ひぐらしのなく頃に 決 【訳探し編】   作:二流侍

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■訳探し編【Ⅴ-Ⅺ】

 前原君がいれてくれない。その事実を聞いた僕たちの疑問は1つだった。

 

「それは風邪だから…………じゃないんですの?」

 

 代表として話した北条さんの言葉に園崎さんは首を横に振った。何度も何度も振って、呼び起こされた記憶を消し去りたいのか、口調は荒げていた。

 

「違うんだよ! あれはあたし達を拒む目だった……!」

「それは、ただ園崎さんたちに風邪を移したくないだけかもしれないし」

「そんなんじゃないんだよ……」

 

 身体を震わす園崎さんを竜宮さんは優しく諌めながら、園崎さんの代わりに状況の説明を続けてくれた。

 

「他にもあるんだ。圭一君に『明日学校休んだら駄目だからねぇ~!』って言うと、何も言わずにドアを閉めたんだ」

 

 前原君はそんな友達の言葉を無視して、扉を閉めたりしない。それは自分が一番知っている。

 そしてそれをしてしまうまでになった原因を僕は予測できるのだ。

 竜宮さんたちは気づけずに、遂には自分の行いについて振り返っていた。

 

「レナ達、何か悪いことをしたのかな、かな?」

「そんな……」

「…………レナは悪い事はしていないのですよ」

 

 断言。古手さんがお茶を濁そうとしただけの自分と違って、確信めいた自信のもと、はっきりと告げてくれた。でもその言葉はただの気休めでしかない。彼女たちの心は未だ晴れないままだ。

 そんな中、北条さんは曇りの原因を探ろうとこう聞いてきた。

 

「じゃあ何故、圭一さんはそんな態度を取りますの?」

「「「……」」」

 

 僕以外の誰もが、その答えを持ち合わせていない。当然だろう。似たような境遇を受けないと、こんな気持ち、分かるはずもないのだから。

 

「孝介くん? 凄い怖い顔をしてるよ……」

「え? あぁ……ごめん」

 

 まさかそんな顔をしていたとは。

 

「孝ちゃん。何があったのか、知っているんだね」

 

 園崎さんが不安のまなざしでこちらを見つめてくる。他のメンバーも不安はないものの、心配といった気持ちは痛いほど伝わってきた。

 僕は頷く。みんなに伝えるために。

 

「……今日呼んだのはね。この原因を孝ちゃんは知っていると思ったからなんだよ」

「それは……大石さんと会ったから?」

「うん、て言っても、これ言ったのレナなんだけどね」

 

 園崎さんを見て、その後竜宮さんを見た。

 凄い。確か竜宮さんは前原君が、前に大石さんと出会っていた事は知らなかったはず。

 でも、たった僕と大石さんとが話しただけでこの状況を推測していたというのだ。

 そして……状況を作り上げる力を持っている。彼女はそれだけの芯の強さがある。

 園崎さんも、すぐにその言葉を信じ、竜宮さんを信じた。僕と違って。

 

「で、あたしがここを選んだんだ」

「ここを?」

「知ってると思うけど、ここはレナの秘密基地だから」

「そうだね」

 

 一体それが何と関係しているのだろう。さっきと違って、話の論点がずれそうな気がするのだけれど。

 

「ねぇ孝ちゃん。孝ちゃんはさ、ここを見てどう思う?」

 

 ここを見てどう思うか。

 僕はその言葉を受けてから、外を含めて辺りを見回した。

 周りはゴミ山になっていて外からは見る事は出来ないし、声も住民に届く事は無いだろう。

 そうこの内容は全て客観的に見た感想だ。でも、園崎さんが求めている答えは違う。もっと主観的に訴えかけた質問だ。

 だからこそ、僕は思った事を口にした。

 

「誰もいないから…………寂しいね」

「そう、寂しい。それがね、あたしが考えた場所」

「……どういうこと?」

 

 僕の疑問に対して、園崎さんは僕の目を見ながら話しかけてきた。

 僕は少し恥ずかしくなって、目を逸らしたくなる。

 ただ、ちゃんと聞かないといけないと思うから、顔を少し赤くしながらもちゃんと見続けた。

 園崎さんはそんな僕の何かを感じとったのか話を、一言を感じてほしいためにゆっくりと、語るようにしゃべり始めた。

 

「孝ちゃんはきっと大石さんから何か聞かされたのは確かだった。それが原因で私たちのことを嫌いになったのかもしれない。でも確証も無かったし、変な誤解を生みたくなかった」

