馬鹿とテストと薄い影   作:のろし

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第九話

「雄二、勉強会を一緒にしてほしい」

 

「いきなり表れて何を言ってんだ、翔子?俺はお前と一緒に勉強する気なんざ――」

 

「じゃあ、嫌でも連れていく」

 

「あ?…オイちょっと待てその手に持ったスタンガンはなにに使うつもrくぁwせdrftgyふじこlp;@:」ビリビリビリ

 

「…これでよし、と」

 

「………」気絶中

 

「…雄二には加藤と仲直りしてほしいから」

 

 

 

 

 

 ―――翔子の家 玄関 PM1:00―――

 

 土曜日。霧島代表が集めるから、と木下姉弟に話を通して三人で一緒に来たが…、とても大きな家である。社会には格差がしっかりあるのだなぁ、と思いながらインターホンを押すと、しばらくして代表がやって来た。

 

「いらっしゃい、加藤、優子、木下弟…秀吉って呼ぶ方がいい?」

 

「こんにちは、お招きありがとうございます。」

 

「アタシまで呼んでくれるとは思わなかったわ。ありがとう」

 

「よしなに。秀吉と呼んでくれて構わないのじゃ」

 

 私たちははそれぞれに反応を返し、中へ誘われる。

 

「…もうみんな集まってる」

 

「ワシらが一番遅かったのかの?」

 

「ちょっと着替えに手間取っちゃったからね、アタシが」

 

「飾らなくてもきれいなんですから、あまり気にする必要はないんですがね」

 

「…雄二にもこれくらい言ってほしい」

 

「代表、コレとアンタの彼氏を比べないほうがいいわ。アンタの彼氏の方がきっとましだから」

 

「…何気に私、バカにされてますか?」

 

「…ところで、霧島。この鉄格子のはめ込まれた部屋は一体なんなのじゃ?」

 

「…そこは雄二の部屋」

 

「部屋というか檻ですよ!?」

 

「…すぐに逃げ出すから」

 

「…代表、貴女にも常識を一度お教えした方がいいかもしれませんね」

 

「まて、裕紀。まずは雄二じゃろう?」

 

 途中の部屋の名称にかなりの違和感を感じるが、今は収めろと秀吉に言われたので自重する。坂本君の常識…周りの環境による物もあるのかもしれない、と若干認識を改めた。

 

 

 

 

 

 

 ―――翔子の勉強部屋 PM1:05―――

 

「はろはろ、加藤君たち。遅かったね!」

 

 私たちが部屋に入ると、そこには工藤さん、姫路さん、島田さん、吉井君、土屋君がいました。工藤さんが早速話しかけてきたので、挨拶を返します。

 

「工藤さん、ごきげんよう。貴女達はいつ頃来ていたんですか?」

 

「えっと…30分くらい前?暇だったからムッツリーニ君と保健体育の討論をしていたんだよ」

 

「ムッツリーニ君?なんですか、それ」

 

「え?ムッツリーニ君知らないの!?寡黙なる性識者のことだよ!」

 

「いや、私にはさっぱりなのですが?…このメンバーからするに土屋君ですか?」

 

 私がムッツリーニ?という言葉を知らないことに、彼女だけでなくみんなが驚いていた。土屋君のニックネームなのだろうか?

 

「……俺の顧客にはこいつはいない」

 

 ………いや、顧客も何も。その前に土屋君、君は早く止血をするべきです。

 

「土屋君、とりあえずは血がたまらないように姿勢を変えましょう。この量だと貧血などの症状が間違いなく出ます。場合によっては病院で輸血を…」

 

「…問題ない、輸血パックなら持ってる」

 

 そう言って土屋君は彼のバックを持ってきて(這いずりながら)、その中に入っていたと思われる輸血パックを取り出し、補給し始めた。

 

「…彼らのFクラスでの日常は、どんなものなんでしょうか…」

 

 私の常識がことごとく通用しそうもない彼の姿をみて、私はFクラスへの認識を改めました。これは想像以上に、ひどい。

 

