最弱無敗の神装機竜 origin   作:メルフェン

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コードギアスに触発された思いつきの作品です


Prolog

遠くで爆発音が響く。所々壊れた壁に、そこら中に転がる亡骸。その異様な光景が続く長い廊下を一つの足音が駆ける。

人肉が焼ける臭いが鼻を掠め、思わず顔を顰めてしまうが、それすらも構わず走り続ける。この先で待っているある人を止めるためにーーー

 

「もうお終いだ、姉様!」

 

少年が辿りついたのは玉座が設えてある大広間。その玉座に座る一人の女性を睨みつける。

 

「もう来てしまったのですね」

「もう終わりにするんだ、姉様!こんな事をして何になる!」

「私たちはもう一度世界を手に入れるのです。あなたも『創造主(ロード)』の端くれならわかるでしょう?世界は私たち『創造主(ロード)』が支配しなければならないのです」

「それじゃ『大聖域(アヴァロン)』を独占して、姉様は何を企んでいる!」

「それは、あなたには関係のない事です」

 

美しい銀髪の長髪が遠くからの爆風でたなびく。生暖かい風が二人の頬を撫でていった。

 

「・・・・・・・わかった。なら俺がやる事は決まった。民草を犠牲にしてまで我欲を優先させたお前を俺は・・・・・・」

 

背中の剣帯から一本の深紫色の剣を抜きさる。その剣を見て、女性は目をむいた。

 

「その剣をどこで・・・・・・!?」

「姉様・・・・・・・いや、リステルカ・レイ・アーシャリア。お前をここで止める!『大聖域(アヴァロン)』へは行かせない!」

 

少年は地を蹴り、一気に間合いを詰める。今まで剣術の稽古をしていて良かったと思ったのも束の間。自身が握る剣を、姉様と呼び慕っていた女性に深々と突き刺した。

 

「まさ、か・・・・・あの神装機竜に、認められたのです、か・・・・・・・・」

「『大聖域(アヴァロン)』へはこの機攻殼剣(ソード・デバイス)が必要なんだろ?これは保険だ。もう二度と『大聖域(アヴァロン)』への扉と『聖蝕』が目覚めないようにするために」

 

深々と突き刺した深紫色の剣を抜く。鮮血が刺した傷口からとめどなく流れ出る。リステルカと呼ぶ女性は力なく少年にもたれかかった。

 

「第一皇子であるあなたが・・・・・・こんな事をしていいと、思って・・・・・・」

「・・・・・・」

 

血塗れの手が、少年の頬を撫でた。

 

「『聖蝕』はいずれ目覚める・・・・・無駄ですよ・・・・・・」

「無駄じゃない。俺がいる限り、世界を壊させやしない」

「傲慢、ですね・・・・・・・・」

 

そう言って女性は力なく倒れた。リステルカを中心に赤い水溜まりが形成されていく。

 

「おやすみ、姉様。もう二度と、目覚めないでくれ」

 

それが全ての始まり。そして、始まりの罪でもあった。これで神聖アーカディア皇国は滅亡し、別の思想を掲げる者達でアーカディア帝国が建てられる。そして月日は流れーーーーー

 

ーーーーーーーー

 

「おはようございます、学園長」

「あら、おはよう。今日も早いのね」

「一応、ここの教師ですから」

 

彼の名前はユリア・アークライト。『王立士官学園(アカデミー)』の教師兼生徒として雇ってもらっている。なぜ生徒なのかと言うと、もちろん年端も行ってないためである。銀髪に透き通った蒼い瞳。その双眸は眠気に何とか抗おうと踏ん張っている。

そしてその目の前にはこの『王立士官学園(アカデミー)』の理事長、レリィ・アイングラムである。アイングラム財閥の長女で、妹もこの学園の生徒だ。あっけらかんとした性格をしており、学園長の権限を使って突発的なイベントを企画したりするためあまり学園長らしくないと教師陣からも思われている。

 

「今日も張り切って頑張りましょう!」

「はーい」

 

