ひぐらしのなく頃に 決 【訳探し編】   作:二流侍

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■訳探し編【Ⅱ-Ⅹ】

 扉を開ければ、園崎さんたちがサーカスのショーを見るような、興味と期待の目をこちらに向けてきた。

 気にしてはいけない。この試合、堂々としなければ威圧でやられてしまう。

 軽い足取りと、胸を張った自信顔を維持したまま席に座る。

 そう、すでに作戦は始まっているのだ。

 

「圭ちゃん。勝負に勝てる術でも見つけたのかい?」

「ん、何の話だ? 俺達は世間話をしただけだ。それよりも早く始めようぜ」

「あれ? 孝介君と圭一君の場所変わってないかな? ……かな?」

「あれ、そうだっけ……? でももう変わるのも面倒臭いし、このまま始めようよー」

「そうだな! 別に俺は構わないしー」

「「なははははは!」」

 

 みんなの目が一瞬で警戒の目に変えてきた。

 流石にお互いに肩を抱き寄せて笑う姿は違和感でしかないかも……自然というのは難しいものだ。

 これは状況的にまずい。

 作戦が早くも続行不可能かと思われたとき、園崎さんが手を叩いてくれた。

 

「……ま、2人がいいんなら始めようか」

「…………みぃ、2人が怖いのです」

「そうかな? 私は仲良く見えるから嬉しいなー。あ、2が揃ってる~」

 

 色んな意見は出るものの、無事に始まってくれたのは嬉しい誤算だ。

 そう、これで戦いの火蓋は切って落とされた。

 

「お、これでペアが出来たねぇ。ほいっと」

「私もこんなところでまけていられませんことよ。これで、リーチですわね」

 

 相変わらずみんなの減りは早い。的確に相手の妨害をしつつ、確実に自分は上がろうとする。

 今までのやり方と相違ない。それで勝っているのだから当然の戦略と言えるだろう。

 しかし、僕たちは共同戦線を張ったのだ。孤軍奮闘の園崎さんたちよりも上手く立ち回れる。

 実際に園崎さんたちの減り方に負けない……いやそれ以上に手札のペアを作り出すことに成功していた。

 自信が確定に変わった。

 僕たちに神が微笑んでくれているのだ!

 

「さぁ孝介! お前の手札から残り一枚だ! どれを引く!」

「大丈夫、これで……よし! これであがりだ!」

 

 前原君とポジションが変わった事により、誰の手札を取るのも変わってくる。

 反時計まわりで回していたので以前までの勝負では竜宮さんだったけど、今度からは前原君の手札を引き抜くことになっている。

 これが伏線になっているとは夢にも思うまい。

 

「……篠原がとっても早いのです」

「孝介君凄いね! 最初の時の様に当たり連発だよ!」

 

 4人は以前として僕の運の強さを賞賛してくれた。

 その笑顔に含みはない。まだ気づかれずに事を進めることが出来そうだ。

 

「へへへ。今日は運がいいみたいだよ!」

 

 遠慮がちに笑いながら、手札の1枚と前原君の抜いた1枚を合わせて山札に置く。

 これでまずは1勝。希望の活路は未だに続いている。

 

「まぁ最下位は圭ちゃんって決まってるけど、このまま終わるのも何だしね。最後まで続けようか」

「そうですわね。こうなれば7回連続最下位にさせて、末代までの恥とさせましてよー!」

「そんな事させてたまるかぁ!!」

 

 だがテンポよく試合が進む展開についていけない前原君は最下位は決定事項である。

 手札に残ったジョーカーを投げ捨て、髪の毛を掻き毟ってしる前原君。

 凄い……悔しいという感情がないはずなのに、ここまで演技に堂が入るなんて。

 僕が1位になる以外、他の行動はただの余興の一種だ。

 作戦は順調なのは変わらないが、念には念を押しておきたい、ということなのだろう。

 