「いやぁ、びっくりしちゃったよ。ムッツリーニ君ったらボクのスカートの中をみた途端にああなっちゃって…」

 

「…工藤さん、貴女もですか。…貴女には女性としての意識が欠けているのではないですか?貴女のように魅力的な女子が、そういった行為をすることは、一般男子にとって餌を見せびらかすようなものです。幸い、今のところはそんな方面に弱い男子しかいないようですが、相手を間違ったが最後、悲しい結末になってしまいますよ?女性を意識させるなとは言いませんが、手段を選ぶことを知りなさい」

 

「え…あ、うん。ごめん…。」

 

「貴女は私のクラスメートです。IFの話しとはいえ、そうなって傷ついた貴女をみるのは…私はかなしいですよ?」

 

「えっ…///」

 

「土屋君、貴方も貴方で、そういうことを女子がして来たときに嗜めるくらいはしなさい。貴方が大丈夫でも、他のケースが大丈夫とは限りません」

 

「………わかった」

 

 全く、私が傷つくならまだしもですが、私が友人と認めた人たちが傷つくなんて…想像でも許せません…。と考えながら、他のメンバーに目を向けた。

 

「………ウチもアキに言われてみたい…」

 

「これを明久君に……はぅっ!」

 

 なんだか分からないが肌が紅潮している。風邪だろうか?

 

「姫路さん、島田さん。病気のようなら無理して参加されなくても…」

 

「「だ、大丈夫よ(です)!」」

 

 本人たちが大丈夫ならいいのですが。

 

「…加藤君って、雰囲気がイケメンだよね?」

「いきなり何を言い出すんですか?吉井君。私がイケメンなんて、雰囲気でもありえませんよ?だいたい、君の方が顔の造詣はいいんですから、嫌味に聞こえます」

 

「あ、全然そんなつもりじゃ…」

 

「…フフ、冗談ですよ」

 

 吉井君に軽く笑いかける。すると吉井君はよかったぁ…、と安堵した。…私はそんなに冗談が下手なんでしょうか?

 

 

 

 

「後は雄二だけなんだけど…」

 

 その時、私は霧島代表から呼び出され、隣室に向かった。

 

「…連れてきた」

 

 霧島代表が、坂本君を連れて…いや、引きずってきた。あわてて私は坂本君に駆け寄り、ぐるぐるに巻かれた縄をほどいた。左手だけだったのでちょっと大変だったが、人命にかかわるかもしれない。

 

「坂本君、大丈夫ですか!?」

 

「ぐ…ぁあ、ここは…」

 

「霧島代表の家です。…どうやら大丈夫なようですね、よかったです」

 

「てめぇ…こないだの!」

 

 坂本君は意識がはっきりしたようで、私から距離をとる。それから私に話しかけてきた。

 

「てめえがなんでここに居やがる!?俺と顔を合わせたくねえって言ってただろうが!」

 

「…霧島代表のお願いですよ。貴方と仲直りしてほしいらしいです。貴方はどうですか?こちらには私の意見を伝え、貴方の意見を聞き入れる、討論の場を設けてもいいと考えていますが?」

 

「はぁ?俺は悪くないのに、なんでお前の言うことを聞かなきゃなんねんだよ!翔子の願いなんか知ったこっちゃねえ。俺をさっさと返しやがれ!」

 

「…坂本君、少し伺いたいのですが」

 

「話すことなんざ「大事なことです」…言ってみろ」

 

「貴方がここに連れてこられる前、霧島代表からこの集まりについて説明があり、なおかつその提案に合意をされましたか?」

 

「んなわけねぇだろ!勉強会だと言われて断ったらそのままスタンガンで気絶させられて、気が付いたらここにいた」

 

「……霧島代表」

 

「…どうかした?」

 

「貴女の言葉を信じた私が間違ったのでしょうか?私は「お願いする」ということだったと記憶していますが?」

 

「それは…」

 

「おい、どういうことだ?」

 

「…坂本君、今回のこの事態は私に非があります。申し訳ありません」

 

