8月31日、四季異変の影響も消えた暑さの中、夕暮れの人里では夏祭りが催されていた。
この人里の祭りは幻想郷最大級のものであり、博麗神社で毎年行われるこじんまりとした祭りとは比べるのも
夏休み最終日ということもあり、子どもたちは今年の夏の終わりを惜しむかのようにはしゃぎまわり、お祭り気分を満喫していた。
綿菓子、りんご飴、金魚すくいなどの屋台が大通りに沿って連綿と続いている。
屋台の中には妖怪が経営しているところもある。去年の祭りでは河城にとりの的屋でなにやらトラブルが起こり問題となっていたらしい。
そのせいか今年にとりは屋台を出さないようだ。
大通りの端にある簡易劇場でアリスは新作の人形劇を披露していた。
劇場の前では子供が十数人集まっており、その中にはあの手芸屋の店主の孫の少年も混じっている。
話のあらすじはこうだ。
とある王国にある日突然悪いドラゴンが攻めてきて、お城に住んでいたお姫様(アリスに似た人形)が連れ去られる。
王国の一兵卒だった少年(先日作った少年の人形)はお姫様を救い出そうとドラゴンの住処に一人で潜入する。
少年は機転を利かせてドラゴンを退治し、お姫様を救出。
二人はめでたく結婚し、物語は終わる。
よくある話ではあるが、アリスのきれいな声と、人形の精巧さに子どもたちは魅了され、人形劇に見入っていた。
劇が終わると子どもたちは拍手し、劇場裏から出てきたアリスに駆け寄り、周りを円形に囲むような形になる。
「人形が生きてるみたいに動いててすごかった!どうやって動かしてたの?」
「どうやってその人形作ったの?」
子どもたちがアリスを質問攻めにする。
アリスは適当にいなしながら次回作も楽しみにしておくよう言い、子どもたちを解散させた。
そして、一人になった手芸屋の少年に声をかけた。
「新作の人形劇、楽しんでくれた?」アリスはかがみ込みながら少年に問いかける。
「うん!面白かった!約束守ってくれたんだね、お姉ちゃん劇してくれてありがとう。」少年は目を輝かせてアリスを見つめる。
「楽しんでくれたみたいで良かった。君は人形に興味ある?よかったら今度私の家に人形見に来ない?」
「遊びに行っていいの?僕人形に興味あるよ!遊びに行きたい!」少年は頬を赤く染めながら喜々としている。
「ふふ、じゃあ今度の日曜日迎えに行くから待っててね。」
「うん、約束だよ。」
アリスが少年の頭をなでると少年は気恥ずかしく、体をもじもじとさせている。
アリスはその様子を冷静な目で見つめ、そして妖艶な笑みを浮かべた。