

 

 

 

 

鞠莉の言葉が、その背中から、かけられるまでは。

 

 

「……何が、言いたいの?」

 

「ダイヤは私を裏切って、翔を選んだ……なら、果南はどうなのかなって、ふと思っただけよ。まさかとは思うけど、念のため……ね?」

 

 

本来なら、鞠莉につきあう必要なんてない。鞠莉だって本当の事は知らないみたいだし、今は仕事の片づけもしなきゃいけないんだから。

 

ただ……その言葉だけは、やけに耳に障った。今の私の一番脆い部分を、無遠慮に触られた気がしたから。

 

 

「私が翔のことを好きだったら……何か鞠莉に関係あるわけ」

 

「別に~? ……でもね、もしそうなら私だって色々考えなきゃいけないじゃない。ただでさえダイヤがああなら……か、果南?聞いて……?」

 

「ダイヤが……なんだって言うの?」

 

「! ……そ、それは」

 

 

ゆっくりと振り返ると、さっきまであんなに調子に乗っていたはずの鞠莉が、今度は少し震えている。

 

何にそんなに怯えてるのかと思ったら、近くに置いてあった父さんの車に、私の顔が写りこんでた。……自分で言うのもなんだけど、確かに怖い顔。でも、私が怒ってる気持ちの何分の一もないと思った。一番憎い相手(ダイヤ)の前じゃないからだろうね。

 

それなのにこんなにも怯える鞠莉を哀れに思わなくもないけど……あんまり好き勝手言われるのもムカつくし。それこそこれ以上裏で動かれても迷惑だから、ちょっと釘を刺しておかなきゃね。

 

 

それに————さっきの言葉でわかったよ。鞠莉の気持ちも。

 

 

 

「……鞠莉、翔や千歌達のスクールアイドルに手を出すの、もうやめようよ。実は嫉妬してるだけなんでしょ?」

 

 

どうして、部活をつぶさずに、わざわざ千歌達と翔をただ引き離そうとしてたのかも。

 

 

「……ッ!? そんな、どうして今のを聞いてそうなるのよ!? 私は千歌っち達を妬んでなんて————」

 

「そこで『翔を』じゃないのが、いい証拠だよ。本当は、翔じゃなくて……千歌達とダイヤに嫉妬してるんだよ、鞠莉は」

 

「あ……っ!?」

 

 

ダイヤが翔に近づいて、色々吹き込んで……手伝ってる事は知ってる。

 

でも私だって。私だってこんなに翔のためになることをしてる。ダイヤみたいにコソコソ近づかなくったって、『海の音が聞きたい』って、向こうからライブの曲作りで頼りにしてくれたんだから。

 

邪魔してる鞠莉にとやかく言われる筋合いなんて……ないよ。

 

 

「翔と一緒に、スクールアイドルをしてたはずのぜんぶ、何もかも……翔自身まで千歌達に盗られちゃって、それで自分よりも上手くいってるのを妬んでるんでしょ? 好きだった男の子を取られてさ、ダイヤにも嫉妬してるだけなんでしょ?」

 

 

鞠莉にダイヤの名前を出されて煽られてからずっと、身体の奥底から沸沸と怒りが湧き上がってくる。

 

 

なんでダイヤだけがそこにいる?

 

どうして私がそこにいないの!?

 

私だって……私だって翔の事、ずっと好きだったのに……!!

 

 

 

『やったよ翔、私……あんなに緊張してたのに、やれたんだよ!ありがとう♡』

 

『い、いやあ。僕はなにもしてないよ。果南と、ダイヤと鞠莉が頑張ったから……μ'sの話だって、僕が頑張ったわけじゃない、雑誌の受け売りだし』

 

『ううん、それでも、その言葉をかけてくれたのは翔なんだよ。……実は、私ね?翔にずっと言いたかったことが———』

 

『2人とも、どこにいるの~?』

 

『……ごめんね、また今度!』

 

『あっ、果南? なんだったんだろう……』

 

 

……あのときも、邪魔されたからじゃない。あと一歩だった。

 

でも、周りに遠慮して、今楽しい時間を失いたくないって思って……勇気が出なかった。だから、あんなことになった。

 

今もそう。

 

私は自分のやりたいことすらわかってなくて……2年前から何も成長してない。その隙をダイヤにつかれて、また失敗しそうになってる。

 

今度は絶対、そうはならない……!! そんなこと認めないんだから!!

 

 

「色々ちょっかいかけてるみたいだけどさ……それじゃ、本音ではまだ翔のこと好きなの、バレバレだよ? こうしてここに来てそんな事聞いてくるのも、恋のライバルの確認のつもり?」

 

「—————や、やめて!!私、そんなつもりは」

 

「そうそう。愛の反対は無関心だとか、憎しみと愛は裏表だとか。この前テレビで言ってたよね……まさか鞠莉がそうなるなんてね?」

 

「そんな……私は、ち、違うの!」

 

「何が違うって言うの? ……いい加減認めたら。本当は自分が一番翔のこと好きなんでしょ。……恋人になりたいって思ってるんでしょ!鞠莉もさぁ!?」

 

 

 

ずっと前から分かってた!分かってたのに。

 

鞠莉の本心にも、ダイヤの本心にも……そしてなにより、私自身の本心にも。

 

翔のことが男の子として大好きで、みんな女の子として愛してた……なら、簡単な事だったんだ。今は鞠莉にこう言っちゃってるけど……気づかないようにしてたのは、私も同じだったのかもね。

 

……そう思うと、鞠莉への苛立ちは少し収まった。

 

そして、次にやるべきことも見えてくる。

 

 

「果南まで……私を置いていくの……!?」

 

「そう思うなら追いかけてきなよ。私はもう、止まらない……素直になるよ。自分の気持ちに」

 

「自分の、気持ち……?」

 

 

鞠莉を追及するのはもう十分。不思議だけど、私は怒りを通り越して、なんだかいい気分になってきてたから……悩んでたことの答えが、やっと分かったからだろうね。まさか、鞠莉と話してて気づくとは思わなかったけど。

 

 

私が手に入れた答え……。

 

それは、悩んでいたこと……『私がどうしたかったのか』。

 

 

 

「そう、自分に素直になるんだよ。ダイヤにこれ以上好き勝手させられないからね……翔が記憶喪失なのをいいことに、なんてさ」

 

「いったい、何をするつもりなの……!?」

 

「別に。ダイヤや鞠莉みたいにヘンなことはしないよ? ただ……ダイヤに騙されてるのを目を覚まさせてあげて、ちゃんと記憶を取り戻してもらおうってね」

 

 

そこまでで、私たちの会話は終わった。私が終わらせた。

 

指摘された自分の気持ちと、私の様子に、鞠莉は立ち尽くしている。

 

それを置いて私は歩き始める。2年間止まった時を動かし始めるために。そして、翔を手に入れるために……。

 

私は……翔を、心の底から自分のものにしたい。誰にも渡さない……!!

 

 

「絶対に許さないよ……ダイヤぁ……!!」

 

 

 

必ず奪い返してやる。ダイヤから、翔をね……!!

 

 

 

 

 

 




ちなみに、章題の『リフレイン』とは、『繰り返し』という意味です。

ですが、どこかの魔法使いのおばあちゃんも言っているように、人生ってぐるぐる繰り返しているようで、実は進んでいる、螺旋階段のようなものなのでしょうね。このお話もきっと同じだと思います。

次回はダイヤ視点。
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