「あ?」

 

「私は、霧島代表が貴方と私を仲直りさせたい、と言われ、話す機会を持つことは大事だと思い、提案を受けました。その際、貴方の意思を曲げて行うようなことではない、と主席には言っておきまして、彼女もそれを了解してくれていたんです」

 

「………」

 

 私は説明を続ける。

 

「代表に、「ちゃんとお願いをする」と言われ、双方の合意に基づきこの場は開かれたものと思っていましたが…結果は貴方の惨状です」

 

「…お、おぅ」

 

「貴方の意思がないのなら、この場は成立しないはずだった。なのに、私が他人に預けるという行為を選択したがため、貴方の意思は尊重されていない」

 

 霧島代表はちゃんとしてくれているだろうという、私自身の思い込みだ。それが結果、こうなる。何故あの時に方法の提示を求めなかったのだろう。

 

「私が他人を頼った結果、貴方に不利益を及ぼしたことを謝罪します。これは前回の事故に対する許容ではありませんがね」

 

「…お前、この事態が異常だと思ってんのか?」

 

「えぇ、個人の意思が反映されないことは、十分に異常です」

 

「…そうか」

「申し訳ありませんが、坂本君は帰っていただいても結構です。私は、これから代表に聞かなければならないことがありますので…あぁ、居ていただいた方がいいかもしれませんが」

 

 そう言って、私は霧島代表に向き直った。

 

 

 

 

 

 

 

「さて、霧島代表。まずは謝っておきましょう。私は今回、貴女の常識を量り間違えました。それについて謝罪します」

 

「……どうして?」

 

「何故か、と問われましても。今回の坂本君への行為は、私の常識にも、おそらくは社会の大多数が持つ常識にも当てはまらない行為だからです。貴女の常識が欠如していることを見抜けなかった、それについて謝罪します」

 

「…でも、雄二は私のお願いを聞いてくれなかったから」

 

「お願いを聞いてくれないから力ずく、というのは、行為に至ってしまうと暴行罪、手段をひけらかすなら恐喝罪に当たります。スタンガンは人の命を奪う可能性があることを承知していますか?」

 

「……」

 

 どうやら理解はできていても、納得がいかないようである。

 

「はっきり言いましょう。バカなことをしましたね。私が求めた状況は双方の合意の上に成り立つ討議の場です。一方的に連れてこられた側の相手に対する印象や、強制されたという思い。それを考えていない、貴女の行動は、私の求めた状況、条件と言ってもいいかもしれません。それを満たすものですか?」

 

「…ちがう」

 

「そうです。それなのに貴女はその行動を選び、とった。何故ですか?」

 

「……二人を仲直りさせるには、二人が話しあう場所が必要。雄二にそれを言っても聞いてくれないだろうから、実力行使に出た」

 

 …それが霧島代表なりの考え方なのだろう。だが、それは非常に危うい。

 

「なるほど。つまり貴女は坂本君を話し相手として認めないということですね?」

 

「…違う!」

 

「でしたら、何故実力行使に出たか考えなさい。坂本君は貴女の話を聞かない、という思い込みが故でしょう?或いは坂本君は意地っ張りである、という思い込みかもしれませんが」

 

「………」

 

 私の言葉は図星のようで、彼女はうつむいてしまった。

 

「どちらにせよ、対話による了解が得られる可能性を、貴女は思い込みで0にしたんです。そして、坂本君への暴行へ及んだ」

 

「暴行なんか…」

 

「していないはずはありません。スタンガンは凶器ですからね。それを当てた時点で暴行になります」

 

「あ……」

 

「気付かなかったんですか?解せませんね。もしかして彼とは普段からこんな感じですか?」

 

「………」

 

 代表は本格的にうつむいてしまっており、話を進められない。

 

「坂本君、申し訳ありませんが前回の事件は一旦横に置きませんか?少し聞きたいことがあるので、協力してくれると助かります。」

 

「あ、あぁ…」

 

 坂本君の了解を得たので、私は質問を開始した。

 

