この作品は以前『二次ファン』にて書き下ろした作品であり、大きな変化はありません。
「これ見たよ!」という方は、次の作品まで待っていただけるか、復習ついでに見ていただけると幸いです(早めの更新を目指します)
◆プロローグ
「見ろよこのニュース。また殺人事件が起こったって」
「全く、世の中の治安は悪くなる一方だな」
「それもこれも全部、政府が悪いからこうなるんだよ」
「全く……お偉いさんは酒を片手に俺たちの様子見てるだけか」
「そうそう、そういや、あの事件はどうなったんだ?」
「あの事件?」
「あれだよ。村の緊急事態に対して政府がやっと重い腰を上げて動いたと思った、あの……」
「あぁ。あれはまさに厄日だったぜ。村が酷かったって話だろ?」
「そうそう! 確か政府が救出しに行ったときには既に村人全員死亡。みーんなやられちまって……」
「なんて名前だっけ? 確かひな、ひなぁ……」
「雛見沢大災害だったか?」
「そうそれそれ! まだ有毒ガスが抜けてなくて近づく事も禁止されてるって話だぜえ」
「まぁ行けてもあんな所には行きたくないね。それよりも俺の街が平穏な毎日であることを願うよ」
「なはは! 全くだよ」
『今日のニュースです。本日未明、〇〇県××町で篠原隆さん、里奈さん、そして高校1年の青年が何者かに殺害されました。詳しい情報は入っていませんが、近所の目撃証言はなく、容疑者は不明の模様。全員身体を刺された痕跡があり、狂気的犯行から、警察では計画的なものではない犯行である可能性が高いとのこと。今も捜査を進めています。また、犯人は金品などを盗っておらずから殺害が目的と――――』
ブツっ
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【むかし むかし】
「……梨花、覚えていますか?」
僕が呼んだはずの女の子は寝返りを打つだけ。反応はない。
それでも良かった、いや、そうじゃないとダメだった。
鈴虫が鳴り響いた部屋は少し肌寒い。
小さな村にある小さな家の小さな小さな部屋。
そんな場所に吹き込む風はどこか優しく、どこかさびしげだ。
なびいた髪を手で掻き分け、誰も聞いていないことを良い事に語っていく。
「僕らはようやく長い旅を終わらせました。辛く、険しかったあの日々を抜けて……」
忘れるはずのない、あの時の苦楽。
梨花もきっと覚えていると答えるに決まっている。
忘れる訳がない、と。
だけど、梨花と僕では相違がある。
「圭一、レナ、魅音、詩音、沙都子……そして、梨花。みんながいたから勝てたのは本当です」
「……でも……もう1人、もう1人だけ。いたのを覚えていますか?」
それは運命の歯車を動かせるほど大きな存在じゃない。小さく、脆かった存在。
でも知っているだろうか。時として、大きな歯車には小さなピースを埋め込まなければ動き出さないことを。
「ボクは忘れない、その人がどうやって僕らに何を与えてくれたのか」
「彼の決意を――――」