魔法科高校の宝具使い   作:zaurusu

4 / 6
第4話

覚悟を決めて、来たのはいいが……

 

「なんだ、ただのガキじゃないか」

 

某、暗殺拳の使い手漫画に出てきそうな筋肉むきむきの巨人が目の前におり、丸太のような太さの竹刀を軽々しく肩にかけているのを見ると、先程の覚悟が嘘のように消えた。

 

正直言うと、逃げたい。

 

しかし、それは無理そうだ。

 

何故なら、先程からアーチャーに睨まれているからだ。

 

逃げたら、許さない。

 

言わずともわかってしまう。

 

前門の虎、後門の狼とはこのことを言うのだろう。

 

先程からだんまりの自分が気に入らないのか、剛力から殺気に近いものを感じる。

 

「言っとくが、ガキだからって俺は手加減しないからな?」

 

人は見かけによらないと言うが、この場合は見かけによると言った方が正しい。

 

果たして、生きて帰れるのか。

 

戦うことよりもどうやって生き残るか。

 

それが重要だ。

 

アーチャーにアイコンタクトで伝えると

 

「だったら、戦え」

 

と思った通りの答えが帰ってきた。

 

つまり、攻撃は最大の防御だということだ。

 

「別に倒してしまっても構わないぞ?マスター」

 

それは、無理だと思う。

 

まぁ、取り敢えずやれるだけやってみる事にしよう

 

覚悟を決めると、アーチャーが「それでいい」と言わんばかりにニヤリと笑った。

 

「それでは、両者前に」

 

審判に言われ、前に出ると互いに礼をする。

 

「構え!」

 

一定の距離まで後ろに下がり、互いの相棒を抜く。

 

そして……

 

「はじめ!!」

 

試合が始まった。

 

最初に動いたのは剛力選手。

 

「おりゃ!!!!」

 

自己加速術式で護との間合いを一気に詰めると、竹刀を振り下ろす。

 

見かけによらず、素早い攻撃。

 

紙一重で避けると、竹刀が地面に当たり、衝撃と爆音が会場全体響き渡る。

 

地面には竹刀の跡がくっきりとのこっていた。

 

まともに食らっていたら、頭蓋骨をやられていたかもしれない。

 

「おら!!考え事をしている暇はないぞ!!」

 

本人は、そんな事御構い無しに次々と攻撃を仕掛け、手を緩める気配がない。

 

恐らくだが、剛力選手の剣術は攻撃に特化した型なのだろう。防御という観念はなく、ありとあらゆる自身の全ての力を剣に込め、相手にぶつける。

 

まさに、一撃必殺という言葉がよく似合う。

 

彼は英霊として召喚するとなると、クラスはバーサーカーあたりかそこらだろう。

 

それは、さておき。この間合いは完全に剛力選手の独壇場となっている。

 

これをまず、どうにかして崩さなくてはならない。

 

少し、ずるいが宝具を使おう。

 

正直言うと、約束された勝利の剣(エクスカリバー)で吹っ飛ばしたいところだが、相手が死にかねないのでこれはダメだ。

 

なら天の鎖(エレキドゥ)で縛り付ける……と考えたがこれも加減を間違えれば、絞め殺す可能性があるので却下。

 

相手を殺さないで、動きを止めれる……あ、あれなら使えるかもしれない!

 

「おら!死ね!!」

 

剛力選手から鋭い突きが放たれる。

 

「よっと!」

 

それを難なく避けて、相手の竹刀の上にのると、それを、ジャンプ台にして飛ぶ。

 

それが思いの外、強かったのか、衝撃で竹刀は地面に吸い込まれるかの様に、落ちる。

 

剛力選手の攻撃が一瞬だが止まる。

 

その一瞬を逃さない。

 

護は宝具を発動する!

 

風王結界(インビジブル・エア)!!」

 

本来はセイバーの剣を覆う、風の鞘だ。

 

正確には魔術の一種で、幾重にも重なる空気の層が屈折率を変えることで覆った物を透明化させ、不可視の剣へと変え、白兵戦を有利にする技だ。

 

しかし、狙いはそこではない。

 

重要なのは剣にまとうこの風だ。

 

風王鉄槌(ストライク・エア)!!」

 

セイバーが使う応用技の一つであり、纏わせた風邪を突きと共に解放する事で破壊力を伴った暴風を打ち出すものだ。

 

本家ほど威力はないが人間なんぞ木っ端微塵に吹き飛ばす。

 

しかし、セイバーとの特訓のお陰で威力調整することができた。

 

「ぐっ!なんだ!?」

 

吹き飛ばすのではなく、目くらましを目的としてるので、直接目に風を当てる。

 

効果は抜群だ。

 

そして、すかさず腹部に蹴りを入れる。

 

護の考えでは、蹴りを入れて、体制が倒れたところを竹刀を振り下ろすというものだ。

 

しかし、思い出して欲しい。

 

護は普段から英霊という規格外の塊のような存在と暮らし、修行をし、何回も三途の河から戻ってきた男だ。

 

セイバーの約束された勝利の剣を何度も食らっても、立ち上がり

 

ランサーとの組手はボコボコにされ

 

アーチャーの弓矢を2時間も避け続け

 

金ピカ王に幾度となくぶっとばされ

 

それでも、死なずに生きている。

 

そんな男の蹴りを魔法師といえど、喰らえばどうなるかお分かりだろう。

 

「ぶべら!?」

 

剛力選手の巨体がくの字にまがり、壁に激突する。

 

「え!?」

 

会場から驚きの声が聞こえる。

 

だが、それ以上に驚いているのは護本人だ。

 

「そこまで!勝者新城護!!」

 

わー!!と歓声があがるが、本人はイマイチ理解が出来ていない。

 

間違いなく言えることは、一回戦を突破したことだ。

 

それを護が理解するのは、剛力選手がタンカーで運ばれてからであった。

 

その一部始終を見ていたアーチャーはというと……

 

「ふむ、やはりあの程度の相手では無理があったか」

 

護の勝利を全く疑ってなかった。というか、当然という顔であった。

 

スランプに入りかけている護に自身の力がどれほどのものかをわからせ。

 

とは健全な建前で真の目的は他にある。

 

「さて、あの男相手にマスターが何処まで通用するか見ものだな」

 

アーチャーの手元には選手紹介と対戦表が書かれた紙がある。

 

その中の選手にはある人物がいた。

 

それは、白兵戦においてはせかいで五本の指に入る屈指の実力者であり、「幻影刀(イリュージョンブレード)」の異名を持つ、「千葉家の麒麟児」こと千葉修次であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。