「坂本君、貴方は今回に限らず、かなりの頻度でこのような事態になっていますか?」

 

「…しょっちゅうだ」

 

「…貴方の周りはその状況を良しとする人が多いですか?」

 

「…俺以外はほぼそうだぜ?ここ数日の明久たちはちょっと変わってきてるが」

 

「………わかりました。最後に二つ。霧島代表は、貴方に過剰なスキンシップや暴力を加えますか?また、他の女性を少し見ただけで制裁を加えられていますか?」

 

「…両方イエスだ。」

 

 …何ということだ。

 

「…霧島代表に改めて謝罪します。私は貴女の常識が欠如していることを全く理解できなかった。そのために、坂本君へ暴行を加える原因を作ってしまった。申し訳ありません」

 

「………」

 

「今回は貴女から言いだされたことではありますが、私はその提案を受けるべきでなかった。私の貴女への認識の甘さ故に起こった事態です」

 

「…違う。私が手段を間違えたのが原因」

 

「手段を間違える可能性がある人に、話を預けた責任は、元凶ともいえます。貴女は今まで常識的行動を誰かから学びましたか?」

 

「……いいえ」

 

「周りの環境が故でしょうかね。坂本君も、もしやそういう常識を学ぶ機会はほぼなかったんではないですか?」

 

「……あぁ」

 

 一番私が詭弁としてはありえないと思っていたことが現実にあるとは。

 

「…はぁ。何故でしょうね、貴方達へ怒りはもはや湧きません」

 

「どういう意味だ!?」

 

「まさか私が詭弁で言ったことが実際にあるとは…」

 

「…どういうこと?」

 

 だったらこの状況は、彼らにとって理解できないことだろう。私が、責任を持って、理解してもらうことにしよう。

 

「坂本君、強引で申し訳ないんですが、私とこの間の件で話をさせてください」

 

「あ?…いいだろう。どうやら俺への非難があるわけじゃないようだ」

 

「私が貴方達へ怒りを抱いたのは、私が貴方達の所為で怪我をしたからではない。その後の態度に対する怒りです」

 

「それがわかんねぇンだよ。あの程度の事故、いつもあってることで…」

 

 …やはりか。

 

「Aクラスでアレがおこることはほぼないです。Fクラスの異常性、とでも言いましょうか。もちろん、学園を出てああ言った事態になることは、一般的にほぼないと言っていいでしょう」

 

「ゑ?」

 

「貴方達はどうやら体が丈夫なようで、あの程度のことでは擦り傷程度かもしれません。ですが、普通、人がぶつかって突き飛ばされ、走るために踏み込まれた足で踏まれたら、かなりの怪我になります」

 

「それが所謂『常識』で考えられるあのケースです。ところが貴方には、その常識が欠如していた」

 

「…うそだろ?」

 

 本当です、と返して、私は続けた。

 

「私の場合は骨折でした。本来なら私が言うことではありません。ですが、あえて言います。人に怪我をさせてしまったときに言うべき言葉は?」

 

「…すまなかった」

 

「本当なら自分で気づいて戴きたかったんですが、事の重大性は伝わりましたか?」

 

「…あぁ。俺の謝罪は謝罪になっていなかったな。明久の所為にしちまってた。そんな謝罪は受けるはずがねえよな」

 

 …理解力は高い。これなら大丈夫だ。

 

「その通りです。ですが、今の貴方の言葉、謝罪をしっかり受け止めました。ですので、私は貴方を、許します」

 

「…すまねぇ。俺が間違ってた…!」

 

「誰でも間違います。それを認めたあなたは、同じ間違いを犯すことはないはずです」

 

 私がそう言ってほほ笑むと、坂本君は少し驚いた顔をして、私に言った。

 

「…お前、お人好しって言われるだろ」

 

「…まあ、結構な頻度で。さて、霧島代表」

 

「………」

 

 彼女の場合は更に酷い。多少荒いかもしれないが、下手をすれば人の命に関わる。私は彼女に問いかけた。

 

