魂のないフォークダンス   作:結晶粒界

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最終話 雅客

 11月中旬。風の強い日だった。

アリスの家近辺に咲いていた雅客(がかく)の白い花が風になびいている。

 

アリスは家の窓際に立ち、強風に煽られ(うごめ)く木々を眺めていた。

 

大丈夫。今度は必ずうまくいく。この前は材料が古いものだったから劣化が起きていたのかもしれないし、そもそも方法自体が再現性の低いものだったのだ。

今回はこの前より再現性の高い、最新の方法が書かれた本を紅魔館からわざわざ借りてきて細部まで熟読し、成功させるコツも確認した。著者も権威ある人物で信用度も高いし何も心配することはない。

 

 

コンコンと、玄関のドアをノックする音が聞こえた。ドアを開けると冷たい風が室内に流れ込んでくる。

外には魔理沙が立っていた。

 

「よおアリス、今日もよろしく頼むぜ。」帽子を取りながら、魔理沙はそそくさと部屋に入ってくる。

 

魔理沙に人形操作魔法を教えるのも今日で十回目となっていた。

 

「今日は風が強いなー。空を飛んで来るのがきつそうだったから、歩いてきてしまったぜ。」

 

「それはお疲れ様。寒かったでしょう、紅茶でも飲む?」

 

「ありがとう、いただくよ。チルノのやつが四季異変を解決したおかげでますます調子に乗りやがって、今年の冬は例年より寒くなりそうだぜ。」魔理沙はテーブルのそばの椅子に腰掛けた。

 

「あいつのせいだったの。どおりで今年の冬はやけに寒いと思ったわ。でも、異変を解決してくれた恩もあるし咎めづらいわね。」

アリスは台所にあるコンロのようなものに魔法で火をつけ、その上に水の入ったやかんを置く。

 

「あいつが出しゃばらなくても私か霊夢が異変を解決してたはずだし、妖精は余計なことしなくても良いんだよ。」魔理沙は少し不機嫌な調子で言った。

 

「ふふ、そうかもね。」

 

「あれ、アリス、また新しい人形を作ったのか?あの黒髪の人形二体もいたっけ?」

魔理沙は部屋の北側にある棚においてある二体の人形を指さした。

 

「ああ、あれは最近作ったのよ。良く出来てるでしょ?」

 

魔理沙は棚まで歩いていき、近くでその新しく作ったという人形を観察した。

 

「この新しい人形だけ、やけに良く出来てるな。肌の質感なんか、まるで本物の人間みたいだ。」

 

魔理沙はしばらくその人形を凝視していたが、すぐに興味を失ったようで、

「ところでアリス、今日は何を教えてくれるんだ?座学や基礎練習は自分でやっておくからさ、そろそろ実戦的なものを教えてくれよ。」アリスの方を振り向き、媚びるような声色でアリスに問いかけた。

 

「そうねえ、基礎は十分教えたし、今日は少し高等な魔法を教えようかしら。」

 

「お、それは楽しみだな。どんな魔法なんだ?」魔理沙は心から嬉しそうに目を輝かせる。

 

「それはね・・・」アリスは人形のような無機質な笑みを浮かべる。

 

 

 

 

 

 

「人形に魂を宿らせる魔法よ。」

 

 

 

 

台所で熱していたヤカンの水が沸騰し、室内に汽笛のような異音が鳴り響いた。

 

 

 

 

 

 

 




最後まで読んでいただきありがとうございました。
このような結末になりましたが、書き始め当初はもっと明るい話にする予定だったのです(ー_ー;)

本作は処女作ということもあり、拙い文章、構成、語彙ではありましたが、これから精進していきたいと思います。
評価、感想お待ちしております。
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