至らない点が多々あるかと思いますが、よろしくお願いします。
四話目ぐらいから面白くなるように作っています。
全10話予定。
机の上に作りかけの人形が転がっている。
頭部、手足、胴がバラバラに散乱している光景はさながら猟奇殺人現場のようであった。
人形の虚ろな瞳は何かを訴えているようにも見える。
それは自分の体が切り離されていることに対する嘆きと悲しみかもしれないし、あるいは、早く体を完成させてほしいという懇願かもしれない。
いや、きっと作り手である私に対する憎悪だな、とアリスは思った。
時計を見るとすでに午後5時を過ぎていた。
そろそろ支度をしなければ。今日は6時から博麗神社で宴会が予定されている。
アリスは宴会の参加に気乗りしなかったが、魔理沙がしつこく誘うものだからしぶしぶながら行くことにしたのだ。
参加を決めてから今日までの間、宴会のことを思い出すたびに鬱屈した感情が頭をもたげていた。少し顔を出したらすぐに帰ろう、とアリスは決める。
魔法の森は夕暮れに差し掛かり、カラスが鳴き始めていた。
宴会はすでに始まっているようだ。博麗神社の鳥居が見えたところでかすかな騒ぎ声が聞こえてくる。博麗神社に近づきその声が大きくなってくるほど、足取りは重くなり、心臓の鼓動が早まり、緊張してくる。やっぱり断るべきだった、とアリスは後悔した。しかし、ここまで来た以上引き返す訳にはいかない。鳥居の前までたどり着き、神社のなかへ、足を踏み出した。
神社の中へ入り、桜の見える庭へと赴く。今回の宴会は夜桜を見ながらのものなのだ。宴会会場に着くと、そこに総勢20人ほどが座っていた。
魔理沙はどこに座っているのかキョロキョロとあたりを見渡す。
「おーい、アリス、こっちこっち!」魔理沙が手を振っている。
魔理沙は一番大きな桜の木の下に陣取っているグループの中にいた。
魔理沙を見つけたことでアリスはホッと安堵する。
ただでさえ今回の宴会の参加者はアリスと面識のない人物が多いのに、魔理沙がまだ宴会に到着していなかったらどうしようかと内心気が気ではなかったのだ。
魔理沙の座っているグループヘ向かい、魔理沙の正面にアリスは座った。そのグループ構成はアリス、魔理沙、霊夢、早苗の四人であった。
「アリス来るの遅いから今日はもう来ないのかと思ったぜ。」魔理沙の顔はすでに少し赤くなっていた。
「新しい人形の制作に夢中になってて、出かける時間が遅くなってしまったの」アリスは申し訳なさそうな顔をしながらそう言った。
「あんたまた新しい人形作ってるの?あんたの家人形だらけで気味悪いのよね」と言って霊夢はおちょこを口に持っていって日本酒を口に含む。
「気味悪いとか言わないでよ。人形作りは私の趣味なんだから。人が何に関心もとうが自由でしょ。」
「私はあんたの趣味なんかどうでもいいけど、あんたみたいな陰気な趣味のやつは友達少なそうだなと心配してあげてるのよ。どうせ人形を作ってるのも趣味でも何でもなく孤独な自分を慰めるためなんでしょ?」
霊夢の口がいつもにもまして悪い。どうやら霊夢は酔っているらしかった。
本来ならば酔っぱらいの戯言など軽くあしらえるはずだったが、友達が少ない、孤独という霊夢の発言にアリスは
その沈黙を破ったのは早苗だった。
「そういえば今回の宴会にはこの前の異変に関わっていた人たちが来ているんですよね!」
「おお、そうそう。今回の異変の黒幕様御一行が来てるんだ。」魔理沙がそう応えた。
幻想郷では現在、暦上は夏である。
しかし、少し前から魔法の森には雪が降り、妖怪の山は紅葉し、そしてこの博麗神社周辺には桜の花びらが舞っていた。
「どの人なの?」アリスはあたりを見渡す。
「ほら、あの手に鼓を持ってる前掛けしたやつ。」と魔理沙は自分のグループ右手の集団を指さした。
「ふーん、あれが・・・。それで一体何のためにこんな異変を起こしたの?」
「それがもう自分勝手な理由でさ。なんでも自分の存在をアピールするためらしいのよ。」と、言いながら、先程飲んでいた日本酒の瓶が空になったらしく、霊夢は新しい瓶を開けた。
霊夢によると、その異変を起こした神様は
その神様が四季異変を起こした。
部下の後任を探す兼、自分の力を幻想郷全体に示すという名目で。
「自分の凄さを知らしめたかったってこと?困った神様ね。」アリスはため息をついた。
「この宴会が終わったら徐々に四季の異変を元に戻してくださるらしいですし、新しく仲間に加わった方々を歓迎いたしましょうよ!今日の宴会はそういう目的なんですし。」
そう言い放つ早苗の表情に曇りは一切なく心の底から歓迎しているようである。
対称的に、その早苗の横顔を見つめるアリスの表情には陰りが見えていた。
以前は大して気にしていなかったのだが、ここ数年、異変のたびに増える新しい妖怪や神々。
それらと折り合いをつけることに辟易し始めていたのだ。
はじめは仲間内も少なくなんとかやっていけていたのに、いつの間にか自分の知らない妖怪が神社を出入りする。魔理沙と親しげに話している。
その光景を目撃するたび、嫉妬の炎ようなものが自分の中で渦巻いているのを感じる。
これ以上他のやつと仲良くしないでほしいという気持ちがあることをアリスは自覚していた。
それが我儘なことだとはわかっているのだがその欲求を捨てきることができず、自己嫌悪に陥る。
もうどうすれば良いのかわからない、アリスの不満は沸点に達しようとしていた。
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