「くそ! 次だ、次。今度こそは勝ってやるぜ!」

 

 そして勘繰られないためにも早めのスタート。これも自然な流れで違和感がない。

 これが……彼の実力なのか。本当の味方になってよく分かった。彼は場の流れを変えている頼もしい存在だ。

 これなら勝てる、そう信じられそうな気がした。

 ……天職は詐欺師だと紹介しようか。

 

 

 

 そして続いて始まった6回戦も作戦が上手く働いての2連勝。

 手札をいち早く消化し、自然とガッツポーズをしてしまう。

 よし、これで園崎さんと並んだ……て、昔ならこんな行動や考え方をしなかったのに……。

 自分でも驚いていると、横からねっとりとした声をかけられた。

 

「へぇ~……。孝ちゃん急にやるようになったねえ」

 

 流石の4人も僕の2連勝に危機感と違和感を覚えているようだ。

 その目は以前と違って、疑心しかない。暗鬼はもうすでに存在していなかった。

 全て見切ったというような確信的ではないのが救いだ。とりあえずどう対処するべきか、そんな算段がたてられているような気がする。

 とにかく、まだ勝機はあるのだ。ここまで来たらやるしかないのだ。

 前原君と目配せをする。前原君も同じことを考えていることだろう。

 この最終戦が波乱を呼ぶこと、そしてここが正念場であると。

 大丈夫、前原君がきっと何とかしてくれる。

 とにかく最後まで白を切ることは決めているし、ここは適当に誤魔化そう。

 

「まぁ、たまたまが続いてこうなったんじゃないかな?」

「ほー? 8連続当ててその言葉ねぇ……」

 

 8連続で自分の欲しいカードを当てているのだから、相当の強運でもないと無理だ。もはや奇跡でしかない。

 僕だってこの状況でたまたまで片付けられることなんてないと分かっているのだ。

 だが何も言わない。それが作戦だ。

 最後はきっとズルをしたと指摘されるだろうけど、まぁ何とかなるだろう。

 

「これは孝介さんと魅音さんとの一騎打ちですわね……」

「でももし1勝している私や梨花ちゃんが勝ったら、どうなっちゃうんだろ?」

「決まっているさ! その時は1位を決めるためにまた何かするだけだよ!」

「……なら本気で頑張るのですよ」

「私はもう優勝は出来ませんけど、皆さんに遅れを取る訳にはいけませんわ!!」

 

 こんなやり取りの中、前原君はこちらに顔を伏せてきたかと思えば、にやりと笑っている。

 勝利はすでに目の前、とでも言いたげな口元を自身で抑え、作戦通りに動く。

 

「よっしゃ! じゃあさっさと最終戦始めようぜ!」

「ん? いやに好戦的だね。圭ちゃん?」

「え!? そ、そうか? まぁ罰ゲームをやるなら早くやろうって思っただけだ」

 

 流石に最終戦まで早く始めようとすれば探りを入れられる、よね。

 

「へぇ~~?」

「な、何だよ……」

 

 じぃっと園崎さんが前原君を見つめる。

 嘘か本当かを見極めるからだろう。

 前原君も園崎さんの真意を見抜き、目線をしっかりと受け止めていた。

 見つめ合うその数秒が止まったかのように感じる、とても長い間。

 誰もが躊躇う沈黙を破ったのは園崎さんの笑い声だった。

 

「あっはっは! まぁとりあえず始めようか!」

「そ、そうだぜ」

「……みぃ」

 

 カードを配る園崎さんを見てどんな反撃が来るのか予測したいところだが、流石に分かるわけもなく。

 ふたを開けてのお楽しみとなっていた。




ちょいと中途半端な形で終わってしまった……。

前原君たちの反撃はこれからだ! みたいな終わり方ですね、はい。


そして一昨日のハードな作業から来る筋肉痛が痛い。
もうね、今日は学校休みたいくらいです。
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