「貴女の場合、素晴らしいほどの記憶力の持ち主です。それが故に、教えられたことは全て覚えてしまっている。いいことも、悪いことも」

 

「…うん」

 

「そしてあなたは純粋な心の持ち主なのでしょう。悪いこともいいことも貴女にとってただの記憶なのではないでしょうか?」

 

「学習により犯罪と言う悪いことはしてはいけない、ということは理解できた。しかし、愛情表現の形で行われることは貴女にとって良い事の記憶になっている」

 

「…そうかもしれない」

 

「嫉妬から来るちょっとした暴行。それはたまにあることです。それを貴女は暴行と愛。この二つで覚えた。程度は度外視されているんです」

 

「…思い当たる節は、ある」

 

「ならば、貴女が行ってしまう行為、それは確かに愛情表現でしょう。ただ、それを殆どの人間は常識的でないと捉えます」

 

「…そうなの?」

 

 不思議そうな顔で彼女は聞いてきた。

 

「暴行は、基本的に相手を恫喝し、屈服させる行為です。恋愛とつながる要素は、ほぼありません。おそらく恋愛に関しての常識は坂本君の方が少しは理解しているでしょう」

 

「おそらくは、環境が主な原因だと思われます。貴方達のこれまでの生を否定するわけではありませんが、社会では通用しにくいでしょうね」

 

「…学力だけじゃねえって、俺は言ってたのによぉ。情けねえ」

 

 坂本君は自身の今まで気づかなかったことに対する悔恨と憤りがあるのだろう。自分の過去の言葉を省みて、落ち込んでいる。

 

「…加藤」

 

「なんですか、代表」

 

 思いつめた顔をした、霧島代表が投げかけてきたのは、私には答えの出しようがない疑問だった。

 

「私が雄二を好きなのは…この記憶力の所為?」

 

「…私には答えるすべがありません。」

 

「…」

 

「…坂本君。霧島さんが不安がっています。貴方はどう、対応しますか?」

 

 私に答えるすべはない。それは、私が当事者でないからだ。ならば、当事者に答えてもらえばいい。

 

「あー……翔子」

 

「…なに?」

 

「俺を好きだという気持ち、それは確かにお前の記憶力のせいかもしれん」

 

「……ッ!」

 

「だがな、記憶力のせいだろうが、勘違いが原因だろうが!俺はそんなの気にしねえ」

 

「…?」

 

「……チッ!おい、加藤!お前、絶対他人に言うなよ!」

 

「は?」

 

「俺がこれから言うことだ!絶対だぞ!約束しろ!」

 

「……わかりました。絶対に話さないと約束しましょう」

 

「…翔子、俺は、お前のことが…好きだ!!」

 

「雄二…!!」

 

「勘違いでもいい、記憶力が原因でもいい!俺は、お前のことが大切だ!それでいいだろう?お前は俺のことが好きで、俺はお前のことが好きだ!」

 

 ………このタイミング、この場所で告白するのは。

 

「雄二…ッ!嬉しい!」

 

 最高のタイミングだろうと思う。坂本君は…いい男であるらしい。そして同時に、

 

 

 バカだ。

 

「…あの、坂本君」

 

「あ?」

 

「ここ、勉強部屋の隣室ですよ?」

 

「………ゑ?」

 

「となりでは吉井君以下7名が勉強中です」

 

「………」青ざめる

 

「…聞こえてます」

 

 隣の部屋から、土屋君たち男性陣の怨嗟の声と(秀吉除く)、女性陣の黄色い悲鳴が上がっている。これは…一時は勉強どころではないのだろうなぁ、と私は思うのであった。

 

 

 

 

 

「「殺したいほど妬ましい…!」」

 

「うわ、坂本…度胸あるわね。…ウチもアキに」

 

「凄いです…私もいつか…」

 

「うっわー…」

 

「愛子、顔が真っ赤よ?」

 

「姉上は平気なのじゃのう?」

 

「アレより恥ずかしい台詞言われまくってるからね」

 

「…あ~」

 

 

 

 

 

 

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