ひぐらしのなく頃に 決 【訳探し編】   作:二流侍

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■訳探し編【Ⅴ-Ⅸ】

「ここの村人は温かいからな。きっとこの場所なら、家族みんなで仲良く暮らすことが出来る。母さんと2人で訪れたとき、そういったモノを感じてとっていたんだよ。そして今、こうしてお前と一緒にいられる時間が長い。ここにきて良かったと思えるよ」

「へぇ~。そうなんだ」

 

 てっきり父さんが仕事上の関係だけで判断したものだと思っていた。父さんの公務員という職業柄色んな経験を学ばせるためだと仕方なく思っていたところもある。いつも仕事が変わったから、どこどこに行く。こうなったから、○○の場所で生活しよう。そんな話が昔はよくあって、僕と母親もすっかり慣れてしまった。とにかく父さんの都合でしか引っ越しはしないものだと。

 それだけにそんな発言をしてくるとは思っていなかったのだ。

 

「いや、まぁこれを言ったのは母さん何だが……」

「え、あぁそうなの?」

「優しいあいつのことだからな。そろそろお前の事を考えるべきだと思ったんだろう、もちろん一戸建てが欲しいという要望も本音なんだろうが」

 

 そこで緩やかに動いていた車は止まる。明かりによって見えた目の前は道はない。舗装をされていないためか、その先は雑草が生えている。更にさきに進もうものなら小さな段差となっており、緩やかな傾斜で無い以上、車は進むことが出来ない。

 友達と会える場所についたというか、その場所が車で行ける限界なんだと知った。

 横に取り付けられている窓の外を見やる。その先は暗くてよく見えないのだが、うっすらとシルエットが見えるその先には多数のゴミが置かれていることだけは分かる。それは同時に目的地にたどり着いたと分かった瞬間だった。

 

「じゃあ、行ってくるよ」

「父さんは残っていたほうがいいか?」

「うーん。多分友達と一緒にいるだろうし、先に帰っといて」

「了解、それと孝介」

 

 先に進もうとした自分を父さんは呼び止めてくる。

 

「何? 何かあるなら、手短に」

「な~に、母さんが不安になっていた内容をお前に聞きたいだけさ」

 

 母さんからの質問だという。しかも不安になってしまうような内容なんてあったのだろうか。

 ハンドルに寄りかかって腕枕をしながら、父さんはこちらを見ずに言ってきた。

 

「お前は、村のことが好きか?」

「好きというか、気に入っているかな」

「……そうか。いや、この話をしたらつい母さんとの話を思い出してしまってな。ついでとばかりに聞いてみたんだよ」

 

 いや、失敬。そう笑いながら、父さんはエンジンを吹かしたままの車を動かすことはない。

 

「じゃあ行って来い。なに、少しの間は車で待っているさ。もし、何かがあったらすぐに帰ってこい」

「はは……いらぬ心配ありがとう……」

 

 父さんにとってそれは気の利かせをしたつもりだったんだろうけど、実際は何かあることを想定して車を留めておくと言っているようにも聞こえる。

 だから自分は適当な返しでしか出来なかった。

 

「で、友達と会って一体何を?」

「他の子を助けたい、そんな話し合いをしに行くんだよ」

 

 父さんは寄りかかりを止めたと思うと、こちらを見て期待に満ちた目で見てくる。

 

「それは面白そうな内容じゃないか。その話し合いに混ざりたいぐらいだよ」

「これのどこに面白さを感じるんだよ……」

「面白いだろ? お前がそんなことをするってことに」

「バカにしてるようにしか聞こえない……」

 

 そこまで自分は相手の心配が出来る人間じゃないと言いたいのだろうか。真剣に悩むことくらい自分だって出来るのに……。

 

「ま、お前がそうやって友達を大切にしようと考えられているなら安心かな」

「まるで出来てないみたいな言い方やめてよ……」

「そりゃあお前。父さんが原因だったとは思うが、友達をあんまり作れていないと思ってるからな」

「酷い言われようだね!?」

「はっはっはっは! そりゃあお前だもん」

「それどういう意味!?」

 

 自分の息子になんて言い方をしてくるのだろうか。もしかして自分ってそんなに愛されていないのか。そんな心配さえこみ上げてきた。

 父さんはあっけらかんと笑いながら、冗談だよと言ってきた。

 

「ほら、場の空気が重すぎたから、軽くするためにね!」

「そのために僕の気持ちを悲しみで重くしているんですけど……」

「ありゃあ冗談だよ。ほら、世間であるだろ? 罵倒ジョーク」

「そんなの無いよ!」

 

 そんなのがまかり通っていれば人は笑いながらいじめてもOKになってしまう。

 

「よし、じゃあ行って来い!」

「父さんが足止めしてきたのに!? 勝手すぎるよ!」

「その元気があれば、もう心配ないなと思ってさ」

「あぁ、そう……じゃあ行ってきます」

「それと孝介、これも言ってもいいか?」

「さっきの言葉はなんだったの!?」

 

 もう滅茶苦茶である。父さんはここまで身勝手な発言で周りを振り回していただろうか。父さんは何をしたいんだと、そんな疑心に囚われてしまいそうだ。

 父さんが言ってきたことはたった1つ。

 

「これからは友達の味方でいるんだぞ?」

 

 たったそれだけ、父さんは笑っているし、何も説得力がない。真剣さもない。冗談で言ったようにしか聞こえないし、ふざけているようにしか見えない。

 だから、僕は父さんに向かってこう言った。

 

「言われなくても……もう決めたから」

 

 分かり切った答えを返したうえで、自分は友達のもとへと向かう。




投稿が遅れてしまいました。無事に公演が終わり、疲れを取っていたら、この日まで書けなかったw
評価についてはありがとうございます! この評価を真摯に受け止め、どうすれば面白い作品に出来るか考えたいと思います。

そしてお気に入り登録数が100を超えました。わーい。
目標だった数値を超えて嬉しすぎます! これを糧に頑張っていこうと思います。

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