ひぐらしのなく頃に 決 【訳探し編】   作:二流侍

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◆Tips【Ⅰ-Ⅲ】

◆綿流し

 

「へぇ~。もう少しでお祭があるんだぁ」

「うん。みんな綿流しって言うの」

「綿流し……うん。何か風情を感じるよ」

「だな。なんかこう、涼しげな川にふわりと浮いて流れているのが目に浮かぶぜ」

「をーっほっほ! 圭一さんも頭が綿のように軽いですし、そのまま流されましてよ」

「なんだと沙都子!? 少なくとも孝介よりは中身が詰まってるからな」

「何で僕を巻き添えに……うぅ」

「あははは! ほらほら、そんなところで火花を散らさない!」

「ぐ……しかし、何でまた綿流しなんだ?」

「えっとね、綿流しっていうのは身体に付いた悪いモノを綿で取って川に流すのが由来なんだぁ」

「あたし達の唯一と言っていい程の盛大なイベントだよ。屋台も沢山出て、村が一番気合いを入れるところと言っても過言ではないだろうからねぇ」

「へぇ、それは楽しみだよ」

「……それにボクも巫女服で頑張るのです」

「へぇー、そうなん――――」

「な、なんだとぉ! 梨花ちゃまの巫女服姿ぁーー!?」

「梨花、言葉に気をつけて下さいまし! 圭一さんが興奮してしまいましてよ!!」

「沙都子! これは興奮じゃなくて、漢(おとこ)として純真な気持ちなんだ!!」

「堂々と変態発言しないでくださいまし!? 反論出来ていませんわ!」

「前原君の目がギラギラしてる。もう少し落ち着いてよ、話が聞けない……」

「おい、孝介!! お前は漢なのに今の言葉を聞いて何も感じねぇのか!?」

「え……う、うん。特には」

「馬鹿野郎!!」

「えぇ!?」

 

「お前は巫女服の素晴らしさをちっとも分かってない!! いいか!? 巫女服は着たものを拒まない。それは最も大切なことでもあり、大前提の話である! 最近は『ちょっと恥ずかしいよ~』なぁんていかにも、着る者を馬鹿にする奴がいるが、それこそ今の世の中の萌え文化への衰退の一途を辿っている事にも気づかない愚か者なのだ! 巫女服は何故この世に生まれたか!? 巫女服、それは昔、平安時代に生まれた最初で最高の萌え衣装の一つである! 一見全体を隠すかのように着こなされた衣装なのだが、そこから見える首筋、華奢な手、覗かせる白い足袋はそこから先の女の魅力を掻き立て、想像を膨らます媚薬となり、俺ら猛者を一瞬にして魅了する一品。着た事により飛躍的に人の魅力を変える魔法だ、奇跡だ! どんな女子でさえ、それを着れば途端に可愛くなれる。そして巫女服は白と紅色という、火を連想させるものでもあり、漢(おとこ)たちの情熱さと噛み合わせたもの! 太古に何度も実験を繰り返し、大器晩成で出来た芸術。それを太古から今の世まで伝えてきた……もはや日本の文化の象徴だ! 着物もまた身を隠し、同じように身を包んでいるから同義ではありそうなのだが、そんな考えをする奴がいるからこの萌え文化が消えつつあるのだ! そんな奴が居たら俺に教えろ。一発殴って蹴ってあぶりだして、そいつの愚かさをその身に沁みこませてやる! いいか!? 着物と巫女服は大きく違う、月と太陽ぐらいに全く違う!! 確かに着物も萌えさせる要素がないとは言い切らない。あの胸をクロスさせるかのように隠された衣服に、誰もが引っ張りたくなるように魅せつけている帯。確かにそれは可愛らしさを追求されたものであると、認めてやらねばならない。しかし巫女服には着物とは一線を越える、別次元の風味を醸し出す事が出来るのだ。着物は浅い歴史の中に生まれた言わば新参者! そんなの、男が何たるかを理解したうえで作られた、言わば『計算された萌え』だ。そんなの真の萌えじゃねえ! 平安という俺たちとは無縁の時からずっと萌えとして長寿に渡っており、今も理解されているモノこそ『至高の萌え』なのだ! だからこそ着物は違う。巫女服は萌える! それを今でも未来の麗しい姿を彷彿させる梨花ちゃまが着るんだぞ? さぁ想像してみろ。小さな手で握られた裾を翻しながら、ハムスターのようにトコトコとこちらにまで歩み寄り、微笑みかけてくる愛らしいお姿……! おぉ……。想像するだけでも鼻息を荒くさせられる事が出来ちまう! お前はそんな想像を掻き立てられるか!? 出来たら分かるはずだ。これはもう日本、宇宙――――いや神から与えられた祝福だ! 漢(おとこ)にとって眼福以外の何物でもねぇ。それを貴様はなんだぁ? 特にはぁ、だとぉおおおお!? ふざけんじねぇ!! その言葉、例え全人類が許そうともこの前原圭一が許さん!」

 

「え、あ……はい!」

「いいか孝介! 巫女服は漢のロマンなんだ。それを忘れるな!!」

「は、はぁ……」

「まだそんな温い反応とは……。来い! このKがその腐った性根を叩いて捻って直してやる!!」

「え、ちょっと! Kってどういう事ぉおぉぉ……」

 

 

 

 

「はぁ……。今回は梨花のせいですわよ。少しは反省して下さいまし」

「…………みぃ? ボクはただ事実を述べただけなのですよ、にぱー☆」

「あっはっはっは……相変わらず梨花ちゃんの狸っぷりは恐ろしいよ」

「結局、綿流祭四凶爆闘について言えなかったね」

「ま……まぁ、圭ちゃん達には後で言っておこうかね」

「えへへ、そうだねぇ。圭一君たちにも祭りを楽しんでもらえたらいいねえ」

「……みぃ。そうなるといいのです」

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