朝会のミーティングが終わる。今日は特に目立った案件はなく、退屈な授業の始まりである。ユリアは長い廊下を歩き、そして自分の受け持つクラスへと辿り着いた。

 

「やーやー、皆おはよー」

「おはよーございまーす、ユリっち」

「こら、ティルファー。親しみを込めて『先生』と呼びなさいと何度言ったらわかるんだい?」

「えー、だってユリっちあたしたちと同い年じゃん」

「そこには触れちゃいけないよ」

 

毎朝こんなやり取りをしてよく飽きないものだと関心せざるを得ない。

 

「さて、突然だけど君たちに紹介したい人がいるんだ、入っておいで」

 

ユリアの言葉と同時に、教室の扉が開かれる。銀髪に灰色の瞳に首には黒い首輪。ここにいる誰もが一目でわかった。

 

「紹介しよう。今日からこのクラスに編入になったルクス・アーカディアくんだ。知っての通り、彼は旧帝国の生き残りだ。恩赦の証として首輪も付いているけど、あまり邪険に扱わないであげて欲しいな」

 

ユリアは教室内をぐるりと見渡すが誰もいい顔でルクスを見ていなかった。

 

(参ったなぁ・・・・)

「君からも一言もらえるかな?」

 

ニコッと笑みを浮かべれば、ルクスという少年の顔も少し和らぐ。

 

「えっと、ルクス・アーカディアです。よろしくお願いします・・・・・・」

 

とりあえずぎこちない挨拶をする。

自分の受け持つクラスだが、一抹の不安を抱かずにはいられない新学期早々であった。

小さなざわめきとひそひそ声が教室の中に満ちる。それはそうだろう。長年、男尊女卑の風潮を敷いてきた旧帝国の王子なのだから、五年前に体制が変わったとはいえ、彼女たちにとっては未だに警戒の対象だ。自分が初めてこのクラスの担任になった時のことを思いだす。最初は全員口すら聞いてくれなかったものだ。

 

(ああ・・・・、帰りたい)

 

ルクスがそんな事を考えていると・・・・・

 

「・・・・あ、ルーちゃんだ」

 

ルクスが内心涙目になっていると、不意にそんな声が聞こえてきた。

 

「おや、ルクスくんはフィルフィと顔見知りかい?」

「小さい頃よく遊んでて・・・・・・」

 

教室の窓際の席にいた、桜色の髪を持つ少女。ふわりとした髪は、二つのリボンでまとめられ、少女のぼんやりとした雰囲気によく似合っている。そして、制服を大きく押し上げている豊かな胸がどこか幼さが残る顔の少女に不思議な魅力をもたらしていた。全く、何を食べればそんなに大きくなるのやら。まさに身体の神秘だ。

 

「ユーちゃん。ルーちゃん、隣でいい?」

「ああ、構わないよ。分からないところも教えてあげてくれ」

「うん」

 

ユリアが戻っていくのを遠目で見ながらルクスは隣の少女を見た。

 

「えっと、ほんとにフィルフィ・・・・・?」

「うん、そうだよ」

 

ルクスの問いに、少女が頷き確信する。

フィルフィ・アイングラム。大商家、アイングラム財閥の次女にして、ルクスの幼馴染でも有る少女。更には学園長、レリィ・アイングラムの実妹でもある。

 

「学園に通うんだ?嬉しいな。よろしくね、ルーちゃん」

 

あんまり嬉しくなさそうな棒読みでフィルフィが言う。といっても、フィルフィは感情表現が苦手なため口数が少ない。だが、その分正直なため、嬉しいのは本当なのだろう。

 

(それにしてもユリア先生の髪、僕と同じ銀髪だったな・・・・・)

 

ーーーーーーーー

 

「ルクス・アーカディア、か・・・・・・」

 

屋上で誰にも聞こえない声でごちる。

 

「奴らのスパイ・・・・・には見えなさそうだけど、もしそうだったら・・・・」

「あら、ユリアくんもここで休憩?」

「おや?ここは一応生徒は立ち入り禁止なんだけどなー」

「あなたも生徒じゃない」

「いや、うん。まあ、そうなんだけどね」

「あなたって図星を突かれると狼狽えるのが特徴ね」

「よ、よくおわかりで・・・・・・・」

 