「そうだね」

「だからあたしたちは孝ちゃんにある計画を立てた」

「それがこれって事だね」

「そう」

 

 この人がいないような『いかにも怪しい場所』で集まろうと呼ばれたって事か。

 竜宮さんも話に加わり、僕が理解していると理解した上で話を進める。

 

「これで来なかったら孝介君は大石さんに、何かレナたちの嫌なことを言われてしまったんだと分かる。そして嫌い、もしくは恐れるようになった。そう判断できる」

「そうだろうね。本当に申し訳ないと思うけど……」

「そして、来たときはまた別の理由って事になる。圭ちゃんもきっと別の理由で私たちのことを勘違いしているんだと思うんだよ。もしくは孝ちゃんは大石さんに言われてもなお、あたしたちを信じてくれた」

「はは……信じられるか微妙だったけど」

 

 苦笑いしか出来ない。それが相手に失礼な行為だとしても、自分は自分を戒めるためにもその行為が必要だった。

 今回は後者になった。と後付のように竜宮さんは1つの結論を打ち出していた。

 あんな事をしておいた張本人を目の前に彼女の表情は嬉しそうだ。

 

「孝ちゃんには悪いことをしたと思ってるよ。ごめん」

「べ、別にいいよ……」

 

 実際躊躇ってしまってから、ここに来たのだ。結果は良くても、竜宮さんに強く当たっていたのは事実。それは自分の中で変わらない反省点となるだろう。

 少しの静寂の後、竜宮さんが咳ばらいで空気を変えようとする。

 

「ごめん。話が逸れそうだから戻すね」

「結局レナさん達は何を言いたいのですか?」

 

 今まで黙って聴き続けていた北条さんが口を挟んできた。

 

「今の話は孝介さんの素晴らしい友情劇の話、それしか聞けていませんわ。求めているのは圭一さんの話でしてよ?」

「そう、だから孝ちゃんには聞きたいことがあるんだよ」

「……つまり圭一の疑心暗鬼の原因を知りたいから、大石から話を聞いた孝介を呼んだ。でいいのですか?」

「その通りだよ。梨花ちゃん」

「なるほど、だから私達を呼んだのですね。親しい者なら、その大石さんの話から、圭一さんの心情をくみ取ることが出来る、と」

 

 全員が僕を見る。

 僕は今まで聞いて分かった。

 みんな今は僕を頼りにしている。それがどんな形であれ、応えるべきだと思う。

 僕は今まで、喋って、遊べれば友達という枠組みになっていた。そんな簡単な存在。だから、少しでも嫌な事があったら離れ、他人のフリをしていた。

 でもこの人達は違う。

 みんな、互いを信じ、求め、助け合う事。嫌な事があっても、共に悩み、なお手を伸ばそうとする。それが当たり前だと感じているのだ。

 

 ――――これが仲間なんだ

 

 仲間がどれ程大切なモノかを見事に体言しているといえる。そして教えてくれる。この人たちと一緒になれて本当に良かったと思える。

 だから……。

 

「……味方で居続ける……か」

「みぃ? どうしたのですか?」

「何かありまして?」

「……」

 

 僕はその言葉に答えることはせずに、竜宮さん達の顔を見つめた。

 

「……今から話すことはみんなにとって不愉快な内容かもしれない。それでもいい?」

 

 最後の確認というヤツなんだろうか。

 話すことへの躊躇いはない、それよりも聞いたあとに心を痛めてしまうことを不安に感じていた。

 だが、みんなの顔を見て、それはただの杞憂だったと思えた。

 

「もちろんだよ。そのためにも私たちはここにいるんだから」

「圭ちゃんの原因に、絶対あたしたちの関わりがあるんだろうからね。あたしは……圭ちゃんと仲直りしたい。だからこそ最後まで聞かないね」

「……篠原に期待しているのです」

「もちろん。私もここまで来た以上、引くことは出来ませんわー!」

 

 みんなの笑顔を見て、思う。本当に前原君のことを大切に想っているんだと、仲間だと感じているのだと。

 友達の想いをつなげ、明日への計画へつなげる。それが今の僕に出来る仲間としての行為だった。

 

「……わかったよ。なら今日の出来事をありのまま話していくよ。まずは――――」




明日は打ち上げがあるので更新は難しいかなーw

上げるとしたら昼過ぎの予定です!
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