自分と同い年なのに年上のようなこの感じ・・・・・・・

 

「僕、いますっごく悔しいよ」

「あらあら」

「授業に遅れないようにね」

 

半ば強引にそう言って手を振りながら屋上を後にする。その後ろ姿をクルルシファーは見送りクスリと笑った。

 

「ほんと、可愛い人」

 

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「やはり、どの文献を見ても神聖アーカディアの事は何も書いてないか・・・・・・」

 

ユリアは学園内の書物庫で文献を読んでは戻して読んでは戻してを、はや二時間程度繰り返していた。

 

「最近、幻神獣(アビス)の活動が活発になってきている。まさか、『聖蝕』の目覚めが近くなっている・・・・・・・・?そんなハズはない、《タキオン=アーク》の機攻殻剣(ソード・デバイス)は確かに俺が・・・・・・」

 

だが間違いなく幻神獣(アビス)の活動が過去のどれよりも活発になってきているのは確かだ。

 

遺跡(ルイン)の攻略を急いだ方がいいかもしれないな・・・・・・・・」

 

書物庫を出ようとした瞬間、ユリアは誰かの視線を感じ取った。

 

「ッーーー」

 

振り向けば窓から誰かが飛び降りる人影が見えた。もしさっきの一人言が聞かれていたのだとしたら、

 

「チッーーー」

 

自身も窓から飛び降り、逃げた人影を追う。

 

「はぁ、はぁ!」

 

フードを目深く被った人物は森の木に背を預け、肩で息をする。

 

「は、はは!ついに見つけたぞ・・・・・!神聖アーカディア皇国は確かにあったのだ・・・・・!」

 

フードの男は息を整えながら静かに喜んでいたが、

 

「その話、詳しく聞かせてくれないかな?」

「だ、誰だ!?」

 

突如上から人間が降りてきて、フードの男はビクッと肩を震わせる。

 

「僕はユリア・アークライト。あなたはなぜあの国のことを知ってるんだい?」

「ある人からの依頼でね。残念だが、言うわけにはいかない!」

「そっかぁ。まあ、そうだよね。依頼なんて誰かに教えるものじゃないしね」

「じゃ、じゃあーーーーー」

「でもさー」

 

そこでユリアの纏う雰囲気が一気に変わった。

 

「あの国のことを知った以上、お前を見逃すわけにはいかないんだよ」

「ひっーーーー!!」

 

鋭く、氷のように冷めた顔で男を睨む。

 

「お、おお、お前は一体、何者なんだぁぁ!!」

「俺か?まあ、どうせ逃がすつもりはないし、いいか」

 

そう言ってユリアはコンタクトを外した。

その顔を見た瞬間、男は目を見開いた。

 

「バ、バカな・・・・・・!お前のその顔は・・・・・・・!神聖アーカディア皇国、第一皇子、ユリアス・ヴィ・アーカディア・・・・・!」

「その名前で呼ぶな」

 

銀髪銀眼の少年はそう言い放った。

 

「さぁて、これでいよいよお前を逃がす理由はなくなった」

「ま、待てーーー!」

「お前の持っている情報を全て隠さず話せ」

「そ、それは・・・・・・!」

「強情だな」

 

「しょーがない」と言いながら、ユリアは目を閉じた。これは自身の神装機竜の能力を使う為の一連の流れである。

 

「ユリアス・ヴィ・アーカディアが命じる。お前の持っている情報を、寄越せ」

「ーーーーーー」

 

ユリアの目を見たフードの男はまるで何かに取り憑かれたかのようにユリアの目の前で跪く。

 

「何なりとお申し付け下さい。ユリアス様」

 

これがユリアの神装機竜の特殊能力、『絶対尊主』である。

 

「まずはその情報源と、依頼主を言ってもらおうかな。それとお前にはもう一つ頼みたい事がある」

 

月明かりを背に、ユリアの口角が吊り上がった。




特殊能力の『絶対尊主』と神装は別に考えてます!
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